雲切くもぎ)” の例文
ひろ野原のはらうえには、雲切くもぎれがして、あおかがみのようなそらえていました。えだは、それをると、無上むじょうになつかしかったのです。
風と木 からすときつね (新字新仮名) / 小川未明(著)
「どいておくれ。」と、おとこは、ぶあいそうにいった。少年しょうねんは、一退いて、ほそくして、雲切くもぎれのしたあきそらあおいでいました。
火を点ず (新字新仮名) / 小川未明(著)
なぜなら、その天使てんしは、あちらの雲切くもぎれのした、きたほうあおそらからんできて、ここにとまったようにもおもわれたからでした。
町の天使 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いとつよって、ピン、ピンと、ひくと、いいおとに、一つ一つ、はねがあって、雲切くもぎれのするあおそらへ、おどりがるようながしました。
しいたげられた天才 (新字新仮名) / 小川未明(著)
彼女かのじょは、こういいました。うみうえそらは、雲切くもぎれがして、あおいところは、そこにもうみがあるように、まったくうみいろおなじかったのであります。
北の少女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
またりっぱな建物たてものられました。そして、あちらには、煙突えんとつからくろけむりがって、そのけむり雲切くもぎれのした大空おおぞらおきほうへとなびいていました。
幸福に暮らした二人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるとしあきも、やがて、こうとしていました。おき雲切くもぎれのしたそらると、地平線ちへいせんは、ものすごくくらかったのです。
北の不思議な話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
なんという、ひろい、未知みち世界せかいが、みずそとにあったでしょう? 子供こどもは、たかい、雲切くもぎれのしたそらました。まるい、やさしい、つきひかりました。
魚と白鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
たか山脈さんみゃくいただきは、あかるく雲切くもぎれがして、れてしまいました。一無事ぶじぎて、翌朝あくるあさになると、そらはいつものごとくあおれていました。
北海の波にさらわれた蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おとこは、ただ、雲切くもぎれのしたあかるいそらのぞんで、みちいそぎました。やまちかづくにつれて、ゆきはますますふかくなりました。
おかしいまちがい (新字新仮名) / 小川未明(著)
雲切くもぎれのした、でこぼこのある田舎道いなかみち貨物自動車かもつじどうしゃは、ちょうどっぱらいのひとあしどりのように、おどりながら、ガタビシといわせてはしっていたのでした。
なつかしまれた人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「あんなに、あちらは雲切くもぎれがしていますよ。あっちへいったら、きっとおもしろいことがあるでしょう。」
おかしいまちがい (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのばんは、雪割草ゆきわりそうは、雲切くもぎれのしたそらかがやく、ほしひかりをなつかしげにながめることができました。そして、明日あした桜草さくらそうがくるのをたのしみにいたしていました。
みつばちのきた日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
二人ふたりは、海辺うみべにきてみたのです。するとなみたかくて、おきほう雲切くもぎれのしたそらいろあおく、それに黒雲くろくもがうずをいていて、ものすごい模様もよう景色けしきでした。
大きなかに (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれど、またところどころに雲切くもぎれがしていて、そこからは、ほのじろひかりがもれるのでありました。
台風の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのうちにふゆけて、だんだんはるちかづいてまいりました。あるのこと、西南にしみなみそらのすそが、雲切くもぎれがして、そこから、なつかしいだいだいいろそらが、かおしていました。
春になる前夜 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いま、おじょうさんは、無心むしんでピアノをいていましたが、ふとやすめてそとをながめますと、雲切くもぎれのしたそらに、ぴかぴかとひかほしが、ちつくした、はやしのいただきにえたのでした。
寒い日のこと (新字新仮名) / 小川未明(著)
はなつめたいきりにぬれて、しずくのしたたうつくしい、なやましげな姿すがたみずかることもなく、また、黄昏たそがれがた、たか山脈さんみゃくのかなたのうすあかるい雲切くもぎれのしたそらあこがれるかなしいおもいもなくなって
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かごのなかのとまりまって、とおくのあおい、雲切くもぎれのしたそらをながめながら、かなしい、ひく音色ねいろをたててなくのでありました。するとおひめさまもかなしくなって、なみだぐまれたのであります。
お姫さまと乞食の女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そらると、雲切くもぎれがしているそのあいだから、一つぼしが、おおきなしたをじっと見下みおろして、木立こだちまっている小鳥ことりたちが、熱心ねっしんに、かぜうごえだはなしをしているのに、みみましていていました。
美しく生まれたばかりに (新字新仮名) / 小川未明(著)
「いってみようかしらん。あしたは、天気てんきだろうか?」と、子供こどもはいって、小舎こやぐちから、くりのまりのような、ののびたくびをして、そら景色けしきをながめると、はやしあいだから、雲切くもぎれのした
あらしの前の木と鳥の会話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
吉郎よしおは、みなみから、西にしへかけて、雲切くもぎれのしているそらしました。
雪消え近く (新字新仮名) / 小川未明(著)
このひとは、雲切くもぎれのした、あちらのそらゆびさして
おかしいまちがい (新字新仮名) / 小川未明(著)