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饗応
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きょうおう
ふりがな文庫
“
饗応
(
きょうおう
)” の例文
旧字:
饗應
また、そのような私の遊びの相手になって、私の
饗応
(
きょうおう
)
を受ける知人たちも、ただはらはらするばかりで、少しも楽しくない様子である。
父
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
饗応
(
きょうおう
)
したり、座敷のお取りもちをする者もはかばかしい者がいないであろう、中将は今日はお客側のお供で来ていられるだろうから
源氏物語:29 行幸
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
改って、簡単な
饗応
(
きょうおう
)
の挨拶をした。まろうどに、早く酒を献じなさい、と言っている間に、美しい
采女
(
うねめ
)
が、盃を額より高く捧げて出た。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
あまりの寒気にさすがの酔もさめはて
難渋
(
なんじゅう
)
の折柄、幸いにも貴下の御呼止にあずかり、御心尽しの御
饗応
(
きょうおう
)
に蘇生の想いを致し候。
流転
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
美貌
(
びぼう
)
の直助は美貌の客をたちまち
贔屓
(
ひいき
)
にした。若い画家が訪ねて来ると、「えへん/\」とうれしさうに笑ひながら、
饗応
(
きょうおう
)
の手伝をした。
川
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
私が始めて三浦の細君に会ったのは、京城から帰って間もなく、彼の
大川端
(
おおかわばた
)
の屋敷へ招かれて、一夕の
饗応
(
きょうおう
)
に預った時の事です。
開化の良人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
妾は近くから珍らしい料理を狩りあつめて貞雄を
饗応
(
きょうおう
)
しながら、この機会に妾の悩みを打ちあけて、力になって貰おうと思った。
三人の双生児
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
型どおりの
饗応
(
きょうおう
)
のあとは、例の、茶である。秀吉が茶をたて、
千宗易
(
せんのそうえき
)
と、もひとり、妙な男がいて、晴季を主客に、もてなした。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかも後日に至って知るところでは、これらの
饗応
(
きょうおう
)
もあながちに我々賓客を慰めんがための、特別の接待でもないのであった。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
実はわたしは疲れていたんです。葬儀、
冥福祈祷
(
めいふくきとう
)
、それからミサ、
饗応
(
きょうおう
)
と続いたあげく、やっと一人になって、書斎でシガーを
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
季節はいつでもよいが、夏など口の
不味
(
まず
)
い時に、これを
饗応
(
きょうおう
)
すれば、たいていの口の
著
(
おご
)
った人でも文句はいわないだろう。
車蝦の茶漬け
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
明治二十年代の片田舎での出来事として考えるときに、この杏仁水の
饗応
(
きょうおう
)
がはなはだオリジナルであり、ハイカラな現象であったような気がする。
さまよえるユダヤ人の手記より
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
しかしデビーは下僕の仕事もしているのだからというて断った。しかしリーブは再三申し出して、とにかく別室でファラデーを
饗応
(
きょうおう
)
することにした。
ファラデーの伝:電気学の泰斗
(新字新仮名)
/
愛知敬一
(著)
出世したさに上役へ
賄賂
(
わいろ
)
を贈り
饗応
(
きょうおう
)
をする、しかもそれが他人から借りた金だし、その金のために婚約をしながら、うまくおれを
煽
(
おだ
)
てて娘を押付け
恋の伝七郎
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
五百なぞも屋敷住いをして、役人に物を献じ、
傍輩
(
ほうばい
)
に
饗応
(
きょうおう
)
し、衣服調度を
調
(
ととの
)
え、
下女
(
げじょ
)
を使って暮すには、父忠兵衛は
年
(
とし
)
に四百両を費したそうである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
関氏は
何時
(
いつ
)
も彼女の家を絶えずおとずれる訪客の一人であって、いつも彼女に
饗応
(
きょうおう
)
をうける側の人であったので、こういう時こそと、自らが主人気取りで
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
そこにある強い充実の味と人間らしさとは私を
牽
(
ひ
)
きつけるに十分である。この
饗応
(
きょうおう
)
は私を存分に飽き足らせる。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
少くとも私は、人から
饗応
(
きょうおう
)
を受ける場合、食物と一緒に相手方の感情を味うことを免れ得ない人間である。
御萩と七種粥
