横浜よこはま)” の例文
大震後横浜よこはまから鎌倉かまくらへかけて被害の状況を見学に行ったとき、かの地方の丘陵のふもとを縫う古い村家が存外平気で残っているのに
天災と国防 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
横浜よこはまから、今日きょうひるごろかけてまいりました。これから、もう一さきへゆかなければなりません。うまもだいぶつかれています。」とこたえました。
子供と馬の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そこで諭吉ゆきちは、ま夜中よなかの十二ごろに江戸えどをでて、よる東海道とうかいどうをあるいて、夜明よあけごろに横浜よこはまにつきました。さっそく海岸かいがんのほうへいってみました。
この遠眼鏡にしろ、やっぱりそれで、兄が外国船の船長の持物だったという奴を、横浜よこはまの支那人町の、変てこな道具屋の店先で、めっけて来ましてね。
押絵と旅する男 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
それから横浜よこはま近江屋おうみや——西洋小間物屋こまものやの近江屋が来たら、きょうこっちから出かけたからっていうようにってね
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
法学士はふがくし一人ひとり工学士こうがくし二人ふたり地方ちはう病院長びやうゐんちやう一人ひとり生命保険せいめいほけん会社員くわいしやいん一人ひとり日本鉄道にほんてつだう駅長えきちやう一人ひとり商館番頭しやうくわんばんたう築地つきぢ諸機械しよきかい)と横浜よこはま生糸きいと)とで二人ふたり
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
当人たうにんまゐる気になりましたが、横浜よこはままゐるには手曳てひきがないからと自分の弟の松之助まつのすけといふ者をれまして横浜よこはまへまゐりまして、野毛のげうち厄介やつかいになつて
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
やがて、それが横浜よこはま本牧ほんもく三ノたにだといふことがわかり、生憎電話はないが、夏の七八九、三ヶ月は軽井沢かるゐざわ滞在として、その番地までちやんと名簿に出てゐた。
落葉日記 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
爺さんは、船が神戸こうべ横浜よこはまの港に泊っている間じゅう、めずらしい日本の町々を見物するために、背の高いからだを少し前こごみにして、せっせと歩きまわりました。
海からきた卵 (新字新仮名) / 塚原健二郎(著)
十日ほどでそこを打ち上げた曲馬団きょくばだんは、今度は東京の南のはしの町へうつり、そこでまた十日ほど打ちました。それから横浜よこはまへ行きました。次に小田原おだわらへ行きました。
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
第四編隊と第五編隊とは毒瓦斯と焼夷弾、第六編隊は地雷弾をもって、川崎かわさき横浜よこはま方面の爆撃を命ぜられた。毒瓦斯弾と細菌弾とを持った第七編隊にも特別な命令がくだった。
空襲警報 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ちょうど今から五年以前、女の夫は浅草田原町あさくさたわらまちに米屋の店を開いていましたが、株に手を出したばっかりに、とうとう家産を蕩尽とうじんして、夜逃げ同様横浜よこはまへ落ちて行く事になりました。
捨児 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
私の友達に横浜よこはま商人あきんどなにかで、うちはなかなか派出はでに暮しているものがありましたが、そこへある時羽二重はぶたえ胴着どうぎが配達で届いた事があります。するとみんながそれを見て笑いました。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
間もなく列車は、横浜よこはまを過ぎた。
香水紳士 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
この横浜よこはまにまさるあらめや
横浜市歌 (新字新仮名) / 森林太郎(著)
そのうちに、あれはたしか横浜よこはまのS商会の出品だったから、あちらの同商会の出張所で聞いてみたらいいだろうと教えてくれる人があった。
錯覚数題 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
がつ一日ついたち大地震おおじしんのために、東京とうきょう横浜よこはま、この二つのおおきな都市としをはじめ、関東かんとうたい建物たてものは、あるいはこわれたり、あるいはけたりしてしまいました。
子供と馬の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
兄貴は、君も知っていた通り、毎日横浜よこはまへ通って、○○会社の通訳係をやっているんだが、気の毒だよ、縁談があっても、親父のためにまとまらないのだ。
疑惑 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
よくねんには、横浜よこはま外国人がいこくじんがやってきて、ぼうえきをすることがゆるされました。これまでは、ちいさな漁村ぎょそんだったのですが、きゅうにいきいきとしたまちになりました。
すると横浜よこはま懇意こんいな人が親切に横浜よこはま出稼でかせぎにるがい、うやつてゐては何時いつまでも貧乏してゐる事ではらん、はまはまた贔屓強ひいきづよところだからとつてくれましたので
