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向
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むかう
ふりがな文庫
“
向
(
むかう
)” の例文
此返事
(
このへんじ
)
を
聞
(
き
)
いて、むつと
腹
(
はら
)
が
立
(
た
)
つた。
頭巾
(
づきん
)
の
下
(
した
)
に
歯
(
は
)
を
剥出
(
むきだ
)
して、
血色
(
けつしよく
)
の
好
(
い
)
い
頸元
(
えりもと
)
に
伸
(
の
)
し
掛
(
かゝ
)
ると
向
(
むかう
)
は
後退
(
あとすざり
)
もしない。また
質
(
き
)
いて
見
(
み
)
た。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
更に岸を
下
(
くだ
)
つて
水上
(
すゐじやう
)
に
浮
(
うか
)
び
鴎
(
かもめ
)
と共にゆるやかな波に
揺
(
ゆ
)
られつゝ
向
(
むかう
)
の岸に達する
渡船
(
わたしぶね
)
の愉快を容易に了解する事が出来るであらう。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
揉
(
も
)
まれて
出
(
いで
)
し
廓
(
くるわ
)
の
角
(
かど
)
、
向
(
むかう
)
ふより
番頭新造
(
ばんとうしんぞ
)
のお
妻
(
つま
)
と
連
(
つ
)
れ
立
(
だ
)
ちて
話
(
はな
)
しながら
來
(
く
)
るを
見
(
み
)
れば、まがひも
無
(
な
)
き
大黒屋
(
だいこくや
)
の
美登利
(
みどり
)
なれども
誠
(
まこと
)
に
頓馬
(
とんま
)
の
言
(
い
)
ひつる
如
(
ごと
)
く
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
製作
場
(
ぢやう
)
の
向
(
むかう
)
側にはギリシヤ
辺
(
あた
)
りの古い美術品かと思はれる彫刻を施した円い石や
角
(
かく
)
な石が転がつて居るのであつた。馬車の用意が出来た頃弟子がもう一人帰つて来た。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
又
(
また
)
水
(
みづ
)
の
上
(
うへ
)
を
歩行
(
ある
)
いて
來
(
き
)
たものがある。が
船
(
ふね
)
に
居
(
ゐ
)
るでもなく、
裾
(
すそ
)
が
水
(
みづ
)
について
居
(
ゐ
)
るでもない。
脊
(
せ
)
高
(
たか
)
く、
霧
(
きり
)
と
同
(
おんなじ
)
鼠
(
ねずみ
)
の
薄
(
うす
)
い
法衣
(
ころも
)
のやうなものを
絡
(
まと
)
つて、
向
(
むかう
)
の
岸
(
きし
)
からひら/\と。
三尺角拾遺:(木精)
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
盛
(
さか
)
りと
咲亂
(
さきみだ
)
れえも云れぬ
景色
(
けしき
)
に寶澤は
茫然
(
ばうぜん
)
と暫し
木蔭
(
こかげ
)
に
休
(
やす
)
らひて
詠
(
なが
)
め居たり此時
遙
(
はるか
)
の
向
(
むかう
)
より年頃四十
許
(
ばかり
)
の男
身
(
み
)
に
編綴
(
へんてつ
)
といふを
纏
(
まと
)
ひ
歩行
(
あゆみ
)
來りしが
怪
(
あや
)
しやと思ひけん寶澤に向ひて名を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
ホツ、ホツと
締
(
しまり
)
の無い笛を鳴らして、自動車が過ぎた。湯村の車が右に避けようとしたその車輪の
際
(
きは
)
どい間をくゞり、重い強い発動器の響を聞かせて、
砂埃
(
ほこり
)
の無い路を太いゴム輪が真直に
向
(
むかう
)
へ
馳
(
は
)
せた。
茗荷畠
(新字旧仮名)
/
真山青果
(著)
おぢさん「ほうら、また
向
(
むかう
)
でもはじめた」
コドモノスケッチ帖:動物園にて
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
さすれば自分は救助船に載せられて、北へも南へも僅か三
哩
(
マイル
)
ほどしかない、手に取るやうに見える
向
(
むかう
)
の岸に
上
(
あが
)
る事が出来やう。
黄昏の地中海
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
