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傲然
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ごうぜん
ふりがな文庫
“
傲然
(
ごうぜん
)” の例文
どうも
傲慢
(
ごうまん
)
らしい! 見るからに険のあるまなざし、
傲然
(
ごうぜん
)
とした態度、何か尋ねたら、お直参であるのを唯一の武器にふりかざして
右門捕物帖:19 袈裟切り太夫
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
勇敢に
傲然
(
ごうぜん
)
とマスクを付けて、数千の人々の集まって居る所へ、押し出して行く態度は、可なり徹底した強者の態度ではあるまいか。
マスク
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
しかし、式がいよいよはじまるころには、もう少しもてれた様子がなく、
塾生
(
じゅくせい
)
たちをねめまわすその態度は、むしろ
傲然
(
ごうぜん
)
としていた。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
傲然
(
ごうぜん
)
とした様子で取次を頼むという客が小父さん達と同国の人とかで東京へ一文も持たずに移住したものは数え切れないほどあるが
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
しかしながら、クリストフのうちにうなっていた
傲然
(
ごうぜん
)
たる世界は、はるかに異なったる法則をもっていて、他の知恵を要求していた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
と熊城は
傲然
(
ごうぜん
)
と云い放って、自説と法水の推定が、ついに一致したのをほくそ笑むのだった。しかし、法水は
弾
(
はじ
)
き返すように
嗤
(
わら
)
った。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
もし彼らにして民衆を率いるの実際の識と能となくしかも
傲然
(
ごうぜん
)
として民衆を支配せんと欲するならば、ここに社会は大欠陥を現出する。
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
(新字新仮名)
/
吉野作造
(著)
もうきたなくなって、だれにも顧みられず、いやな姿で
傲然
(
ごうぜん
)
と控えていて、市民の目には醜く、思索家の目には
陰鬱
(
いんうつ
)
に見えていた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
叱呼
(
しっこ
)
しながら入って来た三樹八郎。——
襷
(
たすき
)
、汗止め、
袴
(
はかま
)
の
股立
(
ももだち
)
をしっかりと取って、愛剣
包光
(
かねみつ
)
二尺八寸を右手に
傲然
(
ごうぜん
)
と突立った。
武道宵節句
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
かれは馬にまたがって
傲然
(
ごうぜん
)
と出て行ったが、門は閉じてある、垣は甚だ高い。かれは馬にひと
鞭
(
むち
)
くれると、
駿馬
(
しゅんめ
)
は
跳
(
おど
)
って垣を飛び越えた。
中国怪奇小説集:06 宣室志(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
にんじんは、
蒼
(
あお
)
ざめ、腕を組み、そして首を縮め、もう腰のへんが
熱
(
あつ
)
く、
脹脛
(
ふくらはぎ
)
があらかじめひりひり痛い。が、彼は、
傲然
(
ごうぜん
)
といい放つ——
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
だが、その言訳を強調するために自分の仕事の性質の奇稀性に
就
(
つい
)
て話を向けて来ると、老人は急に
傲然
(
ごうぜん
)
として熱を帯びて来る。
家霊
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
するとどこからか
大井篤夫
(
おおいあつお
)
が、今日は珍しく制服を着て、
相不変
(
あいかわらず
)
傲然
(
ごうぜん
)
と彼の側へ歩いて来た。二人はちょいと
点頭
(
てんとう
)
を交換した。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
私は、それでも新進作家らしく、
傲然
(
ごうぜん
)
とドア近くの椅子に腰かけたのであるが、膝がしらが音のするほどがくがくふるえた。
断崖の錯覚
(新字新仮名)
/
太宰治
、
黒木舜平
(著)
天城四郎はといえば、本堂にあって、
経櫃
(
きょうびつ
)
の上に
傲然
(
ごうぜん
)
と腰をおろし、彼の姿を見ると突っ立って、頭から
一喝
(
いっかつ
)
をくらわした。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
信州から来た木曾の
藤爺
(
ふじじい
)
さんを、下っぱに押据えて、木口勘兵衛尉源丁馬が
傲然
(
ごうぜん
)
として正座に構えたところを見ると、さすがの鐚も悲鳴をあげ
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
余は
興
(
きょう
)
に
乗
(
じょう
)
じた。運転手台に前途を
睥睨
(
へいげい
)
して
傲然
(
ごうぜん
)
として腰かけた。道があろうと、無かろうと、斯速力で世界の果まで
驀地
(
まっしぐら
)
