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婆
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ばば
ふりがな文庫
“
婆
(
ばば
)” の例文
お前様みたいな方は、若いうちも年取りなっても同じなんべえけど、己等みたいなものは、
婆
(
ばば
)
になったらはあ、もうこれだ、これだ。
農村
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
平生
(
へいぜい
)
私の処に
能
(
よ
)
く来るお
婆
(
ばば
)
さんがあって、私の母より少し年長のお婆さんで、お
八重
(
やえ
)
さんと云う人。今でも
其
(
そ
)
の人の
面
(
かお
)
を覚えて居る。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
だから彼はそそくさに四つの大根を引抜いて葉をむしり捨て著物の下まえの中に
蔵
(
しま
)
い込んだが、その時もう
婆
(
ばば
)
の尼は見つけていた。
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
え? だってあの女は(と彼は
死骸
(
しがい
)
のある方を指さした)、どこかの金貸
婆
(
ばば
)
あみたいに、『しらみ』だったわけじゃありませんからね。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
ちょいとどうぞと
店前
(
みせさき
)
から声を懸けられたので、荒物屋の
婆
(
ばば
)
は急いで蚊帳を
捲
(
まく
)
って、店へ出て、一枚着物を着換えたお雪を見た。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
継妻光子は結婚当時は愛くるしい円顔であったのがいつか肥満した
婆
(
ばば
)
となり、日蓮宗に凝りかたまって、信徒の団体の委員に挙げられている。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
彼は寺の掃除
婆
(
ばば
)
に命じて、画像の前の
窓障子
(
まどしょうじ
)
をすつかり解放させ、四方を清浄に掃除させて置いた。彼は自分の身をもよく冷水で
拭
(
ふ
)
き清めた。
老主の一時期
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
「最後になったら、斬り死にするばかりだ。本位田の
婆
(
ばば
)
や、姫路の
武士
(
さむらい
)
どもや、憎い奴らを、斬ッて斬ッて、斬り捲くッて」
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そうだ、あの草っぱらは好いな、あちこちに犬小屋のような小屋がけをして、
婆
(
ばあ
)
さんがいるじゃないか、
厭
(
いや
)
な
婆
(
ばば
)
あだよ」
草藪の中
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
薪取り草取り縫針飯炊は
婆
(
ばば
)
の役で、お光は時々
爺
(
おやじ
)
と一処に、舟に乗って行くこともあれば、ひとり勝手に遊ぶこともある。
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
「
婆
(
ばば
)
さん! 丈夫になっていろな。五年や六年位は、
直
(
すんぐ
)
に経って了うもの。そのうちに、鶴だの亀らが大きくなったら、俺家もよくなんべから。」
黒い地帯
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
後に残すんです。ピエエル、おれの末の孫っ子ね、この冬死んじまった。それに、なんにも役に立たない
婆
(
ばば
)
のおれが、まだこうしてるじゃないかね
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
新兵衛の
婆
(
ばば
)
にあって、昔の話もし、そうして今お菊はどんなふうでいるかも聞いてみたい心持ちがしてならなかった。
落穂
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
あるところで
婆
(
ばば
)
が座敷を掃いていたら、豆が一粒落ちていた。婆が拾うべとしたら、豆はコロコロと転がって行った。
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
かぼちゃの
蔓
(
つる
)
を
跨
(
また
)
ぎ越え、すえ葉も枯れて
生垣
(
いけがき
)
に汚くへばりついている朝顔の実一つ一つ取り集めている
婆
(
ばば
)
の、この種を植えてまた来年のたのしみ
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
そのありさまを冷たく笑って、欠け歯をむき出して、茶碗ざけを、ぐびりぐびりやっていたお三
婆
(
ばば
)
——ニヤリとして
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
こめかみに
頭痛膏
(
ずつうこう
)
を貼った
婆
(
ばあ
)
さんの顔が、長火鉢の向うにのぞかれた。「あいよ」はこの
婆
(
ばば
)
あの声だったのかと見たとき、障子がぴしゃりとしめられた。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
