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与
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や
ふりがな文庫
“
与
(
や
)” の例文
旧字:
與
そして自分が水を
与
(
や
)
ったので庭の草木の勢いが善くなって
生々
(
いきいき
)
として来る様子を見ると、また
明日
(
あした
)
も
水撒
(
みずまき
)
をしてやろうとおもうのさ。
太郎坊
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
直ぐその家に眼を
与
(
や
)
つたのであるが、花崗岩らしい大きな石門から、楓の並樹の間を、爪先上りになつてゐる玄関への道の奥深く
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
「ですが、私の為に
態々
(
わざわざ
)
帰郷させるのも気の毒ですから、
此方
(
こっち
)
は別に急ぐ訳でもないから、冬季休業まで延期しろと云って
与
(
や
)
りました。」
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
自分は喰べずとも綺麗さっぱり
与
(
や
)
ってしまった方が結句気安いようで、疲れて寝る臥床の中に、その夜の夢は
一入
(
ひとしお
)
平和である。
残されたる江戸
(新字新仮名)
/
柴田流星
(著)
その死体を鳥に
与
(
や
)
るでもなければ水の中へ葬りもしない。ちゃんと塩漬にしてそうしてその乾いた死体を泥で塗るのであるからやはり土葬である
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
▼ もっと見る
脱走せねば
与
(
や
)
ると云ふ、そんなら私も思案して見ませうと一旦返したさうですが、後に
甲浦
(
ママ
)
まで帰つた時、兄さんから龍馬に送つて呉れたのです。
千里駒後日譚
(新字旧仮名)
/
川田瑞穂
、
楢崎竜
、
川田雪山
(著)
寒月の咄に由ると、くれろというものには誰にでも
与
(
や
)
ったが、余り沢山あったので与り切れず、その頃は欲しがるものもまた余りなかったそうだ。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
熊谷
(
くまがい
)
のさる豪農に某という息子があったが、医者になりたいという志願であったから、
鴻
(
こう
)
の
巣
(
す
)
の某家に養子に
与
(
や
)
った。
取り交ぜて
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
其の度にお文が白いのを鼻紙に包んで
与
(
や
)
るのを、源太郎は下手な煙草の吸ひやうをしながら、眼を光らして見てゐる。
鱧の皮
(新字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「それだって、お前、来てくれたって、逢ったって、お酒も飲ませられないし、
煙草
(
たばこ
)
も
与
(
や
)
れないし、可哀相だもの。」
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その時老人は無意味な
雑鬧
(
ざっとう
)
の中で、孫にあたる、尋常三年の清造と七つになる勉に絵本を買って
与
(
や
)
っていた。彼女も老人も顔を合そうとはしなかった。
不幸
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
僕は心の中で、奴さん達垂涎三千丈だな、とほくそ笑みながら、どうせ俺には保存慾はないのだから、欲しければ
与
(
や
)
つてもいいよ、と軽く言つて見た。
書狼書豚
(新字旧仮名)
/
辰野隆
(著)
最後
(
さいご
)
に、『
二人
(
ふたり
)
の
間
(
あいだ
)
に
子供
(
こども
)
ができたらそれを
与
(
や
)
る』という
約束
(
やくそく
)
が
成
(
な
)
り
立
(
た
)
ちまして、とうとう
黄道吉日
(
こうどうきつじつ
)
を
選
(
えら
)
んでめでたく
婿入
(
むこい
)
りということになったのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「空乳首をやって見るとよい。」私がそういうと妻はすぐ空乳首を
与
(
や
)
った。赤児は、
吻
(
ほ
)
っとしたようにそれを
舐
(
しゃぶ
)
り、くろぐろとした瞳を静まらせ泣き
歇
(
や
)
んだ。
童子
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
今さらこの年で日本へ
帰
(
けえ
)
ろうにも、領事館へ泣き付いて移民送還てのも気が利かねえしね——済んませんが、あんた、いくらか煙草銭でも
与
(
や
)
ってくれないかね。
踊る地平線:06 ノウトルダムの妖怪
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
(だんだん興奮して)ほら、この剣をやる! いや、この兜も
与
(
や
)
る。あの、おれの馬もくれてやるぞ。笑わせろ、笑わせろ! なんとかして
合爾合
(
カルカ
)
を笑わせろ!
