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蓮
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はちす
ふりがな文庫
“
蓮
(
はちす
)” の例文
「おばばか。おばばはもう十万億土へ行ってしもうた。おおかた
蓮
(
はちす
)
の上でな、おぬしの来るのを、待ち焦がれている事じゃろう。」
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
水色縮緬
(
みずいろちりめん
)
の
蹴出
(
けだし
)
の
褄
(
つま
)
、はらはら
蓮
(
はちす
)
の
莟
(
つぼみ
)
を
捌
(
さば
)
いて、素足ながら清らかに、草履ばきの
埃
(
ほこり
)
も立たず、急いで迎えた少年に、ばッたりと藪の前。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……
江
(
え
)
の
畔
(
ほとり
)
には柳や
槐
(
えんじゅ
)
のみどりが煙るようだし、亭の
脚下
(
きゃっか
)
をのぞけば、
蓮池
(
はすいけ
)
の
蓮
(
はちす
)
の花が、さながら袖を舞わす
後宮
(
こうきゅう
)
の美人三千といった
風情
(
ふぜい
)
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかもその俗語の俗ならずしてかえって活動する、腐草
螢
(
ほたる
)
と化し
淤泥
(
おでい
)
蓮
(
はちす
)
を生ずるの趣あるを見ては誰かその奇術に驚かざらん。
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
「縁あらば再び、来世で契り逢おう、そなたも、一つ
蓮
(
はちす
)
に生れるようよくよく祈っていてくれ。そろそろ、日も暮れて参った、余り待たせても悪いからのう」
現代語訳 平家物語:12 第十二巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
原稿用紙二枚に走り書きしたる君のお手紙を読み、
謂
(
い
)
わば、
屑籠
(
くずかご
)
の中の
蓮
(
はちす
)
を、確実に感じたからである。
もの思う葦:――当りまえのことを当りまえに語る。
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
私は
其
(
その
)
優雅な島、菊及び
蓮
(
はちす
)
の国に関し、
種種
(
いろいろ
)
の
書冊
(
しよさつ
)
の中にある美しい記載に
由
(
よ
)
つて読みました。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
落付
(
おちつ
)
いて考へれば、考へは
蓮
(
はちす
)
の
糸
(
いと
)
を引く如くに
出
(
で
)
るが、出たものを纏めて
見
(
み
)
ると、
人
(
ひと
)
の
恐
(
おそ
)
ろしがるもの
許
(
ばかり
)
であつた。仕舞には、
斯様
(
かやう
)
に考へなければならない自分が
怖
(
こわ
)
くなつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
磨かれない智慧を抱いたまゝ、何も知らず思はずに過ぎて行つた幾百年、幾万の貴い
女性
(
によしやう
)
の間に、
蓮
(
はちす
)
の花がぽつちりと莟を
擡
(
もた
)
げたやうに、物を考へることを知り
初
(
そ
)
めたのである。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
これは
立像
(
りゅうぞう
)
で、手に
蓮
(
はちす
)
を持っている。次が
制吒迦童子
(
せいたかどうじ
)
、岩に腰を掛け、
片脚
(
かたあし
)
を揚げ、片脚を下げ、
捻
(
ねじ
)
り棒を持っている。この二体が出来て来ると、次は本体の不動明王を彫るのです。
幕末維新懐古談:07 彫刻修業のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
かかる病なん、
終
(
つい
)
にその痛むところ、
蓮
(
はちす
)
の花の開くがごとく
壊
(
え
)
み崩れて腐り行けば、命幾日もあらずというを聞くにも、今は
幾許
(
いくばく
)
ならずその
界
(
さかい
)
に至らんと思えば、いとど安き心なし。
玉取物語
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
消え留まるほどやは
経
(
ふ
)
べきたまさかに
蓮
(
はちす
)
の露のかかるばかりを
源氏物語:35 若菜(下)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
よそに見て
蓮
(
はちす
)
の音をちらさめや来ん世にかをるわが魂にせん
礼厳法師歌集
(新字旧仮名)
/
与謝野礼厳
(著)
石の上に白髪かきたれ描く
蓮
(
はちす
)
丹念
(
たんねん
)
なれどそこばくの金
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
濁りある水より出てゝ水よりも浄き
蓮
(
はちす
)
の露のしら玉
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
あるひはまた印度の
蓮
(
はちす
)
の花か
生けるものと死せるものと
(旧字旧仮名)
/
アンナ・ド・ノアイユ
(著)
木蔭
(
こかげ
)
なる池の
蓮
(
はちす
)
はまだ浮葉
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
日下江
(
くさかえ
)
一四
の 入江の
蓮
(
はちす
)
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
枯れた
蓮
(
はちす
)
を見もしない
佐藤春夫詩集
(旧字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
おなじ
蓮
(
はちす
)
の上にならはん
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
蓮
(
はちす
)
の
浮葉
(
うきは
)
掻
(
か
)
き分けて
筑波ねのほとり
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
しかもその俗語の俗ならずしてかへつて活動する、
腐草
(
ふそう
)
蛍
(
ほたる
)
と化し
淤泥
(
おでい
)
蓮
(
はちす
)
を生ずるの趣あるを見ては誰かその奇術に驚かざらん。