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
十六ページでしたか、定価ていかが三せん、小説の挿絵さしゑを二めん入れました、これよりさき四六ばん時代じだいいま一人ひとり画家ぐわかくはゝりました、横浜よこはま商館番頭しやうくわんばんとうゆめのやうつゝとふ名、実名じつめいわすれましたが
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
私はそのうち先生の留守に行って、奥さんと二人差向さしむかいで話をする機会に出合った。先生はその日横浜よこはま出帆しゅっぱんする汽船に乗って外国へ行くべき友人を新橋しんばしへ送りに行って留守であった。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
僕は小さい時に絵をくことが好きでした。僕のかよっていた学校は横浜よこはまやまという所にありましたが、そこいらは西洋人ばかり住んでいる町で、僕の学校も教師は西洋人ばかりでした。
一房の葡萄 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
横浜よこはま
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ここから先の地形が、なんとなく横浜よこはま大船おおふな間の丘陵起伏の模様と似通っていた。とある農家の裏畑では、若い女が畑仕事をしているのを見つけた。
旅日記から (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
神奈川かながわ横浜よこはま)・長崎ながさき新潟にいがた兵庫ひょうご神戸こうべ)のみなとをひらくことがきめられました。
ゴットンゴットン各駅に停車して、横浜よこはまへついたのは、もう正午に近い頃であった。
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
漁業者ぎよげふしや建築家けんちくかとで阿米利加あめりかもの二人ふたり地方ちはう中学教員ちうがくけういん一人ひとり某省ぼうせう属官ぞくくわん二人ふたり大阪おほさか横浜よこはまとで銀行員ぎんかういん二人ふたり三州さんしうざいかくれてゑてるのが一人ひとり石炭せきたん売込屋うりこみや一人ひとり
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
まア富貴楼ふつきらうのおくらさんかね、福分ふくぶんもあり、若い時には弁天べんてんはれたくらゐ別嬪べつぴんであつたとさ、たく横浜よこはま尾上町をのへちやうです、弁天通べんてんどほりと羽衣町はごろもちやうちかいから、それに故人こじん御亭主ごていしゆかめさんとふからさ。
七福神詣 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「そうとも、ここから横浜よこはままでは、十あまりもありますからね。」
子供と馬の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いよいよ東京を立って横浜よこはままでは汽車で行ったが、当時それから西はもう鉄道はなかったので、汽船で神戸こうべまで行くか人力じんりきで京都まで行くほかはなかった。
蒸発皿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
借財がまア多く有ったもんだから店を明けている訳にも往かねえで、今では子供を連れて横浜よこはまへ往ってますが旦那、冗談じゃア無え、あの時私ア拾った煙草入だから五十円じゃア安いもんでしょう
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
彼はその土蔵の二階にたたみを敷きつめて、愛蔵の異端の古書や、横浜よこはまの古道具屋で手に入れた、等身大の木彫きぼりの仏像や、数個の青ざめたお能の面などを持込んで、そこに彼の不思議なおりを造りなした。
(新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ともかくも自分には気が引けるようで不愉快であったから、おしまいには横浜よこはまのドーリングとかいう商会へ手紙で聞き合わしたり注文したりする事にしていた。
二十四年前 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
横浜よこはまであったか、神戸こうべであったか、それすらはっきりしないが、とにかくそういう港町の宿屋に、両親に伴なわれてたった一晩泊まったその夜のことであったらしい。
涼味数題 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
ところが十一月になってスクリューを失った一艘の薄ぎたない船が漁船に引かれて横浜よこはまへ入港した。
北氷洋の氷の割れる音 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
そうして東京、横浜よこはま沼津ぬまづ静岡しずおか浜松はままつ名古屋なごや大阪おおさか神戸こうべ岡山おかやま広島ひろしまから福岡ふくおかへんまで一度に襲われたら、その時はいったいわが日本の国はどういうことになるであろう。
時事雑感 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
横浜よこはまから乗って来た英人のCがオランダの女優のいちばん若く美しいのと踊っていた。
旅日記から (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
先生が洋行するので横浜よこはまへ見送りに行った。船はロイド社のプロイセン号であった。
夏目漱石先生の追憶 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)