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とうとう
ふりがな文庫
“
到頭
(
とうとう
)” の例文
思いの
丈
(
たけ
)
を書き綴って、
人伝
(
ひとづ
)
てに送っても返事が来ず、
到頭
(
とうとう
)
お
終
(
しま
)
いには、多与里の姿を見ただけでもうるさそうに顔を反ける左京です。
奇談クラブ〔戦後版〕:02 左京の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ただ
惜
(
おし
)
い事には今一歩といふ処まで来て居ながら
到頭
(
とうとう
)
輪の内を
脱
(
ぬ
)
ける事が出来なかつたのは時代の然らしむるところで仕方がない。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
誰も自らその難局に当ろうというものが無くて、
到頭
(
とうとう
)
病気の
松方
(
まつかた
)
〔
正義
(
まさよし
)
〕侯〔爵〕に大任を持って行った。到頭一週間の時日を費やした。
勢力の中心を議会に移すべし
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
或る日、明子は
到頭
(
とうとう
)
決心して、村瀬を旅に連れ出した。彼は珍しく明子の提議には従つた。彼女と一緒に天の幼児もついて来た。
青いポアン
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
到頭
(
とうとう
)
仕舞
(
しまい
)
には洋書を読むことを
罷
(
や
)
めて仕舞うて攘夷論でも唱えたらば、ソレはお
詫
(
わび
)
が済むだろうが、マサカそんな事も出来ない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
▼ もっと見る
それどころか僕を、
到頭
(
とうとう
)
犯罪狂だといって、気違い病院へたたき込んだんです。……
屹度
(
きっと
)
あいつらの
仕業
(
しわざ
)
なんだがね……それが昨日ですよ。
自殺
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
「畜生、
到頭
(
とうとう
)
やられたぞ‼」龍介は
口惜
(
くや
)
しそうに呟きながら、どうかして縛ってある縄を解こうとして見たが、厳重な縄はびくともしない。
骸骨島の大冒険
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
与吉の
真面目
(
まじめ
)
なのに
釣込
(
つりこ
)
まれて、笑うことの出来なかったお品は、
到頭
(
とうとう
)
骨のある豆腐の注文を笑わずに聞き済ました、そして
真顔
(
まがお
)
で
尋
(
たず
)
ねた。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お前くらい冷酷で薄情な奴はないと
喚
(
わめ
)
いたり愚痴ったりしたあげくには、麻油に縋りついて
到頭
(
とうとう
)
めそめそ泣き出してしまって
小さな部屋
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「そうか。実は
昨夜
(
ゆうべ
)
も会社へしのび込んだのだが、あの中までは
到頭
(
とうとう
)
入れなかったのだ。宇宙艇とまでは気がつかなかった」
空中墳墓
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それで
到頭
(
とうとう
)
ダンチョン様は、尤も重大な嫌疑者として、その場から拘引されたのです。そうです重大な嫌疑者として……。
西班牙の恋
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
第二回戦
(
セカンドヒイト
)
は、
独逸
(
ドイツ
)
、
加奈陀
(
カナダ
)
、
新西蘭
(
ニュウジイランド
)
とぶつかり、これも日本は、第三着で、
到頭
(
とうとう
)
、準決勝戦に出る資格を失ったのでした。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
未来永劫此の世に遺したさに、
肖
(
に
)
すがたを描こうと思いつき、
到頭
(
とうとう
)
この一面の
肖像
(
すがたえ
)
をかいたことを話してきかせました。
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
前の如く文治の口供を持参いたしますると、矢張前の通り手間取って居りますので、
到頭
(
とうとう
)
印形を捺すことが出来ませぬ。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
到頭
(
とうとう
)
岸本は幼い子供等を残して置いて東京を離れた。元園町、加賀町、森川町、その他の友人は品川まで彼を見送った。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そうして侯爵夫人をつかまえて親方が
彼
(
あ
)
の女の指輪を貰うのを忘れたから改めて貰って来いと言附けられたと云って、
到頭
(
とうとう
)
指輪を奪って帰りました。
薔薇の女
(新字新仮名)
/
渡辺温
(著)
而して彼女の家では、父死し、弟は
年若
(
としわか
)
ではあり、母が是非居てくれと引き止むるを聴かず、彼女は
到頭
(
とうとう
)
家
(
うち
)
を脱け出して信州の彼が
許
(
もと
)
に
奔
(
はし
)
ったのである。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「
何
(
ど
)
うだい、
