トップ
>
苦
>
くるしみ
ふりがな文庫
“
苦
(
くるしみ
)” の例文
苦
(
くるしみ
)
を
輕
(
かろ
)
んずるとか、
何
(
なん
)
にでも
滿足
(
まんぞく
)
してゐるとか、
甚麼事
(
どんなこと
)
にも
驚
(
おどろ
)
かんと
云
(
い
)
ふやうになるのには、
那
(
あれ
)
です、
那云
(
あゝい
)
ふ
状態
(
ざま
)
になつて
了
(
しま
)
はんければ。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
遂
(
つひ
)
に彼はこの
苦
(
くるしみ
)
を両親に訴へしにやあらん、
一日
(
あるひ
)
母と娘とは
遽
(
にはか
)
に身支度して、
忙々
(
いそがはし
)
く車に乗りて出でぬ。彼等は
小
(
ちひさ
)
からぬ
一個
(
ひとつ
)
の
旅鞄
(
たびかばん
)
を携へたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
その
苦
(
くるしみ
)
その
痛
(
いたみ
)
何とも形容することは出来ない。むしろ真の狂人となつてしまへば楽であらうと思ふけれどそれも出来ぬ。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
さういふ
処
(
ところ
)
は
拠
(
よんどころ
)
なく
捨
(
すて
)
置いていつか分る時もあらうと
茫然
(
ばうぜん
)
と
迂遠
(
うゑん
)
な区域に
止
(
とど
)
め
置
(
おい
)
て、別段
苦
(
くるしみ
)
もいたしませんかつた。
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
彼の
渇
(
かわき
)
はますます激しく、
苦
(
くるしみ
)
はますますその度を高めるのみである。十六億あまりの人類のうち吾が胸を聴いてくれる人はなきかと彼は歎声を吐いた。
愛か
(新字新仮名)
/
李光洙
(著)
▼ もっと見る
随分それまでにもかれこれと年季を増して、二年あまりの地獄の
苦
(
くるしみ
)
がフイになっている上へ、もう
切迫
(
せっぱ
)
と二十円。
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ところが、飢えたる者は人の
美饌
(
びせん
)
を
享
(
う
)
くるを見ては愈々飢の
苦
(
くるしみ
)
を感ずる道理がある。
飽
(
あ
)
ける者は人の
饑餓
(
きが
)
に臨めるを見ては、余計に之を哀れむの情を催す道理がある。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
渇
(
かはき
)
の
止
(
と
)
まると
共
(
とも
)
に
次
(
つぎ
)
には
飢
(
うゑ
)
の
苦
(
くるしみ
)
、あゝ
此樣
(
こん
)
な
事
(
こと
)
と
知
(
し
)
つたら、
昨夜
(
さくや
)
海中
(
かいちう
)
に
飛込
(
とびこ
)
む
時
(
とき
)
に、「ビスケツト」の
一鑵
(
ひとかん
)
位
(
ぐら
)
いは
衣袋
(
ポツケツト
)
にして
來
(
く
)
るのだつたにと、
今更
(
いまさら
)
悔
(
くや
)
んでも
仕方
(
しかた
)
がない
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
遮莫
(
さもあらばあれ
)
永い
年月
(
としつき
)
の
行路難
(
こうろだん
)
、
遮莫
(
さもあらばあれ
)
末期
(
まつご
)
十字架の
苦
(
くるしみ
)
、翁は
一切
(
いっさい
)
を終えて
故郷
(
ふるさと
)
に帰ったのである。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
荒海
(
あらうみ
)
の
怒
(
いかり
)
に
逢
(
あ
)
うては、世の常の
迷
(
まよい
)
も
苦
(
くるしみ
)
も無くなってしまうであろう。
己
(
おれ
)
はいつもこんな風に遠方を見て感じているが、一転して近い処を見るというと、まあ、何たる殺風景な事だろう。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
「雪間の草の春」は陣痛の
苦
(
くるしみ
)
を味って自分が生んだ胎児にちがいない。血を引いた個性がそこにあらわれている。もともと雪間の草を発見したのは自分自身である。自分の見方が好かった。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
貴様、運命の鬼が最も
巧
(
たくみ
)
に使う道具の一は『
惑
(
まどい
)
』ですよ。『惑』は
悲
(
かなしみ
)
を
苦
(
くるしみ
)
に変ます。
苦悩
(
くるしみ
)
を更に自乗させます。自殺は決心です。始終
惑
(
まどい
)
のために苦んで居る者に、
如何
(
どう
)
して此決心が起りましょう。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
その時に後で
烈
(
ひど
)
い熱病を
煩
(
わずら
)
って死ぬ程の
苦
(
くるしみ
)
をいたしました。農家の女の
労苦
(
つらさ
)
はどれ程でしょう——麦刈——田の草取、それから思えば荒井様の御奉公は楽すぎて、毎日遊んで暮すようなものでした。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
この己の
苦
(
くるしみ
)
をお前の照すのが、今宵を
終
(
おわり
)
であれば好いに。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
彼
(
かれ
)
は
微笑
(
びせう
)
を
以
(
もつ
)
て
苦
(
くるしみ
)
に
對
(
むか
)
はなかつた、
死
(
し
)
を
輕蔑
(