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
櫻
(
さくら
)
、
山吹
(
やまぶき
)
、
寺内
(
じない
)
の
蓮
(
はちす
)
の
華
(
はな
)
の
頃
(
ころ
)
も
知
(
し
)
らない。そこで
蛙
(
かはづ
)
を
聞
(
き
)
き、
時鳥
(
ほとゝぎす
)
を
待
(
ま
)
つ
度胸
(
どきよう
)
もない。
暗夜
(
やみよ
)
は
可恐
(
おそろし
)
く、
月夜
(
つきよ
)
は
物
(
もの
)
すごい。
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
地金
(
じがね
)
すべて、黄金なのはいうまでもない。
迦陵頻迦
(
かりょうびんが
)
のすかし
彫
(
ぼり
)
である。
蓮
(
はちす
)
の花は白金だし
翠葉
(
みどりは
)
は
青金
(
せいきん
)
だった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「南無西方極楽世界の教主弥陀如来、願わくは浄土へ導き給え、亡き殿と再び一つ
蓮
(
はちす
)
に迎え給え」
現代語訳 平家物語:09 第九巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
磨かれぬ智慧を抱いたまま、何も知らず思わずに、過ぎて行った幾百年、幾万の貴い
女性
(
にょしょう
)
の間に、
蓮
(
はちす
)
の花がぽっちりと、
莟
(
つぼみ
)
を
擡
(
もた
)
げたように、物を考えることを知り
初
(
そ
)
めた郎女であった。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
やり水に
蓮
(
はちす
)
の花のかをる夜は枕ただよひ寝られざるかな
礼厳法師歌集
(新字旧仮名)
/
与謝野礼厳
(著)
隔てなく
蓮
(
はちす
)
の宿をちぎりても君が心やすまじとすらん
源氏物語:38 鈴虫
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
擂鉢に白き
蓮
(
はちす
)
をひとつ浮けて貧しき朝や
乏
(
とぼ
)
し
飯
(
めし
)
食
(
く
)
ふ
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
葉を枯れて
蓮
(
はちす
)
と咲ける花あやめ 一游亭
大正十二年九月一日の大震に際して
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
田の中の小道を行けば冬の溝川水少く草は大方に枯れ尽したる中に
蓼
(
たで
)
ばかりの
赤
(
あこ
)
う残りたる、とある処に古池の
蓮
(
はちす
)
枯れて
雁
(
がん
)
鴨
(
かも
)
の
蘆間
(
あしま
)
がくれに
噪
(
さわ
)
ぎたる
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
その
夥多
(
おびたゞ
)
しい
石塔
(
せきたふ
)
を、
一
(
ひと
)
つ
一
(
ひと
)
つうなづく
石
(
いし
)
の
如
(
ごと
)
く
從
(
したが
)
へて、のほり、のほりと、
巨佛
(
おほぼとけ
)
、
濡佛
(
ぬれぼとけ
)
が
錫杖
(
しやくぢやう
)
に
肩
(
かた
)
をもたせ、
蓮
(
はちす
)
の
笠
(
かさ
)
にうつ
向
(
む
)
き、
圓光
(
ゑんくわう
)
に
仰
(
あふ
)
いで、
尾花
(
をばな
)
の
中
(
なか
)
に、
鷄頭
(
けいとう
)
の
上
(
うへ
)
に
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
蓮
(
はちす
)
の花に似ていながら、もっと細やかな、——絵にある仏の花を見るような——。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
うきなからあはれことしの花もみつ これも
蓮
(
はちす
)
のいけるかひかな
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
消ゆと見て歎きはせしかしら露の玉は
蓮
(
はちす
)
に結びかへけん
礼厳法師歌集
(新字旧仮名)
/
与謝野礼厳
(著)
白くのみ月にかがやくひと束は紫うすき根の
蓮
(
はちす
)
らし
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
幻の
苦患
(
くげん
)
を
嘗
(
な
)
めていた、冷汗もまだ
止
(
とま
)
らなかったくらいの処へ、この夢を話されて、
面
(
おもて
)
を赤うするまで心に恥じた、あわれ泥中のこの白き
蓮
(
はちす
)
に比して、我が心かえって
汚
(
けが
)
れたりと
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
蓮
(
はちす
)
の花に似てゐながら、もつと細やかな、——絵にある仏の花を見るやうな——
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
白くのみ月にかがやくひと束は紫うすき根の
蓮
(
はちす
)
らし
白南風
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
蓮
(
はちす
)
の
花片
(
はなびら
)
の形したる、石の面に、
艶子
(
つやこ
)
之墓と彫りたるなり。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
白き菜と紫うすき根の
蓮
(
はちす
)
冬はさやかに厨戸にあり
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
白き菜と紫うすき根の
蓮
(
はちす
)
冬はさやかに厨戸にあり
白南風
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
人間の
眼
(
まなこ
)
おどろき見てを
居
(
を
)
り人間の描く
紅
(
あか
)
き
蓮
(
はちす
)
を
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
紫うすき根の
蓮
(
はちす
)
。
海豹と雲
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
蓮
漢検準1級
部首:⾋
13画
“蓮”を含む語句
蓮葉
白蓮
蓮花
白木蓮
蓮華
睡蓮
蓮根
蓮田
紅蓮
蓮華草
青蓮華
黄蓮
花蓮
蓮池
日蓮宗
白蓮華
蓮如
南無妙法蓮華経
青蓮
金蓮
...