に駈けて見たくなった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
それかと言ってつらく当たっているとはもちろん思えないのであるが、何となく
傲然
(
ごうぜん
)
としているように見受けられた。
いのちの初夜
(新字新仮名)
/
北条民雄
(著)
「見てたとも——」川上はそう答えて、はずむ呼吸を抑え、
傲然
(
ごうぜん
)
といい放った。「あたいはそん時三つだったんだ!」
白い壁
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
女たちが此の人質の貴公子に儀礼を拂った時、少年は
襟元
(
えりもと
)
まで
赧
(
あか
)
くなった顔を
傲然
(
ごうぜん
)
と
擡
(
もた
)
げて、大名の若君にふさわしい威容をつくろって立っていた。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「浦瀬は日本人だ」ルパンは
傲然
(
ごうぜん
)
として云い放った。「俺は嘗つてモロッコ人を三人、
一時
(
いちどき
)
に射殺したことがある」
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それがいま
傲然
(
ごうぜん
)
と呼び捨てにされたので幸吉たるもの胸中いささかおだやかでない、かれはだまって答えなかった。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
蝦蟇法師は
流眄
(
しりめ
)
に懸け、「へ、へ、へ、うむ正に
此奴
(
こやつ
)
なり、予が顔を傷附けたる、大胆者、
讐返
(
しかえし
)
ということのあるを知らずして」
傲然
(
ごうぜん
)
としてせせら笑う。
妖僧記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
傲然
(
ごうぜん
)
みずから無為に食して、これを天然の権義と思い、その状あたかも沈湎冒色、前後を忘却する者のごとし。
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
明り取りが無くて薄暗いので、隅の方は良く判らないが、此方から見る正面には、一人の老婆が
傲然
(
ごうぜん
)
と——誠に女王の如く傲然と
踞坐
(
こざ
)
して煙草を吸っている。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
眺める通路の中ほど太子の
船室
(
ケビン
)
と覚しきあたりには、見るから憎々しい
赭
(
あか
)
ら顔の
大兵
(
だいひょう
)
な英人二人がこちらを眺めながら平服の腕を組んで
傲然
(
ごうぜん
)
と語り合っている。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
西光は名だたる豪の者であったから、先程から、顔の色一つ変えず、
傲然
(
ごうぜん
)
と清盛の言葉を聞いていたが
現代語訳 平家物語:02 第二巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
私は彼等が百貨店の陳列窓を
覗
(
のぞ
)
いてゐるところを見掛けた。私が近づいて行くと男は
傲然
(
ごうぜん
)
と私を見返したが、女は
寧
(
むし
)
ろ避けるやうに自分の菊の花を向ふ側に向けた。
青いポアン
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
主人は眼をしばたたいて、物言うなと制止したが、それを悟ってか悟らいでか、今度はくるり臙脂屋の方へ向って、初めて其面をまともに見、
傲然
(
ごうぜん
)
として軽く会釈し
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
人々はさもけがらわしいというような
傲然
(
ごうぜん
)
たる態度で、そんなことはとうてい不可能だと答えた。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
家庭でも、隣近所、学校でも憎まれ者の私は、いつか
傲然
(
ごうぜん
)
と世を白眼視するようになっていた。
いずこへ
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
いささかの
羞
(
は
)
ずかしさのために顔を染めてはいたものの、
傲然
(
ごうぜん
)
とした足つきで出ていった、それは丁度、長い酷使と粗食との生活に対して反抗した模範を示すかのように。
花園の思想
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
しかしこの白眼やさげすみに
傲然
(
ごうぜん
)
と対していられるのだったら、見るものの感じも違ってくる。
雨の玉川心中:01 太宰治との愛と死のノート
(新字新仮名)
/
山崎富栄
(著)
傲然
(
ごうぜん
)
と、わ、わ、わ、わしも、ト、ト、ト、トラックを、か、か、買うことにした、く、く、く、組合なぞ、わ、わ、わしは、か、か、か、かたらん、と云って立ち上り
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
リット提督は、卓上にひろげた大きな世界地図を前にして、
傲然
(
ごうぜん
)
と椅子の背にもたれている。左手にしっかりと愛用のパイプを握っているが、火はとくの昔に消えていた。
浮かぶ飛行島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
なかなか
傲然
(
ごうぜん
)
と構えたお方で、お目通りが出来るどころではなく、御門をお通りになる