それを女同志のことで、こちらの奥の人たちが勧められたものか、自分たちでその気になったか、とにかく、その
婆
(
ばば
)
さまに師匠を見せるということになった。
幕末維新懐古談:28 東雲師逝去のこと
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「重ねてそのようなことを言うたら、すぐわしに知らしてくれ、あの
婆
(
ばば
)
めが店さきへ
石塊
(
いしくれ
)
なと打ち込んで、新しい壺の三つ四つも
微塵
(
みじん
)
に打ち砕いてくるるわ」
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
婆
(
ばば
)
は、いつも、馬のいるところに、影が無いから、聞かずともわかっていそうなものだ、というような態度で
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
あるある島田には間があれど
小春
(
こはる
)
は
尤物
(
ゆうぶつ
)
介添えは
大吉
(
だいきち
)
婆
(
ばば
)
呼びにやれと命ずるをまだ来ぬ先から俊雄は卒業証書授与式以来の胸
躍
(
おど
)
らせもしも
伽羅
(
きゃら
)
の香の間から扇を
かくれんぼ
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
東京では今年生まれたハゼを「デキ」といい、きょねんから年を越したのを「シネハゼ」または「
婆
(
ばば
)
ハゼ」というが、上方では「フルセ」、「
爺
(
じじ
)
ハゼ」という。
江戸前の釣り
(新字新仮名)
/
三遊亭金馬
(著)
しかし召使の百姓上りのよぼよぼ
婆
(
ばば
)
が入口へ出て何かぼそぼそと云っていたようだったが、帰ったのか入ったのか、それきりで此方へは何も通じは仕無かった。
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
それから高一は、口の中で、「奥の山の
爺
(
ぢぢ
)
と
婆
(
ばば
)
ア、金太の目へゴミが入つた、
貝殻杓子
(
かひがらじやくし
)
で
掬
(
すく
)
うてくれ!」
栗ひろひ週間
(新字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
されば遠野郷の人は、今でも風の騒がしき日には、きょうはサムトの
婆
(
ばば
)
が帰って来そうな日なりという。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
文
(
ふみ
)
の言葉や仮名づかいには田舎の
婆
(
ばば
)
が書いたらしい
覚
(
おぼ
)
つかないふしぶしも見えるけれども、文字はそのわりに
拙
(
まず
)
くなく、お家流の正しい
崩
(
くず
)
し方で書いてあるのは
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
嘘を詠むなら全くないこととてつもなき嘘を詠むべし、しからざればありのままに正直に詠むが
宜
(
よろ
)
しく候。
雀
(
すずめ
)
が舌
剪
(
き
)
られたとか
狸
(
たぬき
)
が
婆
(
ばば
)
に化けたなどの嘘は面白く候。
歌よみに与ふる書
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
とても
堪
(
たま
)
らん! あなたがたのおかげで、くたくたです! (ガーエフに)あなたは
婆
(
ばば
)
あだ、まるで!
桜の園
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
漂母
(
ひょうぼ
)
は洗濯
婆
(
ばば
)
のことで、
韓信
(
かんしん
)
が漂浪時代に食を
乞
(
こ
)
うたという、支那の故事から引用している。しかし蕪村一流の技法によって、これを全く自己流の表現に用いている。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
お近婆さんは、地獄の
率土
(
そっと
)
の
婆
(
ばば
)
みたいに、骨と皮ばかりの青い顔を、ひっつらせ
乍
(
なが
)
ら
喋
(
しゃ
)
べった。
あまり者
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
案内せる附添の
婆
(
ばば
)
は戸口の外に立ちて請じ入れんとすれば、客はその老に似気なく、今更内の様子を
心惑
(
こころまどひ
)
せらるる
体
(
てい
)
にて、彼にさへ
可慎
(
つつまし
)
う小声に言付けつつ名刺を渡せり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
年寄のくせにいつまでも大きな顔をして、何かにつけ嫁をいぢめる、いやらしい
婆
(
ばば
)
アであると考へました。世間で因業婆アといふのは、うちの婆アのことであると考へました。
百姓の足、坊さんの足
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
母親
(
おふくろ
)
も
父親
(
おやぢ
)
も乞食かも知れない、表を通る
襤褸
(
ぼろ
)
を下げた奴がやつぱり己れが親類まきで毎朝きまつて
貰
(
もら
)
ひに来る
跣跋
(
びつこ
)
片眼
(
めつかち
)
のあの
婆
(
ばば
)
あ何かが己れの為の何に当るか知れはしない
わかれ道
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
北多摩郡中では最も東京に近い千歳村字
粕谷
(
かすや
)
の
南耕地
(
