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御堂
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みどう
ふりがな文庫
“
御堂
(
みどう
)” の例文
主従三人お昼すぎから増上寺のお花
御堂
(
みどう
)
の
灌仏会
(
かんぶつえ
)
に出かけて、ついでのことにおなかへも供養にと、目黒の名物たけのこめしへ回り
右門捕物帖:14 曲芸三人娘
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
西山に
御堂
(
みどう
)
の御建築ができて、お移りになる用意をあそばしながらも、一方では女三の宮の
裳着
(
もぎ
)
の挙式の
仕度
(
したく
)
をさせておいでになった。
源氏物語:34 若菜(上)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
それから——無住ではない、住職の和尚は、
斎稼
(
ときかせ
)
ぎに出て留守だった——その寺へ伴われ、
庫裡
(
くり
)
から、ここに
准胝観世音
(
じゅんでいかんぜおん
)
の
御堂
(
みどう
)
に詣でた。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「おん奥の方には、先つ頃、
上洛
(
のぼ
)
りました節、
清水
(
きよみず
)
の
御堂
(
みどう
)
のほとりで、よそながらお姿を拝したことがござりますが、お
館
(
やかた
)
には、今宵が初めて」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
路
(
みち
)
に迷いて
御堂
(
みどう
)
にしばし
憩
(
いこ
)
わんと入れば、銀に
鏤
(
ちり
)
ばむ祭壇の前に、空色の
衣
(
きぬ
)
を肩より流して、
黄金
(
こがね
)
の髪に雲を起せるは
誰
(
た
)
ぞ
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
こりゃ
下郎
(
げろう
)
。ただ今もその方が申す如く、この
御堂
(
みどう
)
供養の庭には、
法界
(
ほっかい
)
の
竜象
(
りゅうぞう
)
数を知らず並み居られるには相違ない。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
このごろ
日脚
(
ひあし
)
西に入り易く、四時過ぎに学校を
出
(
い
)
で、五時半に羽生に着けば日まったく暮る。夜、九時、湯に行く。秋の夜の
御堂
(
みどう
)
に友の
涙
(
なみだ
)
冷
(
ひや
)
やかなり。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
テニス・コウトで草むしりをして居た女から、
御堂
(
みどう
)
では草履をはかせないことを聞いて戻り、やっと内に入った。
長崎の一瞥
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
大正十二年の震災にも焼けなかった
観世音
(
かんぜおん
)
の
御堂
(
みどう
)
さえこの度はわけもなく灰になってしまったほどであるから、火勢の猛烈であったことは、三月九日の夜は同じでも
草紅葉
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
いつも
常会
(
じょうかい
)
をひらくまえに、
境内
(
けいだい
)
をみんなで
掃除
(
そうじ
)
することになっているのだが、きょうは
僕
(
ぼく
)
はひとつみんなの
気
(
き
)
のつかないところをしてやろうと、
御堂
(
みどう
)
の
裏
(
うら
)
へまわって
ごんごろ鐘
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
九重の塔も六重までが振り落され、三十三間の
御堂
(
みどう
)
も、十七間までが倒れ、皇居を始め、諸々の神社仏閣から、一般の民家にいたるまで、倒壊するもの数知れない有様であった。
現代語訳 平家物語:12 第十二巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
時の関白殿が施主となって営まるる大法要というのであるから、仏の兼輔に親しいも
疎
(
うと
)
いもみな袂をつらねて法性寺の
御堂
(
みどう
)
にあつまった。門前は人と車とで押し合うほどであった。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「小さいご本尊に大きい
御堂
(
みどう
)
、これには不思議はないとしても、この浅草の観音堂と信州長野の善光寺とは、特にそれが著しいな」こういったのは
年嵩
(
としかさ
)
の方で、どうやら階級も上らしい。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
一体俊成の出た
御子左
(
みこひだり
)
の家は
御堂
(
みどう
)
関白道長の子
長家
(
ながいえ
)
から出た。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
御堂
(
みどう
)
の平吉が握り
拳
(
こぶし
)
で眼をひっこすりながら
無頼は討たず
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
この松庵寺の物置
御堂
(
みどう
)
の仏の前で
智恵子抄
(新字旧仮名)
/
高村光太郎
(著)
大杉に隠れて
御堂
(
みどう
)
秋の風
五百五十句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
と両手を
擦
(
す
)
り合わせて絶望的な
歎息
(
たんそく
)
をしているのであった。
