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予
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あらかじ
ふりがな文庫
“
予
(
あらかじ
)” の例文
旧字:
豫
それより
寧
(
むし
)
ろ、頭のどこかに俳画と云ふものと、値段の安いと云ふ事とを結びつけるものが、
予
(
あらかじ
)
め存在したと云つた方が適当である。
俳画展覧会を観て
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
私は最初からこの程度以上に、沖縄の言語研究には干渉せぬ考えであったが、ただ一つだけ
予
(
あらかじ
)
め答えて置くべき小問題が残っている。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
例えば小学で作文を教えるのを見ると、大抵の教師が或題の下に
予
(
あらかじ
)
めこういう風に作れといって
旧套的
(
きゅうとうてき
)
な概念を授けて書かせます。
婦人改造と高等教育
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
そこには何か考えていることがあるのではなかろうか。たとえば途中にて脱走の手段などを
予
(
あらかじ
)
め研究し用意してあるのではなかろうか。
宇宙尖兵
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
子澄が曰く、
然
(
しか
)
らず、燕は
予
(
あらかじ
)
め備うること久しければ、
卒
(
にわか
)
に図り難し。
宜
(
よろ
)
しく先ず
周
(
しゅう
)
を取り、燕の
手足
(
しゅそく
)
を
剪
(
き
)
り、
而
(
しこう
)
して後燕図るべしと。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
貞之助は
予
(
あらかじ
)
め幸子と口を合せて置いたので、
巧
(
うま
)
い工合に言訳をしたが、それでも後の半分は正直な自分の気持を述べたのであった。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
佐藤一斎の集『愛日楼文』の如きまた頼山陽の『日本外史』の如き皆
予
(
あらかじ
)
め敬所の校閲を
俟
(
ま
)
って然る後刊刻せられたといわれている。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
予
(
あらかじ
)
め仕組んだ芝居とは知らないから、お絃もそばから言葉添えをして頼んで、長庵が黒門町までお妙を送って行くことになり、まるで
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
最上の死は
予
(
あらかじ
)
め考えられなかった死である、と彼は書いている。支那人とフランス人との類似はともかく注目すべきことである。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
「教科書以外の質問は困る。何が出るかも知れないから、この頃は教科書以外のことを訊いて時間を潰さないようにと
予
(
あらかじ
)
め注意して置く」
首席と末席
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
また、書物の競売の催されるような日には、彼は
予
(
あらかじ
)
め下見をする際に欲しいと思う本があると、窃かに一頁だけ引き割いて置く。
愛書癖
(新字新仮名)
/
辰野隆
(著)
その「志都歌之返歌」は、母胎として葛城部の物語を持つたことは、此後に述べる「叙事詩と
名代部
(
ナシロベ
)
」に絡んだ推測を
予
(
あらかじ
)
めすゝめて置く。
日本文学の発生
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
恐らく、復讐鬼は、家具屋から運ばれる途中で、ベッドを横取りして、
予
(
あらかじ
)
め造らせて置いたこの偽物を持ち込んだのに違いない。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ほんの
一寸
(
ちょっと
)
した思い付を述べたに過ぎない、
謂
(
い
)
わば夢物語に似たようなものであるから、
予
(
あらかじ
)
め左様御承知を願って置きたい。
二、三の山名について
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
客はさう混んでゐるとも思へなかつた。私はいきなり飛び込んだ客ではなくて、
予
(
あらかじ
)
め手紙で問ひ合してから来た者でもある。
赤蛙
(新字旧仮名)
/
島木健作
(著)
礼助の
予
(
あらかじ
)
め期したやうな事は何も起らずに、彼と彼女達の交渉は毎日此程度を出なかつた。これは礼助の
安堵
(
あんど
)
であつたが同時に焦慮であつた。
曠日
(新字旧仮名)
/
佐佐木茂索
(著)
然
(
しか
)
るを勝氏は
予
(
あらかじ
)
め必敗を期し、その未だ実際に敗れざるに先んじて
自
(
みず
)
から自家の
大権
(
たいけん
)
を
投棄
(
とうき
)
し、ひたすら平和を買わんとて
勉
(
つと
)
めたる者なれば
