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ごうしゃ
ふりがな文庫
“
豪奢
(
ごうしゃ
)” の例文
時としては目下の
富貴
(
ふうき
)
に安んじて
安楽
(
あんらく
)
豪奢
(
ごうしゃ
)
余念
(
よねん
)
なき
折柄
(
おりから
)
、また時としては旧時の
惨状
(
さんじょう
)
を
懐
(
おも
)
うて
慙愧
(
ざんき
)
の念を
催
(
もよ
)
おし、一喜一憂一哀一楽
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
豪奢
(
ごうしゃ
)
な町人趣味の饗宴は、ようやく、伯をして、少々
倦怠
(
けんたい
)
を催させて来たし、たえず、その顔いろを見ている高瀬理平にもわかった。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
美しきものは命短しというをモットーとするように
豪奢
(
ごうしゃ
)
と
絢爛
(
けんらん
)
が極まると直ぐ色
褪
(
あ
)
せてあの世の星の色と清涼に消え流れて行きます。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
平次は七つの土蔵をめぐって、
豪奢
(
ごうしゃ
)
を極めた部屋部屋へ触れて歩きましたが、三十余人の女どもは振り向いてみようともしません。
銭形平次捕物控:029 江戸阿呆宮
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
椿岳の生活の理想は俗世間に
凱歌
(
がいか
)
を挙げて
豪奢
(
ごうしゃ
)
に
傲
(
おご
)
る
乎
(
か
)
、でなければ俗世間に
拗
(
す
)
ねて
愚弄
(
ぐろう
)
する乎、二つの路のドッチかより外なかった。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
▼ もっと見る
よほど火の回りでも早かったのでしょうか? ことごとく焼失して、在りし日のあの
豪奢
(
ごうしゃ
)
さ、瀟洒なぞというものは跡形もありません。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
名古屋城内の奥御殿、
豪奢
(
ごうしゃ
)
を極めたその一室、向かい合っている二人の人物、尾張宗春と薬草道人、しめやかにさっきから話している。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ここで彼らの素朴な気質は知識よりももっと不思議な働きをしている。そのつつましい生活は
豪奢
(
ごうしゃ
)
よりももっと正しい役割を演じている。
苗代川の黒物
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
繿縷
(
ぼろ
)
をまとうた蘇武の目の中に、ときとして浮かぶかすかな
憐愍
(
れんびん
)
の色を、
豪奢
(
ごうしゃ
)
な
貂裘
(
ちょうきゅう
)
をまとうた
右校王
(
うこうおう
)
李陵
(
りりょう
)
はなによりも恐れた。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
肥満しきった快活
豪奢
(
ごうしゃ
)
な婦人らが、代わる代わるイソルデやカルメンに
扮装
(
ふんそう
)
して現われた。アンフォルタスがフィガロを演じた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
鋳鉄
(
ちゅうてつ
)
の階段や、ピカピカ光る真鍮や、マホガニイや、絨毯で飾られた
豪奢
(
ごうしゃ
)
な邸宅の中で、読みかけの本に向って欠伸をしながら
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
悲壮な覚悟があるように見える。世に
豪奢
(
ごうしゃ
)
を誇った香以が、晩年
落魄
(
らくはく
)
の感慨を托するに
破芭蕉
(
やればしょう
)
を
択
(
えら
)
んだのははなはだ妙である。
枯葉の記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
水は驚くほど透明で底は美しい砂になっている。川幅は二十碼くらいの狭い流れであって、両岸の植物は、自然の
豪奢
(
ごうしゃ
)
の限りを見せている。
イグアノドンの唄:――大人のための童話――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
艫
(
とも
)
と
舳
(
へさき
)
の二カ所に赤々と
篝
(
かがり
)
を焚いて、
豪奢
(
ごうしゃ
)
極
(
きわま
)
りない金屏風を風よけに立てめぐらし、乗り手釣り手は船頭三人に目ざむるような小姓がひとり。
旗本退屈男:10 第十話 幽霊を買った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
彼は貧困を脱した後も、貧困を憎まずにはいられなかった。同時に又貧困と同じように
豪奢
(
ごうしゃ
)
をも憎まずにはいられなかった。
大導寺信輔の半生:――或精神的風景画――
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ところが現代では安い文化住宅のみならず、
豪奢
(
ごうしゃ
)
な別荘の洋室においてさえも、絵画らしいものは一切見当らない事がある。
大切な雰囲気:03 大切な雰囲気
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
その他なお商家の
豪奢
(
ごうしゃ
)
を尽したる例甚だ多く、
就中
(
なかんずく
)
外妾
(
がいしょう
)
を
蓄
(
たくわ
)
うること商人に最も多くして、手代の
輩
(