弟子
(
でし
)
たちに批難されては月夜に出て
御堂
(
みどう
)
の
行道
(
ぎょうどう
)
をするが池に落ちてしまう。
源氏物語:13 明石
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
祖師堂は典正なのが
同一棟
(
ひとつむね
)
に別にあって、幽厳なる
夫人
(
ぶにん
)
の
廟
(
びょう
)
よりその
御堂
(
みどう
)
へ、細長い古畳が欄間の黒い
虹
(
にじ
)
を引いて続いている。
夫人利生記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「何としても、おきき入れかなわぬ上はこれまでのものです。御一門の
魁
(
さきがけ
)
に、まずわれら両名ここの
御堂
(
みどう
)
を拝借して、腹掻ッ切って相果てまする」
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
実は我と物を区別してこれを
手際
(
てぎわ
)
よく安置するために空間と時間の
御堂
(
みどう
)
を
建立
(
こんりゅう
)
したも同然である。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その向うにある
御堂
(
みどう
)
の屋根などは霞んで見えない筈でございますが、この雲気はただ、
虚空
(
こくう
)
に何やら形の見えぬものが
蟠
(
わだか
)
まったと思うばかりで、晴れ渡った空の色さえ
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
人力では及びのつかない、神仏の加護を借りて、権力の座にいつまでも
止
(
とど
)
まることを願うという心理にもとづくものである。鳥羽院もかねがね三十三間の
御堂
(
みどう
)
を建てたがっていた。
現代語訳 平家物語:01 第一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
一人の女がその前を、
御堂
(
みどう
)
の方へ小走って行った。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
藪
(
やぶ
)
と
御堂
(
みどう
)
の
間
(
あいだ
)
のしめった
落
(
お
)
ち
葉
(
ば
)
をはいた。
ごんごろ鐘
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
池の
彼方
(
かなた
)
に、霧の
空
(
そら
)
なる龍宮の如き
御堂
(
みどう
)
の棟を
静
(
しずか
)
な朝波の上に見つつ行くと、水を隔てた
此方
(
こなた
)
の
汀
(
みぎわ
)
に少し
下
(
さが
)
る処に、
一疋
(
いっぴき
)
倒れた獣があった。
露萩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
自家の
御堂
(
みどう
)
とか、
桂
(
かつら
)
の院とかへ行って定まった食事はして、貴人の体面はくずさないが、そうかといって並み並みの
妾
(
しょう
)
の家らしくはして見せず
源氏物語:19 薄雲
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
御堂
(
みどう
)
の両側に、柳と菩提樹を植えて、手を
洗
(
すす
)
いでいた上人の前へ、夫婦は、おそるおそる来て、大地に両手をつかえ
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
御堂
(
みどう
)
も只今は焼けてございませんが、何しろ国々の良材を御集めになった上に、
高名
(
こうみょう
)
な
匠
(
たくみ
)
たちばかり御召しになって、
莫大
(
ばくだい
)
な
黄金
(
こがね
)
も御かまいなく、御造りになったものでございますから
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
御堂
(
みどう
)
の屋根を
蔽
(
おお
)
い包んだ、杉の樹立の、
廂
(
ひさし
)
を
籠
(
こ
)
めた影が
射
(
さ
)
す、
炉
(
ろ
)
の灰も
薄蒼
(
うすあお
)
う、茶を煮る火の色の
※
(
ぱっ
)
と冴えて、
埃
(
ほこり
)
は見えぬが、休息所の古畳。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
人型として見るのに満足しようとする心から申せば山里の
御堂
(
みどう
)
の本尊を考えないではおられません。なおもう少し確かな話を聞かせてくださいませんか
源氏物語:51 宿り木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「われらは、一寸たりと、当石山
御堂
(
みどう
)
は
退
(
ひ
)
きませぬ。たとえ父君以下、門徒ことごとくこの地をお去りあろうとも」
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今思出でつと言うにはあらねど、世にも慕わしくなつかしきままに、
余所
(
よそ
)
にては同じ
御堂
(
みどう
)
のまたあらんとも覚えずして、この
年月
(
としつき
)
をぞ
過
(
すご
)
したる。
一景話題
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
嵯峨野
(
さがの
)
の
御堂
(
みどう
)
に何もそろっていない所にいらっしゃる仏様へも御
挨拶
(
あいさつ
)
に寄りますから二、三日は帰らないでしょう
源氏物語:18 松風
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
武蔵は、そこから少し先の
御堂
(
みどう
)
の棟に打ち並べてある、沢山な寄進
札
(
ふだ
