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まっさき
ふりがな文庫
“
真先
(
まっさき
)” の例文
旧字:
眞先
真先
(
まっさき
)
に来たのは白い革の
旅行鞄
(
トランク
)
で、それがあちこち
擦
(
す
)
り剥けているところは、旅に出たのは今度が初めてではないぞといわんばかりだ。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
あやしき神の
御声
(
おんこえ
)
じゃ、のりつけほうほう。(と言うままに、
真先
(
まっさき
)
に、梟に
乗憑
(
のりうつ
)
られて、目の色あやしく、身ぶるいし、
羽搏
(
はばたき
)
す。)
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
左大将は常に親友の病をいたんで見舞いを書き送っているのであるが、昇任の祝いを述べに
真先
(
まっさき
)
に大臣家を訪問したのもこの人であった。
源氏物語:36 柏木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
大江山課長は
真先
(
まっさき
)
に向うの汽艇へ飛び移った。つづいて部下もバラバラと飛び乗った。狭い汽艇だから、艇内は直ぐに
残
(
のこ
)
る
隈
(
くま
)
なく探された。
地中魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そのうちに髪の白い男が
真先
(
まっさき
)
に立つて、ほかの三人がそのあとに附いて、この町内の角を曲つて行きましたが、やがて
鶏
(
にわとり
)
が鳴き始めました。
赤い杭
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
お玉が逃げ出したと見た捕方が追いかけようとする、
真先
(
まっさき
)
の男に飛びついたムクは、
咽喉笛
(
のどぶえ
)
をグサと
啣
(
くわ
)
えて、
邪慳
(
じゃけん
)
に横に振る。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
あけると、
真先
(
まっさき
)
にひょいと飛び出して来るのは、「わざわい」の姿をしたユースタス・ブライトさんだったでしょうからねえ
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
と
真先
(
まっさき
)
に立ちたる
未醒
(
みせい
)
君、
立留
(
たちど
)
まって、一行を顧みた。見れば
正
(
まさ
)
しく橋は陥落して、
碧流
(
へきりゅう
)
巌
(
いわ
)
を
噛
(
か
)
む。一行相顧みて
唖然
(
あぜん
)
たり。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
そう云って一人を短艇へ残し、船長は
真先
(
まっさき
)
に
梯子
(
タラップ
)
を登って行った。——甲板へ一歩
踏出
(
ふみだ
)
したとたんに、人々は思わず息詰るような光景を見た。
流血船西へ行く
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
真先
(
まっさき
)
にシュザンヌは父の寝ている客間につづいた小さな書斎へ走った。しかしそこへ入るか入らないうちに恐ろしい光景が、眼の前に現われた。
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
孔子の推挙で子路は魯国の内閣書記官長とも言うべき季氏の宰となる。孔子の内政改革案の実行者として
真先
(
まっさき
)
に活動したことは言うまでもない。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
仁「面目次第もありませんが、
此方等
(
こちとら
)
は狼藉者でも出ると、
真先
(
まっさき
)
に逃出し、悪くすると石へ蹴つまずいて膝ア
毀
(
こわ
)
すたちでありますよ、恐入りますな」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「バッタた何ぞな」と
真先
(
まっさき
)
の一人がいった。やに落ち付いていやがる。この学校じゃ校長ばかりじゃない、生徒まで曲りくねった言葉を使うんだろう。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その中にも同僚の橋本訓導は、
真先
(
まっさき
)
に
椅子
(
いす
)
から離れて駈け寄って来て、彼の肩に両手をかけながら声を
潤
(
うる
)
ませた。
木魂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
彼
(
かれ
)
は
起上
(
おきあが
)
って
声限
(
こえかぎ
)
りに
呌
(
さけ
)
び、そうしてここより
抜出
(
ぬけい
)
でて、ニキタを
真先
(
まっさき
)
に、ハバトフ、
会計
(
かいけい
)
、
代診
(
だいしん
)
を
鏖殺
(
みなごろし
)
にして、
自分
(
じぶん
)
も
続
(
つづ
)
いて
自殺
(
じさつ
)
して
終
(
しま
)
おうと
思
(
おも
)
うた。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
澤は、
真先
(
まっさき
)
に逃げ出したのが済まない気持はしながら、
殆
(
ほと
)
んど気力を失って、何もする事が出来なかった。
九月一日
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
何かがいれば、ポパイが
真先
(
まっさき
)
に気づくはずでした。こうなると、一匹の犬が何よりのたよりです。
新宝島
