捕縛ほばく)” の例文
大犯人捕縛ほばくと五百万円ダイヤ取りもどしのごほうびとしてもらった二組のベースボールの道具を使って、少年たちは大にこにこである。
骸骨館 (新字新仮名) / 海野十三(著)
同時に、周囲にいた黄信、史進、秦明らが、たちどころに、彼の上へおいかぶさり、そのよろいもかぶといで、捕縛ほばくしてしまった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かれよるになつてもあかりをもけず、よもすがらねむらず、いまにも自分じぶん捕縛ほばくされ、ごくつながれはせぬかとたゞ其計そればかりをおもなやんでゐるのであつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
捕縛ほばく、たたっ込んだは地下の牢屋『どうだ天草、参ったか!』貴殿にガ——ンと食らわされた時には、文字通りガ——ンと参ってござるよ
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「いかなる方法をもっても」というのは、H21にとって死を意味する。今日まで彼女は、捕縛ほばくされた場合の一つのいいぬけを持っていた。
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
前大蔵大臣は一旦呼び出されたが牢屋ろうやには入れられずお下げになった様子である。けれども後にはきっと捕縛ほばくされるに違いないという評判。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
しかすこしの米を京都におくることをもこばんで、細民さいみんが大阪へ小買こがひに出ると、捕縛ほばくするのは何事だ。おれは王道の大体を学んで、功利の末技を知らぬ。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
とりかこんで、じっと待っていてもいいのですよ。そのうちに、やつらはつかれきって、降参してしまうでしょう。もう捕縛ほばくしたも同じことです。
少年探偵団 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
丁度私が城中の外務省に出て居た日で、大変だ、今脇屋が捕縛ほばくされたと云う中に、縛られては居ないが同心を見たような者がついて脇屋が廊下をとおっいった。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
しかしそれはいつわりである。彼等はかたきを取った後、警官の捕縛ほばくするところとなり、ことごとく監獄かんごくに投ぜられた。
猿蟹合戦 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
判事はんじが子どもをれて寺へはいったどろぼうの捕縛ほばくを待つために、わたしはとうとう放免ほうめんされなかった。
四馬路すまろの雑踏のなかで支那人の労働者が過激の渡説を始めたがたちまち警吏のために捕縛ほばくされてしまった。
地図に出てくる男女 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
むかし耶蘇教の弟子でしパウロは新しき宗教を奉じたとがをもって捕縛ほばくせられむちうたれ、ごくに投ぜられ種々の苦を受けたが、ついに国王の前に呼び出され、御前裁判を受けたとき
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
われわれが彼らを拒絶することは、彼らを断頭台だんとうだいへまで追い上げることを意味している。われわれは、彼らをおかへ追いやれば、彼らはすぐ政府の役人によって捕縛ほばくされるだろう。
船医の立場 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
余りの事に友之助がかたりめ泥坊めと大声を放ってのゝしりますと、門弟どもが一同取ってかゝり、友之助を捕縛ほばくして表へ引出し、さん/″\打擲ちょうちゃくした揚句あげくはて、割下水の大溝おおどぶ打込うちこ
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
三膳出しましたといって、かえってこの男をあやしんだ、ここおいてこの男は主人の妻子が付纏つきまとって、こんな不思議を見せるのだと思い、とてのがれぬと観念した、自訴じそせんととっえす途上捕縛ほばくされて
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
発したから今頃は捕縛ほばくされた時分だ
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
「まだ白っぱくれているな。吾々の眼はもう胡魔化ごまかされんぞ。白丘ダリアが嫌いだったら、『赤外線男』として汝を捕縛ほばくする。それッ」
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
梅雪ばいせつ御前ごぜんにでて、入道頭にゅうどうあたまをとくいそうにふり立てて、かねて厳探中の伊那丸いなまる捕縛ほばくした顛末てんまつを、さらに誇張こちょうして報告した。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かれよるになってもあかりをもけず、よもすがらねむらず、いまにも自分じぶん捕縛ほばくされ、ごくつながれはせぬかとただそればかりをおもなやんでいるのであった。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
捕縛ほばくされた一人を抜かして、ほかの二十九人は全部、第二号の創作になる仮想的人物、初めから存在しないのだった。
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
だが、ああ、その時、今一瞬にして怪人を発見捕縛ほばくするばかりとなったそのとき、たちまちにして、場内は、またしてもまっ暗闇くらやみとなってしまった。
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
中津藩においては古来未曾有みぞうの大事件、もしこの事をして三十年の前にあらしめなば、即日にその党与を捕縛ほばくして遺類いるいなきは疑をれざるところなれども、如何いかんせん
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
なお一人の共犯者きょうかんしゃに対しては、追跡ついせき中であるからほどなく捕縛ほばく手続てつづきをするはずである。
つまり公道を取って捕縛ほばくせられてひどい目に遇うかまた間道を取って猛獣のために喰われて死ぬか、あるいは強盗のために殺されるか、どうせまぬかれぬ困難なら本道を取りましょう。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
撃ったが最後世間へ知れ、有司ゆうしの疑いを招くだろう。邪教徒の教会はすぐに露見だ。一網打尽に捕縛ほばくされよう。……断じて鉄砲を撃つ筈はない……弓手ゆみての方さえ注意したら、まず大丈夫というものだ
