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いくばく
ふりがな文庫
“
幾干
(
いくばく
)” の例文
彼が
生立
(
おひたち
)
の状況洋行の源因就学の有様を描きたりとて本篇に
幾干
(
いくばく
)
の光彩を増すや、本篇に幾干の関係あるや、予は
毫
(
がう
)
も之が必要を見ざるなり。
舞姫
(新字旧仮名)
/
石橋忍月
(著)
心に礼ある人を尋ねなば
滔々
(
とうとう
)
たる天下
幾干
(
いくばく
)
かある。形の礼も軽んずべからず、
然
(
しか
)
れども心の礼のなお一層重き事を思うべし。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
行
(
ゆ
)
くこと
未
(
いま
)
だ
幾干
(
いくばく
)
ならず、予に先むじて
駈込
(
かけこ
)
みたる犬は奥深く進みて見えずなりしが、
哬呀
(
あなや
)
何事
(
なにごと
)
の
起
(
おこ
)
りしぞ、
乳虎
(
にうこ
)
一声
(
いつせい
)
高く吠えて
藪中
(
さうちう
)
俄
(
にはか
)
に
物騒
(
ものさわ
)
がし
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
幾干
(
いくばく
)
もない自己の生命を、正太は自覚するもののように見えた。その日は
沈着
(
おちつ
)
いて、言うことも
平常
(
いつも
)
と変らなかった。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
高山
(
こうざん
)
の
麓
(
ふもと
)
の谷は深い。世界第一の
高峻
(
こうしゅん
)
雪山
(
せつさん
)
を
有
(
も
)
つ印度の
洋
(
うみ
)
は、
幾干
(
いくばく
)
の人の死体を埋めても埋めても埋めきれぬ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
彼は租税と価格とを合計して土地が
幾干
(
いくばく
)
に値するかを考慮する。租税の方に多くを支払うを余儀なくされるほど、彼は価格の方により少く与える気になるであろう。
経済学及び課税の諸原理
(新字新仮名)
/
デイヴィッド・リカード
(著)
庄兵衛は黙って
頷
(
うな
)
ずき紙入れから
幾干
(
いくばく
)
かを取出し、懐紙に包んで差出した、すべて無言だし、こちらへ眼も向けない、「済みません」伝七郎は手早く
袂
(
たもと
)
へ押込むと
恋の伝七郎
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
恁
(
か
)
くてイワン、デミトリチは
宿
(
やど
)
を
借
(
かり
)
る
事
(
こと
)
も、
療治
(
れうぢ
)
する
事
(
こと
)
も、
錢
(
ぜに
)
の
無
(
な
)
いので
出來兼
(
できか
)
ぬる
所
(
ところ
)
から、
幾干
(
いくばく
)
もなくして
町立病院
(
ちやうりつびやうゐん
)
に
入
(
い
)
れられ、
梅毒病患者
(
ばいどくびやうくわんじや
)
と
同室
(
どうしつ
)
する
事
(
こと
)
となつた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
また後進をも益するようになったならば、彼世における夫の満足は果して
幾干
(
いくばく
)
であろうぞなど、かく考え直した結果、夫人は遂に故人の友人、門弟らの勧告に同意して
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
しかして来年の計を為し貯蓄を有するもの
幾干
(
いくばく
)
かある、来月に備うる貯蓄を有せざる家何ぞ多きや、人類の過半数は
軒端
(
のきば
)
に
餌
(
え
)
を求むる雀のごとく、山野に食を探る熊のごとく
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
今は我が立てるところを去る
幾干
(
いくばく
)
もあらぬ下より遙に向ふの方
際涯
(
はて
)
知らぬあたりまで、平らかにして大江の水の如くなる白雲たなびき渡り、村もかくし川もかくし山々谿々も
匿
(
かく
)
しはてゝ
雲のいろ/\
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
パトロンが
幾干
(
いくばく
)
の年金を出したことがあったにしても、晩年はそれさえも絶え、いろいろ運動があったにもかかわらずウィーンの政府は進んでこの巨人の生活を保護してはくれなかった。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
一同が途中で待合せつつ
幾干
(
いくばく
)
か日数を費すような訳になったのである。
利尻山とその植物
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
僕は近頃屡ば面会して当時の事情を詳しく聞ひたが、阪崎氏の「
汗血千里駒
(
かんけつせんりのこま
)
」や民友社の「阪本龍馬」などとは事実が余程違つて居る、符合した処も
幾干
(
いくばく
)
か有るが
鷺
(
さぎ
)
を
鴉
(
からす
)
と言ひ黒めた処も尠なからぬ。
千里駒後日譚
(新字旧仮名)
/
川田瑞穂
、
楢崎竜
、
川田雪山
(著)
激しく火を噴き墜つるたまゆらの機上
幾干
(
いくばく
)
を
眼
(
まなこ
