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其様
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そん
ふりがな文庫
“
其様
(
そん
)” の例文
旧字:
其樣
いや、
其様
(
そん
)
な後の事を説いて納屋衆の堺に於て如何様の者であったかを云うまでも無く、此物語の時の一昨年延徳三年の事であった。
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
主「親分、なんで
其様
(
そん
)
な足腰の立たないものをお縛りなさるのです、
私
(
わたくし
)
ア名主様へ引かれるような罪を犯した覚えはございません」
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
……「一体何処に何うしているんだろう?」と、また
暫時
(
しばら
)
く
其様
(
そん
)
なことを思い沈んでいたが、……お宮も何処かへ行って了うと、言う。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
可哀
(
かわい
)
そうに!
普通
(
なみ
)
の者なら、何ぼ何でも
其様
(
そん
)
なにされちゃ、手を
下
(
おろ
)
せた
訳合
(
わけあい
)
のもんじゃございません、——ね、
今日
(
こんにち
)
人情としましても。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
我輩が飲む間は、
交際
(
つきあ
)
はぬといふ。情ないとは思ふけれど、
其様
(
そん
)
な関係で、今では娘の顔を見に行くことも出来ないやうな仕末。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
「サア
何時
(
いつ
)
と限った事もありませんが、マア
闇
(
くら
)
い時の方が多いようですね、ツマリ
闇
(
くら
)
いから
其様
(
そん
)
な
疎匆
(
そそう
)
をするのでしょうよ」と
澄
(
すま
)
している。
画工と幽霊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
乃公は
其様
(
そん
)
な事をしたくないが、
皆
(
みんな
)
がするから仕方がない。何でも人並にしてとお母さんがくれぐれも言い含めて寄越した。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
茶を飲みながらふと見ると、壁の
貼紙
(
はりがみ
)
に、
彼岸会
(
ひがんえ
)
説教
(
せっきょう
)
、
斗満寺
(
とまむじ
)
と書いてある。斗満寺!
此処
(
ここ
)
に
其様
(
そん
)
なお寺があるのか。えゝありますと云う。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
第一中隊のシードロフという未だ
生若
(
なまわか
)
い兵が
此方
(
こッち
)
の戦線へ
紛込
(
まぎれこん
)
でいるから⦅
如何
(
どう
)
してだろう?⦆と
忙
(
せわ
)
しい中で
閃
(
ちら
)
と
其様
(
そん
)
な事を疑って見たものだ。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
「江藤さん、私は決して
其様
(
そん
)
なことは
真実
(
ほんと
)
にしないのよ。しかし皆なが
色々
(
いろん
)
なことを言っていますから
或
(
もしや
)
と思ったの。怒っちゃ
宜
(
いけ
)
ないことよ、」
二少女
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
振り返ッて見ると、四十ばかりの
商人体
(
あきんどてい
)
の男が、『
彼方
(
あなた
)
、
其様
(
そん
)
な刀の様な物を担いで通ッたら、飛んだ目に逢ひませう』
東京市騒擾中の釣
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
兼吉と云ふ男は決して
其様
(
そん
)
な性格の者ではありませぬ、石川島造船会社でも評判の職工で、酒は飲まず、
遊蕩
(
いうたう
)
などしたことなく、老母には
極
(
きは
)
めて孝行で
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
随分変った場所だから、誰でも今夜あの森林を一番奥まで探検して、果して
其様
(
そん
)
な不思議な物が落ちて居るか否か、最も正確に林中の模様を
私
(
わし
)
に報告した者をば
黄金の腕環:流星奇談
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
而
(
さう
)
して
会
(
あ
)
つた
処
(
ところ
)
は
始終
(
しゞふ
)
外
(
そと
)
で、
偶
(
たま
)
に
其下宿
(
そのげしゆく
)
へ
行
(
い
)
つたこともあつたけれど、
自分
(
じぶん
)
は
其様
(
そん
)
な
初々
(
うひ/\
)
しい
恋
(
こひ
)
に、
肌
(
はだ
)
を
汚
(
けが
)
すほど、
其時分
(
そのじぶん
)
は
大胆
(
だいたん
)
でなかつたと
云
(
い
)
ふことを
確
(
たしか
)
めた。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
其様
(
そん
)
な
小
(
けち
)
な根性だから
迚
(
とて
)
も恋は
協
(
かな
)
はねヱ。之から
些
(
ちつ
)
と
肝玉
(
きもつたま
)
