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ふりがな文庫
“
女々
(
めめ
)” の例文
葉子を確実に占領したという意識に裏書きされた木部は、今までおくびにも葉子に見せなかった
女々
(
めめ
)
しい弱点を
露骨
(
ろこつ
)
に現わし始めた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
相手の吉良を、討ち損じた事だけは、
遺恨
(
いこん
)
に存ずるが、かくなる上は、もはや
女々
(
めめ
)
しい振舞はいたさぬ。お気づかいなく、お放し下さい
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
女々
(
めめ
)
しいからよ。
君前
(
くんぜん
)
であの
態
(
ざま
)
は何のことかい。なぜ泣いたか殿はお気付き遊ばしておられるぞ。あの時も意味ありげに
仰有
(
おっしゃ
)
った筈じゃ。
十万石の怪談
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
しかし、この勇士たちは
女々
(
めめ
)
しいことが大嫌いだから、関さんは、涙をかくして、やはり威張った様子をして、大声で命令した。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
「まア、待つて」と云ふ聲がして、自分の袂が引ツ張られたが、今や加集に語つた言葉に免じても
女々
(
めめ
)
しく再び坐りも出來ない氣がして
泡鳴五部作:02 毒薬を飲む女
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
▼ もっと見る
そんな
女々
(
めめ
)
しい
考
(
かんがえ
)
はすこしも持っていません。力のあらん限り、どこまでもこの怪人をやっつけなければならぬと、かたく決心をしていました。
怪塔王
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
と、その
虚
(
きょ
)
に乗じて、
女々
(
めめ
)
しい感情が群がり起る。わしの無表情な
空
(
うつ
)
ろの目から、涙ばかりが、止めどもなく流れ出した。
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
女々
(
めめ
)
しいとか、
意気地
(
いくじ
)
なしにも
解
(
と
)
れるが、僕のここに用いた女らしいというは善意に
解
(
と
)
いたので、
温和
(
おんわ
)
柔順
(
じゅうじゅん
)
の意味である。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
加世子たちに対する気持も、ほんの凡夫の
女々
(
めめ
)
しい愛情で、自分で考えているほど痛切な悩みがあるとも思えなかった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
詩人平素独り
味
(
あじわ
)
い誇る処のかの追憶夢想の情とても詩興なければ
徒
(
いたずら
)
に
女々
(
めめ
)
しき
愚痴
(
ぐち
)
となり悔恨の種となるに過ぎまい。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
が、おれは男だ、おれは男だ、
一婦人
(
いっぷじん
)
のために心を労していつまで泣こうかと思い返して、
女々
(
めめ
)
しい心を捨ててしきりに
男児
(
おとこ
)
がって諦めてしまった。
太郎坊
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
北川にも行ってみようとは時々思うが、なんだか
女々
(
めめ
)
しいような気がしてよした。散歩もこのごろは野が寒く、それにあたりに見るものもなかった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
畜生め、昔の女熊坂は、死に際に、恋人の手にかかって、
女々
(
めめ
)
しく泣いて
懺悔
(
ざんげ
)
をしたかも知れねえが、このお初は、そんな
性
(
たち
)
とは丸っきり違うんだ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
兎に角わたしは
眼
(
ま
)
のあたりに、わたしと少しも変らない父を見たのでございますから、
女々
(
めめ
)
しい、……その癖おごそかな父を見たのでございますから。
雛
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
一同の者は僕の
女々
(
めめ
)
しい醜態に接して
唖然
(
あぜん
)
とした。何故なら僕は常々所有の物資に関してはおそらく
恬淡
(
てんたん
)
げな高言を持って彼らに接していたからである。
吊籠と月光と
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
半音にして了解する人々に向かって、男子に向かって、幼稚な誇張や
女々
(
めめ
)
しい激情なしに、一つの眼つきで、一つの深い言葉で、話しかけることにある。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
キャラコさんは
女々
(
めめ
)
しいことはきらいだから、宿のひとたちにもいいわけがましいことはひと言もいわないが、かなり肩身の狭い思いをして暮らしている。
キャラコさん:03 蘆と木笛
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
過ぎ去った様々の不幸を
女々
(
めめ
)
