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莫迦
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ばか
ふりがな文庫
“
莫迦
(
ばか
)” の例文
「おい、隊長に
莫迦
(
ばか
)
な真似はやめろと云え。三十分以内に交替しないと砲撃されるぞ。向うの丘に砲を二門
据
(
す
)
えたのが見えないのか」
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
お高は、何という
悠長
(
ゆうちょう
)
な人であろうと、まじめに応対するのが、
莫迦
(
ばか
)
々々しくなった。しかし、返事をしないわけにはゆかないので
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その話はね、誰れでも五月蠅く聞くんだ、その癖皆んな途中で
莫迦
(
ばか
)
らしいと笑って
了
(
しま
)
うんだ。それで僕もあまり話したくないんだ。
息を止める男
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
むしろ、冷然として、
煙管
(
きせる
)
を
啣
(
くわ
)
えたり、鼻毛をぬいたりしながら、
莫迦
(
ばか
)
にしたような眼で、舞台の上に周旋する鼠の役者を眺めている。
仙人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
宋に
奔
(
はし
)
り、続いて
晋
(
しん
)
に逃れた太子
蒯聵
(
かいがい
)
は、人毎に語って言った。淫婦刺殺という
折角
(
せっかく
)
の義挙も臆病な
莫迦
(
ばか
)
者の裏切によって失敗したと。
盈虚
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
▼ もっと見る
莫迦
(
ばか
)
なことを云っちゃ嫌だわ。そんな事誰がするもんですか。妾には何の
為
(
た
)
めか分らないけれど、あんた今夜は嘘をついてるわね。
赤い手
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
今日は名にし
負
(
お
)
う
金精
(
こんせい
)
峠である。
殆
(
ほと
)
んど直立せる断崖絶壁を登ること一里八丁、
樵夫
(
きこり
)
が連れて来た犬が
莫迦
(
ばか
)
に
吠
(
ほ
)
え付いて始未におえぬ。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
あなたも子供ではないのだから、
莫迦
(
ばか
)
なことはよい加減によさないか。僕だって、この家をただ遊ばせて置いてあるのじゃないよ。
彼は昔の彼ならず
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「解んねえな。どうせ
素人
(
しろうと
)
じゃあるめえ。
莫迦
(
ばか
)
に意気な風だぜ、と言って、芸者にしちゃどこか渋皮の
剥
(
む
)
けねえところもあるし……。」
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
如何にも
莫迦
(
ばか
)
げているが、これは屋根板をめくり取るのを容易にする為で、かくすると
棰
(
たるき
)
から棰へ火が飛びうつらぬことが観察される。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
「
莫迦
(
ばか
)
な! そんな莫迦莫迦しい理屈がどこにある! 第一、二匹のゴリラがこの婦人を争ったなどという推測がどこからついてくる!」
令嬢エミーラの日記
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「
莫迦
(
ばか
)
ッ。
折角
(
せっかく
)
の
訓辞
(
くんじ
)
が、
効目
(
ききめ
)
なしに、なっちまったじゃないか!」口のところへ持ってゆきかけた
盃
(
さかずき
)
を途中で停めて、長造は
破顔
(
はがん
)
した。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
慧鶴は何を問われても「うんうん」と返事をするだけなので、みんなは気狂いか
莫迦
(
ばか
)
になったものと思い、呆れて帰って行った。
宝永噴火
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
あの
粗
(
あら
)
い髪を丁寧に
撫
(
な
)
でつけ額を光らせ
莫迦
(
ばか
)
に腰の低いところは大将にそっくりな若者が、あれが吉どんか、と思われるほどで
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
こうしたのがいわゆる露西亜
気質
(
きしつ
)
というものかと私は感嘆した。全く何と好きな国民だろうと。彼女の中にもイワンの
莫迦
(
ばか
)
は光っていた。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
限
(
き
)
りがない。後ろにはもうたくさんな往来人がつかえている。素直に答えているのも
莫迦
(
ばか
)
らしく、ひとにも迷惑と考えて、武蔵は答えた。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
つまり、誰彼となく話しかけたくて仕様がなくなるし、同時に、相手に
莫迦
(
ばか
)
にされてゐるやうな気がして仕方がないのである。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
お定は、水汲から帰ると直ぐ朝草刈に
平田野
(
へいだの
)
へ行つたが、
莫迦
(
ばか
)
に気がそは/\して、朝露に濡れた
利鎌
(
とがま
)
が、兎角休み勝になる。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
といって二十円損をするのも
莫迦
(
ばか
)
らしく、馬の片脚五円ずつ出し合って四人で一枚の馬券を買う仲間を探しているのだった。
競馬
