よろづ)” の例文
新字:
また彼等と共に十字架にかゝれる我はヤーコポ・ルスティクッチといへり、げによろづの物にまさりてわが猛き妻我に禍す 四三—四五
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
「伏見普請の儀、油断無く勤め候へ、かねて入用の物どもは目録を以て石田増田長束などに相談せしめ、よろづはかの行くやうに有るべき旨」
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
よろづの知識の單純な人達には何色とも呼びかねる、茶がかつた灰色の中折帽は、此村では村長樣とお醫者樣と、白井の若旦那の外冠る人がない。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
何事も此の老婆ばゞに任せ給へ、又しても心元こゝろもとなげに見え給ふことの恨めしや、今こそ枯技かれえだに雪のみ積れども、鶯鳴かせし昔もありし老婆、よろづ拔目ぬけめのあるべきや
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
福岡ふくをかうつつてからもなく、御米およねまたいものをたしひととなつた。一度いちど流産りうざんするとくせになるといたので、御米およねよろづ注意ちゆういして、つゝましやかに振舞ふるまつてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
よろづの鍵に下腹冷えて留守は見渡しの總長屋、流石に錠前くだくもあらざりき、正太は先へあがりて風入りのよき場處ところを見たてゝ、此處へ來ぬかと團扇の氣あつかひ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
却つて我々が送るも新しからずやとことばはかけずうしろについて幸堂氏の家まで到りこゝに新たに送別會を開きぬ我三人によろづの失策皆な酒より生ず旅中はことにつゝしむべしと一句を示す
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
ここによろづの神のおとなひは、さばへなす滿ち、萬のわざはひ悉におこりき。
すべては清けだち、晴れ晴れし、よろづのもの賑かに
展望 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
よろづの物質に新しき震動は傳り
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
いかによろづうらみをば
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
隨分ずゐぶん故郷こきようそらなつかしくなつたこと度々たび/\あつた——むかし友人ともだちことや——品川灣しながはわん朝景色あさげしきや——上野淺草うへのあさくさへん繁華にぎやかまちことや——新橋しんばし停車塲ステーシヨンことや——回向院ゑこうゐん相撲すまふことや——神樂坂かぐらざか縁日えんにちことや——よろづ朝報てうほう佛蘭西フランス小説せうせつことや——錦輝舘きんきくわん政談せいだん演説えんぜつことや——芝居しばゐこと浪花節なにはぶしこと
しかしてよろづ被造物つくられしものをさなりしかの第一の不遜者ふそんじやが光を待たざるによりてまざる先におとし事よくこれをあかしす 四六—四八
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
我口より申すは如何いかゞなものなれども、二十を越えてはや三歳にもなりたれば、家に洒掃の妻なくてはよろづことけてこゝろよからず、幸ひ時頼見定みさだめ置きし女子をなご有れば
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
ものにはゞかるこゝろありてよろづひかへにとをつくれば、十が七にえて三そんはあるものと桂次けいじ故郷ふるさとのおさくうへまでおもひくらべて、いよ/\おぬひがのいたましく
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
若し斯くの如き紹介状をくる人が、温厚篤實にしてよろづ中庸をたつとぶ世上の士君子、例へば我校長田島氏の如きであつたら、恐らく見もせぬうちから玄關に立つ人を前門の虎と心得て
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ、聲を嗄らしてプルートは叫べり、よろづのことを知りたまへるやさしきひじり 一—三
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
烏帽子のためやうまでよろづ六波羅樣ろくはらやうをまねびて時知り顏なる、世は愈〻平家の世と覺えたり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
町内てうない一の財産家ものもちといふに、家内かない祖母ばゞ此子これこ二人ふたりよろづかぎ下腹したはらえて留守るす見渡みわたしの總長屋そうながや流石さすが錠前でうまへくだくもあらざりき、正太しようたさきへあがりて風入かぜいりのよき塲處ところたてゝ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
其婦人等——日本人の理想に從へば、穩しく、しとやかに、よろづに控へ目で有るべき筈の婦人等は、嚴かなる法廷に立つに及んで、何の臆する所なくおもてを揚げて、「我は無政府主義者なり。」と言つた。
所謂今度の事:林中の鳥 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
此故に起きよ、よろづの戰ひに勝つ魂もし重き肉體と共になやみくづほるゝにあらずば之をもてあへぎに勝て 五二—五四
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
なげことかはよろづれにまかせよかしるきやうにはなすまじければ今日けふより此處こゝ
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
良久やゝひさしうありておくさま大方おほかたゑいめぬれば、よろづにおのがみだるゝあやしきこゝろれとしかりて、かへれば盃盤狼藉はいばんらうぜきありさま、人々ひと/″\むかひのくるま門前もんぜん綺羅星きらほしとならびて、何某樣たれさまちのこゑにぎはしく
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
なけれど今日けふまでの苦勞くらうなにゆゑぞはんとおもそれよろづねがひを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)