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
まんとは
我儘
(
わがまま
)
である。氏郷政宗二人の様子を
饗応
(
きょうおう
)
掛りの者の眼から見たところを写して居るのである。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
で、その祝賀のために来たところの人々にはこっちでも茶、酒、米飯、肉等いろいろの
饗応
(
きょうおう
)
をします。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
ことによると、マタ・アリの手から、この「サキ」の
饗応
(
きょうおう
)
を受けた日本の大官もあるかもしれない。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
松の間の廊下で、上野介はその日の
饗応
(
きょうおう
)
役、浅野
内匠頭
(
たくみのかみ
)
から、だしぬけに斬りつけられたのである。
本所松坂町
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
その後お邸では、年二回位家中の家族を呼んで
饗応
(
きょうおう
)
せられるので、向島中の芸者が接待に出ました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
本膳
(
ほんぜん
)
を出さぬほどの手がるな
饗応
(
きょうおう
)
を、お茶というところは
田舎
(
いなか
)
には多く、ことに九州などでは婚礼の前後にもお茶、また
仏事
(
ぶつじ
)
の日にもお茶といって人をまねいている。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
それが云いたいばっかりに彼は馬を
饗応
(
きょうおう
)
し、イシカリまでの同行を思い立ったのかも知れない。官の威を示す言葉とも見えれば、協力をもとめる切なる望みとも聞える。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
われわれは、手のつけようのない無知のために、この
造作
(
ぞうさ
)
のない礼儀を尽くすことをいとう。こうして、眼前に広げられた美の
饗応
(
きょうおう
)
にもあずからないことがしばしばある。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
君をば
満緑
(
まんりょく
)
叢中
(
そうちゅう
)
紅一点
(
こういってん
)
ともいいつべく、男子に交りての抜群の働きは、この事件中特筆大書すべき価値ありとて、妾をして
卓子
(
テーブル
)
の上に座せしめ、
其処
(
そこ
)
にて種々の
饗応
(
きょうおう
)
あり。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
ちょうど
時分時
(
じぶんどき
)
なので、アラスカへ誘う気なのだと察した貞之助は、今日も
亦
(
また
)
饗応
(
きょうおう
)
にあずかることは重ね重ねで心苦しいけれども、この機会に娘と親しんで見たくもあり
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
白雲は少しも辞退せずに、お角の
饗応
(
きょうおう
)
を受けて、よく飲み、よく食い、よく語りました。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
而
(
しこう
)
してその
無聊
(
ぶりょう
)
に堪えざるや、書を獄外に飛して同志を鼓舞し、あるいは金を父兄に募りて、獄中の仲間を
饗応
(
きょうおう
)
し、あるいは書を
鈔
(
しょう
)
し、あるいは文を草し、あるいは
詩歌
(
しいか
)
を詠じ
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
大隈伯爵家の
如
(
ごと
)
きは有名なる花壇室内に食卓を設けて西洋人を
饗応
(
きょうおう
)
せられる事がある。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
夫の留守中何事も
懈
(
おこた
)
りがちなりければ、裏の
圃
(
はたけ
)
に
大葱
(
おおねぎ
)
の三四茎日に蒸されて
萎
(
な
)
えたるほか、
饗応
(
きょうおう
)
すべきものとては二葉ばかりの
菜蔬
(
さいそ
)
もなかりき、法事をせずば仏にも近所にも済まず
空家
(新字新仮名)
/
宮崎湖処子
(著)
さて、午過ぎからは、
家中
(
いえじゅう
)
大酒盛
(
おおさかもり
)
をやる事になったが、
生憎
(
あいにく
)
とこの大雪で、魚屋は
河岸
(
かし
)
の仕出しが出来なかったと云う処から、父は
家
(
うち
)
の
雞
(
とり
)
を殺して、出入の者共を
饗応
(
きょうおう
)
する事にした。
狐
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
かかる
饗応
(
きょうおう
)
の前で
妄
(
みだ
)
りに食うものでないと言い聞かされ、
男
(
だん
)
は
定
(
さだ
)
めし岩倉公の
御不興
(
ごふきょう
)
を受けたであろうと思いしが、翌日にいたり
公
(
こう
)
より
昨日
(
さくじつ
)
来た青年は菓子が
嗜
(
すき
)
だと見えるというて
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
その内に始まった
饗応
(
きょうおう
)
の演芸が、いかにも亜米利加三界まで流れてきたという感じの
浪花節
(
なにわぶし
)
で、
虎髭
(
とらひげ
)
を
生
(
はや
)
した語り手が苦しそうに見えるまで面を
歪
(
ゆが