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
……が、その
莫迦
(
ばか
)
げた空想にすぐ自分で気がついて、彼はそれを踊り子のための現在の苦痛から回避しようとしている自分自身のせいにした。
聖家族
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
昌允 そんな
莫迦
(
ばか
)
な……。しかし、どうしてもと言われるなら、それはそれで構いませんよ。あなたの意志は、尊重します。
華々しき一族
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
この男の眼の中には、人を
莫迦
(
ばか
)
にしたところがある。内職をする女の姿が、チンドン屋みたいに写っているのかも知れない。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
莫迦
(
ばか
)
にするのも程があります。何の証拠も無いのに無垢の人間に疑いを掛けて、研究だとは何と云う云い方です。単なる一ツの出来事とは何です
偽刑事
(新字新仮名)
/
川田功
(著)
もっとも一週間速成油絵講習会といった風の事を企てる
香具師
(
やし
)
もあるだろうけれども、先ず正直な処さような話し位い
莫迦
(
ばか
)
々々しいものはない。
油絵新技法
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
幾世紀にわたってグレンジル城の城主は
莫迦
(
ばか
)
の限りをつくした、今ではもう莫迦も種ぎれになったろうと思われても決して無理はないのであった。
作男・ゴーの名誉
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
そんな大言壮語したあとではきつと、頭が痛いと苦しがつて両手で
顳顬
(
こめかみ
)
を揉むのが例になつてゐる。
莫迦
(
ばか
)
なことである。
現代詩
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
ところが薄
莫迦
(
ばか
)
げた物腰や異様な風采のために、爺は周囲の
支械
(
チゲ
)
軍(担荷人)達に取り囲まれて
嬲
(
なぶ
)
られるようになった。
土城廊
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
僕は剣を振り
翳
(
かざ
)
しながら明るく
平坦
(
へいたん
)
な街道を駆けていた。頭の鳥の羽根が、バザバザという音をたてて
莫迦
(
ばか
)
に心地
好
(
よ
)
く
颯爽
(
さっそう
)
として風を切っている。
吊籠と月光と
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
と言うと、
莫迦
(
ばか
)
に十九世紀的にひびくが、この事実は、いまも国際的「
底の社会
(
アンダアワウルド
)
」の暗黒を貰いて立派に存在している。
踊る地平線:08 しっぷ・あほうい!
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
こちらは、
莫迦
(
ばか
)
みたいに、
頬笑
(
ほほえ
)
んで、瞰下していると、あなたは、
直
(
す
)
ぐ気づき、上をむいて、にっこりした。
隣
(
となり
)
のお嬢さんも、おなじく見上げる。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
『
何
(
なん
)
でも
可
(
い
)
い、もう二
度
(
ど
)
と
其處
(
そこ
)
へは
行
(
ゆ
)
かないから!』
云
(
い
)
ひながら
愛
(
あい
)
ちやんは、
森
(
もり
)
の
中
(
なか
)
を
徒歩
(
おひろひ
)
て
行
(
ゆ
)
きました。『
莫迦
(
ばか
)
げた
茶話會
(
さわくわい
)
よ、
初
(
はじ
)
めて
見
(
み
)
たわ!』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
真面目
(
まじめ
)
な反論を出すのが
莫迦
(
ばか
)
らしくなったくらい、不思議なほど冷静な、反響一つ戻ってゆかないという静けさだった。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
気をきかしたつもりで
莫迦
(
ばか
)
なことをしたもので、あとから種々の点を綜合してみると、この壁の文字こそは、それこそ
千載一遇
(
せんざいいちぐう
)
の好材料だったのだ。
女肉を料理する男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
ラランはいつものやうに、カラカラと
笑
(
わら
)
つた。五千メートル。いつもならこの
辺
(
へん
)
へ
来
(
く
)
るまでに
疲
(
つか
)
れて
墜
(
を
)
ちてしまう
筈
(
はづ
)
なのに、
今度
(
こんど
)
は
莫迦
(
ばか
)
に
調子
(
てうし
)
がいい。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
道理を
辨
(
わきま
)
へない怒り方や彼女の
莫迦
(
ばか
)
らしい、矛盾した、嚴しい命令に苦しめられることなどを耐へてはゐないから
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
大分つかれて来たし、足もとが悪いから、若し辷りでもしようものなら
莫迦
(
ばか
)
げている。今晩は東信の小舎で泊って、あしたゆっくり路をさがしましょう。
可愛い山
(新字新仮名)
/
石川欣一
(著)
性来憂鬱を好み、日頃
煩悶
(
はんもん
)
を口癖にして
倦
(
う
)
むことを知らない。前記の言葉はその一例であるが、これは浅間麻油の聞き
飽
(
あ
)
いた(
莫迦
(
ばか
)
の)一つ文句であった。
小さな部屋
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「
莫迦
(
ばか
)
げた話を——」と牧場主が云った。「何故と云って、それからその馬車が少しばかり
駈
(
はし
)
り初めた時に、山賊の一人が息せききって駈戻って来たのです。 ...