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
菊池君が脚色してくれるのは結構だがしかしこれも
予
(
あらかじ
)
め会見して意志を疎通して置く必要がある、その辺のこと
宜敷
(
よろしく
)
頼むということを伝えた
生前身後の事
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ここに梓が
待人
(
まちびと
)
、
辻占
(
つじうら
)
、畳算、夢の
占
(
うらない
)
などいう迷信の
盛
(
さかん
)
な人の中に生れもし育ちもし、且つ教えられもしたことを
予
(
あらかじ
)
め断っておかねばならぬ。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
戦いに臨む者は勝利を期待することは当然であるが、万一期待に
背
(
そむ
)
く事あるときはかくかくすると
予
(
あらかじ
)
め覚悟なくてはならぬ。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
そしてきょうは
予
(
あらかじ
)
め、前の夜にでも協議してきたように、口をそろえて、その一派から籠城の
愚
(
ぐ
)
であることを
反駁
(
はんばく
)
してきた。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
又タスマニアでは、
随
(
したが
)
つて又濠洲では、此の掠奪と云ふのが、
屡々
(
しばしば
)
ほんの真似事に過ぎなくなつて、男と女との間の、
予
(
あらかじ
)
めの合意から行はれる。
嫁泥棒譚
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
利七とお種に直接の
兇刃
(
きょうじん
)
を加えた者は、
予
(
あらかじ
)
め暗闇に潜んで待っていた二人の共犯者であって、壁の像が消えるのを待構え
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
土地の人にいわせると、この糸のよじれ方で、その日その日の天候を
予
(
あらかじ
)
め知ることが出来るそうであります。町の
晴雨計
(
せいうけい
)
とでも呼びましょうか。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
この事業はいまだ
半途
(
はんと
)
にして
如何
(
いか
)
になり行くべきや、常なき人の世のことは
予
(
あらかじ
)
めいいがたし、ただこの趣意を
貫
(
つらぬ
)
かんこそ、
妾
(
わらわ
)
が将来の務めなれ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
且亡父母の
素願
(
そがん
)
あるを貫き、霊位を
慰
(
い
)
するの慈善的なる学事の基礎を創立せん事を
予
(
あらかじ
)
め希望する事あるを以て、明治三十五年徳島を退く事とせり。
関牧塲創業記事
(新字新仮名)
/
関寛
(著)
予
(
あらかじ
)
め目的を定め計画を案じて作品に熟慮専念するような時間はなかったが、モオツァルトは不平もこぼさず、不正な要求に応じて大芸術を残した。
教祖の文学:――小林秀雄論――
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
アハハハ……これは身どもが
不念
(
ぶねん
)
じゃった。貴殿の行末を思う余りに、要らざる事を尋ねた。『
予
(
あらかじ
)
め
掻
(
か
)
いて
痒
(
かゆ
)
きを待つ』
斬られたさに
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
もしも食べたい物があるなら、それは
予
(
あらかじ
)
め奥の方へ小姓を以て通じて、そこで調理せしめられるのである。けれどもそれも一品位に止まっていた。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
会費は一人前二円か三円として家庭風の料理を調製するその前から
予
(
あらかじ
)
めその
献立表
(
こんだてひょう
)
と料理の順序方法とを
委
(
くわ
)
しく書き出して来客に示しておきます。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
顔真卿
(
がんしんけい
)
はまったくその書のように人生の造型機構に通達した偉人であり、晩年逆徒李希烈に殺されるのを
予
(
あらかじ
)
め知って
書について
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
しかしさすがの「ひげ」も取り逃がした予言が一つある、ただ幾百年の間、人間の運命をながめていた「杉の杜」のみは
予
(
あらかじ
)
め知っていたに違いない。
河霧
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
物の弊あるは物の
性
(
せい
)
なり。聖人といえども
予
(
あらかじ
)
めこれが
備
(
そなえ
)
をなす
克
(
あた
)
わざるなり。
羅瑪
(
ローマ
)
の
邦
(
くに
)
を復するや教門の力により、その敗るるやまた教門によれり。
教門論疑問
(新字新仮名)
/
柏原孝章
(著)
もし富士山の位置を、北アルプスに移し換えて、その
