人違ひとちが)” の例文
勾引かどはかさんとするをり人違ひとちがひ等にて九郎兵衞か惣内の中にて兩人を殺し其始末にこまりし處より首を切て知れぬ樣になさんため衣類を着せかへ九助を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
市「人違ひとちがえじゃアねえ……此の奥さんみたような人はたしもと猿若町の芸者で小瀧と云って、中頃前橋の藤本へ来て、芸者に出て居た小瀧さんだアね」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「それは、人違ひとちがいだろう……。おじいさんは、息子むすこむかえにきて、あたらしい着物きものにきかえてかえったのだから、またむかしのようすにかえるというはずがない。」
なつかしまれた人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「あたしの夫が、帰って来てくれました。このとおり、あたしを抱いていてくれます。人違ひとちがいだとお分りでしょう。このいましめの綱を、解いてくださいませ」
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
とらへて引立ひきたつるにらばまゐるべしおはなしなされ大方おほかた人違ひとちがひとおもへどおにかゝりしうへならではおうたががたからん御案内ごあんないたのまをすと明瞭めいれうこたへながらこゝろうち依然いぜん濛々漠々まう/\ばく/\
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
不審いぶかりたてんとなす時迯出にげいだす人あるによりそれ盜人ぬすびと出逢々々であへ/\と大聲に呼はりけるに大勢馳來はせきたりて見れば加賀屋四郎右衞門なり皆々是は人違ひとちがならんと云に三郎兵衞之を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
清作せいさくさんは、あまりだしぬけだったのと、そのひとかおて、おぼえがなかったので、びっくりしながら、たぶん人違ひとちがいであろうとおもいました。すると、そのひと
村へ帰った傷兵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
有難ありがたうございます……お内儀かみさんえ、間違まちがつたら御免ごめんなすつて下さいまし、人違ひとちがひとふことはございますから、あなたはお言葉の御様子ごやうすでは鰍沢かじかざはのおうまれではないやうでございますな。
「誰です、君は。人違ひとちがいでしょう」
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
何人なんびと何用なにようありてひたしといふにや親戚しんせき朋友ほういう間柄あひだがらにてさへおもてそむけるわれたいして一面いちめんしきなく一語いちごまじはりなきかも婦人ふじん所用しよようとは何事なにごとあひたしとは何故なにゆゑ人違ひとちがひとおもへばわけもなければ彼處かしこといひ此處こゝといひまはりし方角はうがく不審いぶかしさそれすらこと不思議ふしぎなるにたのみたきことありあし
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「へへへへ、人違ひとちがいでございますよ。」と、おばあさんは、わらって、そのままゆきかけたのでした。
やんま (新字新仮名) / 小川未明(著)
見て否々いや/\人違ひとちがひに非ず盜賊は此者に相違なく此程我に無心を云掛いひかけしを聞ざるゆゑぬすびに入しならん直樣すぐさまうつたへ申べしと云を町内の人々來り我等にあづけ給へとて無理に四郎右衞門を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ながうとはまをしませぬまをしあげたきこと一通ひととほりとことばきれ/″\になみだみなぎりて引止ひきとむるかひなほそけれど懸命けんめいこゝろ蜘蛛くも千筋ちすぢ百筋もゝすぢちからなきちからはらひかねて五尺ごしやくなよ/\となれどわざ荒々あら/\しく退けてお人違ひとちがひならん其樣そのやうおほうけたまはるわたくしにはあらずいけはたよりおともせし車夫しやふみゝにはなんのことやら理由わけすこしもわかりませぬ車代しやだいたま
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
と、くろんぼはこたえて、それなら、やはり、このむすめ人違ひとちがいかというようなかおつきをしていました。
港に着いた黒んぼ (新字新仮名) / 小川未明(著)
これは、人違ひとちがいでないとおもいました。そして、かお似合にあわぬ、なんという、いやなだろうとおもいましたから、おばあさんは、おそろしいつきをして、にらんだのでした。
やんま (新字新仮名) / 小川未明(著)
ぼくは、おまえなんかっていない。きっと人違ひとちがいだろう……。」と、太郎たろうこたえました。
脊の低いとがった男 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いや、人違ひとちがいでない。まったくあなたでした。水色みずいろ着物きものをきて、盲目めくらとおばかりになる、おとこふえ調子ちょうしわせて、うたをうたっておどっていたのは、たしかにあなたです。
港に着いた黒んぼ (新字新仮名) / 小川未明(著)
「じゃ、人違ひとちがいか……。この着物きものはどうしたのだ。」と、若者わかものはききました。
なつかしまれた人 (新字新仮名) / 小川未明(著)