到頭
(
とうとう
)
降って来たらしいぜ。
過日
(
このあいだ
)
から催していたんだから、
滅多
(
めった
)
に止むまいよ。困ったもんだ。」
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
だが、
到頭
(
とうとう
)
ある日、私は家の横の細い路地で、ヒョッコリと、裏の女房に出逢って
了
(
しま
)
ったのである。
毒草
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
何処か特徴のある顔が
理由
(
わけ
)
もなく彼の首を
捻
(
ひね
)
らした。
而
(
そ
)
して
到頭
(
とうとう
)
思い出す事が出来た。
乗合自動車
(新字新仮名)
/
川田功
(著)
到頭
(
とうとう
)
其處
(
そこ
)
に
深
(
ふか
)
さ
殆
(
ほと
)
んど四五
寸
(
すん
)
の
大
(
おほ
)
きな
池
(
いけ
)
が
出來
(
でき
)
て、
大廣間
(
おほひろま
)
が
半分
(
はんぶん
)
も
浸
(
つか
)
つて
了
(
しま
)
ひました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
戸を開きて出迎える細君は待兼し風情にて
所天
(
おっと
)
の首にすがり附き情深きキスを移して「あゝ
到頭
(
とうとう
)
お帰になりましたね今夜は何だか気に掛りまして」と言掛けて余が目科の
背後
(
うしろ
)
に在るを見
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
到頭
(
とうとう
)
本来の仕事よりもこの事件の持つ謎自身の方へ強くひかれて了ったらしい大月と、それから秘書の秋田は、間もなく先程の証人の男に案内されて、見晴の良いその丘の頂へやって来た。
花束の虫
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
女二
到頭
(
とうとう
)
あの鎖を断ってしまったんだわねえ。
世評(一幕二場):A morality
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「兄さん、
到頭
(
とうとう
)
やったんですよ」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
到頭
(
とうとう
)
勝って、少数奸臣の悪事も明白となり、金森家は領地を召上げられ、城主兵部少輔は
南部大膳太夫
(
なんぶだいぜんだゆう
)
にお預けとなりました。
奇談クラブ〔戦後版〕:09 大名の倅
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
其内
(
そのうち
)
に
識
(
し
)
るともなく父鬼村博士の陰謀に気付き、夜に昼を
継
(
つ
)
いで
歎
(
なげ
)
きかなしんだため、
到頭
(
とうとう
)
ひどく身体を壊してしまった。
国際殺人団の崩壊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
これらの人々即ち国民の中等階級、知識ある階級が政治から
退
(
しりぞ
)
けば、
到頭
(
とうとう
)
劣悪なる一種の政治的商売が起るのである。
憲政に於ける輿論の勢力
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
誠に世話のない話で、
大層
(
たいそう
)
便利を得て、
亜米利加
(
アメリカ
)
まで行て、帰りの航海中も毎日用いて、
到頭
(
とうとう
)
日本まで
持
(
もっ
)
て
帰
(
かえっ
)
て、久しく私の家にゴロチャラして居た。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
見神の一義に君は
到頭
(
とうとう
)
精力
(
せいりょく
)
を
傾注
(
けいちゅう
)
せずに居られなくなったのである。
而
(
しか
)
して生涯の
大事
(
だいじ
)
、生存の目的を果したので、君は軽く肉の
衣
(
ころも
)
を脱いだのであろう。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
到頭
(
とうとう
)
、たまり兼ねたように、大きく伸びをすると、それでも
跫音
(
あしおと
)
をしのばせ
乍
(
なが
)
ら、注意深く歩いて行って、さっき二人が下りたらしい崖の小径を捜して見た。
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
先生の放屁にあてられて、彼は
到頭
(
とうとう
)
思わぬ厭世感にかりたてられていたらしい。按吉はこの二行詩が出来上るまで詩というものを作ったことがなかったのである。
勉強記
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「
俺
(
おれ
)
はもう一生、誰にも自分の心をくれないつもりだった。
到頭
(
とうとう
)
お前に持って行かれてしまった」
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「驚くなよ、浦島丸は一昨日から流血船を捜していたんだが、一時間ばかり前に
到頭
(
とうとう
)
捉えたぞ」
流血船西へ行く
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
先刻
(
さっき
)
も云った通り、巡査が一度
追掛
(
おっか
)
けたことも有ったが、
到頭
(
とうとう
)
捉
(
つかま
)
らなかった。何しろ、猿と同じように樹にも登る、山坂を平気で
駈
(
かけ
)
る、
到底
(
とても