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それで、コーンは自分が来るのを見て、いないと言えと給仕に言いつけたのだと、彼は
真先
(
まっさき
)
に考えた。そんな浅はかなやり方に、堪えられなかった。そして憤然と帰りかけた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
自分は
真先
(
まっさき
)
に降参してしまって、後は若い元気な助手や学生の人たちに任してしまった。
雪を作る話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
◯そして第二回戦の
火蓋
(
ひぶた
)
を
真先
(
まっさき
)
に切ったものは、例に
依
(
よ
)
って長老のエリパズである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
真先
(
まっさき
)
が
彼
(
かの
)
留吉
(
とめきち
)
、中にお花さんが
甲斐〻〻
(
かいかい
)
しく子を
負
(
お
)
って、最後に彼ヤイコクがアツシを
着
(
き
)
、
藤蔓
(
ふじづる
)
で
編
(
あ
)
んだ
沓
(
くつ
)
を
穿
(
は
)
き、マキリを
佩
(
は
)
いて、
大股
(
おおまた
)
に歩いて来る。余は木蔭から
瞬
(
またた
)
きもせず其
行進
(
マアチ
)
を眺めた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
今でも彼は、毎朝
営舎
(
えいしゃ
)
で目をさますと、まず
真先
(
まっさき
)
に
宮城
(
きゅうじょう
)
を
遥拝
(
ようはい
)
し、それから「未来の地下戦車長、岡部一郎」と、
手習
(
てなら
)
いをするのであった。
未来の地下戦車長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
石垣の草には、
蕗
(
ふき
)
の
薹
(
とう
)
も
萌
(
も
)
えていよう。特に桃の花を
真先
(
まっさき
)
に挙げたのは、むかしこの一廓は桃の組といった組屋敷だった、と聞くからである。
絵本の春
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
瞬間、人たちは愕然として
佇
(
たたず
)
んだが、樫田刑事が
真先
(
まっさき
)
に駈け出すと、はっと気づいてその後から、悲鳴の聞えた方へ、ばらばらと走っていった。
謎の頸飾事件
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そして
真先
(
まっさき
)
に源氏の所へ伺候した。長い旅をして来たせいで、色が黒くなりやつれた伊予の長官は
見栄
(
みえ
)
も何もなかった。
源氏物語:04 夕顔
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
文治が先に立って江戸橋へ向って参りますと、
真先
(
まっさき
)
に
紙幟
(
かみのぼり
)
を立て、続いて
捨札
(
すてふだ
)
を持ってまいりますのは、云わずと知れた大罪人をお仕置場へ送るのでございます。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「あの髯生えた黒い
洋服
(
ふく
)
、泥棒だんべい。お前様方刑事かね」と、ここから
真先
(
まっさき
)
に逃げているように見える髯将軍は泥棒と間違えられ、吾輩等は刑事と相成った次第。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
虹汀さらば
詮方
(
せんかた
)
なしと、竹の杖を
左手
(
ゆんで
)
に取り、空拳を舞はして
真先
(
まっさき
)
かけし一人の
刃
(
やいば
)
を奪ひ、続いてかゝる白刃を払ひ落し、群がり落つる
毬棒
(
いがぼう
)
、
刺叉
(
さすまた
)
を
戞矢
(
かっし
)
/\と斬落して
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
夕方の浜辺を散歩する人の数もめっきり少なくなって、甲子を
真先
(
まっさき
)
に、少し遅れて乙子と養子がつづき、最後に澤が、前に行く三人の後姿に興味を持ちながら歩いて行った。
九月一日
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
あなたは、斎藤が思うつぼにはまって、紺オーバーの男に化けて、うちのまわりをうろつき出した時、
真先
(
まっさき
)
にそれを見つけたでしょう。そして、あたしに知らせてくれたわね。
断崖
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「
海棠
(
かいだう
)
の露をふるふや
物狂
(
ものぐる
)
ひ」と
真先
(
まっさき
)
に書き付けて読んで見ると、別に面白くもないが、さりとて気味のわるい事もない。次に「花の影、女の影の
朧
(
おぼろ
)
かな」とやったが、これは季が
重
(
かさ
)
なっている。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それで
真先
(
まっさき
)
に
取止
(
とりや
)
めになったのは、この原子関係の研究であった。
原子爆弾雑話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
𤢖は一匹でなかったが、
他
(
た
)
は入口に立って格闘の模様を窺っていたらしい。で、今や
真先
(
まっさき
)
の一匹が
斯
(
かか
)
る始末となったので、少しく
怯
(
おく
)
れが出たのかも知れぬ。
何
(
いず
)
れも奥へ
引退
(
ひきさが
)
って、再び石を投げ初めた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
真先
(
まっさき
)
