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ふりがな文庫
“
大蛇
(
だいじゃ
)” の例文
ろうをぬったひげだるまの目は、むこうの
隅
(
すみ
)
でぴかぴか光っているし、すさのおのみことは刀を
抜
(
ぬ
)
いて八頭の
大蛇
(
だいじゃ
)
を切っていました。
清造と沼
(新字新仮名)
/
宮島資夫
(著)
立っているひとりの胸にもうひとりの黄金女が、
大蛇
(
だいじゃ
)
のように巻きついて、首と胸とに顔のある一身二頭の異形の舞踊を踊っていた。
影男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
亮二は、アセチレンの火は青くてきれいだけれどもどうも
大蛇
(
だいじゃ
)
のような悪い
臭
(
におい
)
がある、などと思いながら、そこを通り抜けました。
祭の晩
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
秩父
(
ちちぶ
)
の
大蛇
(
だいじゃ
)
に
八幡
(
やはた
)
手品師、軽わざ乗りの看板があるかと思えば、その隣にはさるしばいの小屋が軒をつらねているといったぐあいでした。
右門捕物帖:01 南蛮幽霊
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
これに反して
虎
(
とら
)
と
大蛇
(
だいじゃ
)
との取り組みは実にあざやかである。
蛇
(
へび
)
の闘法は人間にはちょっとまねができず、想像することもできない方法である。
映画「マルガ」に現われた動物の闘争
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
▼ もっと見る
風船乗り、
大蛇
(
だいじゃ
)
、鬼の首、なんとか言う西洋人が非常に高い
桿
(
さお
)
の上からとんぼを切って落ちて見せるもの、——数え立てていれば際限はない。
追憶
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
したがって、乱心者のいうことも周囲の影響を受ける場合がしばしばある。たとえば、あるところで
大蛇
(
だいじゃ
)
が殺されたとする。
鷲
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その池の
水際
(
みずぎわ
)
には、
蘆
(
あし
)
やよしが沢山
生
(
は
)
え茂っている上に、池のぐるりには大木が
生
(
お
)
い茂って、
大蛇
(
だいじゃ
)
でも住みそうな気味の悪い大池でありました。
三人兄弟
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
森の奥から火を消すばかり冷たい風で、
大蛇
(
だいじゃ
)
がさっと追ったようで、遁げた
私
(
てまい
)
は、
野兎
(
のうさぎ
)
の飛んで落ちるように見えたということでございまして。
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ヤレまあよかったと、旅人がホット一
呼吸
(
いき
)
していると、井戸の底には
怖
(
おそ
)
ろしい
大蛇
(
だいじゃ
)
が口を開いて、旅人の落ちてくるのを待っているではありませんか。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
それが次第に近寄って、むくむくと
大蛇
(
だいじゃ
)
が横に
這
(
は
)
うように舟の
舳
(
へさき
)
へ寄って来たかと思うと、舳を
並
(
なら
)
べていた小舟は
一斉
(
いっせい
)
に首をもたげて波の上に乗りました。
少年と海
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
三人は、地上に
大蛇
(
だいじゃ
)
のようにはっている水道のホースのうえをとびこえながら、なおも奥の方へすすんだ。
人造人間エフ氏
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そいつは
大蛇
(
だいじゃ
)
の
辰
(
たつ
)
といって、
躯
(
からだ
)
ぜんたいに大蛇の
刺青
(
いれずみ
)
のある、
博奕
(
ばくち
)
打ちなかまでは相当に顔の売れた男ですよ、あっしが御放免になって十日ばかり経った或る日
枡落し
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
三郎があとからかけつけた時には、八郎はおそろしい
大蛇
(
だいじゃ
)
になって川を泳いでいた。八郎やあ、と呼ぶと、川の中から大蛇が涙をこぼして、三郎やあ、とこたえた。
魚服記
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
動物園で
大蛇
(
だいじゃ
)
に呑まれようとする兎のふるえてすくんだ様子を見たことのある人には、誰でも想像ができるに相違ない。わたしの犬の姿はあたかもそれと同様であった。
世界怪談名作集:02 貸家
(新字新仮名)
/
エドワード・ジョージ・アール・ブルワー・リットン
(著)
三角の帽子は
禿鷹
(
はげたか
)
の形の煙となって消えました。赤と白とのだんだらの服は
大蛇
(
だいじゃ
)
の形の煙となって消えました。汚れた
麻
(
あさ
)
のシャツはなめくじの形の煙となって消えました。
手品師
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
岸
(
きし
)
はどこもかしこも
皆
(
みな
)
割
(
わ
)
ったような
巌
(
いわ
)
で、それに
松
(
まつ
)
、
杉
(
すぎ
)
その
他
(
た
)
の
老木
(
ろうぼく
)
が、
大蛇
(
だいじゃ
)
のように
垂
(
た
)
れ
下
(
さが
)
っているところは、
風情
(
ふぜい
)
が
良
(
よ
)
いというよりか、
寧