しく悔やんだり、意気地のない今の境遇に愛想をつかすのもこの頃の事である。
やもり物語
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
本来、毒殺は
女々
(
めめ
)
しい男のすることだが、君のような卑怯な男を殺すには、磨ぎすました短刀や男性的の武器たるピストルを用いるのは勿体ないと思ったのだ。
卑怯な毒殺
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
それは
女々
(
めめ
)
しき病弱な
拗
(
す
)
ねた心から出る
不具者
(
かたわもの
)
の懐疑を駆逐するであろうが、雄々しき剛健な直き心の悩む健全な懐疑とは親しげに握手するのではなかろうか。
語られざる哲学
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
そも一秒時ごとに、汝と遠ざかりまさるなりなど、われながら日頃の
雄々
(
おお
)
しき心は
失
(
う
)
せて、児を産みてよりは、世の常の婦人よりも
一層
(
ひとしお
)
女々
(
めめ
)
しうなりしぞかし。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
さて常にわが広岡の姉上に逢わむとて
行
(
ゆ
)
くを、などさは
女々
(
めめ
)
しき振舞する。ともに遊べ、なかまにならば、仙冠者牛若三郎という美少年の豪傑になさむと言いき。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
歌っているうちに、声が
顫
(
ふる
)
え涙が
頬
(
ほお
)
を伝わった。
女々
(
めめ
)
しいぞと
自
(
みずか
)
ら
叱
(
しか
)
りながら、どうしようもなかった。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
身をかねるというような
女々
(
めめ
)
しい態度から小さいながら、弱いながらも胸の焔を吐いて、冷たい
社会
(
よのなか
)
を
燬
(
や
)
きつくしてやろうというような
男々
(
おお
)
しい考えも湧いて来た。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
男子はそのくらいの勇気がなくてはならぬ、
女々
(
めめ
)
しい小慈小仁に捉われているようでは大事は成せぬ
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そして近代文学という奴は仮面を脱げ、素面を見せよ、そんなことばかり
喚
(
わめ
)
いて
駈
(
か
)
けだして、
女々
(
めめ
)
しい毒念が方図もなくひろがって、罰が当ってしまったんだ、と仰有る。
教祖の文学:――小林秀雄論――
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
さっきの
噂
(
うわさ
)
はたとえ事実であれ、それはぼくの「知っちゃいない」ことの一つにすぎない。いま、彼にその真偽をたしかめるのは、
女々
(
めめ
)
しいイヤミの意味しかもちはしない。
煙突
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
遊
(
ゆ
)
く水は再び
還
(
かえ
)
らず、
魯陽
(
ろよう
)
の
戈
(
ほこ
)
は落日を招き
還
(
かえ
)
しぬと聞きたれど、何人も死者を泉下より
呼起
(
よびおこ
)
すべき
術
(
すべ
)
を知らぬ
限
(
かぎり
)
は、われも
徒爾
(
いたずら
)
に帰らぬ人を慕うの
女々
(
めめ
)
しく愚痴なるを知る
父の墓
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「
女々
(
めめ
)
しいこと。何でおじゃる。思い出しても二方(
新田義宗
(
にッたよしむね
)
と
義興
(
よしおき
)
)の御手並み、さぞな
高氏
(
たかうじ
)
づらも
身戦
(
みぶる
)
いをしたろうぞ。あの石浜で追い詰められた時いとう見苦しくあッてじゃ」
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
がそれでも上に媚びて給料の一円もあげて貰いたいと
女々
(
めめ
)
しく勝手口から泣き込んで歎願に及んだ事は一度も無く、そんな事は
苟
(
いやし
)
くも男子のする事では無いと一度も落胆はしなかった。
牧野富太郎自叙伝:01 第一部 牧野富太郎自叙伝
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
あちらの
池
(
いけ
)
にきている
雁
(
がん
)
が
頼
(
たの
)
んで、いうのには、どうかもうすこし、
元気
(
げんき
)
よく
吹
(
ふ
)
いていてくれ、あんなほおじろとか、うぐいすとかいうような、
人間
(
にんげん
)
のおもちゃにされるような、
女々
(
めめ
)
しい
風と木 からすときつね
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
以上は母が今わの
際
(
きわ
)
の遺言と心得候て必ず必ず
女々
(
めめ
)
しき
挙動
(
ふるまい
)
あるべからず候
遺言
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
従って彼は人性の奥底に「
女々
(
めめ
)
しきはかなさ」をさえも見いだすに至った。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
より以上に感心した。それは女のする通りの所作に違ひないが、しかしその通りを男の青年がするのに、少しも男の格を崩し、また男の品位を