薔薇の女
(新字新仮名)
/
渡辺温
(著)
其登りが
莫迦
(
ばか
)
に急だ。登り終って五、六間行くと突然大断裂が現われる。例に依って長次郎に探検を命じた。
八ヶ峰の断裂
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
「
燻
(
けぶ
)
つてえの
無
(
な
)
く
成
(
な
)
つたら
酷
(
ひど
)
く
晴々
(
せい/\
)
してへえつてる
樣
(
やう
)
ぢやなくなつた。
俺
(
お
)
ら
莫迦
(
ばか
)
な
目
(
め
)
に
逢
(
あ
)
つちやつたえ」
兼
(
かね
)
博勞
(
ばくらう
)
はがぶりと
風呂
(
ふろ
)
の
音
(
おと
)
をさせて
立
(
たち
)
ながらいつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
莫迦
(
ばか
)
正直な夏は、私たちの気も知らずにぽかんとそんなことを言ったが、私はあっちイ行けと
顎
(
あご
)
を
杓
(
しゃく
)
った。
童子
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
自分の最愛な細君へ警戒をしたという
莫迦
(
ばか
)
らしさとおなじで、女流のなかでさすがに立派な意見だと
頷
(
うなず
)
かれたのは、
与謝野晶子
(
よさのあきこ
)
女史と平塚らいてう氏であった。
芳川鎌子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
自分、一遍家を見て来ようと云ったらY、怒り、いらぬこと云うもんじゃない、
莫迦
(
ばか
)
、という。引越し、散歩し二人でカルタをして、自分まけ、十一時すぎかえる。
日記:14 一九二八年(昭和三年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「俺や知らねえ、名前も知らねえ、顔も知らねえんだが、素晴しい豪い人だって事だけは吉公から聞いている」と云ったが、急に
莫迦
(
ばか
)
にしたような眼で赤星を見上げ
鳩つかひ
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
それを自分の
莫迦
(
ばか
)
らしい気の
故
(
せゐ
)
であるといかに思ひ、その不快な幻影を払ひ退けようと頭を打ち振り乍らも脳裡にこびりついた孫四郎の顔は只孫四郎の顔とは思へず
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
健作——
莫迦
(
ばか
)
な。東京の新聞記者は事件には食傷している。我々の園遊会の記事なんざ、どんなに手をまわして運動したって、六号活字で二三行書いてくれるのが関の山だ。
探偵戯曲 仮面の男
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
「そんな
莫迦
(
ばか
)
げたことを、僕が言うわけはない。言ったとしても、三元が真に受けるものか」
黄色い日日
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
莫迦
(
ばか
)
に天候がよいと思ふと小潮や潮変りで、一日海流がのたりのたりしてゐたり、或は出水で瀬が濁り、よい釣場には先着者があつたり、なかなか思ふ様には行かぬものである。
日本の釣技
(新字旧仮名)
/
佐藤惣之助
(著)
彼女は私が
莫迦
(
ばか
)
なことを云うのを、ただ黙って笑っている。私はなお座にいたたまらない気がして、ふいと起って台所へゆき御飯蒸の蓋を取り、芋に箸を突きさしてみたが、まだ固い。
メフィスト
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
「そんな、
莫迦
(
ばか
)
なことがあるものか。亡霊が、ラッコの皮を売ってどうするンだ」
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
“莫迦(
馬鹿
)”の解説
馬鹿(ばか)とは、
愚かなこと。
社会の常識に欠けていること(「専門馬鹿」・「役者馬鹿」・「親馬鹿」などと用いる)。
知能が劣り愚かなこと。
つまらないこと。無益なこと。
役に立たないこと。機能を果たさないこと。
記憶力・理解力などが人と比べて劣っていること。
漢字では馬鹿・莫迦・馬稼・破家等と表記するが、借字である。平仮名や片仮名でばか・バカと表記する場合もある。
(出典:Wikipedia)
莫
漢検準1級
部首:⾋
10画
迦
漢検準1級
部首:⾡
9画
“莫迦”で始まる語句
莫迦莫迦
莫迦々々
莫迦気
莫迦者
莫迦野郎
莫迦囃
莫迦氣
莫迦力
莫迦大
莫迦奴