)
を仰いでいたのである。伊織が駈け寄って
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
更に、日もおかず、お絹が土手番町へ訪ねて来た、しかもその夜、上野の
清水
(
きよみず
)
の
御堂
(
みどう
)
の舞台に、おなじように、二人で立つ事になったんです——
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
源氏は
御堂
(
みどう
)
へ行って毎月十四、五日と三十日に行なう
普賢講
(
ふげんこう
)
、
阿弥陀
(
あみだ
)
、
釈迦
(
しゃか
)
の念仏の
三昧
(
さんまい
)
のほかにも日を決めてする
法会
(
ほうえ
)
のことを僧たちに命じたりした。
源氏物語:18 松風
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
話しながら、歩き出すと、
菰
(
こも
)
の十郎とお
稚児
(
ちご
)
のふたりは、もう
浅草寺
(
せんそうじ
)
の
御堂
(
みどう
)
の縁へ行って、先に腰かけている。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
言うまでもないが、手帳にこれをしるした人は、
御堂
(
みどう
)
の柱に、うたた
寐
(
ね
)
の歌を
楽書
(
らくがき
)
したとおなじ玉脇の妻、みを子である。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
少し
閑暇
(
ひま
)
のできたころであったから、
御堂
(
みどう
)
の仏勤めにも没頭することができて、二、三日源氏が山荘にとどまっていることで女は少し慰められたはずである。
源氏物語:19 薄雲
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
花は、夜の風にのって、
御堂
(
みどう
)
の廊に、雪のように吹きこむ。
音誦朗々
(
おんずろうろう
)
——衆僧の読経もまたつづく。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いやいや、
御堂
(
みどう
)
、
御社
(
みやしろ
)
に、
参籠
(
さんろう
)
、
通夜
(
つや
)
のものの、うたたねするは、神の
御
(
お
)
つげのある折じゃと申す。神慮のほども
畏
(
かしこ
)
い。……
眠
(
ねむり
)
を驚かしてはなるまいぞ。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
例年のように秋のふけて行くころになれば、寝ざめ寝ざめに故人のことばかりの思われて悲しい薫は、
御堂
(
みどう
)
の竣成したしらせがあったのを機に宇治の山荘へ行った。
源氏物語:52 東屋
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「いや、お吟様へ告げて来るあいだ、寂しかろうが、
御堂
(
みどう
)
の縁で、休んでいて貰いたいのだ」
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
既に、草刈り、
柴
(
しば
)
刈りの女なら知らぬこと、髪、
化粧
(
けわい
)
し、
色香
(
いろか
)
、
容
(
かたち
)
づくった町の女が、
御堂
(
みどう
)
、拝殿とも言わず、この
階
(
きざはし
)
に
端近
(
はしぢか
)
く、
小春
(
こはる
)
の
日南
(
ひなた
)
でもある事か。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お居間に隣った
念誦
(
ねんず
)
の室のほかに、新しく建築された
御堂
(
みどう
)
が西の対の前を少し離れた所にあってそこではまた尼僧らしい厳重な勤めをあそばされた。源氏が伺候した。
源氏物語:10 榊
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
……それを、私はゆうべ、わが子の病気平癒の祈願のため、あの妙厳寺の
荼吉尼天堂
(
だきにてんどう
)
に
夜籠
(
よごも
)
りしているうちに、夢ともうつつともなく、
御堂
(
みどう
)
の内で、つい聞いていたのでした。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
尤
(
もっと
)
も、
御堂
(
みどう
)
のうしろから、左右の
廻廊
(
かいろう
)
へ、山の幕を
引廻
(
ひきまわ
)
して、
雑木
(
ぞうき
)
の枝も
墨染
(
すみぞめ
)
に、
其処
(
そこ
)
とも
分
(
わ
)
かず
松風
(
まつかぜ
)
の声。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お
身体
(
からだ
)
を楽になさいましてはお
弾
(
ひ
)
きになりました
琴
(
きん
)
と
琵琶
(
びわ
)
を持ってよこさせになりまして、仏前でお
暇乞
(
いとまご
)
いにお弾きになりましたあとで、楽器を
御堂
(
みどう
)
へ寄進されました。
源氏物語:34 若菜(上)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
御堂
(
みどう
)
の内陣から洩れる
灯
(
あか
)
りの方へ、その手紙をさし向けて、お綱がおののく手に持ったのを見ると、ああ、それはなんという不思議な人の名——不思議な
輪廻
(
りんね
)
のあらわれであろう。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
御
常用漢字
中学
部首:⼻
12画
堂
常用漢字
小5
部首:⼟
11画
“御堂”で始まる語句
御堂殿
御堂筋
御堂裏
御堂格子
御堂内
御堂坂
御堂扉
御堂村
御堂供養
御堂垣外