)
めて水戸黄門様の声を
絞
(
しぼ
)
りだすのに
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
ペートルスボルグ滞在中は日本使節一行の
為
(
た
)
めに特に官舎を
貸渡
(
かしわた
)
して、接待委員と
云
(
い
)
う者が四、五人あってその官舎に
詰切
(
つめき
)
りで、いろ/\
饗応
(
きょうおう
)
するその饗応の
仕方
(
しかた
)
と云うは
頗
(
すこぶ
)
る手厚く
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
賢三郎
(
けんざぶろう
)
は養父のその計画を、
秘
(
ひそ
)
かに笑っていた。いまの時代の空気の中に息づいている職工たちがお花見ぐらいの
饗応
(
きょうおう
)
で、決してその要求を
枉
(
ま
)
げるものでないことを彼は知っているのだった。
仮装観桜会
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
一年
(
ひととせ
)
、比野大納言、まだお
年若
(
としわか
)
で、京都
御名代
(
ごみょうだい
)
として、日光の
社参
(
しゃさん
)
に
下
(
くだ
)
られたを
饗応
(
きょうおう
)
して、
帰洛
(
きらく
)
を品川へ送るのに、
資治
(
やすはる
)
卿の
装束
(
しょうぞく
)
が、
藤色
(
ふじいろ
)
なる
水干
(
すいかん
)
の
裾
(
すそ
)
を
曳
(
ひ
)
き、
群鵆
(
むらちどり
)
を白く
染出
(
そめい
)
だせる
浮紋
(
うきもん
)
で
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
たかが夕食の
饗応
(
きょうおう
)
というなかれ。それはイエスのこんこんたる愛の湧出でありました。夕食のパンという小さい事柄に関して湧き出たのでありますが、はからざる大湖を
湛
(
たた
)
えたのであります。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
なんとも答えずに伝六のてのひらの上からあずき粒ほどの大黒をつまみあげると、自分の目の前になみなみとつがれてあった
饗応
(
きょうおう
)
の薄茶の中へ、容赦なくぼちょりとそれを落としこんだのです。
右門捕物帖:04 青眉の女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
酒よ
肴
(
さかな
)
と善美を尽くした
饗応
(
きょうおう
)
の数々、座に連なる人々は
鄙
(
ひな
)
にはまれなる気高き男女、往診料とて紙に包みし謝礼を納めて帰りしは、遠寺の鐘の音、余韻を引いてさびしく響く一時ごろであった。
おばけの正体
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
昼は思いがけなく
府尹
(
ふいん
)
である未知の増田道義氏から
饗応
(
きょうおう
)
を受けた。これも不思議な縁であった。柳の朝鮮に関する著書が仲立ちであった。私たちは旧知の友の如く、心おきなくお互に語り合った。
全羅紀行
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
さすがに広き玄関前もところせきまでつらなりたり。こは篠原子爵が宮崎一郎の
媒
(
なかだち
)
にて。松島秀子と新婚の祝宴を開くなり。故子爵が世にあらば鹿鳴館などにて西洋風の
饗応
(
きょうおう
)
をひらかるべきなれど。
藪の鶯
(新字新仮名)
/
三宅花圃
(著)
形は違うけれど、やっぱり今夜と同じ晩餐の
饗応
(
きょうおう
)
である。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
土人独特の料理を
饗応
(
きょうおう
)
されたこともあった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
饗応
(
きょうおう
)
の宴は食堂に設けられていた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
宣教師
(
バテレン
)
たちはまた、自分らが貴重としている自国の茶や煙草などを出して、この大賓に
饗応
(
きょうおう
)
したが、信長は手にもふれないで
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
欠点もあるが住みついたならきっとよくなるであろうと明石の人々は思った。源氏は親しい
家司
(
けいし
)
に命じて到着の日の一行の
饗応
(
きょうおう
)
をさせたのであった。
源氏物語:18 松風
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
暫く城中の客になるようにといわれ、連日にわたって
豪奢
(
ごうしゃ
)
な
饗応
(
きょうおう
)
を受けた。大豪傑は(首をくれずに)逃亡した、杢助は金沢城を救ったのであった。
似而非物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
何某
(
なにぼう
)
の講談は塩原多助一代記の一節で、その
跡
(
あと
)
に時代な好みの
紅葉狩
(
もみじがり
)
と世話に
賑
(
にぎ
)
やかな日本一と、ここの女中達の踊が二組あった。それから
饗応
(
きょうおう
)
があった。
里芋の芽と不動の目
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
“饗応”の意味
《名詞》
酒食などを提供してもてなすこと。
(出典:Wiktionary)
饗
漢検準1級
部首:⾷
22画
応
常用漢字
小5
部首:⼼
7画
“饗応”で始まる語句
饗応役
饗応奉行
饗応振