やから
)
に至るまで
窃
(
ひそか
)
に養わざるものなしという。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
すばらしい
金屏
(
きんぺい
)
や、
床
(
とこ
)
の唐美人図や、違い棚の
豪奢
(
ごうしゃ
)
をきわめた置物、飾物を眺めたとき、弱まった気持を、ふたたび緊張させることが出来た。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
派手好みの
豪奢
(
ごうしゃ
)
な人であったから、娘達にもあらゆる
贅沢
(
ぜいたく
)
をさせてくれたらしいのだけれども、彼女は自分がどれだけのことをして
貰
(
もら
)
ったか
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
線香の煙に
咽
(
む
)
せて、
咳
(
せき
)
が出た。石敷の道を左に曲り、右に曲る。墓は
豪奢
(
ごうしゃ
)
な区域から、しだいに簡素となり、貧しくなる。
夕靄の中
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
けれども私が働いてみたところでとても意にみちる贅沢
豪奢
(
ごうしゃ
)
はできないから、結局私は働かないだけの話で、私の生活原理は単純明快であった。
いずこへ
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
あらゆる線の重さとその分厚さがロシア風で、この屋敷の
豪奢
(
ごうしゃ
)
は、はっきり、ロシア化されたフランス趣味というものを語っているようだった。
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
ここには色あせたといっても立派な
絨毯
(
じゅうたん
)
がしきつめてあり、かさばった家具や、
豪奢
(
ごうしゃ
)
な金銀の大きな食器がならべてある。
ジョン・ブル
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
導かれたのは
豪奢
(
ごうしゃ
)
な地底の客間であった。近代様式の明るい洋室。家具調度のたぐいもアブストラクトふうの最新様式のものがそろえてあった。
影男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
成金だとか、何とかよく新聞などに、彼等の
豪奢
(
ごうしゃ
)
な生活を、
謳歌
(
おうか
)
しているようですが、金で
贏
(
かち
)
うる彼等の生活は、
何
(
ど
)
んなに単純で平凡でしょう。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
一人は越後から京都に乗出して、嵯峨野の片ほとりに
豪奢
(
ごうしゃ
)
な邸宅を構え、京、大阪の美人を漁りまわしていた
金丸
(
かなまる
)
長者と呼ばれる半老人であった。
名娼満月
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
男はタキシイド、女は
紋服
(
もんぷく
)
かイブニング・ドレスといった
豪奢
(
ごうしゃ
)
な
宴会
(
えんかい
)
で、カルホルニア一流の邦人名士の御接待でした。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
貨幣の
豪奢
(
ごうしゃ
)
で化粧されたスカートに廻転窓のある女だ。
黄昏
(
たそがれ
)
色の歩道に靴の市街を構成して意気に気どって歩く女だ。
女百貨店
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
天井は全面が
摺硝子
(
すりガラス
)
になっていて、白昼電燈が適当な柔かさをもって輝いてい、床には、ふかふかと足を吸込む
豪奢
(
ごうしゃ
)
な
絨毯
(
じゅうたん
)
が敷きつめられてあった。
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
之に似た驚きの経験は
曾
(
かつ
)
て一度したことがあった。姫は今其を思い起して居る。簡素と
豪奢
(
ごうしゃ
)
との違いこそあれ、驚きの歓喜は、印象深く残っている。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
豪奢
(
ごうしゃ
)
と言うのではない、足りととのった家庭。人形をかざったピアノが一つ、坐り机が一つ、縁先に籐椅子が二つ、卓。みるところ若い女の部屋らしい。
みごとな女
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
宮川は、新調の背広に赤いネクタイをむすんで、とびきり
豪奢
(
ごうしゃ
)
な恰好をしているのに対し、矢部は例によって、くたびれきった服に身体をつつんでいた。
脳の中の麗人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
此孔雀の舌の料理は
往昔
(
おうせき
)
羅馬
(
ローマ
)
全盛の
砌
(
みぎ
)
り、一時非常に流行致し
候
(
そろ
)
ものにて、
豪奢
(
ごうしゃ
)
風流の極度と平生よりひそかに
食指
(
しょくし
)
を動かし
居候
(
おりそろ
)
次第
御諒察
(
ごりょうさつ
)
可被下候
(
くださるべくそろ
)
。……
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いよいよ
豪奢
(
ごうしゃ
)
な『新古今』の
錦繍
(
きんしゅう
)
の調べを愛せられ、来る日も来る月も歌会の催しがにぎわしく続けられた。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
左側は、伊勢広、伊勢嘉、和泉喜などいう