若き日の成吉思汗:――市川猿之助氏のために――
(新字新仮名)
/
林不忘
、
牧逸馬
(著)
「ちゃんと一列にならべ。いいか、
魚
(
さかな
)
浮いて来たら泳いで行ってとれ。とったくらい
与
(
や
)
るぞ。いいか。」
風の又三郎
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
お定は馬に
乾秣
(
やた
)
を
刻
(
き
)
つて塩水に掻廻して
与
(
や
)
つて、一担ぎ水を汲んで来てから夕餉の膳に坐つたが、無暗に気がそは/\してゐて、麦八分の飯を二膳とは喰べなかつた。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
宜しいお前達に
与
(
や
)
つて了う。たゞ五分の一だけ呉れろ、
乃公
(
わし
)
は其を
以
(
もつ
)
て北海道に飛ぶからつて。其処で小僧が
九
(
こゝのつ
)
の時でした、親子三人でポイと
此方
(
こつち
)
へやつて来たのです。
空知川の岸辺
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
姉も妻もアレキサンドリアが嫌いなので、始末に困っておるのですが、それをあの娘に
与
(
や
)
って、直ぐに指環に仕立るように命じて伊勢崎町の松山宝石店に遣りましょう。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
お台所の隅にでもおいていただけば……古い枕に寝かしておいて……ときどきわたしが乳を
与
(
や
)
ります。家に人がいないものですから、
此子
(
これ
)
の面倒を見てくれ手がございませんので
小さきもの
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
一日中下にねてゐますので、おむつの世話とお乳を
与
(
や
)
りさへすればそれでいゝのです。
らいてう氏に
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
「いかゞ取り計らひませう。幾らかお
与
(
や
)
り下さいませんでせうか。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
も一つ
与
(
や
)
ろうとすると今度はそうありがたく思わない。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
古くから己の家にあつた紫檀の蓋の湯呑を
与
(
や
)
つた
都会と田園
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
コノール
琴手
(
ことひき
)
、お前の生命は
与
(
や
)
る。行け!
ウスナの家
(新字新仮名)
/
フィオナ・マクラウド
(著)
直ぐその家に眼を
与
(
や
)
ったのであるが、
花崗岩
(
みかげいし
)
らしい大きな石門から、
楓
(
かえで
)
の
並樹
(
なみき
)
の間を、
爪先
(
つまさき
)
上りになっている玄関への道の奥深く
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
若
(
も
)
し
此
(
こ
)
の女がここの
門
(
かど
)
を
潜
(
くぐ
)
った所を見ると、妾は
何日
(
いつ
)
でも
押掛
(
おしか
)
けて来て、頭の毛を一本一本引ッこ抜いて
与
(
や
)
るから、
然
(
そ
)
う思ってお
在
(
いで
)
なさい。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
尼僧に御無沙汰挨拶をして、それから、
法衣
(
ころも
)
を借してくれと云った。尼僧も別に怪しいと思わず貸して
与
(
や
)
ったら、
女衣服
(
おんなぎ
)
の上にそれを着て出て行った。
取り交ぜて
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
それが
宜
(
よ
)
うございましょう。そうして御約束の御褒美は。「家へ行ってから
与
(
や
)
る。「間違ませんか。「大丈夫だ。「きっとでしょうね。「ええ、
執拗
(
しつッこい
)
な。 ...
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それは鳥に
与
(
や
)
れば鳥に伝染の
憂
(
うれい
)
があり、また川に流せば他に伝染の憂があるというところから許されないのです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
同
(
おな
)
い
年
(
どし
)
の私の児供は魔子を不便がったと見えて、
大切
(
だいじ
)
にしていた
姉様
(
あねさま
)
や千代紙を残らず魔子に
与
(
や
)
ってしまった。
最後の大杉
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
白峰駿馬は越後の生れ、左柳高次は讃州志度の者で本名は浦田運次郎、高次と云ふのは龍馬が
与
(
や
)
つた名です。
千里駒後日譚
(新字旧仮名)
/
川田瑞穂
、
楢崎竜
、
川田雪山
(著)
「ちゃんと一列にならべ。いいか。魚浮いて来たら、泳いで行ってとれ。とった位
与
(
や
)
るぞ。いいか。」
さいかち淵
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
と言うより、つまりそれは、彼女が彼に充分な儲けを
別
(
わ
)
けて
与
(
や
)
らなかったからだが、そこで当然リンピイは、妻の一使用人として以外に自分だけの内職を持っていた。
踊る地平線:08 しっぷ・あほうい!
