トップ
>
内輪
>
うちわ
ふりがな文庫
“
内輪
(
うちわ
)” の例文
内輪
(
うちわ
)
はお前も知つての通りの火の車だから、上野の寛永寺樣に出入りの株でも賣らなければ、差迫つての千兩の工面はむづかしい。
銭形平次捕物控:176 一番札
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
基康 わしの前で
内輪
(
うちわ
)
の争いは、見るに
堪
(
た
)
えぬわい。
申
(
さる
)
の
刻
(
こく
)
までに考えを決められい。
猶予
(
ゆうよ
)
はなりませぬぞ。(退場。家来つづく)
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
やり場のない
鬱憤
(
うっぷん
)
も、気のゆるせる
内輪
(
うちわ
)
の家臣を前に、酒気を加えて洩れ始めると、口ぎたない
悪罵
(
あくば
)
にまでなって、止まるなき有様だ。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それに
華客場
(
とくいば
)
の中でも、師匠の家の
内輪
(
うちわ
)
へまで
這入
(
はい
)
っていろいろ師匠のためを思ってくれられた特別の華客先もありました中に
幕末維新懐古談:28 東雲師逝去のこと
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
そればかりでなく、
歩
(
ある
)
く
時分
(
じぶん
)
、二
本
(
ほん
)
の
短
(
みじか
)
い
足
(
あし
)
が
内輪
(
うちわ
)
に
曲
(
ま
)
がっているから、ちょうどブルドッグの
歩
(
ある
)
くときのような
姿
(
すがた
)
を
想像
(
そうぞう
)
させたのでした。
酒屋のワン公
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
琥珀
(
こはく
)
に
刺繍
(
ぬひ
)
をした白い
蝙蝠傘
(
パラソル
)
を、パツと
蓮
(
はす
)
の花を開くやうに
翳
(
かざ
)
して、
動
(
やゝ
)
もすれば
後
(
おく
)
れやうとする足をお光はせか/\と
内輪
(
うちわ
)
に引き
摺
(
ず
)
つて行つた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「立花様のほうへ、それとなく伺ってみました。添役だから、
内輪
(
うちわ
)
にして百両——だいたいそんなところだったらしい。」
元禄十三年
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
禅僧の
内輪
(
うちわ
)
の生活が次第に栄養不良になる一方の乏しいものでも、
貧農
(
ひんのう
)
の目から見れば坊主は
裕福
(
ゆうふく
)
という昔からの考えがいくらか残ってはいる。
禅僧
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
本堂の中にと消えた若い芸者の姿は再び階段の下に現れて
仁王門
(
におうもん
)
の方へと、
素足
(
すあし
)
の指先に
突掛
(
つっか
)
けた
吾妻下駄
(
あずまげた
)
を
内輪
(
うちわ
)
に軽く踏みながら歩いて行く。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
もっとゆっくり、お嬢様、
内輪
(
うちわ
)
にお歩きなさいまし。……そうら
捉
(
とら
)
まえた捉まえた。細くて白くてすべっこくて、綺麗なお手々でございますなあ
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
私ども
内輪
(
うちわ
)
でいくらやかましくいっていても、料理人たちは
上
(
うわ
)
の空でだめですから、こういう機会に、本気で聞かせようと思っているのであります。
日本料理の基礎観念
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
無論
内輪
(
うちわ
)
の催しであったが、学海翁が『読売』で劇評を発表したのでパッと評判となって、この次には是非切符を
貰
(
もら
)
いたいというものが多勢あった。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
さては
此
(
この
)
母親の言ふに言はれぬ、
世帯
(
せたい
)
の
魂胆
(
こんたん
)
もと知らぬ人の
一旦
(
いつたん
)
は
惑
(
まど
)
へど現在の
内輪
(
うちわ
)
は娘が
方
(
かた
)
よりも
立優
(
たちまさ
)
りて、
蔵
(
くら
)
をも建つべき銀行貯金の有るやに
候
(
そろ
)
。
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
やはり「お」の字のお
上
(
かみ
)
の話によれば、元来この町の
達磨茶屋
(
だるまぢゃや
)
の女は年々
夷講
(
えびすこう
)
の晩になると、客をとらずに
内輪
(
うちわ
)
ばかりで
三味線
(
しゃみせん
)
を
弾
(
ひ
)
いたり踊ったりする
温泉だより
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
会は毎月一回帝大内山上集会所で開いたが、非公開の
内輪
(
うちわ
)
の会とし、且つ会員各自の自由談論によることとして、私が指導者的地位に立つことは避けて居た。
帝大聖書研究会終講の辞
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
夜中に婆さんが目を醒した時、一匹でも足りないと、家中を呼んで歩くため、客の迷惑する事も時にはある。この婆さんから色々の客の
内輪
(
うちわ
)
の話も聞かされた。
嵐
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「貴女は
内輪
(
うちわ
)
の人だから、もう一つこれも御なぐさみにごらんにいれるかな。さあ、この写真はどうです」
