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頭髪
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かみのけ
ふりがな文庫
“
頭髪
(
かみのけ
)” の例文
旧字:
頭髮
穴掘り男は
頭髪
(
かみのけ
)
まで赤土だらけにしながら、「どうも水が多くって、かい出してもかい出しても出て来るので、困ったちゃねえだ!」
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
見たという人の話によると、鳥の巣のような
頭髪
(
かみのけ
)
を
束
(
つか
)
ねて、顔色は青白くて血の気のない唇は、寒さのためにうす紫色をしていた。
凍える女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
それは森の大入道の尨毛の頭に生えた髪の毛だ。その首の
下部
(
した
)
には
頤鬚
(
あごひげ
)
が水に洗はれてをり、
頤鬚
(
あごひげ
)
の下も、
頭髪
(
かみのけ
)
の上も高い青空だ。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:03 怖ろしき復讐
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
阿呆陀羅経のとなりには
塵埃
(
ほこり
)
で灰色になった
頭髪
(
かみのけ
)
をぼうぼう
生
(
はや
)
した盲目の男が、
三味線
(
しゃみせん
)
を抱えて小さく身をかがめながら
蹲踞
(
しゃが
)
んでいた。
深川の唄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「さァ——」横瀬は、モシャモシャ
頭髪
(
かみのけ
)
を、指でゴシゴシ
掻
(
か
)
いた。「注射器は判るが、
尖端
(
さき
)
についている針が無いから、
見当
(
けんとう
)
がつかねえ」
夜泣き鉄骨
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
そこには、押入れの中には、あの死んだ遠藤の首が、
頭髪
(
かみのけ
)
をふり乱して、薄暗い天井から、さかさまに、ぶら下っていたのです。
屋根裏の散歩者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ただし
頭髪
(
かみのけ
)
は真っ白で、ちょうど盛りの卯の花のようで、それを
髷
(
まげ
)
に取り上げていた。
銀
(
しろがね
)
のように輝くのは、明るい
燈火
(
ともしび
)
の作用であろう。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その瞬間に私とソックリの顔が、
頭髪
(
かみのけ
)
と鬚を
蓬々
(
ぼうぼう
)
とさして
凹
(
くぼ
)
んだ
瞳
(
め
)
をギラギラと輝やかしながら眼の前の
暗
(
やみ
)
の中に浮き出した。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
背低くして肉
瘠
(
や
)
せたれど健康は充分にして随分百歳までも生延得る容体とし
頭髪
(
かみのけ
)
も
猶
(
な
)
お白茶けたる黄色の艶を帯びて美しく
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
古井戸の底には、いつも一人や二人の若い女の屍体が転がっていないことはなかった。庭の土からは埋めた
頭髪
(
かみのけ
)
が現れて、雨風に叩かれていた。
釘抜藤吉捕物覚書:06 巷説蒲鉾供養
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そのグローマン風に分けた長い銀色をした
頭髪
(
かみのけ
)
の下には、狂暴な光に燃えて紅い
煨
(
おき
)
を
凝然
(
じいっ
)
と
瞶
(
みつ
)
めている二つの眼があった。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
と思うと、
慄然
(
ぞっ
)
として、
頭髪
(
かみのけ
)
が
弥竪
(
よだ
)
ったよ。しかし待てよ、
畑
(
はた
)
で
射
(
や
)
られたのにしては、この灌木の中に居るのが
怪
(
おか
)
しい。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
大手前
(
おおてまえ
)
の
土塀
(
どべい
)
の
隅
(
すみ
)
に、
足代板
(
あじろいた
)
の高座に乗った、さいもん語りのデロレン坊主、但し長い
頭髪
(
かみのけ
)
を
額
(
ひたい
)
に
振分
(
ふりわ
)
け、ごろごろと
錫
(
しゃく
)
を鳴らしつつ、
塩辛声
(
しおからごえ
)
して
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、
背
(
たけ
)
高い、
頭髪
(
かみのけ
)
をモヂヤ/\さした、眼鏡をかけた一人の青年が、反対の方から橋の上に現れた。静子は
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
次
(
つぎ
)
に
綺麗
(
きれい
)
な
首筋
(
くびすじ
)
、形の好い
鼻
(
はな
)
、ふツくりした
頬
(
ほゝ
)
、
丸味
(
まるみ
)
のある
顎
(
あご
)
、それから
生際
(
はえぎは
)
の好いのと
頭髪
(
かみのけ
)
に
艶
(
つや
)
のあるのと何うかすると
口元
(
くちもと
)
に
笑靨
(
ゑくぼ
)
が出來るのに目が付いた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
もう少し月の光が強かったら、この房々としたオカッパの
頭髪
(
かみのけ
)
が、黄金のように光るだろう——と思えた。
夢鬼