にこれを一つと思ったんです。もう堂の中に居るのですから、
不躾
(
ぶしつけ
)
に
廚裡
(
くり
)
へ向って、
大
(
おおき
)
な声は出せません。本堂には祖師の壇があります。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「いや、
大悦
(
おおよろこ
)
びでありました。工藤上等兵と来たら、生命を投げだすようなことは、
真先
(
まっさき
)
に志願する兵でありまして……」
未来の地下戦車長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「サルビヤ号は観音岬沖に
碇泊
(
ていはく
)
しております。駆逐艦がこれを監視しております」そういう報告をきいて、龍介君はにっこり笑いながら、
真先
(
まっさき
)
に
艇
(
ボート
)
へ乗り移った。
危し‼ 潜水艦の秘密
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その女王の服装までも言うのはあまりにはしたないようではあるが、昔の小説にも女の着ている物のことは
真先
(
まっさき
)
に語られるものであるから書いてもよいかと思う。
源氏物語:06 末摘花
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
真先
(
まっさき
)
に黄色い旗を捧げた道案内者が、二人か三人馬に乗って行くと、その後から二三匹
宛
(
ずつ
)
、馬の背中に結び付けられた猿が合計二三十匹、
乃至
(
ないし
)
、四五十匹ぐらい行くのです。
狂人は笑う
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「澤さんはひどいわ。私達を
扶
(
たす
)
けようともしないで
真先
(
まっさき
)
に逃げてしまうんですもの。」
九月一日
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
有難
(
ありがた
)
し有難し、二里位なら一足飛びだと、くわしく道を聴き、急流に沿うて、
或
(
あるい
)
は水を
渉
(
わた
)
り、
或
(
あるい
)
は岩角を
踰
(
こ
)
え、
漸
(
ようや
)
く道らしい道に出たので、一行は勇気数倍し、髯将軍
真先
(
まっさき
)
に軍歌などを
唱
(
うた
)
い出し
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
案内者は車の
真先
(
まっさき
)
に乗っていて、時どきに起立して説明する。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
雪で
束
(
つか
)
ねたようですが、いずれも演習行軍の
装
(
よそおい
)
して、
真先
(
まっさき
)
なのは
刀
(
とう
)
を取って、ぴたりと胸にあてている。それが長靴を高く踏んでずかりと入る。
雪霊続記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何処
(
どこ
)
の家のより立派だというのです。ところが、間もなく
雷鳴
(
らいめい
)
が始まりましたが、雷は天地も
崩
(
くず
)
れるような音をたてて
真先
(
まっさき
)
にこの家に落ちました。
科学が臍を曲げた話
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
源氏の目に
真先
(
まっさき
)
に見えるものは西の対の姫君の寂しがっている面影であった。
源氏物語:09 葵
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
止まると同時に志免警部は、私に一挺のブローニングを渡しながら
真先
(
まっさき
)
に飛び降りて、空色のペンキで塗った門の扉を両手で押したが門は締りがしてなかったと見えてギイと左右に開いた。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
今の二人の
魂消
(
たまぎ
)
りしに何事ならんと駈附けつ、
真先
(
まっさき
)
なるは時次郎、「照子様、どうなさいました、幽霊が出ましたかね。」
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
毛皮を頭からかぶった
真先
(
まっさき
)
にとんできた人間が、銃の
台尻
(
だいじり
)
で熊の尻ぺたをひっぱたいて、嬉しそうに叫んだ。その声は、丁坊をたいそうおどろかせた。
大空魔艦
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その名前だけでも
軽蔑
(
けいべつ
)
してつけられている琴のようですが、宮中の
御遊
(
ぎょゆう
)
の時に図書の役人に楽器の搬入を命ぜられるのにも、ほかの国は知りませんがここではまず
大和
(
やまと
)
琴が
真先
(
まっさき
)
に言われます。
源氏物語:26 常夏
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
(嬉しげに袖に
抱
(
いだ
)
く。そのまま、
真先
(
まっさき
)
に
階子
(
はしご
)
を上る。二三段、と振返りて、
衝
(
つ
)
と鷹を雪の手に据うるや否や)虫が来た。
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
真先
(
まっさき
)
に入ったのは、クラブの事務長の
大杉
(
おおすぎ
)
だった。しかし内部からはウンともスンとも返事がなかった。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
真
常用漢字
小3
部首:⽬
10画
先
常用漢字
小1
部首:⼉
6画
“真”で始まる語句
真
真似
真面目
真実
真直
真中
真紅
真暗
真赤
真鍮