什器破壊業事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
谷山家の
内輪
(
うちわ
)
でも絶対の秘密になっておりますので、御存じの無いのは御尤も千万ですが、しかし私は天地神明に誓ってもいい事実ばかりを、申上げているのです。
キチガイ地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
尤も前々から、女中どもを相手に
内輪
(
うちわ
)
でそう云う催しをしていたのであったが、それを今度は、表座敷の書院の間へ侍共を招いて、やゝ盛大に開こうと云うのである。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
言わば
内輪
(
うちわ
)
の
披露
(
ひろう
)
で、大体の輪郭に過ぎなかったが、もしこの条山神社創立の企てが諸国同門の人たちの間に知れ渡ったらどんな驚きと同情とをもって迎えられるだろう
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
尤
(
もっと
)
も
軍務
(
ぐんむ
)
多端
(
たたん
)
の
際
(
さい
)
とて、その
式
(
しき
)
は
至
(
いた
)
って
簡単
(
かんたん
)
なもので、ただ
内輪
(
うちわ
)
でお
杯事
(
さかずきごと
)
をされただけ、
間
(
ま
)
もなく
新婚
(
しんこん
)
の
花嫁様
(
はなよめさま
)
をお
連
(
つ
)
れになって
征途
(
せいと
)
に
上
(
のぼ
)
られたとのことでございました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
それは
義家
(
よしいえ
)
が
鎮守府
(
ちんじゅふ
)
将軍
(
しょうぐん
)
になって
奥州
(
おうしゅう
)
に
下
(
くだ
)
って
居
(
お
)
りますと、
清原真衡
(
きよはらのさねひら
)
、
家衡
(
いえひら
)
という
荒
(
あら
)
えびすの
兄弟
(
きょうだい
)
の
内輪
(
うちわ
)
けんかからはじまって、しまいには、
家衡
(
いえひら
)
がおじの
武衡
(
たけひら
)
を
語
(
かた
)
らって
八幡太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
故作家と生前、特に親交あり、いま、その作家を追慕するのあまり、彼の
戯
(
たわむ
)
れにものした絵集一巻、上梓して
内輪
(
うちわ
)
の友人親戚間にわけてやるなど、これはまた自ら別である。
もの思う葦:――当りまえのことを当りまえに語る。
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
いわば試験的な
施設
(
しせつ
)
だものですから、各方面のかたに大げさな御案内を出すのもどうかと思いまして、いつも
内輪
(
うちわ
)
の者だけが顔を出すことにいたしているようなわけなんです。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
「女みたいに
内輪
(
うちわ
)
に歩く奴だな」警部の独言に気づくと、成程その足跡は皆
爪先
(
つまさき
)
の方がかかとよりも内輪になっている。ガニ
股
(
また
)
の男には、こんな内輪の足癖が、よくあるものだ。
何者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
世間にこそ知れねえが、それまでにも
内輪
(
うちわ
)
では貰い娘を何か
邪慳
(
じゃけん
)
にしたこともあるだろうし、お安という娘もなかなか利巧者だから、親たちの胸のうちも大抵さとっていたらしい。
半七捕物帳:16 津の国屋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「
幸
(
さいは
)
ひに
大
(
たい
)
したことはございませんでしたけれど。」
彼女
(
かのぢよ
)
は
内輪
(
うちわ
)
に
話
(
はな
)
すのであつた。
彼女の周囲
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
内輪
(
うちわ
)
事のように言っていたので、院はみずから計画に参加あそばさなかったが、女の催しでこれほど手落ちなく事の運ばれることは珍しいほどに万事のととのったのをお知りになって
源氏物語:41 御法
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
私の
貸
(
か
)
した本を
腕
(
うで
)
一杯に抱えて、はじけそうな、
銀杏返
(
いちょうがえ
)
しを見せて振り向きもしないで、
町風
(
まちふう
)
に
内輪
(
うちわ
)
ながら
早足
(
はやあし
)
に歩いて行く後姿なんかを思いながらフイと番地を聞いて置かなかった
秋風
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
これは、旧幕時代に、将軍さまの
御声
(
おこえ
)
がかりで建てられたという由緒のある寺でありますが、明治時代になってからは、さほど
内輪
(
うちわ
)
が豊かでなくなり、かなりに荒れてきたのであります。
墓地の殺人
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
それだけがむずかしければ
内輪
(
うちわ
)
になってもかまわないんだが……
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
これはまったく
内輪
(
うちわ
)
の客あつかいといっていい。むかし、
垣一重
(
かきひとえ
)
の隣り合わせに住んでいた頃の往来も、こうだったのである。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
本堂の中にと消えた若い芸者の
姿
(
すがた
)
は再び階段の下に
現
(
あらは
)
れて
仁王門
(
にわうもん
)
の
方
(
はう
)
へと、
素足
(
すあし
)
の
指先
(
ゆびさき
)
に
突掛
(
つゝか
)
けた
吾妻下駄
(
あづまげた
