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鹿爪
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しかつめ
ふりがな文庫
“
鹿爪
(
しかつめ
)” の例文
彼は
鹿爪
(
しかつめ
)
らしく左の
拳
(
こぶし
)
を
膝
(
ひざ
)
につき、腕を直角にまげ、首飾りを解き、腰掛けにどっかとまたがり、なみなみとついだ杯を右手に持ち
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
君等
(
きみら
)
みたいな高等常識を持った記者諸君に「海上の迷信」なんて
鹿爪
(
しかつめ
)
らしい、学者振った話なんか出来る柄じゃ、むろんないんだ。
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
世の中はなるべく
鹿爪
(
しかつめ
)
らしく儀式張ったり騒ぎ廻ってくれる方が、見ていて大変に変化あり、かつ面白く、景気もいいようである。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
当人に云わせると、学問しただけに、
鹿爪
(
しかつめ
)
らしい
理窟
(
りくつ
)
を
何
(
なん
)
が
条
(
じょう
)
も並べるけれども。つまり過去と現在の中間を結びつけて安心したいのさ。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
芸術の鑑賞と批評——などと
鹿爪
(
しかつめ
)
らしく言うのも
烏滸
(
おこ
)
がましいが、優れたる探偵小説なるものは誰が読んでも面白いものでなくてはならない。
「二銭銅貨」を読む
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
▼ もっと見る
お得意さきのお
鍋
(
なべ
)
どんに、
鹿爪
(
しかつめ
)
らしく腕組して、こんこんと説き聞かせているふうの情景が、眼前に浮んで来たからである。
思案の敗北
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
わたしは、そうそう子供と見てもらいますまいという意気ごみで、できるだけ
磊落
(
らいらく
)
な、しかも
鹿爪
(
しかつめ
)
らしい顔つきになって、こう言ってやった。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
「坐右」の語は僧に対する多少の尊敬を表し、「
売卜
(
ばいぼく
)
先生」と言へば「
卜屋算
(
うらやさん
)
」と言ひしよりも
鹿爪
(
しかつめ
)
らしく聞えて善く「訪はれ顔」に響けり。
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
『あんな
鹿爪
(
しかつめ
)
らしい
顔
(
かお
)
をしているくせに、その
心
(
こころ
)
の
中
(
なか
)
は
何
(
なん
)
という
可愛
(
かわい
)
いものであろう! これなら
神様
(
かみさま
)
のお
使者
(
つかい
)
としてお
役
(
やく
)
に
立
(
た
)
つ
筈
(
はず
)
じゃ……。』
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「だつて、急に起居振舞が少笠原流になつたり、膝つ小僧がハミ出してる
癖
(
くせ
)
に、日本一の
鹿爪
(
しかつめ
)
らしい顏をしたり、お前餘程あわてて居るんだらう」
銭形平次捕物控:139 父の遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
この
御方
(
おかた
)
は中津の
御家中
(
ごかちゅう
)
、中村何様の若旦那で、自分は始終そのお屋敷に
出入
(
でいり
)
して決して
間違
(
まちがい
)
なき
御方
(
おんかた
)
だから厚く頼むと
鹿爪
(
しかつめ
)
らしき手紙の文句で
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
と、それまで
鹿爪
(
しかつめ
)
らしい表情をくづさずにゐた仲買の富田が、突然半畳を入れた。どつと立つた笑ひ声で、聞きとれなかつた者までがふき出した。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
それから、主人側と来客が
鹿爪
(
しかつめ
)
らしい声、よそゆきの口調を出しておたがいに、おテンタラの交換をするのであります。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
巫女は
鹿爪
(
しかつめ
)
らしく、お前が今日わしに逢うたのはせめてもの
幸
(
さいわい
)
だ、ここ二三日遅れたらもう取り返しがつかなかった。
さまよう町のさまよう家のさまよう人々
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その間を
鹿爪
(
しかつめ
)
らしく歩んで城から遠からぬ林中に入り、神足を修せんとしたが、鳥が鳴き騒いで仙人修行し得ず。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
急いでそれ相応の防禦の道を講じなくてはなるまいと、コン吉が、まずそれとなく
鹿爪
(
しかつめ
)
らしい咳ばらいをし、さて、おもむろに舌を動かそうとしたとたん。
ノンシャラン道中記:01 八人の小悪魔
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
梓の羽織の袖に、
髷
(
まげ
)
の
摺合
(
すれあ
)
うばかり
附着
(
くッつ
)
いて
横坐
(
よこずわり
)
になったが、