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
渉らうとしても渉り得ない二人の
児童
(
こども
)
が羨ましがつて
喚
(
よ
)
び叫ぶを
可憐
(
あはれ
)
に思ひ、汝達には来ることの出来ぬ清浄の地であるが、然程に来たくば渡らして
与
(
や
)
るほどに待つて居よ
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
今度こそはいよいよ行き詰ったことをはっきりと意識した。自分で食べる
麺麭
(
パン
)
もない——それは我慢が出来るとしても、子供に乳が
与
(
や
)
れなくなったのには、ほんとうに当惑した。
小さきもの
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
成吉思汗
(
ジンギスカン
)
(上機嫌に)今日第一の殊勲者は、
木華里
(
ムカリ
)
だ。それ、
木華里
(
ムカリ
)
、
盃
(
さかずき
)
を
与
(
や
)
るぞ。
若き日の成吉思汗:――市川猿之助氏のために――
(新字新仮名)
/
林不忘
、
牧逸馬
(著)
「もし乃公が
与
(
や
)
らぬと言ったらどうする?」
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
罷
(
まか
)
り間違ったらば、
其
(
そ
)
の喉笛にでも
啖
(
くら
)
い付いて
与
(
や
)
るまでのこと。勝負は時の運次第と、
彼女
(
かれ
)
は
咄嗟
(
とっさ
)
の
間
(
あいだ
)
に度胸を据えて
了
(
しま
)
った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
金を
与
(
や
)
ろうかなどと云う申出は、それがどんなに至純な動機からであろうとも、相手に対する可なり重大な侮辱を、意味しては居ないだろうか。
神の如く弱し
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
その養父というのが、
仲々
(
なかなか
)
の
飲酒家
(
のんだくれ
)
で、
固
(
もと
)
より資産の有る方ではないから、始終家産は
左向
(
ひだりむき
)
であった。熊谷ではもしも養父が亡くなったら、相当な資産は
与
(
や
)
るといっていた。
取り交ぜて
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
それは
皆
(
みんな
)
お前がそう思うからで、あの、雀だって
餌
(
え
)
を
与
(
や
)
って、拾ってるのを見て、嬉しそうだと思えば嬉しそうだし、頬白がおじさんにさされた時悲しい声と思って見れば
化鳥
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
謀反人も明智のやうなは
道理
(
もつとも
)
だと伯龍が講釈しましたが彼奴のやうなは大悪無道、親方は何日のつそりの頭を鉄扇で打ちました、
何日
(
いつ
)
蘭丸にのつそりの領地を
与
(
や
)
ると云ひました
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
おや、おれの
与
(
や
)
った指環をはめていないね。どうしたんだい。おれは取りかえした覚えはないが。お前も『これはわたし達の
結婚指環
(
アリアンス
)
にしましょう』って云っていたではないか。何故
脱
(
と
)
ったの
暗中の接吻
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
そのまま着服していて
先日
(
このあいだ
)
父親に内証でお菊に
与
(
や
)
ったものだと言った。
早耳三次捕物聞書:01 霙橋辻斬夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「ちゃんと一
列
(
れつ
)
にならべ。いいか。魚
浮
(
う
)
いてきたら、
泳
(
およ
)
いで行ってとれ。とったくらい
与
(
や
)
るぞ。いいか。」小さなこどもらは、よろこんで顔を赤くして、
押
(
お
)
しあったりしながら、ぞろっと淵を
囲
(
かこ
)
んだ。
さいかち淵
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
牛の耳を切り取ってベルモントへ
与
(
や
)
れという観衆の
要求
(
デマンド
)
である。
踊る地平線:07 血と砂の接吻
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
其
(
それ
)
は
皆
(
みんな
)
お
前
(
まへ
)
がさう
思
(
おも
)
ふからで、あの、
雀
(
すゞめ
)
だつて
餌
(
ゑさ
)
を
与
(
や
)
つて、
拾
(
ひろ
)
つてるのを
見
(
み
)
て、
嬉
(
うれ
)
しさうだと
思
(
おも
)
へば
嬉
(
うれ
)
しさうだし、
頬白
(
ほゝじろ
)
がおぢさんにさゝれた
時
(
とき
)
悲
(
かな
)
しい
声
(
こゑ
)
だと
思
(
おも
)
つて
見
(
み
)
れば
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
まずそれまでは上方あたりに遊んで居るようしてやりたく、路用の金も
調
(
こしら
)
えて来ましたれば少しなれどもお預け申しまする、どうぞよろしく云い含めて清吉めに
与
(
や
)
って下さりませ
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
与
常用漢字
中学
部首:⼀
3画
“与”を含む語句
与那国
分与
与力
賦与
施与
与三
与兵衛
与太者
与党
与右衛門
参与
与太郎
寄与
荊与棘塞路
与奪
与一
関与
与那原
与重
河尻与兵衛
...