)
を
内輪
(
うちわ
)
に軽く踏みながら歩いて
行
(
ゆ
)
く。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
けれどもまた坊ちゃんと見縊らなければ、彼女ももっとこちらの
内輪
(
うちわ
)
を
窺
(
うかが
)
わせていたことは確かだった。
春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ところが玄関に出てみると最初に見かけた通りの
大前髪
(
おおまえがみ
)
に水色襟、
紺生平
(
こんきびら
)
に白
小倉袴
(
こくらばかま
)
、細身の大小の
柄
(
つか
)
を
内輪
(
うちわ
)
に引寄せた若侍が、人形のようにスッキリと立っていた。
斬られたさに
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
いや、あれは
内輪
(
うちわ
)
の賞で、他流者には通用せぬと説いても、左膳はいっこうききいれない。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
御屋敷方の
内輪
(
うちわ
)
のことに、わたくしどもが首を突つ込んぢやあ惡うございますが、いつそこれはわたくしにお任せ下さいませんか。二三日のうちに
屹
(
きつ
)
と
埒
(
らち
)
をあけてお目にかけます。
半七捕物帳:01 お文の魂
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
内輪
(
うちわ
)
に見積りましても、
俄然
(
がぜん
)
元気を恢復して、居睡りのあと、仕事が
捗
(
はかど
)
りますデス。
発明小僧
(新字新仮名)
/
海野十三
、
佐野昌一
(著)
私は妻子と共に仏間へ行って、仏さまを拝んで、それから
内輪
(
うちわ
)
の客だけが集る「
常居
(
じょい
)
」という部屋へさがって、その一隅に坐った。長兄の嫂も、次兄の嫂も、笑顔を以て迎えて
呉
(
く
)
れた。
故郷
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
その夜お京は兄の部屋で、かなり遅くまで話しこみ、十二時近くなって
寝
(
しん
)
についた。お京はおとなしい性質で、日本式の娘型。
物事
(
ものごと
)
内輪
(
うちわ
)
へ内輪へとひそめ、出しゃばることをひどく嫌った。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「兄さんもこの節は彼のことばかり心配してますよ。
吾家
(
うち
)
でも、御蔭で、大分商法が盛んに成って、一頃から見ると倍も薬が売れる。この調子で行きさえすれば
内輪
(
うちわ
)
は楽なものなんですよ。他に何も心配は無い。唯、彼が……」
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
多年、乱脈な暴状をきわめていた室町幕府の
内輪
(
うちわ
)
もめがまた、自爆を
喚
(
よ
)
んで、
三好
(
みよし
)
、松永の両党が、将軍義輝を殺したのは、その年の前年六月だった。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お屋敷方の
内輪
(
うちわ
)
のことに、わたくしどもが首を突っ込んじゃあ悪うございますが、いっそこれはわたくしにお任せ下さいませんか。二、三日の内にきっと
埒
(
らち
)
をあけてお目にかけます。
半七捕物帳:01 お文の魂
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
お家騒動、
内輪
(
うちわ
)
の
揉
(
も
)
めから。邪魔な相手を片付けたさに。こうした手段を使った
実例
(
ためし
)
が。チラリチラリと残っております。ならば今では、どうかと見ますと。おなじ事じゃと云いたいなれども。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
内輪
(
うちわ
)
ではつかえるが、四角張った場合には、決してつかえない源三郎だ。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
それに始終
俯向
(
うつむき
)
加減に伏目になって、あまり口数もきかず、どこかまだ座敷馴れないような風だから、いかにも
内輪
(
うちわ
)
なおとなしい女としか思われません。長くこんな商売をしていられる身体じゃない。
あぢさゐ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「ご勅使の大原三位様のお供に
従
(
つ
)
いていらっした桂さんという人です。とても、気軽で、
吾家
(
うち
)
へは、書生時分から来ているので、まるで
内輪
(
うちわ
)
の人なんですよ」
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もし津の国屋の
内輪
(
うちわ
)
にそんな秘密が忍んでいるとすれば、その奉公人を周旋した自分の身の上にどんな係り合いが起らないとも限らないと、文字春はそれがためにまた余計な苦労を増した。
半七捕物帳:16 津の国屋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
母親の時子は徳市を深く信用したらしく真面目な
内輪
(
うちわ
)
の話を初めた。
黒白ストーリー
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
そしてこう行き過ぎた感情を
顧
(
かえり
)
みては、もう語ろうとする内容も自然
内輪
(
うちわ
)
にならざるを得なかった。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“内輪”の意味
《名詞》
内 輪(ないりん)
内側の円、円形の内側。
カーブを曲がる時に内側になる車輪。
(出典:Wiktionary)
内
常用漢字
小2
部首:⼌
4画
輪
常用漢字
小4
部首:⾞
15画
“内輪”で始まる語句
内輪揉
内輪話
内輪事
内輪咄
内輪談
内輪喧嘩