を練る修行に時々吠えてやるかナ。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
七歳の時に町の小学校に入ったが
何時
(
いつ
)
も友達から
虐
(
いじ
)
められて学校から帰りには泣かされて来る。彼は決して学校で自分から喧嘩をしかけたことはない。また
其様
(
そん
)
な勇気のある子供でない。
蝋人形
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
けれども、軍隊のことについては、何にも知つちやあゐないので、赤十字の方ならば
悉
(
くわ
)
しいから、病院のことなんぞ、悉しくいつて聞かして
遣
(
や
)
つたです。が、
其様
(
そん
)
なことは役に立たない。
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「光にかぎって
其様
(
そん
)
な事はありゃしねえよ」。是は
婆
(
ばば
)
が万作を
宥
(
なだ
)
める言だ。
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
煉瓦を運ばされるやうになつてからは、番頭が
喧
(
やか
)
ましくて、もう娘の分まで働いてやれなくなつたが、其代り娘が
躓
(
つまづ
)
きはせぬか、煉瓦の
重味
(
おもみ
)
に
潰
(
つぶ
)
されはせぬかと、始終
其様
(
そん
)
な事ばかり気にしてゐた。
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
兼「人を馬鹿にするなア、
毎
(
いつ
)
でもしめえにア
其様
(
そん
)
な事だ、おやア
折
(
おり
)
を置いて行ったぜ、平清のお土産とは気が利いてる、
一杯
(
いっぺい
)
飲めるぜ」
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
……初めてお宮に会った時にもう
其様
(
そん
)
なことが胸に浮んでいた。それが今、長田の言うのを聞けば、長田は知っていなかった。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
『あゝ、
伝染
(
うつ
)
りはすまいか。』どうかすると
其様
(
そん
)
なことを考へて、先輩の病気を恐しく思ふことも有る。幾度か丑松は自分で自分を
嘲
(
あざけ
)
つた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
私は自然だ人生だと口には言っていたけれど、唯書物で
其様
(
そん
)
な言葉を覚えただけで、意味が
能
(
よ
)
く分っているのではなかった。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
如何にも
其様
(
そん
)
な悪びれた小汚い物を暫時にせよ
被
(
き
)
ていたのが
癇
(
かん
)
に触るので、其物に感謝の代りに怒喝を加えて
抛
(
なげ
)
棄
(
す
)
てて気を
宜
(
よ
)
くしたのであろう。
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
いやいや
如何
(
どう
)
考えてみても
其様
(
そん
)
な筈がない。味方は何処へ往ったのでもない。此処に居るに相違ない、敵を
逐払
(
おいはら
)
って此処を守っているに相違ない。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
其様
(
そん
)
な
騒
(
さわ
)
ぎも何時しか下火になって、暑い/\と云う下から、ある日
秋蝉
(
つくつくぼうし
)
がせわしく鳴きそめる。武蔵野の秋が立つ。早稲が穂を出す。
尾花
(
おばな
)
が出て
覗
(
のぞ
)
く。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「女の仕事はどうせ
其様
(
そん
)
なものですわ、」とお富も「おほほほほ」と笑ッた。そしてお秀は何とも云い
難
(
にく
)
い、嬉しいような、哀れなような、頼もしいような心持がした。
二少女
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「
其様
(
そん
)
なに隠さずとも好いだろう、相見互だもの、
己等
(
おいら
)
の付合も為てくれたって、好さそうなもんだ」など、嫌味を言って、
強請
(
ゆすり
)
がましいことを、愚図々々言ってますのです。
大利根の大物釣
(新字新仮名)
/
石井研堂
(著)
何時の間に
貴女
(
あなた
)
は
其様
(
そん
)
な弱き心にお
化
(
な
)
りでした、——先夜始めて新聞社の二階で御面会致した時、貴女と同じ不幸に
陥
(
おちい
)
つてる
女
(
ひと
)
、又陥りかけてる女が何千何万とも
限
(
かぎり
)
ないのであるから
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
この室にゐるものは、皆な君の所置ぶりに
慊焉
(
けんえん
)
たらざるものがあるから、将校方は黙許なされても、
其様
(
そん
)
な国賊は、
屹
(
きっ
)
と談じて、懲戒を加ゆるために、おのおの決する処があるぞ。
可
(
いい
)
か。
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「それで
何日
(
いつ
)
頃から
其様
(
そん
)
な事が
始
(
はじま
)
ったのですね」と問えば、番人は小首をかたげて、「サア
何日
(
いつ
)
頃からか知りませんが、何でも
其
(
そ
)
の若様が窓から
墜
(
お
)
ちて
死
(
しん
)
だ
後
(
のち
)
、その
阿母
(
おふくろ
)
様もブラブラ
病
(
やまい
)
で、 ...
