同勢どうぜい)” の例文
「それでもそれだけの同勢どうぜいにはたっぷりとは言えない。かわいそうに、畜生ちくしょうにはじゅうぶん食べさしておやんなさい」
やがて正一は、そんなこまっちゃくれた紹介をしながら、同勢どうぜいひきつれた恰好かっこうで、格太郎の部屋へ入って来た。
お勢登場 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
其時そのときくるま真中まんなかに、案山子かゝしれつはしにかゝつた。……おと横切よこぎつて、たけあしを、蹌踉よろめくくせに、小賢こざかしくも案山子かゝし同勢どうぜい橋板はしいたを、どゞろ/\とゞろとらす。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
跡部あとべ大筒方おほづゝかたの首を斬らせて、鑓先やりさきつらぬかせ、市中しちゆうを持ち歩かせた。後にこの戦死した唯一のさむらひが、途中から大塩の同勢どうぜいに加はつた浪人梅田だと云ふことが知れた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
〆切しめきり町内の自身番屋には鳶の者火事裝束にて相詰あひつめたり程なく惣人數そうにんずは數寄屋橋御門へ來しに見附は常よりも警固かための人數多く既に天一坊の同勢どうぜい見附みつけ這入はひれば門を〆切しめきりそれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
其所そこ活東くわつとう花舟くわしう應援おうえんとしてつてたので、同勢どうぜいにんり、じつにぎやかな發掘はつくつであつた。
田植たうゑ同勢どうぜい股引もゝひき穿いたまゝどろあしをずつとほりみづてゝ、股引もゝひき紺地こんぢがはつきりとるまで兩手りやうてでごし/\としごいた。けたどろけぶりごとみづにごらしてずん/\とながされる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
とついで京都に往って居るすえむすめの家を訪うべく幾年か心がけて居た母と、折よく南部なんぶから出て来た寄生木やどりぎのお新お糸の姉妹を連れて、余の家族を合せて同勢どうぜい六人京都に往った。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
同勢どうぜいはこれでようやくそろったが、この先どうなる事だろうと思いながら、相変らず神妙しんびょうにしていると、長蔵さんは自分達を路傍みちばたに置きっ放しにして、一人でうちの中へ這入って行った。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
夫れから水夫をよんで、水を使えは鉄砲で撃殺すからう思えと云うようなけで水を倹約したから、如何どうやら斯うやら水の尽きると云うことがなくて、同勢どうぜい合せて九十六人無事に亜米利加についた。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
六人の同勢どうぜいと乗り組むはずになっていた。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
わたしたちはいつも上等な宿屋やどやにとまったことはなかった。たいてい行っても追い出されそうもない、同勢どうぜいのこらずとめてくれそうな木賃宿きちんやどを選んだ。
同勢どうぜい十人のうえ、おとなもおよばぬ、しっかりものの小林芳雄君が、団長としてつきそっていくのですから、団員のおとうさまおかあさまたちも、安心して
妖怪博士 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
御祓筋おはらひすぢから高麗橋までは三丁余あるので、三文目もんめ分筒ふんづゝの射撃を、大塩の同勢どうぜいは知らずにしまつた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
けれども言出いひだしたことは、いきほひだけに誰一人たれいちにん深切しんせつづくにもあへめやうとするものはく、……同勢どうぜいで、ぞろ/\と温泉宿をんせんやどかへ途中とちゆうなはて片傍かたわき引込ひつこんだ、もりなかの、とあるほこら
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
先に立朱網代の乘物には常樂院天忠和尚跡は四人の徒士かち若黨長棒の駕籠には山内伊賀亮ほかに乘物十六ちやう駄荷物十七桐棒きりぼう駕籠五挺都合上下二百六十四人の同勢どうぜいにて道中すぢは下に/\と制止聲を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ふたゝふたをとつたときには掃除さうぢらぬ風呂桶ふろをけのなかには前夜ぜんやあかが一ぱいいてた。其麽そんなことにはかまはずに田植たうゑ同勢どうぜいはずん/\と這入はひつた。彼等かれらほとんどたゞ手拭てぬぐひでぼちや/\と身體からだをこすつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
一同車を降りて二三の打合せを済ませると、そこの刑事なども同勢どうぜいに加わって、徒歩で程近いO町に向った。刑事部長は署長室にとどまって吉報を待つことにした。
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
顔にさわられまいと、俯向うつむきながら、あおぎ消すやうに、ヒラヒラと払ふと、そよ/\と起る風のすじは、仏の御加護おんかご、おのづから、魔を退しりぞくるほうかなつて、蠅の同勢どうぜいは漂ひ流れ、泳ぐが如くに
蠅を憎む記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
平野橋で跡部の手と衝突した大塩の同勢どうぜいは、又逃亡者が出たので百人あまりになり、浅手あさでつた庄司に手当をして遣つて、平野橋の西詰から少し南へよぢれて、今淡路町あはぢまちを西へ退く所である。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
ところがこの村には一けんも宿屋やどやというものはなかった。当たり前の家ではじいさんのこじきの、しかも子どもに三びきの犬まで引きれて、ぬれねずみになった同勢どうぜいをとめようという者はなかった。
爾時そのとき十八九人じふはつくにん同勢どうぜいが、ぞろ/\とえてけてた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)