も
厭
(
いと
)
はずたどり行に漸々と紀州
加田浦
(
かだのうら
)
に
到
(
いた
)
る頃は夜はほの/″\と
明掛
(
あけかゝ
)
りたり寶澤は
一休
(
ひとやすみ
)
せんと傍の石に
腰
(
こし
)
を
打掛
(
うちかけ
)
暫く休みながら
向
(
むかう
)
を見れば白き
犬
(
いぬ
)
一
疋
(
ぴき
)
臥居
(
ふしゐ
)
たり寶澤は
近付
(
ちかづき
)
彼の
握飯
(
にぎりめし
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「ゆうべ長谷川君と遅く迄話し込んだので僕は朝寝をして
仕舞
(
しま
)
つた。
衣替
(
きがへ
)
をする間待つて居て
呉
(
く
)
れ給へ。」「滿谷は起きてるか
知
(
し
)
ら。
彼処
(
あすこ
)
で待つて居よう。
向
(
むかう
)
には
煖炉
(
ストオブ
)
も消えてないだらうから。」
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
舷
(
ふなばた
)
から手にとるやうに望まれる
向
(
むかう
)
の山——日に照らされて土は乾き、樹木は
少
(
すくな
)
く、黄ばんだ草のみに蔽はれた山間に白い壁塗りの人家がチラ/\見える
黄昏の地中海
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
出て
戻
(
もど
)
る頃漸々東が
白
(
しら
)
み出し雨も
小降
(
こぶり
)
に成たる故
浮羅々々
(
ぶら/\
)
戻る
向
(
むかう
)
より
尻
(
しり
)
つぺた迄
引端打
(
ひつはしをり
)
古手拭
(
ふるてぬぐひ
)
で
頬冠
(
ほゝかぶ
)
り
傘
(
かさ
)
をも指ずに
濡
(
ぬれ
)
しよぼ
垂
(
たれ
)
小脇差
(
こわきざし
)
をば後ろへ廻し
薄氣味惡
(
うすきみわる
)
き
坊主奴
(
ばうずめ
)
が來るのを見れば長庵故
傘
(
かさ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
長吉
(
ちやうきち
)
は
病後
(
びやうご
)
の
夕風
(
ゆふかぜ
)
を
恐
(
おそ
)
れてます/\
歩
(
あゆ
)
みを早めたが、
然
(
しか
)
し
山谷堀
(
さんやぼり
)
から
今戸橋
(
いまどばし
)
の
向
(
むかう
)
に開ける
隅田川
(
すみだがは
)
の
景色
(
けしき
)
を見ると、どうしても
暫
(
しばら
)
く
立止
(
たちどま
)
らずにはゐられなくなつた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
私は毎年の秋
竹
(
たけ
)
の
台
(
だい
)
に開かれる絵画展覧会を見ての帰り道、いつも
市気
(
しき
)
満々
(
まん/\
)
たる出品の絵画よりも、
向
(
むかう
)
ヶ
岡
(
をか
)
の
夕陽
(
せきやう
)
敗荷
(
はいか
)
の池に反映する天然の絵画に対して杖を
留
(
とゞ
)
むるを常とした。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
築地
(
つきぢ
)
の
河岸
(
かし
)
の船宿から
四挺艪
(
しちやうろ
)
のボオトを借りて遠く
千住
(
せんじゆ
)
の方まで漕ぎ
上
(
のぼ
)
つた帰り
引汐
(
ひきしほ
)
につれて
佃島
(
つくだじま
)
の手前まで
下
(
くだ
)
つて来た時、突然
向
(
むかう
)
から帆を上げて進んで来る大きな
高瀬船
(
たかせぶね
)
に衝突し
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「
向
(
むかう
)
の
河岸
(
かし
)
に
静
(
しづか
)
ないゝ
家
(
うち
)
があるわ。わたし
達
(
たち
)
なら一
時間
(
じかん
)
二
百円
(
ひやくゑん
)
でいゝのよ。」
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
“向”の解説
向(しょう、こう)は、漢姓のひとつ。
同じ漢字を使う日本の姓向(むかい、むかえ、むこう)についてもこの記事で述べる。
琉球王国の向氏については、第二尚氏を参照。
(出典:Wikipedia)
向
常用漢字
小3
部首:⼝
6画
“向”を含む語句
仰向
真向
斜向
上向
一向
手向
日向
俯向
眞向
向合
向側
差向
向山
向後
方向
背向
趣向
筋向
対向
川向
...