画工と幽霊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
まだ、家が立ち腐れになっている時分、この空家の中でも、いろんな者が集って来て博打をするなどという噂もあったが、この家が取り壊されてしまうと共に
其様
(
そん
)
な噂も影さえなくなってしまった。
凍える女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
静かに歩んで
彼
(
か
)
の青い光の
直
(
す
)
ぐ側に行って見ると、更に意外である、幽霊火と見えたのは
其様
(
そん
)
な恐ろしい物では無く、一個の青色球燈が
樹
(
き
)
の枝に
吊
(
つる
)
してあり、其真下の地面には、青い光に照されて
黄金の腕環:流星奇談
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
永「何うもこれは思いがけないことを言って、まアそんな事を言って何うもどゞ何ういう理窟で
其様
(
そん
)
な事を云うか……のう惠梅様」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
『あれ、
少許
(
ちつと
)
も
其様
(
そん
)
な話は聞きやせんでしたよ。そんなら
聟
(
むこ
)
さんが出来やしたかいなあ——長いこと
彼処
(
あすこ
)
の家の娘も
独身
(
ひとり
)
で居りやしたつけ。』
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
……けれど、まあ
其様
(
そん
)
な根掘り葉掘り聞く必要はないわねえ。……で、
一昨日
(
おととい
)
は何うして此処に来ていることが分ったの?
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
いや
其様
(
そん
)
なことを云うまでもなく、
釈迦
(
しゃか
)
にさえも娑婆
往来
(
おうらい
)
八千返
(
はっせんぺん
)
の
談
(
はなし
)
があって、
梵網経
(
ぼんもうきょう
)
だか何だったかに明示されている。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
其様
(
そん
)
な時には例の無邪気で、うッかり
側
(
そば
)
へ行って一緒に首を突込もうとする。無論先の犬は、馳走になっている身分を忘れて、
大
(
おおい
)
に
怒
(
いか
)
って叱付ける。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
探がし探がして探がし得ず、がっかりした
容子
(
ようす
)
は、主人の眼にも
笑止
(
しょうし
)
に見えた。
其様
(
そん
)
な事で弱って居る
矢先
(
やさき
)
、自動車に
轢
(
ひ
)
かるゝ様なことになったのだろう。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
漁『
其様
(
そん
)
なわけでないのだから、決して悪く思って呉れては困るよ。僕は、今夜はよす。』
大利根の大物釣
(新字新仮名)
/
石井研堂
(著)
何処を押せば
其様
(
そん
)
な
音
(
ね
)
が出る? ヤレ愛国だの、ソレ国難に殉ずるのという口の下から、
如何
(
どう
)
して
彼様
(
あん
)
な
毒口
(
どくぐち
)
が云えた? あいらの眼で観ても、おれは即ち愛国家ではないか
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
何
(
どう
)
して
私
(
わたし
)
が
其様
(
そん
)
なものへ娘を
遣
(
や
)
ることが出来ませう——其れで坑夫共の生活を
支
(
さゝ
)
へる為めに
亜米利加
(
アメリカ
)
の社会党から運動費を取り寄せる手筈をする、其ればかりでは駄目ぢやと申すので
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
祖母さんに、どんな事が有ッても
其様
(
そん
)
な真似は私はしない、私のやれる丈けやって妹と弟の行末を見届けるから心配して下さるなと言切って其時あんまり口惜かったから泣きましたのよ。
二少女
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
脚色
(
すぢ
)
だけ話をするとなると、こんな煩さい事はないのですから、自分もまた
其様
(
そん
)
な物を読むと云ふ智慧はない時分で、始終絵ばかりを見て居たものですから、
薄葉
(
うすえふ
)
を買つて貰つて、口絵だの
いろ扱ひ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
市「知りません、
其様
(
そん
)
な事どうして、只の字せえ知らねえで習わねえに英語なぞ
何
(
な
)
に知る訳がねえ、それは
外国人
(
げえこくじん
)
のいうことだ」
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
御武家には人質を取るとか申して、約束
変改
(
へんがい
)
を防ぐ道があると承わり居りまするが、
其様
(
そん
)
なことを致すようでは、商人の道は一日も立たぬのでござりまする。
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
あいつに一つ
衝突
(
つきあた
)
らないやうに、
其様
(
そん
)
なことを思ふだけサ……第一、河に近いのが何よりだ。
出発
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
『随分お好きの方が多いですが、
其様
(
そん
)
なに面白いものでせうか。』と
元日の釣
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
新「
何
(
ど
)
うも、な
何
(
なん
)
だってそれは、何うも、エおい
兄
(
あんに
)
い外の事と違って大恩人だもの、何ういう訳で思い
違
(
ちげ
)
えて
其様
(
そん
)
な事を、え、おい
兄
(
あんに
)
い」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ところが、それで何時迄も済めば
其様
(
そん
)
な好いことは無いが、花に百日の紅無し、玉樹亦
凋傷
(
ちょうしょう
)
するは、人生のきまり相場で、造物
豈
(
あに
)
独り此人を憐まんやであった。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
其
漢検準1級
部首:⼋
8画
様
常用漢字
小3
部首:⽊
14画
“其様”で始まる語句
其様事