鹿爪
(
しかつめ
)
らしく膝に手を置き、近々と顔を差寄せて
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その隆夫が、なんだって朝っぱらからやってきて、この
鹿爪
(
しかつめ
)
らしい口のききかたをするのか、それは隆夫が三木をからかっているのだとしか考えられなかった。
霊魂第十号の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
小藤次にとって、士分になったのは、勿論、得意ではあったが、岡田利武という
鹿爪
(
しかつめ
)
らしさは、自分でも
可笑
(
おか
)
しかった。そして、自分では、可笑しかったが、人から
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
人よ、これを単に他愛もなき坐談の一節なりとて、軽々に看過する
勿
(
なか
)
れ。尊とむべき教訓は、
豈
(
あに
)
かの厳たる白堊校堂裡、
鹿爪
(
しかつめ
)
らしき八字
髯
(
ぜん
)
の下よりのみ出づる者ならむや。
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
岡田式静坐法の姿勢を崩さないで、哲学者然と構え込んでいた南日君も、堪らなくなったと見えて、
鹿爪
(
しかつめ
)
らしい顔を窓の外へ出しながら、斯う言って仔細らしく首を捻った。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
その骨が艶麗の美女となって礼に来て
喋々喃々
(
ちょうちょうなんなん
)
、おおいに壁一重隣の八さんを悩ますあの老人であるが、わがE師もまた、日頃、とにかく
鹿爪
(
しかつめ
)
らしいことを並べ立てながら
艶色落語講談鑑賞
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
すると、群衆の中に交じって、それとなく弥次っていた愚連隊の中から、神学生の今村がつかつかとそこへ出て来て、
鹿爪
(
しかつめ
)
らしく仲裁した。彼女は今村と何か
目交
(
めくば
)
せをして
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
フランボーは
鹿爪
(
しかつめ
)
らしい顔をもたげた。そして黒い眼をこの友人の上にジッと
据
(
す
)
えた。
作男・ゴーの名誉
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
兄弟分が御世話になりますからとの口上を述べに何某が
鹿爪
(
しかつめ
)
らしい顔で長屋を廻ったりした。すると長屋一同から返礼に、大皿に寿司を
遣
(
よこ
)
した。
唐紙
(
とうし
)
を買って来て寄せ書きをやる。
深川の散歩
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
実際それが久保田氏の仕業であったかどうかは判らないが、ともかくもそれを掲載した雑誌の編集者たる責任上、同氏から
鹿爪
(
しかつめ
)
らしい謝罪状を提出して事済みになったそうである。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
老人は娘のいる窓や店の者に向って、始めのうちは
頻
(
しき
)
りに世間の不況、自分の職業の彫金の需要されないことなどを
鹿爪
(
しかつめ
)
らしく述べ、従って勘定も払えなかった言訳を
吃々
(
きつきつ
)
と述べる。
家霊
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
彼は折々突然に開き直って、いとも
鹿爪
(
しかつめ
)
らしく
唸
(
うな
)
り出すと
大業
(
おおぎょう
)
な
見得
(
みえ
)
を切って斜めの虚空を
睨
(
ね
)
め尽したが、おそらくその様子は誰の眼にも空々しく「法螺忠」と映るに違いないのだ。
鬼涙村
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
これに限ったことではないが、いわゆる理科教育が妙な型にはいって分りやすいことをわざわざ分りにくく、面白いことをわざわざ
鹿爪
(
しかつめ
)
らしく教えているのではないかという気がする。
颱風雑俎
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
江戸以来の矢場、明治時代にも馬喰町の郡代、芝の神明前、浅草の奥山等に名残りを止めて楊弓店営業と
鹿爪
(
しかつめ
)
らしい看板、化生の女が下町の若衆相手に艶めかしい空気を漂わせたものだ。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
兼ねての打ち合わせだが、
鹿爪
(
しかつめ
)
らしく近藤君を呼んで、
扨
(
さ
)
て相談にとりかかる。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
そこで私は、河田さんから
貰
(
もら
)
った金を、恩返しだの何だのと
鹿爪
(
しかつめ
)
らしいことを言わずに、ただ彼に、少し落ち着いて勉強のできるようにと、すっかりそのまま、伊藤にやりたいと思った。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
忽
(
たちま
)
ち一
杯
(
ぱい
)
を
干
(
ほ
)
して
獻酬
(
とりやり
)
が
始
(
はじ
)
まつた。
注
(
つ
)
がれるものは
茶碗
(
ちやわん
)
の
手
(
て
)
を
擧
(
あ
)
げて
相手
(
あひて
)
が
持
(
もつ
)
てる
徳利
(
とくり
)
の
口
(
くち
)
へ
手
(
て
)
を
掛
(
か
)
けて
酒
(
さけ
)
の
滾
(
こぼ
)