)
人間の足では追い付かないよ。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
相模
(
さがみ
)
の海の夕焼け空も、太平洋の夕照とかわりありません。
到頭
(
とうとう
)
あなたの手紙は来なかった。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
良「やア出て来たねえ、
此方
(
こっち
)
へ来なさい、誠に萩原も飛んだことになって、
到頭
(
とうとう
)
死んだのう」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
次から次と商売替えをして、
到頭
(
とうとう
)
こんなものに落ちぶれて了った
訳
(
わけ
)
なんですが、その時もやっぱり、一つの職業を
止
(
よ
)
して、次の職業をめっける間の、つまり失業時代だったのですね。
モノグラム
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは、
軈
(
やが
)
て
又
(
また
)
それが
現
(
あら
)
はれるだらうと
豫期
(
よき
)
して、
暫
(
しばら
)
くの
間
(
あひだ
)
待
(
ま
)
つてゐました、が、それは
到頭
(
とうとう
)
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
せませんでした、
良久
(
しばらく
)
して
愛
(
あい
)
ちやんは、三
月兎
(
ぐわつうさぎ
)
が
住
(
す
)
んでると
云
(
い
)
はれた
方
(
はう
)
へ
歩
(
ある
)
いて
行
(
ゆ
)
きました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
讃之助は
到頭
(
とうとう
)
立ち上ってしまいました。あやかしを払い退けるように、双腕を振って女を戸口の方へ追いやろうとします。
葬送行進曲
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
十日ほどの
辛抱
(
しんぼう
)
ののち私は頃合いの犠牲者を
到頭
(
とうとう
)
見付けることが出来ました。これが例の細田弓之助という人物です。
三角形の恐怖
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
独逸
(
ドイツ
)
の大宰相としてビスマーク公に譲らぬところのピュロー公は、議会の反対に苦しんで、
到頭
(
とうとう
)
自分の地位を
抛
(
なげう
)
つの
已
(
や
)
むなきに至ったのであります。
平和事業の将来
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
翌朝
御託
(
おわび
)
に出て昨夜は誠に失礼
仕
(
つかまつ
)
りましたと
陳
(
の
)
べる
訳
(
わ
)
けにも行かず、
到頭
(
とうとう
)
末代
(
まつだい
)
御挨拶なしに
済
(
すん
)
で仕舞た事がある。是ればかりは生涯忘れることが出来ぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
ズウズウしい
女達
(
おんなたち
)
が
順番
(
じゅんばん
)
になった彼女を押のけてミシンを占領したりするので、
彼様
(
あん
)
な処へは
最早
(
もう
)
行くのは
嫌
(
いや
)
でござりますと云って、
到頭
(
とうとう
)
女中専門になった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
しばらくすると、あいつ
到頭
(
とうとう
)
、濡れた雑巾のようにくしゃくしゃになって死んで仕舞ったんです。その時の気持、それはなんといったら言い表わすことが出来ましょう。
自殺
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
愛犬の骨を敵に渡すのは、何だか
口惜
(
くやし
)
い
様
(
よう
)
にも思われるので、市郎は
到頭
(
とうとう
)
トムを抱えて帰った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
主「それ御覧なせえ、それだから
私
(
わし
)
があんなに止めたのに
到頭
(
とうとう
)
強情をお張りなさって」
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
一体
朝寐坊
(
あさねぼう
)
のたちで、そんなことは珍しくもなかったのですが、母親に起されても起されても、ウンウンと
空
(
そら
)
返事ばかりして、暖かい寝床を出ようともせず、
到頭
(
とうとう
)
登校時間を遅らせ
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
昨日はゆき子にも電話したのだが、これも
到頭
(
とうとう
)
こなかった。奴等は僕が秘密を嗅ぎ出したことを知っているらしい。僕は厳重に看視されている。だから秘密を握っても渡す方法がなかった。
劇団「笑う妖魔」
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「
到頭
(
とうとう
)
岡君には逢わずじまいに
発
(
た
)
って行くね」
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
“到頭”の意味
《形容動詞》
ついに。最後に。結局。
(出典:Wiktionary)
到
常用漢字
中学
部首:⼑
8画
頭
常用漢字
小2
部首:⾴
16画
“到”で始まる語句
到底
到
到着
到達
到来物
到来
到処
到著
到々
到津