けいべつ
)
しませんでした、
却
(
かへ
)
つて「
此
(
こ
)
の
杯
(
さかづき
)
を
我
(
われ
)
より
去
(
さ
)
らしめよ」と
云
(
い
)
ふて、ゲフシマニヤの
園
(
その
)
で
祈祷
(
きたう
)
しました。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
棄てられてゐながらその愛されてゐる妾よりは、責任も重く、苦労も多く、
苦
(
くるしみ
)
ばかりで
楽
(
たのしみ
)
は無いと謂つて可い。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
せめて、朝に晩に、この
身体
(
からだ
)
を
折檻
(
せっかん
)
されて、
拷問
(
ごうもん
)
苛責
(
かしゃく
)
の
苦
(
くるしみ
)
を受けましたら、何ほどかの罪滅しになりましょうと、それも、はい、後の世の地獄は恐れませぬ。
山吹
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
午後四時半体温を
験
(
けん
)
す、卅八度六分。しかも両手なほ
冷
(
ひややか
)
、この頃は卅八度の低熱にも苦しむに六分とありては後刻の
苦
(
くるしみ
)
さこそと思はれ、今の内にと急ぎてこの稿を
認
(
したた
)
む。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
其時
(
そのとき
)
第
(
だい
)
一に
堪難
(
たえがた
)
く
感
(
かん
)
じて
來
(
き
)
たのは
渇
(
かはき
)
の
苦
(
くるしみ
)
、
茲
(
こゝ
)
だ
禍
(
わざわひ
)
變
(
へん
)
じて
幸
(
さひはひ
)
となると
言
(
い
)
つたのは、
普通
(
ふつう
)
ならば、
漂流人
(
へうりうじん
)
が、
第
(
だい
)
一に
困窮
(
こんきう
)
するのは
淡水
(
まみづ
)
を
得
(
え
)
られぬ
事
(
こと
)
で、
其爲
(
そのため
)
に十
中
(
ちう
)
八九は
斃
(
たを
)
れてしまうのだが
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
留
(
とど
)
められたる
袖
(
そで
)
思い
切
(
きっ
)
て振払いしならばかくまでの切なる
苦
(
くるしみ
)
とはなるまじき者をと、恋しを恨む恋の愚痴、
吾
(
われ
)
から吾を
弁
(
わきま
)
え難く、
恍惚
(
うっとり
)
とする所へ
著
(
あらわ
)
るゝお辰の姿、
眉付
(
まゆつき
)
媚
(
なまめ
)
かしく
生々
(
いきいき
)
として
睛
(
ひとみ
)
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
あの何とも言えぬ心持は、この世界の深い深い秘密と関係している人の母の心であろう。しかしもうわたしにはあの甘い
苦
(
くるしみ
)
を持っている、ここの空気を吸う事は出来ぬ。わたしはもう行かねばならぬ。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
あらゆる
生
(
せい
)
の発動を、なぜか分からぬ
苦
(
くるしみ
)
が
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
彼
(
かれ
)
は
微笑
(
びしょう
)
を
以
(
もっ
)
て
苦
(
くるしみ
)
に
対
(
むか
)
わなかった、
死
(
し
)
を
軽蔑
(
けいべつ
)
しませんでした、
却
(
かえ
)
って「この
杯
(
さかずき
)
を
我
(
われ
)
より
去
(
さ
)
らしめよ」と
云
(
い
)
うて、ゲフシマニヤの
園
(
その
)
で
祈祷
(
きとう
)
しました。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
して見りや、今までよりは一層
苦
(
くるしみ
)
を受けるのは知れてゐる。その中で俺は活きてゐて何を為るのか。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
早瀬は差置かれた胸の手に、
圧
(
お
)
し殺されて、あたかも呼吸の留るがごとく、その
苦
(
くるしみ
)
を払わんとするように、
痩細
(
やせほそ
)
った手で握って、
幾度
(
いくたび
)
も口を動かしつつ辛うじて答えた。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
わたしがあなたの
苦
(
くるしみ
)
をどうにかして上げる
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
苦
(
くるしみ
)
を
軽
(
かろ
)
んずるとか、
何
(
なん
)
にでも
満足
(
まんぞく
)
しているとか、どんなことにも
驚
(
おどろ
)
かんと
云
(
い
)
うようになるのには、あれです、ああ
云
(
い
)
う
状態
(
ざま
)
になってしまわんければ。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
“苦”の意味
《名詞》
(ク)苦しいこと、辛いこと
(出典:Wiktionary)
“苦(苦(仏教))”の解説
仏教における苦(く、pi: dukkha、sa: दुःख, duḥkha、蔵: )とは、苦しみや悩み、精神や肉体を悩ませる状態を指す。対義語は楽。
仏教は無常、苦、無我の3つで三相を形成する。四諦の4つすべては苦に関する真理である。仏教は、この苦の滅尽をめざす学問体系である。
(出典:Wikipedia)
苦
常用漢字
小3
部首:⾋
8画
“苦”を含む語句
苦力
苦笑
苦悩
苦悶
苦痛
辛苦
苦情
苦慮
苦患
苦勞
心苦
苦汁
困苦
労苦
苦衷
滅茶苦茶
苦味
苦行
苦役
苦難
...