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
この
頭髪
(
かみのけ
)
は、そのなかの最後の男のものなのです。その男は、十三の年に、私のことがもとで、自ら命をたって果てたのです。変なことだとお考えになるでしょうね。
寡婦
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
頭髪
(
かみのけ
)
を解いて両肩のあたりに垂らした小柄な女が
嬰児
(
あかんぼ
)
を抱いて前に立っていた。
竇氏
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
二の
頭髪
(
かみのけ
)
を長く延ばして二十五、六の女中や大層年を取ったお爺さんを連れておいでになったそうだ、と何の気なしに話し出したところが、相手はたちまち何とも言えぬ暗い表情をして
逗子物語
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
普通病気などで
蒼褪
(
あおざめ
)
るような
分
(
ぶん
)
ではない、それは
恰
(
あだか
)
も
緑青
(
ろくしょう
)
を塗ったとでもいおうか、まるで
青銅
(
からかね
)
が
錆
(
さび
)
たような顔で、男ではあったが、
頭髪
(
かみのけ
)
が長く延びて、それが
懶惰
(
ものぐさ
)
そうに、むしゃくしゃと
青銅鬼
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
また女は、羞恥を知り、慎みて宜しきに
合
(
かな
)
う衣もて己を飾り、編みたる
頭髪
(
かみのけ
)
と金と真珠と
価
(
あたい
)
たかき衣もては飾らず、善き
業
(
わざ
)
をもて飾とせん事を。これ神を
敬
(
うやま
)
わんと公言する女に
適
(
かな
)
える事なり。
ろまん灯籠
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
というと、
上
(
うえ
)
から
頭髪
(
かみのけ
)
がさがって
来
(
き
)
たので、
王子
(
おうじ
)
は
登
(
のぼ
)
って
行
(
ゆ
)
きました。
ラプンツェル
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
吊台
(
つりだい
)
の中の病人の延びた
頭髪
(
かみのけ
)
が眼に入ることもあつた。
哀しき父
(新字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
指で摘んで見ると、それは
頭髪
(
かみのけ
)
。
平賀源内捕物帳:山王祭の大像
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
秋を剃る
頭髪
(
かみのけ
)
土におちにけり
薄暮の貌
(新字旧仮名)
/
飯田蛇笏
(著)
このとき、あちらから
目
(
め
)
を
泣
(
な
)
きはらした、
貧
(
まず
)
しげな
女
(
おんな
)
がやってきました。その
女
(
おんな
)
は、もうだいぶの
年
(
とし
)
とみえて、
頭髪
(
かみのけ
)
が
白
(
しろ
)
うございました。
強い大将の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
だが、どうしたのか突然、彼は口を開けたまま、身動きもせずに硬直してしまひ、
頭髪
(
かみのけ
)
までが、針のやうに頭上で逆立つた。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:03 怖ろしき復讐
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
虎之助さんが黒の紋附羽織に
頭髪
(
かみのけ
)
黒々と気取られた時分のことが何となく眼に見えるやうな気が致して
為方
(
しかた
)
がありません。
田舎からの手紙
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
しばらく
経
(
た
)
つと、重さに半ば枕に
埋
(
うず
)
んで、がっくりとした我が
頭髪
(
かみのけ
)
が、その
潵
(
しぶき
)
……ともつかぬ水分を受けるにや、じとりと濡れて、
粘々
(
ねんばり
)
とするように思われた。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
年の頃は六十前後、
半白
(
はんぱく
)
の
頭髪
(
かみのけ
)
、赭ら顔、腰を曲げて杖を突いているが、ほんとは腰など曲がっていないらしい。鋭い眼、険しい鼻、兇悪な人相の持主である。
南蛮秘話森右近丸
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
手を伸ばして、喬之助の
頭髪
(
かみのけ
)
を
握
(
にぎ
)
ったのは、大迫玄蕃だった。ぐいと力をこめて、ひっ張り上げた。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
横の方から、思いがけない、違った声がして、
頭髪
(
かみのけ
)
をモシャモシャにした若い男が、姿を現した。
夜泣き鉄骨
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しばらく
仮睡
(
まどろ
)
んでから眼が覚めて、さて枕元の時計を見ようとすると、どうした事か、胸の所が
寝衣
(
ねまき
)
の両端をとめられているようで、また、
頭髪
(
かみのけ
)
が引っ
痙
(
つ
)
れたような感じがして
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
その
傍
(
そば
)
の岩の上には、あの、ネネが、前よりも一層美しくなったように思われるネネが、
喪心
(
そうしん
)
したように突立って、手を握りしめ、帽子を飛してしまった