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そして、あたしは附近にいたというだけのへんな理由で、私服警官のため、その身投げ男の妻と見られて、捕縛ほばくされちまったの。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と、捕縛ほばくしたとき、長兵衛が、身に持っている金子十枚をやるから逃がしてくれ——といったことを、みずからの潔白けっぱくも誇るべく、家康へはなした。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
翌朝よくあさイワン、デミトリチはひたひ冷汗ひやあせをびつしよりといて、とこから吃驚びつくりして跳起はねおきた。もういまにも自分じぶん捕縛ほばくされるとおもはれて。さうしてみづかまたふかかんがへた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「ああ、ざんねんだなあ。せっかく二十面相のかくれがをつきとめたのに、その場所がちゃんとわかっているのに、賊を捕縛ほばくすることができないなんて。」
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
この柳本直太郎やぎもとなおたろうが親切に看病して、横浜に着船した。その時は丁度ちょうど仙台藩がいよ/\朝敵になったときで、江戸中で仙台人と見れば見付みつけ次第捕縛ほばくうことになって居る。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
モスコーにこれと同じ事件が頻発ひんぱつして、やはり売春婦のみが排他的に殺され、切開手術のような暴虐が各体に追加してあったが、この犯人は捕縛ほばくされて、精神病者と判明し
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
それに引きかえ、カンカン寅捕縛ほばくと共に、明かな失望を抱いたのは、この壮平爺さんだった。彼はあの古い建物の持ち主だった。
疑問の金塊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「何か、人違えでもしたのじゃないかな。わしは巡査の旗岡剛蔵という者でありますぞ。どれ、それじゃ三階へ行って、犯人を捕縛ほばくして来るとするか」
旗岡巡査 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
翌朝よくあさイワン、デミトリチはひたい冷汗ひやあせをびっしょりといて、とこから吃驚びっくりして跳起はねおきた。もういまにも自分じぶん捕縛ほばくされるとおもわれて。そうしてみずからまたふかかんがえた。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
そして、捕縛ほばくされるのがこわさに、東京から逃げだしてしまったのでしょうか。いやいや、ゆだんはできません。相手は、何しろ魔法使いのような怪物です。
妖怪博士 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
おまけに、続出する被害者の身分まで厳正に一定され、いままた、こうして犯人の顔を実見じっけんした者さえ出てきたにかかわらず、ついに捕縛ほばくの日を見ることなくして終ったのだ。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
それが官憲かんけんに知れると、立ちどころに君は殺人魔として捕縛ほばくされるところだった。僕はそれを西一郎の手をて君の手に戻してやった
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
公綽は、役所から警吏けいりを連れて行って、直に、十二箇の柩をかついでいる男たちを捕縛ほばくしてしまった。後、棺を破ってみると米がいっぱい詰込んであった。
人間山水図巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そう、君のお父さんだよ。君を捕縛ほばくしただけでは少し物足りないからね。ついでに親子もろとも引っくくって警察の方へ引き渡してやろうかと思うのだよ」
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ならびに誘拐ゆうかい者の捕縛ほばくに資する重要材料の提出者には、告知と同時に二万五千ドルを与えるというので、これはじつに、真正面から誘拐者を相手どった、思いきった挑戦だった。
チャアリイは何処にいる (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
「もう、お覚悟はついたことでしょうが、柿丘秋郎殺害犯人として、貴方あなた捕縛ほばくします。令状は、ここにちゃんとあります」
振動魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「人間豹がいるなんてばかなことがあるもんか。あいつはちゃんと捕縛ほばくされているのじゃないか」
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
この女さえ捕縛ほばくすれば、急転直下な事件の解決は望み得ないまでも、ともかく、夜明けと共に、刑場の露となる愛子郁次郎の一命だけは、しばらく、先へのばすことに
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あらためて犯人の捕縛ほばくにむかって探査の歩を進めなかったか。
チャアリイは何処にいる (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
きん青年殺害事件は案外呆気あっけなく処理されてしまった。官辺かんぺんでは、帆村が捕縛ほばくした例の男を犯人として判定してしまった。
ゴールデン・バット事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
明智はピストルを文代に渡して、部下の者を捕縛ほばくする為に、甲板へ出て行った。
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
神のおなわをあずかって、神庭しんてい狼藉者ろうぜきもの捕縛ほばくする使いである。理非りひはともあれ、御岳みたけおきてを見るなかれ」のちかいをやぶった忍剣にたいして、とうぜん、そのご神縄しんじょうがくだったのである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ワシントン市におけるスパイの巣窟そうくつはついに壊滅かいめつし、スパイの大半は捕縛ほばくせられ、その一部は、自殺または逃走した。
地球要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
といっても、あのやかましい秀吉から、その捕縛ほばくをいいつけられている呂宋兵衛は、なんとしても、勝頼を秀吉の面前へ拉致らっちしていかなければ、たちまち、かれの信用が失墜しっついすることになる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)