みなみこうち
)
と云って、昔は
追剥
(
おいはぎ
)
が出たの、大蛇が出て
婆
(
ばば
)
が腰をぬかしたのと伝説がある徳川の
御林
(
おはやし
)
を、明治近くに
拓
(
ひら
)
いたものである。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
そうしたら弟の言草は、「この
婆
(
ばば
)
サも、まだこれで色気がある」と。あまり憎い口を弟がきくから、「あるぞい——うん、ある、ある」そう言っておげんは皆に別れを告げて来た。
ある女の生涯
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
『ひでえ
婆
(
ばば
)
あでさあ、因業な——いやはや、どっかいい家はないでしょうかえ。』
踊る地平線:03 黄と白の群像
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
ことに終わりの方の場面は予審判事とラスコーリニコフの対話の場面を連想させるほど、中々よく書いてある。けれども第一に犯罪が無理にこしらえてある。
婆
(
ばば
)
を殺す理由が実に薄弱である。
日本の近代的探偵小説:――特に江戸川乱歩氏に就て――
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
豚吉は、何をこの梅干
婆
(
ばば
)
と、馬鹿にしてつかみかかって行きました。ところがその強いこと、橋番のお婆さんはイキナリ豚吉を捕まえますと、
手鞠
(
てまり
)
のように河の中へ投げ込んでしまいました。
豚吉とヒョロ子
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
三鳥山人
(著)
クリストフは彼らを、めかし
婆
(
ばば
)
、ジプシー、綱渡り、などと呼んでいた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
お祖師様の産れ代りの
活
(
い
)
き如来様、どうぞ饑えたこの
婆
(
ばば
)
にも生命の握飯を
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
……されば、
逐々
(
ありありて
)
戻り来しか。来る年も来る年も待ち
侘
(
と
)
ったが、冥土の
便宜
(
びんぎ
)
が
覚束
(
いぶせし
)
ないか、いっこう、すがたをお見されぬ。今もいま、
婆
(
ばば
)
刀自
(
とじ
)
と
愚痴
(
かごと
)
いうていた。……ああ、ようまあ戻り来しぞ。
生霊
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「お母様じゃないや。お母様は死んでしまったよ。お母様は、もっと
汚
(
きたな
)
い
婆
(
ばば
)
あだったよ。
此
(
この
)
人は
綺麗
(
きれい
)
だよ。此人は美奈ちゃんと同じように、綺麗だよ。お母様じゃないや、ねえそうだろう、美奈ちゃん。」
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
追つかけて
取
(
と
)
つちめろ、お
婆
(
ばば
)
も
好
(
す
)
きだよ、お若いの。
畑の祭
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「なんだ、鈴川、新しい
婆
(
ばば
)
あが来ておるではないか」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
りんごかじりの
婆
(
ばば
)
おかみ
まざあ・ぐうす
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
「八百屋の
婆
(
ばば
)
あだよ。」
旧聞日本橋:24 鬼眼鏡と鉄屑ぶとり(続旧聞日本橋・その三)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「
婆
(
ばば
)
あ」
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
懐にしてペテルブルグ三界へ来るんだろう? ルーブリ銀貨三つか「お
札
(
さつ
)
」の二枚も持ってか(これはあいつの言い草だ……あの
婆
(
ばば
)
あの)
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
行懸
(
ゆきがか
)
り、
言
(
ことば
)
の端、察するに
頼母
(
たのも
)
しき紳士と思い、且つ小山を
婆
(
ばば
)
が目からその
風采
(
ふうさい
)
を推して、名のある医士であるとしたらしい。
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「お杉
婆
(
ばば
)
は、あんな巧いことをいっていたけれど、お通さんを
騙
(
だま
)
くらかして、どうかしているのかも知れないぞ? ……」
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“婆(おばあさん)”の解説
おばあさん(お婆さん/お祖母さん)は、日本語において、直系尊属2親等に当たる女性(祖母)、もしくは高齢の女性を指す一般語(老婆、媼)として使用される。対義語はおじいさん、または孫、孫娘。
(出典:Wikipedia)
婆
常用漢字
中学
部首:⼥
11画
“婆”を含む語句
老婆
婆様
雇婆
爺婆
鬼婆
婆々
産婆
娑婆気
古婆
阿婆
阿婆摺
洗濯婆
卒塔婆
塔婆
湯婆
悪婆
耆婆扁鵲
提婆達多
取揚婆
烏婆
...