塩垂
(
しおた
)
れさすやうな
女々
(
めめ
)
しい
窪
(
くぼ
)
みは
見出
(
みいだ
)
せなかつた。
過去世
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
「あんまいじゃッて、もう
後
(
あと
)
の
祭
(
まつい
)
じゃなッか。あっちも承知して、きれいに引き取ったあとの事じゃ。この上どうすッかい。
女々
(
めめ
)
しか事をしなはッと、親の恥ばッかいか、
卿
(
おまえ
)
の男が立つまいが」
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
そなたも豪雄弾正太夫殿の血統を受けた身であるからは父上に似て
心
(
こころ
)
猛
(
たけ
)
く
女々
(
めめ
)
しい振舞いあるまいと思えば、云いにくい事ではあるけれど市之丞殿のお身の上を
明白
(
あからさま
)
にお聞かせ致しましょうぞ。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
少し
仰山
(
おおげさ
)
過ぎる嫌いはあるけれども、調子の強いところが
慟哭
(
どうこく
)
の情を現わすのに適しておる。ことに
女々
(
めめ
)
しくめそめそしたところがないために読んで痛快である。やはり好句たるを失わぬのであろう。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
そんな
女々
(
めめ
)
しい
気分
(
きぶん
)
にはなれなかったそうでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「それを
女々
(
めめ
)
しいとは思わんのか。」
次郎物語:04 第四部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
「楊阜、なぜそんなに
女々
(
めめ
)
しく哭くのかえ。人間は最後に
真
(
まこと
)
をあらわせばいいのです。生きているうちの
毀誉褒貶
(
きよほうへん
)
など心におかけでない」
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
併し、この
女々
(
めめ
)
しい繰り言とも見えるものが、実は世にも恐ろしい復讐への第一歩だろうとは誰が想像し得ただろう。
恐ろしき錯誤
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
御機嫌
(
ごきげん
)
よろしゅうと言葉
後
(
じり
)
力なく送られし時、跡ふりむきて今
一言
(
ひとこと
)
交
(
かわ
)
したかりしを邪見に唇
囓切
(
かみしめ
)
て
女々
(
めめ
)
しからぬ
風
(
ふり
)
誰
(
たが
)
為
(
ため
)
にか
粧
(
よそお
)
い、急がでもよき足わざと早めながら
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
沼間夫人が、つい今までみなに自分の悪口をいっていたのだとすぐ気がついたが、そんな
女々
(
めめ
)
しい想像をしないのが自分の値打ちだと思って、気にしないことにした。
キャラコさん:01 社交室
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
以てするとは下々の下じゃ。隆光いち人斃すの要あらば正々堂々とその事、上様に上申したらよろしかろうぞ。主水之介ならばそのような
女々
(
めめ
)
しいこと致しませぬわ!
旗本退屈男:09 第九話 江戸に帰った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
第一、士たるものにとって容貌の美醜なぞが何であろう——それは
女々
(
めめ
)
しい婦女子にのみ関することだという考えが、いつとはなしに心の底に根を張ってしまっていたのです。
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
いや、そう
女々
(
めめ
)
しい考えを起してはならぬ。あれに立派な道場のようなものが見える。推参してみようと、道場へ近寄って武者窓を
覗
(
のぞ
)
くと、門弟共が出て来て無礼
咎
(
とが
)
めをする。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
なぜなら彼女は、いかにも雄々しいとともに
女々
(
めめ
)
しかった。純潔でまた勇ましい娘だった。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
胸をかきむしられるような
女々
(
めめ
)
しい己の気持が
羨望
(
せんぼう
)
ではないかと、李陵は極度に
惧
(
おそ
)
れた。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
今更らしく死んだ人を悲しむのでもなく妹の不幸を
女々
(
めめ
)
しく悔やむのでもないが、朝に晩に絶間のない煩いに追われて固く乾いた胸の中が今日の小春の日影に解けて流れるように
障子の落書
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
自分を
憐
(
あわ
)
れむともKを憐れむとも知れない哀情がこみ上げて、Kの手を取り上げてなでてみたい衝動を幾度も感じながら、
女々
(
めめ
)
しさを退けるようにむずかゆい手を腕の所で堅く組む。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
女
常用漢字
小1
部首:⼥
3画
々
3画
“女”で始まる語句
女
女子
女房
女性
女中
女王
女郎花
女将
女郎
女形