トップ
>
掻込
>
かいこ
ふりがな文庫
“
掻込
(
かいこ
)” の例文
綺麗
(
きれい
)
な
褄
(
つま
)
をしっとりと、水とすれすれに
内端
(
うちわ
)
に
掻込
(
かいこ
)
んで、一人美人が
彳
(
たたず
)
む、とそれと自分が並ぶんで……ここまで来るともう
恍惚
(
うっとり
)
……
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
若者の
一人
(
いちにん
)
は猟銃を携えていた。
或
(
ある
)
者は棒を持っていた。
或
(
ある
)
者は竹槍を
掻込
(
かいこ
)
んでいた。巡査は
剣
(
けん
)
の
柄
(
つか
)
を握って立った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
しばらくその寝姿を
見戍
(
みまも
)
っていた大蛇嶽、やがて何を思ったか、
掻込
(
かいこ
)
んでいた槍を取直すと、団兵衛の胸先へ
だだら団兵衛
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
夜
(
よ
)
も段々と更け渡ると、孝助は
手拭
(
てぬぐい
)
を
眉深
(
まぶか
)
に
頬冠
(
ほおかむ
)
りをし、
紺看板
(
こんかんばん
)
に
梵天帯
(
ぼんてんおび
)
を締め、槍を小脇に
掻込
(
かいこ
)
んで庭口へ忍び込み、雨戸を少々ずつ
二所
(
ふたところ
)
明けて置いて
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
小法師の姿は
東
(
あずま
)
の空へ、星の中に
法衣
(
ころも
)
の
袖
(
そで
)
を
掻込
(
かいこ
)
んで、うつむいて、すつと立つ、
早走
(
はやばしり
)
と云つたのが、身動きもしないやうに、次第々々に高く
上
(
あが
)
る。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
細い
褄先
(
つまさき
)
が
柔
(
やわら
)
かくしっとりと、
内端
(
うちわ
)
に
掻込
(
かいこ
)
んだ
足袋
(
たび
)
で
留
(
と
)
まって、
其処
(
そこ
)
から
襦袢
(
じゅばん
)
の
友染
(
ゆうぜん
)
が、豊かに膝まで
捌
(
さば
)
かれた。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
帯を掴んで、ぐい、と引いて、
婦
(
おんな
)
の膝を、洋服の尻へ
掻込
(
かいこ
)
んだりと思うと、もろに
凭懸
(
もたれかか
)
った奴が、ずるずると
辷
(
すべ
)
って、それなり
真仰向
(
まあおむ
)
けさ。傍若無人だ。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その内に……婆の手の
傍
(
かたわら
)
から
薄
(
すすき
)
が
靡
(
なび
)
いて、穂のような手が動いた。
密
(
そっ
)
と招いて、胸を開くと、片袖を
掻込
(
かいこ
)
みながら、
腕
(
かいな
)
をしなやかに、その
裾
(
すそ
)
のあたりを教えた。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、にょっと出た、お源を見ると、取次に出ないも道理、勝手働きの
玉襷
(
たまだすき
)
、
長刀
(
なぎなた
)
小脇に
掻込
(
かいこ
)
んだりな。
高箒
(
たかぼうき
)
に
手拭
(
てぬぐい
)
を
被
(
かぶ
)
せたのを、柄長に構えて、
逆上
(
のぼ
)
せた
顔色
(
がんしょく
)
。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と先生警抜なことを云って、
俯向
(
うつむ
)
きざまに、灰を払ったが、
左手
(
ゆんで
)
を袖口へ
掻込
(
かいこ
)
んで胸を張って煙を吸った。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
両膝を
細
(
ほっそ
)
りと
内端
(
うちわ
)
に
屈
(
かが
)
めながら、忘れたらしく投げてた
裾
(
すそ
)
を、すっと
掻込
(
かいこ
)
んで、草へ横坐りになると、今までの様子とは、がらりと変って、
活々
(
いきいき
)
した、
清
(
すずし
)
い調子で
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
夫人 (人形使の
皺手
(
しわで
)
を、脇に
掻込
(
かいこ
)
むばかりにして、先に、番傘をかざして、揚幕へ。——)
山吹
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その細腰を
此方
(
こなた
)
へ、背を
斜
(
ななめ
)
にした
裾
(
すそ
)
が、
脛
(
はぎ
)
のあたりへ
瓦
(
かわら
)
を敷いて、細くしなやかに
掻込
(
かいこ
)
んで、
蹴出
(
けだ
)
したような
褄先
(
つまさき
)
が、中空なれば遮るものなく、