痩削
(
そうさく
)
的の山容を改めたらば、あるいはどういう雪の結果を
齎
(
もた
)
らしたか、
予
(
あらかじ
)
め知り難いのである。
高山の雪
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
時雄は芳子と父とを並べて、
縷々
(
るる
)
として文学者の境遇と目的とを語り、女の結婚問題に就いて
予
(
あらかじ
)
め父親の説を
叩
(
たた
)
いた。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
吾輩は椽側でこの対話を聞いて彼の今日の日記にはいかなる事が
記
(
しる
)
さるるであろうかと
予
(
あらかじ
)
め想像せざるを得なかった。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ヴォワン・スチーヴンス説にマレー半島のペラック、セマン人懐妊すると父が
予
(
あらかじ
)
め生まるべき児の名を
産屋
(
うぶや
)
近く生え居る樹の名から採って定めおく。
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
とりわけ脚本が
書卸
(
かきおろ
)
し
物
(
もの
)
の場合になると、
予
(
あらかじ
)
め役どころの見当がつかないだけに、
俳優
(
やくしや
)
は物言ひばかり多くて、なかなか役を
引請
(
ひきう
)
けようと言はない。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そして、その場合、嫌疑が自分にかかってくる事を
予
(
あらかじ
)
め覚悟して、わざとあんな狂言を書いたとしたらどうだろう。
殺人迷路:06 (連作探偵小説第六回)
(新字新仮名)
/
橋本五郎
(著)
槌の響きで、湖底の魚が前方へ逃げるのを段々追ひつめて
予
(
あらかじ
)
め張つてある網にかからせるのが「たたき」の漁法である。私の家は、村の最高所にある。
諏訪湖畔冬の生活
(新字旧仮名)
/
島木赤彦
(著)
こうして撮った写真を現像する時には、どんな獣が写っているか
予
(
あらかじ
)
め分っていぬだけ非常に楽しみなものだそうな。
話の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
予
(
あらかじ
)
め殺して置いた『怪我人』の頭を、いかにも脳味噌をつめ替えるために『トントン』が自身でしたように見せかけて、汽車に
轢
(
ひ
)
かしたわけでしょう。
三狂人
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
履んでお伺いする事に致しましょう。甚だお気毒ですが、明日は一歩も外出なさらないように
予
(
あらかじ
)
め申置いておきます
P丘の殺人事件
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
それはまあ、説明の限りじやありませんが、とにかく、女房を養うだけが僕には精いつぱいだと思いますから、
予
(
あらかじ
)
めそのことをお耳に入れておきます。
光は影を
(新字新仮名)
/
岸田国士
(著)
それを同じ音に発音したか違った音に発音したかということは、我々は
予
(
あらかじ
)
め決めることは出来ないのであります。
古代国語の音韻に就いて
(新字新仮名)
/
橋本進吉
(著)
馬は馬なりに信用すればいいものと見える。一益は長島に在って
予
(
あらかじ
)
め兵を諸所に分ち、塁を堅くして守って居た。
賤ヶ岳合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
毒も皿もそれが
予
(
あらかじ
)
め命ぜられているものならひるむことはいらないことです。一人相撲もこれでおしまいです。あの海に実感を持たねばならぬと思います。
橡の花
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
総
(
すべ
)
ての政治を
予
(
あらかじ
)
め定めた法律に遵拠して行うといういわゆる「法治国」の思想は、比較的に新しいものであるが、この法治国思想の起らない前といえども
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
(新字新仮名)
/
吉野作造
(著)
だが
辺鄙
(
へんぴ
)
の地方あるいはラサでも随分野合は行われて居る。野合の後にその子女が
予
(
あらかじ
)
めその父母に告げ、承認を得て結婚の礼式を挙げる者もまた有るです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
そこで元豊は始めて鍾氏との結婚を小翠が
予
(
あらかじ
)
め知っていて、先ずその容貌を変えて、他日の思いを慰めてくれるようにしてくれてあったということを悟った。
小翠
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
“予”の意味
《代名詞》
(ヨ)(context、dated)一人称代名詞。われ。余。
(出典:Wiktionary)
予
常用漢字
小3
部首:⼅
4画
“予”を含む語句
猶予
予想
予期
予譲
予言
予々
御猶予
予定
伊予簾
予言者
予等
予告
予備黌
予知
予報
予算
予且
伊予
予感
予測
...