札差
(
ふださし
)
が十八軒もずっと並んでいて
豪奢
(
ごうしゃ
)
な生活をしたものである。
幕末維新懐古談:06 高村東雲の生い立ち
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
そして一方に自分たちの労働を搾取することによって
豪奢
(
ごうしゃ
)
な生活を構えている前田賢三郎を見ると、彼らは当然要求すべきものを要求せずにはいられなかった。
仮装観桜会
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
田辺のお
婆
(
ばあ
)
さんがよく
噂
(
うわさ
)
して捨吉に話し聞かせる
石町
(
こくちょう
)
の御隠居、一代の
豪奢
(
ごうしゃ
)
を
極
(
きわ
)
め尽したというあの年とった婦人が住む古い大きな商家のあるあたりにも近い。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
衣桁
(
いこう
)
あり、飾り棚があり、塗机があり、書道の手本と
硯
(
すずり
)
が並べてあるという
豪奢
(
ごうしゃ
)
な貴婦人好みであった。
旧聞日本橋:13 お墓のすげかえ
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
あまりの
豪奢
(
ごうしゃ
)
に黒田伯これを聞いて、
以
(
もっ
)
てのほかとつむじを曲げ、且つは一切御用も止まり、伝さんそれ以来左り前となってついに借金王と呼ばれるほどの境遇
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
困らないどころか、その頃のマタ・アリの生活は
豪奢
(
ごうしゃ
)
の頂点で、この旅行も
贅沢
(
ぜいたく
)
をきわめたものだった。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
草や木や、彼ら人間にとって持て余す邪まものを、
豪奢
(
ごうしゃ
)
に、全力をもって
焚
(
た
)
くのだが、燃えあがるその焔さえ、際涯のない夜のなかでは気の毒なほど沈んでいた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
いくつも丸卓を置いた
豪奢
(
ごうしゃ
)
なホールの前景に、タキシードを着た坂田省吾が、神月と二人の外国人の間にはさまって、シャンパンを飲んでいるところがうつっている。
あなたも私も
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
この司教も就任の初めにおいては善良なる使徒らしく振舞いたれども、今や他と異なる所なし。今や彼には四輪馬車を要し駅馬車を要す。以前の司教らの如く
豪奢
(
ごうしゃ
)
を要す。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
同志は
如何様
(
いかよう
)
の余裕ありて、かくは
豪奢
(
ごうしゃ
)
を尽すにかあらん、ここぞ
詰問
(
きつもん
)
の試みどころと、葉石氏に向かい
今日
(
こんにち
)
の宴会は妾ほとほとその心を得ず、磯山氏よりの急使を受けて
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
男たちは、そろってあの丘の上の
豪奢
(
ごうしゃ
)
な夕映えにまみれ、炎のような形の樹を背にして、彼女の手で箱のなかに収められた瞬間の、それぞれの得意なポーズのままで笑っていた。
箱の中のあなた
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
寺の門を配した
豪奢
(
ごうしゃ
)
な別荘もある。廃寺の庭は広々とした
芝生
(
しばふ
)
で、少年が一人寝転んで
呆
(
ぼ
)
んやり空を見ていた。白い雲が、疏水の水に影をおとして流れている。いい天気だった。
田舎がえり
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
椎
(
しい
)
の樹は武蔵野の原始林を構成していたといわれるが、しかし五月ごろの東山に黄金色に輝いている椎の新芽の
豪奢
(
ごうしゃ
)
な感じを知っているものは、これこそ椎だと思わずにはいられない。
京の四季
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
柳の
館
(
たち
)
あとを左右に見つつ、
俥
(
くるま
)
は三代の
豪奢
(
ごうしゃ
)
の亡びたる、草の
径
(
こみち
)
を
静
(
しずか
)
に進む。
七宝の柱
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
けれども冷めたい西風は幾重の
墻壁
(
しょうへき
)
を越して、階前の
梧葉
(
ごよう
)
にも
凋落
(
ちょうらく
)
の秋を告げる。貞子の
豪奢
(
ごうしゃ
)
な生活にも浮世の黒い影は付き
纏
(
まと
)
うて人知れず泣く涙は栄華の袖に
乾
(
かわ
)
く間もないという噂である。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
はいるとそこに、ホテルみたいに、オーバーを預けるクロークがあって、今はそんなのはちっとも珍しくないけど、当時としてはさも
豪奢
(
ごうしゃ
)
な、いかにも
勿体
(
もったい
)
ぶったものものしさを感じさせた。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
“豪奢”の意味
《名詞》
豪奢(ごうしゃ)
贅沢で派手であること。
(出典:Wiktionary)
豪
常用漢字
中学
部首:⾗
14画
奢
漢検1級
部首:⼤
12画
“豪奢”で始まる語句
豪奢振
豪奢第一
豪奢遊蕩