)
見すゑし
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
親元へ
引渡
(
ひきわた
)
すより外に
了簡
(
れうけん
)
なしと評決して其段奉行所へ願ひ出でければ大岡殿聞屆られ親元へ相對に致すべき
旨
(
むね
)
申渡されしにより其段豐島屋より親元へ
掛合
(
かけあひ
)
猶又
双方
(
さうはう
)
より
伺
(
うかゞ
)
ひ
濟
(
ずみ
)
の上豐島屋より衣類其外殘る所なく支度して金子も
幾干
(
いくばく
)
か相添七右衞門方へ娘を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
かくてイワン、デミトリチは
宿
(
やど
)
を
借
(
かり
)
ることも、
療治
(
りょうじ
)
することも、
銭
(
ぜに
)
の
無
(
な
)
いので
出来兼
(
できか
)
ぬる
所
(
ところ
)
から、
幾干
(
いくばく
)
もなくして
町立病院
(
ちょうりつびょういん
)
に
入
(
い
)
れられ、
梅毒病患者
(
ばいどくびょうかんじゃ
)
と
同室
(
どうしつ
)
することとなった。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
未
(
いま
)
だ
幾干
(
いくばく
)
ならざるに、
昌黎
(
しやうれい
)
、
朝
(
てう
)
に
佛骨
(
ぶつこつ
)
の
表
(
へう
)
を
奉
(
たてまつ
)
るに
因
(
よ
)
り、
潮州
(
てうしう
)
に
流
(
なが
)
されぬ。
八千
(
はつせん
)
の
途
(
みち
)
、
道
(
みち
)
に
日
(
ひ
)
暮
(
く
)
れんとし
偶
(
たま/\
)
雪
(
ゆき
)
降
(
ふ
)
る。
晦冥陰慘
(
くわいめいいんさん
)
、
雲
(
くも
)
冷
(
つめ
)
たく、
風
(
かぜ
)
寒
(
さむ
)
く、
征衣
(
せいい
)
纔
(
わづか
)
に
黒
(
くろ
)
くして
髮
(
かみ
)
忽
(
たちま
)
ち
白
(
しろ
)
し。
花間文字
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
大原ぬしがあの誠実と熱心とを以て西洋の家庭教育を調べ給わば帰来
我邦
(
わがくに
)
を益する事
幾干
(
いくばく
)
ぞ。学校教育には学士や博士の多きこと山の
如
(
ごと
)
くなれどもいまだ著しき教育の効果を見ず。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
ああ事業よ事業よ
幾干
(
いくばく
)
の偽善と卑劣手段と嫉妬と
争
(
あらそい
)
とは汝の名に
依
(
より
)
て
惹起
(
ひきおこ
)
されしや。
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
今日は釣る人の
幾干
(
いくばく
)
もあらじと思ひけるに、釣るべきところに来りて見れば釣り舟の数もいと多くして、なか/\数へ得べくもあらぬまでおびたゞしく、秋の木の葉と散り浮きたるさま
鼠頭魚釣り
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
旅順
(
りよじゆん
)
の
吉報
(
きつぱう
)
傳
(
つた
)
はるとともに
幾干
(
いくばく
)
の
猛將
(
まうしやう
)
勇士
(
ゆうし
)
、
或
(
あるひ
)
は
士卒
(
しそつ
)
——
或
(
あるひ
)
は
傷
(
きず
)
つき
骨
(
ほね
)
も
皮
(
かは
)
も
散々
(
ちり/″\
)
に、
影
(
かげ
)
も
留
(
とゞ
)
めぬさへある
中
(
なか
)
に
夫
(
をつと
)
は
天晴
(
あつぱれ
)
の
功名
(
こうみやう
)
して、
唯
(
たゞ
)
纔
(
わづか
)
に
左
(
ひだり
)
の
手
(
て
)
に
微傷
(
かすりきず
)
を
受
(
う
)
けたばかりと
聞
(
き
)
いた
時
(
とき
)
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
ああ
幾干
(
いくばく
)
の無神論者は基督教信徒自身の製造に
罹
(
かか
)
るや、余はかつて聞けり
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
楢
(
なら
)
、
桂
(
かつら
)
、
山毛欅
(
ぶな
)
、
樫
(
かし
)
、
槻
(
つき
)
、
大木
(
たいぼく
)
大樹
(
たいじゆ
)
の
其
(
そ
)
の
齢
(
よはひ
)
幾干
(
いくばく
)
なるを
知
(
し
)
れないのが、
蘚苔
(
せんたい
)
、
蘿蔦
(
らてう
)
を、
烏金
(
しやくどう
)
に、
青銅
(
せいどう
)
に、
錬鉄
(
れんてつ
)
に、
刻
(
きざ
)
んで
掛
(
か
)
け、
鋳
(
い
)
て
絡
(
まと
)
うて、
左右
(
さいう
)
も、
前後
(
ぜんご
)
も、
森
(
もり
)
は
山
(
やま
)
を
包
(
つゝ
)
み、
山
(
やま
)
は
巌
(
いは
)
を
畳
(
たゝ
)
み
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
幾
常用漢字
中学
部首:⼳
12画
干
常用漢字
小6
部首:⼲
3画
“幾干”で始まる語句
幾干金
幾干銭
幾干月
幾干歳