(
むし
)
ろもの
凄
(
すご
)
く
感
(
かん
)
ぜられました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
目のまえの鉄筋コンクリートだての
大工場
(
だいこうば
)
の屋根
瓦
(
がわら
)
がうねうねと
大蛇
(
だいじゃ
)
が歩くように波をうつと見るまに、その瓦の大部分が、どしんとずりおちる、あわてて外へとび出すはずみに
大震火災記
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
すると、
犬芝居
(
いぬしばい
)
や、やまがらの
芸当
(
げいとう
)
や、
大蛇
(
だいじゃ
)
の
見
(
み
)
せものや、
河童
(
かっぱ
)
の
見
(
み
)
せものや、
剣舞
(
けんぶ
)
や、
手品
(
てじな
)
や、
娘踊
(
むすめおど
)
りなどというふうに、いろいろなものが
並
(
なら
)
んでいました。その
中
(
なか
)
に、
女
(
おんな
)
の
軽業
(
かるわざ
)
がありました。
公園の花と毒蛾
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
雷電峠と反対の湾の一角から長く突き出た造りぞこねの防波堤は
大蛇
(
だいじゃ
)
の
亡骸
(
むくろ
)
のようなまっ黒い姿を遠く海の面に横たえて、夜目にも白く見える
波濤
(
はとう
)
の
牙
(
きば
)
が、
小休
(
おや
)
みもなくその胴腹に
噛
(
く
)
いかかっている。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「
大蛇
(
だいじゃ
)
を見るとも
女人
(
にょにん
)
を見るべからず」
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
しかし気違いでもない事がわかると、今度は
大蛇
(
だいじゃ
)
とか
一角獣
(
いっかくじゅう
)
とか、とにかく
人倫
(
じんりん
)
には縁のない動物のような気がし出した。
おぎん
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
大蛇
(
だいじゃ
)
が
顋
(
あぎと
)
を
開
(
あ
)
いたような、
真紅
(
まっか
)
な土の
空洞
(
うつろ
)
の中に、づほらとした黒い
塊
(
かたまり
)
が見えたのを、
鍬
(
くわ
)
の先で
掻出
(
かきだ
)
して見ると——
甕
(
かめ
)
で。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
熔岩流がそれを目がけて沢に沿うておりて来るのは、あたかも
大蛇
(
だいじゃ
)
が
酒甕
(
さかがめ
)
をねらって来るようにも見られるであろう。
神話と地球物理学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
もう堪まらなくなって、あわてて土蔵の扉をしめ切って
一目散
(
いちもくさん
)
に逃げて帰りました。
大蛇
(
だいじゃ
)
が口をきく筈がありません。
半七捕物帳:20 向島の寮
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
シシにだって、ヒョウにだって、
大蛇
(
だいじゃ
)
にだって、ばけられるのだ。
超人ニコラ
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その郷里のある女が
妖魅
(
ようみ
)
に取りつかれた時に、寿は何かの法をおこなうと、長さ幾丈の
大蛇
(
だいじゃ
)
が門前に死んで横たわって、女の病いはすぐに平癒した。
中国怪奇小説集:03 捜神記(六朝)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
さすがの
蛇
(
へび
)
もぐにゃぐにゃした上着ではちょっとどうしていいか見当がつかないであろう。この映画ではまた金網で
豹
(
ひょう
)
や
大蛇
(
だいじゃ
)
をつかまえる場面もある。
映画雑感(Ⅲ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
大蛇
(
うわばみ
)
でも居て
狙
(
ねら
)
うか、と若い者ちと
恐気
(
おじけ
)
がついたげな、
四辺
(
あたり
)
に
紛
(
まが
)
いそうな松の樹もなし、
天窓
(
あたま
)
の上から、
四斗樽
(
しとだる
)
ほどな
大蛇
(
だいじゃ
)
の頭が
覗
(
のぞ
)
くというでもござるまい。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それから大きい
硝子戸棚
(
ガラスとだな
)
の中に太い枯れ木をまいている南洋の
大蛇
(
だいじゃ
)
の前に立った。この爬虫類の標本室はちょうど去年の夏以来、
三重子
(
みえこ
)
と出合う場所に
定
(
さだ
)
められている。
早春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
かの蛇は舟をくつがえすような
大蛇
(
だいじゃ
)
となって、土地の人びとに沼の
主
(
ぬし
)
と呼ばれるようになった。迂闊に沼に入る者は、かならず彼に呑まれてしまった。
中国怪奇小説集:07 白猿伝・其他(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
キューテックの染料で
爪
(
つめ
)
を染め、きつね一匹をまるごと首に巻きつけ、
大蛇
(
だいじゃ
)
の皮の
靴
(
くつ
)
を
爪立
(
つまだ
)
ってはき歩く姿を昔の女の眼前に出現させたらどうであったか。
自由画稿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
磧も狭しと見世物小屋を掛け
聯
(
つら
)
ねて、
猿芝居
(
さるしばい