れるのを
防
(
ふせ
)
いだ。
酒
(
さけ
)
が
始
(
はじ
)
まつてから
皆
(
みな
)
が
妙
(
めう
)
に
鹿爪
(
しかつめ
)
らしく
居
(
ゐ
)
ずまひを
改
(
あらた
)
めた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
さて組合の
禿頭
(
はげあたま
)
のトムソンが赤つちやけたる
鹿爪
(
しかつめ
)
らしき
古外套
(
ふるぐわいたう
)
ををかしがり
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
鹿爪
(
しかつめ
)
らしい顔して、講座でもやられると、成程えらいもんじゃと思うが、昔木綿衣の
裳
(
も
)
を引っからげて、藁ですげた下駄をはき、網代笠をかぶって、門前へ饅頭買いに行かれたときを思うと
鹿山庵居
(新字新仮名)
/
鈴木大拙
(著)
そこの校長は自分が一度も少年の時期を
潜
(
くぐ
)
りぬけた経験を持たぬような
鹿爪
(
しかつめ
)
らしい顔をして、君主の恩、父母の恩、先生の恩、境遇の恩、この四恩の尊さ
難有
(
ありがた
)
さを繰返し繰返し説いて聞かせた。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
二人がいくら話をしようと、少しもその声は他へ聞こえなかった。ベービの陽気な顔と動いてるその
唇
(
くちびる
)
とが見えていた。ザーミの
鹿爪
(
しかつめ
)
らしい大きな口は少しも開かずに、苦笑の
皺
(
しわ
)
を寄せていた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
たとえば
無骨
(
ぶこつ
)
一偏の人と思った者にして、案外にも美音を発して
追分
(
おいわけ
)
を
唄
(
うた
)
う、これも一つの表裏ではあるまいか。また
髯
(
ひげ
)
もやもやの
鹿爪
(
しかつめ
)
らしき
爺
(
おやじ
)
が娘の結婚の席上で舞を舞いて
祝
(
いわ
)
うことがある。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
ヘッケルの進化論というのは、
正
(
まさ
)
しく私たちが小学校で聞かされた話を、少し
鹿爪
(
しかつめ
)
らしくしたようなものであった。そしてその最後のところは、物質と勢力との一元論に
落著
(
おちつ
)
くというのであった。
簪を挿した蛇
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
丸井玉吾は
鹿爪
(
しかつめ
)
らしく首傾け「成程——花ちやん
何
(
どう
)
でげすな」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
鹿爪
(
しかつめ
)
らしく袴なんぞ履きゃアがって、なんて恰好だい。
曲亭馬琴
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
伊庭は
鹿爪
(
しかつめ
)
らしく、外国煙草をふかしながら
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
なんかと
鹿爪
(
しかつめ
)
らしく並べ立てていたのだ。
寛永相合傘
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
すると先生は
鹿爪
(
しかつめ
)
らしく
空中征服
(新字新仮名)
/
賀川豊彦
(著)
「座右」の語は僧に対する多少の尊敬を表わし、「
売卜先生
(
ばいぼくせんせい
)
」と言えば「
卜屋算
(
うらやさん
)
」と言いしよりも
鹿爪
(
しかつめ
)
らしく聞えてよく「訪はれ顔」に響けり。
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
「じゃ、
鹿爪
(
しかつめ
)
らしく云い出すのも何だか妙だから、そのうち
機会
(
おり
)
があったら、聞くとしよう。なにそのうち聞いて見る
機会
(
おり
)
がきっと出て来るよ」
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あまり
鹿爪
(
しかつめ
)
らしい態度をせずに打ちくつろいで訊問したほうが効果の多いことを知り、これを大訊問と称してこれまでしばしば行ってきたのである。
五階の窓:06 合作の六(終局)
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
「だって、急に
起居振舞
(
たちいふるまい
)
が小笠原流になったり、
膝
(
ひざ
)
っ小僧がハミ出してるくせに、日本一の
鹿爪
(
しかつめ
)
らしい顔をしたり、お前よほどあわてているんだろう」
銭形平次捕物控:139 父の遺書
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その芝居たるや、役者は
悉
(
ことごと
)
く
羽織袴
(
はおりはかま
)
、もしくはフロックコートで、
科白
(
せりふ
)
が又初めからしまいまで、漢語に片仮名まじりの
鹿爪
(
しかつめ
)
らしい言葉ばかりである。
街頭から見た新東京の裏面
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
自分ではその氏も素性も知れない女を可愛がって勝手な真似をしながら、人の縁談に
鹿爪
(
しかつめ
)
らしいことを言って故障を入れる、その心が憎らしいではないか。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
鹿
常用漢字
小4
部首:⿅
11画
爪
常用漢字
中学
部首:⽖
4画
“鹿”で始まる語句
鹿
鹿島
鹿毛
鹿角
鹿鳴館
鹿垣
鹿子
鹿沼
鹿島灘
鹿砦