“旅鞄”の読み方と例文
読み方割合
たびかばん100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
つひに彼はこのくるしみを両親に訴へしにやあらん、一日あるひ母と娘とはにはかに身支度して、忙々いそがはしく車に乗りて出でぬ。彼等はちひさからぬ一個ひとつ旅鞄たびかばんを携へたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
下坂くだりざかは、うごきれると、一めい車夫しやふ空車からいて、ぐに引返ひつかへことになり、梶棒かぢぼうつてたのが、旅鞄たびかばん一個ひとつ背負しよつて、これ路案内みちあんないたうげまでともをすることになつた。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
車のあとより車の多くは旅鞄たびかばんと客とを載せて、一里先なる停車場すていしょんを指して走りぬ。ぜんの通い茶の通いに、久しくむつみたるおんなどもは、さすがに後影を見送りてしばし佇立たたずめり。
書記官 (新字新仮名) / 川上眉山(著)