頭髪
(
かみのけ
)
を塩風に
靡
(
なび
)
かせながら、
凝乎
(
じっ
)
と
腐った蜉蝣
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
背丈のたかい、
鳶色
(
とびいろ
)
の
頭髪
(
かみのけ
)
をした好男子で、いかにも実直そうな顔をしており、その顔立ちにはどことなく凛としたところがあって、何かこう思い切ったことをやりそうな眼つきをした男である。
墓
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
伯爵の左の手がその
胸倉
(
むなぐら
)
にかかった。夫人も驚いて榻の上に起きなおろうとした。伯爵の右の手が
頭髪
(
かみのけ
)
の多いその頭にかかった。伯爵はまた獣のように
唸
(
うな
)
った。そして、大きな
呼吸
(
いき
)
を苦しそうにした。
黄灯
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
或時は、もう寡婦で
艶気
(
つやけ
)
のない、
頭髪
(
かみのけ
)
の薄い、神経質な女だと思った。私は、女のことを考えているうちに、日が暮れた。
抜髪
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
頭髪
(
かみのけ
)
をぼうぼうさせて、そこらをぶらぶらしている病人の姿を人々はよく見かけたが、このごろでは、もうどっと床について、枕を高く、やせこけて
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
魔法使の
頭髪
(
かみのけ
)
は逆立つた。彼は異様な声をあげて叫ぶとともに、前後不覚に泣きだした。そこで馬首をキエフの方角へ向けて、真一文字に駈けに駈けた。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:03 怖ろしき復讐
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
無数の紫の斑点が、
痣
(
あざ
)
のように付いていた。額はテカテカ銅のように光り、眉毛と
睫毛
(
まつげ
)
とが抜け落ちていた。もちろん
頭髪
(
かみのけ
)
も脱落し、前額は奥まで禿げ上がっていた。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
のぼせて、頭ばっかり
赫々
(
かッかッ
)
と、するもんだで、小春さんのいい人で、色男がるくせに、
頭髪
(
かみのけ
)
さ、すべりと一分刈にしている処で、治兵衛坊主、坊主治兵衛だ、なあ、旦那。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お高は、
頭髪
(
かみのけ
)
が顔へかかってきてしようがないので、それをもかきあげた。そういう乱れたところを、まじまじと男に見られるのがいやだったので、ついにっこり笑ってしまった。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
金色の
頭髪
(
かみのけ
)
でこしらえた小さな指環にふと目をとめた。
寡婦
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
また、女の
頭髪
(
かみのけ
)
の乱れたような
蔦
(
つた
)
などが下っているところもあった。赤い、
烏瓜
(
からすうり
)
の吊下っているところもあった。
過ぎた春の記憶
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
顔は胸まで
俯向
(
うつむ
)
いている。雪のように白い
頭髪
(
かみのけ
)
を二房たらりと
額際
(
ひたいぎわ
)
から垂らし、どうやら
髻
(
もとどり
)
も千切れているらしく
髷
(
まげ
)
はガックリと小鬢へ
逸
(
そ
)
れ歩くにつれて顫えるのである。
日置流系図
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
いきなり
頭髪
(
かみのけ
)
をひつ掴みに飛びかかつて来るだらうと思つて、咄嗟に両の腕で頭をかかへた。
ディカーニカ近郷夜話 前篇:03 ソロチンツイの定期市
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
頭髪
(
かみのけ
)
の艶のいい、鼻筋の通った、色の浅黒い、三十四五の、すっきりとした男で。
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それが、妙なことには全身ずぶ濡れの
経帷子
(
きょうかたびら
)
を着て、壁に面してさむざむと坐っているのである。
傾
(
かたむ
)
いた月光が女の半面を青白く照らして、
頭髪
(
かみのけ
)
からも肩先からも水の雫が垂れているようだった。
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
子供は、大きくなるにつれて
黒眼勝
(
くろめがち
)
な美しい、
頭髪
(
かみのけ
)
の色のツヤツヤとした、おとなしい怜悧な子となりました。
赤い蝋燭と人魚
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そして寝台の左右には二人の男女が立っていたが、是も白い手術服を纏っている。男は外人で其
頭髪
(
かみのけ
)
は、麻のように白かった。鷲のような高い鼻。鼻下の髭さえ真白である。
人間製造
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
“頭髪”の解説
頭髪(とうはつ)は、ヒトの頭部に生える毛である。毛髪(もうはつ)、髪の毛(かみのけ)、また単に髪(かみ)ともいう。
(出典:Wikipedia)
頭
常用漢字
小2
部首:⾴
16画
髪
常用漢字
中学
部首:⾽
14画
“頭髪”で始まる語句
頭髪飾