)
、娘
軽業
(
かるわざ
)
、
山雀
(
やまがら
)
の芸当、剣の刃渡り、
活
(
い
)
き人形、名所の
覗
(
のぞ
)
き
機関
(
からくり
)
、電気手品、
盲人相撲
(
めくらずもう
)
、評判の
大蛇
(
だいじゃ
)
、
天狗
(
てんぐ
)
の
骸骨
(
がいこつ
)
、手なし娘
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
軽井沢
(
かるいざわ
)
に避暑中のアメリカ富豪エドワアド・バアクレエ氏の夫人はペルシア産の猫を
寵愛
(
ちょうあい
)
している。すると最近同氏の別荘へ七尺余りの
大蛇
(
だいじゃ
)
が現れ、ヴェランダにいる猫を呑もうとした。
白
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それに又いろいろの作り話も加わって、かの女は清水山の洞穴に年ひさしく棲む
大蛇
(
だいじゃ
)
の精であるなどと、云いふらす者も出て来た。いや、大蛇ではない。
半七捕物帳:43 柳原堤の女
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
映画「マルガ」の中でいちばんおもしろいと思ったのは猛獣
大蛇
(
だいじゃ
)
などの闘争の場面である。
映画「マルガ」に現われた動物の闘争
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
仕丁 樹に掛けましたら、なお、ずるずると
大蛇
(
だいじゃ
)
に成って
下
(
お
)
ります。(一層胸に抱く。)
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
大蛇
(
だいじゃ
)
もいよいよ弱り果てたのを見て、さらに五、六人が駈け寄って来て、思い思いの武器をふるったので、大蛇は
蟻
(
あり
)
にさいなまれるみみずのようにのたうち廻って
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
大蛇
(
だいじゃ
)
が豚を一匹丸のみにして寝ている。「満腹」という言語では不十分である。三百パーセントか四百パーセントの満腹である。からだの直径がどう見ても三四倍になっている。
映画雑感(Ⅲ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
大蛇
(
だいじゃ
)
を
籠
(
かご
)
に入れて
荷
(
にな
)
う者と、馬に
跨
(
またが
)
りて行く曲馬芝居の
座頭
(
ざがしら
)
とを先に立てて、さまざまの動物と異形の人類が、
絡繹
(
らくえき
)
として
森蔭
(
もりかげ
)
に列を成せるその
状
(
さま
)
は、げに百鬼夜行一幅の
活図
(
かっと
)
なり。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と思うと、自分の可愛がっている青い蛇が忽ち一丈あまりの
大蛇
(
だいじゃ
)
になって、林之助とお里の二人を巻き殺そうとしている。男と女は悲鳴をあげて苦しみもがいている。
両国の秋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
前年だれか八頭の
大蛇
(
だいじゃ
)
とヒドラのお化けとを比較した人があった。
化け物の進化
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
東越
(
とうえつ
)
の
閩中
(
みんちゅう
)
に
庸嶺
(
ようれい
)
という山があって、高さ数十里といわれている。その西北の
峡
(
かい
)
に長さ七、八丈、太さ
十囲
(
とかか
)
えもあるという
大蛇
(
だいじゃ
)
が
棲
(
す
)
んでいて、土地の者を恐れさせていた。
中国怪奇小説集:03 捜神記(六朝)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
八頭の
大蛇
(
だいじゃ
)
を「ヤマタノオロチ」という。
言葉の不思議
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
試みに
之
(
これ
)
を
手繰
(
たぐ
)
って見ると、綱は古代の
大蛇
(
だいじゃ
)
のように
際限
(
はてし
)
もなく長いもので、
繰
(
く
)
れども
繰
(
く
)
れども容易に
其端
(
そのはし
)
には
達
(
とど
)
かなかったが、
根
(
こん
)
よく
手繰
(
たぐ
)
っている
中
(
うち
)
に、
漸
(
ようや
)
く残りなく
引揚
(
ひきあ
)
げた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
やがて巌穴のなかでは雷の吼えるような声がして、
大蛇
(
だいじゃ
)
は躍り出てのたうち廻ると、数里のあいだの木も草も皆その毒気に焼けるばかりであった。蛇は狂い疲れて、日の暮れる頃に
仆
(
たお
)
れた。
中国怪奇小説集:07 白猿伝・其他(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
観世物は剣舞、
大蛇
(
だいじゃ
)
、ろくろ首のたぐいである。
半七捕物帳:57 幽霊の観世物
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
灰吹
(
はいふき
)
からも
大蛇
(
だいじゃ
)
が出るからな
半七捕物帳:43 柳原堤の女
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
“大蛇”の意味
《名詞》
大 蛇(だいじゃ, おろち)
(だいじゃ) 大きい蛇。
(おろち) 非常に大きな蛇。
(出典:Wiktionary)
大
常用漢字
小1
部首:⼤
3画
蛇
常用漢字
中学
部首:⾍
11画
“大蛇”で始まる語句
大蛇退治
大蛇灘
大蛇丸
大蛇位
大蛇目
大蛇対治
大蛇嶽闇右衛門