トップ
>
喧
>
かまびす
ふりがな文庫
“
喧
(
かまびす
)” の例文
プラットフォオムには給仕がパンや
珈琲
(
コオフィイ
)
を持って駈け
廻
(
まわ
)
っている。旅客の中には、ここで下車するものもある。人の呼び交す声が
喧
(
かまびす
)
しい。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
窃
(
ひそ
)
かに世情を
視
(
み
)
るに、近来は政治の議論
漸
(
ようや
)
く
喧
(
かまびす
)
しくして、社会の公権即ち政権の受授につき、これを守らんとする者もまた取らんとする者も
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
河内の道明寺中興住持の尼、
覚寿
(
かくじゅ
)
は
菅丞相
(
かんしょうじょう
)
の伯母で、菅神左遷の時、当寺に行き終夜別れを惜しむ。暁に向い鶏啼きて
喧
(
かまびす
)
し。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
これより先政府は民間政論の漸く
喧
(
かまびす
)
しきを見、明治八年半ばごろ厳重なる法律を制定し、もって志士の横議を抑制したり。
近時政論考
(新字新仮名)
/
陸羯南
(著)
日ならず江戸の市中へ乗込もうというのは、まだ
噂
(
うわさ
)
だけであって事実に現われたわけではないが、その噂は早くもこちらに響いて
喧
(
かまびす
)
しいものです。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
さるにても彼婦人は誰にかあらん。椅子を借さんとて、
觀棚
(
さじき
)
々々(ルオジ、ルオジ、パトロニ)と呼ぶ聲いと
喧
(
かまびす
)
し。われは思慮する
遑
(
いとま
)
あらざりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
いわゆる思想問題の
喧
(
かまびす
)
しい近ごろになって特にこういう語を声高く叫ぼうとするもののあるのも、
之
(
これ
)
がためであろう。
東洋文化、東洋思想、東洋史
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
当主が一代で財をなしたは、嘗て異人館のコックをしてゐてそこの主人を殺害し、獲たものであるとか、何とかそのころいろ/\の悪評が
喧
(
かまびす
)
しく立つた。
大正東京錦絵
(新字旧仮名)
/
正岡容
(著)
四下
(
あたり
)
には若葉が日に日に
繁
(
しげ
)
って、遠い
田圃
(
たんぼ
)
からは、
喧
(
かまびす
)
しい
蛙
(
かえる
)
の声が、物悲しく聞えた。春の支度でやって来た二人には、ここの陽気はもう大分暑かった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
世の識者といわれる人々の批判は
喧
(
かまびす
)
しいかも知れぬが、伝統と因襲に捉われた平和な山村において、この重病の病人を動かすことは、我と我が手で一挙に
仁王門
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
手
(
て
)
ン
手
(
で
)
に
喧
(
かまびす
)
しく
己
(
おの
)
が
家号
(
やごう
)
を
呼立
(
よびた
)
てる、中にも
烈
(
はげ
)
しいのは、
素早
(
すばや
)
く手荷物を
引手繰
(
ひったく
)
って、へい
難有
(
ありがと
)
う
様
(
さま
)
で、を
喰
(
くら
)
わす、頭痛持は血が上るほど
耐
(
こら
)
え切れないのが
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そうして小さな経済から大きな資本へと変ってゆきました。また静かな手機から
喧
(
かまびす
)
しい織機へと転じました。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
四邊
(
あたり
)
の
部室
(
へや
)
では
甲乙
(
たれかれ
)
の
語
(
かた
)
り
合
(
あ
)
ふ
聲
(
こゑ
)
喧
(
かまびす
)
しく、
廊下
(
ろうか
)
を
走
(
はし
)
る
人
(
ひと
)
の
足音
(
あしおと
)
もたゞならず
速
(
はや
)
い、
濱島
(
はまじま
)
は
昔
(
むかし
)
から
極
(
ご
)
く
沈着
(
ちんちやく
)
な
人
(
ひと
)
で、
何事
(
なにごと
)
にも
平然
(
へいぜん
)
と
構
(
かま
)
へて
居
(
を
)
るから
夫
(
それ
)
とは
分
(
わか