便
(
たより
)
なさそうに、しかし
軽
(
かろ
)
く
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
仇
(
あだ
)
、
情
(
なさけ
)
、
貴下
(
あなた
)
、私も無さそうな形ながら、
婦
(
おんな
)
というだけ、骨の細りと、胸の
辺
(
あたり
)
も慎ましやかに、
頤
(
おとがい
)
を
掻込
(
かいこ
)
んだ姿を、
仔細
(
しさい
)
らしく
視
(
なが
)
めたが、さして心した、というでもなかったに
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
麓
(
ふもと
)
の里に、
錣頭巾
(
しころずき
)
を取って
被
(
かず
)
き、
薙刀
(
なぎなた
)
小脇に
掻込
(
かいこ
)
んだ、
面
(
つら
)
には
丹
(
に
)
を塗り、
眼
(
まなこ
)
は
黄金
(
こがね
)
、
髯
(
ひげ
)
白銀
(
しろがね
)
の、六尺有余の大彫像、
熊坂長範
(
くまさかちょうはん
)
を安置して、
観音扉
(
かんのんびらき
)
を八文字に、格子も
嵌
(
は
)
めぬ
祠
(
ほこら
)
がある。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
其
(
そ
)
の
一人
(
ひとり
)
が、
高足
(
たかあし
)
を
打
(
う
)
つて、
踏
(
ふ
)
んで、
澄
(
すま
)
してプラツトホームを
横状
(
よこざま
)
に
歩行出
(
あるきだ
)
すと、いま
笑
(
わら
)
つたのが
掻込
(
かいこ
)
むやうに
胸
(
むね
)
へ
丼
(
どんぶり
)
を
取
(
と
)
つた。
湯気
(
ゆげ
)
がふつと
分
(
わか
)
れて、
饂飩
(
うどん
)
がする/\と
箸
(
はし
)
で
伸
(
の
)
びる。
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
……
恁
(
か
)
う、
然
(
さ
)
まで
骨々
(
ほね/″\
)
しう
痩
(
や
)
せもしない
兩手
(
りやうて
)
を
行儀
(
ぎやうぎ
)
よく
膝
(
ひざ
)
の
上
(
うへ
)
に
組
(
く
)
んだんですが、
其
(
その
)
藍
(
あゐ
)
がかつた
衣服
(
きもの
)
を
膝頭
(
ひざがしら
)
へするりと、
掻込
(
かいこ
)
みました、
褄
(
つま
)
が
揃
(
そろ
)
つて、
其
(
そ
)
の
宙
(
ちう
)
に
浮
(
う
)
いた
下
(
した
)
の
床
(
ゆか
)
へ、すつと
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
一つ
揺直
(
ゆすりなお
)
して、
下褄
(
したづま
)
を
掻込
(
かいこ
)
んで、本堂へ立向って、ト
頭
(
つむり
)
を下げたところ。
縁結び
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何
(
なあに
)
、正体を見れば、閑古鳥にしろ、
直
(
じき
)
そこいらの樹の枝か葉隠れに、翼を
掻込
(
かいこ
)
んだのが、けろりとした目で、
閑
(
ひま
)
に
任
(
ま
)
かして、退屈まぎれに
独言
(
ひとりごと
)
を言っているのであろうけれども、心あって聞く者が
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ありがとう……提灯の柄のお力添に、片手を縋って、一方に
洋杖
(
ステッキ
)
だ。こいつがまた素人が拾った
櫂
(
かい
)
のようで、うまく調子が取れないで、だらしなく袖へ
掻込
(
かいこ
)
んだ処は
情
(
なさけ
)
ない、まるで
両杖
(
りょうづえ
)
の形だな。」
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
棄て置けば
狐狸
(
こり
)
の
棲処
(
すみか
)
、さもないまでも乞食の宿、
焚火
(
たきび
)
の火
沙汰
(
ざた
)
も不用心、給金出しても人は住まず、持余しものになるのを見済まし、立腐れの柱を根こぎに、瓦屋根を踏倒して、
股倉
(
またぐら
)
へ
掻込
(
かいこ
)
む算段
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……
翼
(
つばさ
)
を
掻込
(
かいこ
)
んだ、
地
(
ち
)
を
渡
(
わた
)
る
鳥
(
とり
)
の
影
(
かげ
)
が
黒
(
くろ
)
く
映
(
うつ
)
つた。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ト
裾
(
すそ
)
を一つ
掻込
(
かいこ
)
んで
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
掻
漢検準1級
部首:⼿
11画
込
常用漢字
中学
部首:⾡
5画
“掻”で始まる語句
掻
掻巻
掻合
掻廻
掻消
掻口説
掻取
掻分
掻乱
掻上