度
(
たび
)
ごとに徳蔵おじが「こわいから隠れていろ」といい/\しましたから、僕は急いで
忘れ形見
(新字新仮名)
/
若松賤子
(著)
すなわち横ぎりにかかる
塗炭
(
とたん
)
に右の方より不都合なる
一輛
(
いちりょう
)
の荷車が
御免
(
ごめん
)
よとも何とも云わず
傲然
(
ごうぜん
)
として我前を通ったのさ、今までの態度を維持すれば衝突するばかりだろう
自転車日記
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
傲然
(
ごうぜん
)
として鼻の先にあしらうごとき綱雄の仕打ちには、幾たびか心を傷つけられながらも、人慣れたる身はさりげなく打ち笑えど、綱雄はさらに取り合う
気色
(
けしき
)
もなく、光代
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
楽屋の真中にあぐらをかいた朝野が、ひどく
傲然
(
ごうぜん
)
としたもったい振った口調で、そう言った。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
御就寝
(
おやすみ
)
とのみ思っていた越前守忠相、きちんと端座して
蒔絵
(
まきえ
)
の火鉢に手をかざし、しかもそれをへだてて、ひとりの長髪異風な男が
傲然
(
ごうぜん
)
と大あぐらをかいているではないか。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
武士はもしやと思って
後
(
うしろ
)
の籠舁の顔を見た。その籠舁の左の眼も潰れていた。武士はまたびっくりしたが弱味を見せてはいけないと思ったので、
強
(
し
)
いて
傲然
(
ごうぜん
)
として籠に乗った。
山寺の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
しかるに三友の容貌は少しも
和
(
やわら
)
がないのみか、かえって
傲然
(
ごうぜん
)
として彼を
見下
(
みくだ
)
すその態度に
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
奥の間の障子を開けて見ると、果して昇が
遊
(
あそび
)
に来ていた。しかも
傲然
(
ごうぜん
)
と
火鉢
(
ひばち
)
の
側
(
かたわら
)
に
大胡坐
(
おおあぐら
)
をかいていた。その
傍
(
そば
)
にお勢がベッタリ坐ッて、何かツベコベと
端手
(
はした
)
なく
囀
(
さえず
)
ッていた。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
一匹の畜生が——その仲間の
奴
(
やつ
)
を私は
傲然
(
ごうぜん
)
と殺してやったのだ——一匹の畜生が私に——いと高き神の
像
(
かたち
)
に
象
(
かたど
)
って造られた人間である
(2)
私に——かくも多くの堪えがたい苦痛を
黒猫
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
琴嚢書簏
(
きんのうしょろく
)
典売シテ
殆
(
ほとんど
)
尽ク。
是
(
ここ
)
ヲ
以
(
も
)
テ
朋友
(
ほうゆう
)
親戚
(
しんせき
)
挙
(
こぞ
)
ッテソノ
為
(
な
)
ス所ヲ
咎
(
とが
)
ム。シカモ九万
傲然
(
ごうぜん
)
トシテ顧ズ。誓フニ酔死ヲ以テ本願トナス。奇人トイフベシ。詩モマタ
豪肆
(
ごうし
)
ソノ為人ノ
若
(
ごと
)
シ。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
あるものはただ
傲然
(
ごうぜん
)
たる気位である。満々たる闘志である。彼はいかなる場合にも森の王者たるの気位を失わない。万物の霊長たる人間が、鉄砲を差し向けた時、彼は逃げなかった。
黒猫
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
多分体格の立派なのと、
項
(
うなじ
)
を
反
(
そら
)
せて、
傲然
(
ごうぜん
)
としているのとのためであっただろう。
冬の王
(新字新仮名)
/
ハンス・ランド
(著)
回転椅子の上に
反
(
そ
)
りかえって
傲然
(
ごうぜん
)
と腕を組んだ。葉巻の煙を高々と吹き上げつつ
嘯
(
うそぶ
)
いた。
恰
(
あたか
)
も若林博士が、どこからか耳を澄まして聞いているのをチャント予期しているかのように……。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そういうとしゅろは、まるで
翠
(
みどり
)
の小だかい峰のように、目の下にひろがっている温室仲間の林を
傲然
(
ごうぜん
)
と見おろしました。仲間はだれひとりとして、彼女に言葉を返す勇気のあるものはなかった。
アッタレーア・プリンケプス
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
考古学的時代からの数万年に亘るエジプト文化が生んだ
所謂
(
いわゆる
)
「死の書」の宗教に伴って、王と奴隷とを表現する
雄渾
(
ゆうこん
)
単一な
厖大
(
ぼうだい
)
な美の形式であり、今日でもその王は
傲然
(
ごうぜん
)
として美の世界に君臨し
美の日本的源泉
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
傲
常用漢字
中学
部首:⼈
13画
然
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“傲”で始まる語句
傲慢
傲岸
傲
傲語
傲岸不遜
傲慢不遜
傲骨
傲岸不屈
傲慢無礼
傲遊