)
らぬが
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
青い田の中を
蝙蝠傘
(
こうもりがさ
)
をさした人が通る、それは町の裏通りで、そこには路にそって里川が流れ、
川楊
(
かわやなぎ
)
がこんもり茂っている。森には
蝉
(
せみ
)
の鳴き声が
喧
(
かまびす
)
しく聞こえた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
そしてそれらの
叢
(
くさむら
)
にすだく虫の音が、二人が近づくとふっと止み、遠のくと又鳴き出しながら、町はずれへ行けば行くほど雨のようにしげく
喧
(
かまびす
)
しくなって行った。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
されば變り果てし容姿に慣れて、笑ひ
譏
(
そし
)
る人も漸く少くなりし頃、
蝉聲
(
せみ
)
喧
(
かまびす
)
しき夏の暮にもなりけん。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
大型時計の上部に
喧
(
かまびす
)
しく鳴るベルをとめようと手をかけると一緒に刀がはずれ出て胸を突き刺す。
J・D・カーの密室犯罪の研究
(新字新仮名)
/
井上良夫
(著)
いわれなき講和、償われぬ要求であると、内閣不信任は
喧
(
かまびす
)
しい
喧噪
(
けんそう
)
となった。
寵妾
(
ちょうしょう
)
お鯉の家に大臣は隠れているといって、麻布の妾宅焼打ちを、宣伝するものがあった。
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
そして玄関脇の押し
釦
(
ボタン
)
を少年の指先が押すと、奥の間のベルが
喧
(
かまびす
)
しくジジーンと鳴るであろう。
軍用鼠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
屋台店を並べて
犠牲用
(
いけにえよう
)
の家畜や鳩を売る者、奉納用の貨幣を両替する者などの
喧
(
かまびす
)
しく叫ぶ声、おまけに籠や
鍋釜
(
なべかま
)
さげてこの門からかの門へと宮の庭を自由に通り抜ける市民もあって
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
同士討ちの声がやがやと
喧
(
かまびす
)
し。かかる騒ぎも広やかなる家の奥の方へは聞こえず。
心の鬼
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
義務として愛国を呼称するの国民は愛国心を失いつつある国民なり、孝を称する子は孝子にあらざるなり、愛国の空言
喧
(
かまびす
)
しくして愛国の
実跡
(
じっせき
)
を絶つに至る、余は国を愛する人となりて
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
と、
遭難
(
そうなん
)
当時の一と頃、世上に
喧
(
かまびす
)
しく聞えた種々な取沙汰を今更のように思い出して、その
流説
(
るせつ
)
にまどわされて、きょうまで官兵衛に抱いていた誤った認識をそれぞれ心のうちで急に
是正
(
ぜせい
)
していた。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これが哲学といふものを覗いて見た初で、なぜハルトマンにしたかといふと、その頃十九世紀は鉄道とハルトマンの哲学とを
齎
(
もたら
)
したと云つた位、最新の大系統として
賛否
(
さんぴ
)
の声が
喧
(
かまびす
)
しかつたからである。
妄想
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
なにもかも
喧
(
かまびす
)
しい、だが小鳥らの囀りではない。
旗手クリストフ・リルケ抄
(旧字旧仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
高山の変事はここまで持ち越されて、湯の中での
流言蜚語
(
りゅうげんひご
)
は、高山の町の
巷
(
ちまた
)
のそれよりも
喧
(
かまびす
)
しいものがありました。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
手
(
て
)
ン
手
(
で
)
に
喧
(
かまびす
)
しく
己
(
おの
)
が
家号
(
やがう
)
を
呼立
(
よびた
)
てる、
中
(
なか
)
にも
烈
(
はげ
)
しいのは、
素早
(
すばや
)
く
手荷物
(
てにもつ
)
を
引手繰
(
ひツたぐ
)
つて、へい
有難
(
ありがた
)
う
様
(
さま
)
で、を
喰
(
くら
)
はす、
頭痛持
(
づゝうもち
)
は
血
(
ち
)
が
上
(
のぼ
)
るほど
耐
(
こら
)
へ
切
(
き
)
れないのが
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
私も
亦
(
また
)
自分で考えて見るに、世の中の形勢は次第に変化して、政治の事も商売の事も日々夜々運動の最中、
相互
(
あいたがい
)
に敵味方が出来て議論は次第に
喧
(
かまびす
)
しくなるに違いない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
屋内からも種々雑多な犬の
啼
(
な
)
き声が
喧
(
かまびす
)
しく、プウンと動物特有の臭気が鼻を衝いてきた。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
だが諸君よ、今の個人陶工がこれに近いほどのものを画いた場合、何というさわぎがそこに起るか。ただちにそれを主張しまた弁護する展覧と評論との
喧
(
かまびす
)
しい世界が湧いてくるのだ。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
わが
踵
(
くびす
)
を
旋
(
めぐら
)
して
還
(
かへ
)
らむとするとき、馬よ/\と呼ぶ聲俄に
喧
(
かまびす
)
しく、競馬の内なる一頭の馬、さきなる
埒
(
らち
)
にて留まらず、そが儘街を引きかへし來れるに、最早馬過ぎたりと心許しゝ群衆は
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
買ひて見れば、国王ベルヒの城に
遷
(
うつ
)
りて、
容体
(
ようだい
)
穏なれば、侍医グッデンも護衛を
弛
(
ゆる
)
めさせきとなり。
滊車
(
きしゃ
)
中には湖水の
畔
(
ほとり
)
にあつさ避くる人の、物買ひに府に出でし帰るさなるが多し。王の
噂
(
うわさ
)
いと
喧
(
かまびす
)
し。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
熊野の勝浦などで、以前は猴が磯に群集し蟹を採り食うに石でその殻を打ち破った。しばしば螫で
鉗
(
はさ
)
まれ叫喚の声耳に
喧
(
かまびす
)
しかったと古老から聞いた。しかるに予幼時
直
(
すぐ
)
隣りの家にお徳という牝猴あり。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
日本国に道徳の根本標準を立てんなど
喧
(
かまびす
)
しく議論して、あるいは儒道に
由
(
よ
)
らんといい、あるいは仏法に従わんといい、あるいは
耶蘇
(
ヤソ
)
教を用いんというものあれば、また一方にはこれを
悦
(
よろこ
)
ばず
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
なお
前途
(
ゆくて
)
の空を
視
(
なが
)
め視め、かかる日の高い松の上に、蝉の声の
喧
(
かまびす
)
しい中にも、
塒
(
ねぐら
)
してその鵲が居はせぬかと、仰いで幹をたたきなどして、
右瞻左瞻
(
とみこうみ
)
ながら、うかうかと並木を
辿
(
たど
)
る——
大
(
おおき
)
な
蜻蛉
(
とんぼ
)
の
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一行の姿が見えなくなってから、また噂は
喧
(
かまびす
)
しくなりました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
或は市中公会等の席にて
旧套
(
きゅうとう
)
の
門閥流
(
もんばつりゅう
)
を通用せしめざるは無論なれども、家に帰れば老人の
口碑
(
こうひ
)
も聞き
細君
(
さいくん
)
の
愚痴
(
ぐち
)
も
喧
(
かまびす
)
しきがために、
残夢
(
ざんむ
)
まさに
醒
(
さ
)
めんとしてまた
間眠
(
かんみん
)
するの状なきにあらず。
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
弛担
(
したん
)
の旗亭、酔午
喧
(
かまびす
)
し
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
喧
漢検準1級
部首:⼝
12画
“喧”を含む語句
喧嘩
喧騒
夫婦喧嘩
喧噪
口喧
喧囂
喧々囂々
大喧嘩
喧々
口喧嘩
喧擾
喧嘩腰
喧嘩師
喧嘩口論
嫉妬喧嘩
喧嘩早
喧嘩買
兄弟喧嘩
喧伝
痴話喧嘩
...