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はなや
真紅なアネモネが、
花屋の
店に
並べられてありました。
同じ
土から
生まれ
出た、この
花は、いわば
兄弟ともいうようなものでありました。
花屋へ這入つて、大きな
白百合の
花を沢山
買つて、
夫を
提げて、
宅へ
帰つた。
花は
濡れた儘、
二つの
花瓶に
分けて
挿した。
參詣人へも
愛想よく
門前の
花屋が
口惡る
嚊も
兎角の
蔭口を
言はぬを
見れば、
着ふるしの
浴衣、
總菜のお
殘りなどおのずからの
御恩も
蒙るなるべし
……
通りの
花屋、
花政では、きかない
氣の
爺さんが、
捻鉢卷で、お
月見のすゝき、
紫苑、
女郎花も
取添へて、おいでなせえと、やつて
居た。
葉に
打つ
水もいさぎよい。
「おや、
花屋さんが來たやうだね。」とおふくろも外を
覗くやうにする。
甲の
身の
上を
空想しながら、
花屋の
店頭にあった
二鉢のアネモネは、ある
日、
大学生が、
前に
立って、
自分たちを
見つめて
居るのに
気づきました。
……
廂破れ、
軒漏るにつけても、
光りは
身に
沁む
月影のなつかしさは、せめて
薄ばかりも
供へようと、
大通りの
花屋へ
買ひに
出すのに、こんな
時節がら、
用意をして
賣つてゐるだらうか。
町内で
顏の
好いのは
花屋のお六さんに、
水菓子やの
喜いさん、
夫れよりも、
夫れよりもずんと
好いはお
前の
隣に
据つてお
出なさるのなれど、
正太さんはまあ
誰れにしようと
極めてあるえ
二人は、
花屋の
前で、しばらく
花を
見て、
目を
楽しませると、
窓の
際から
離れ、
肩を
並べて、ふたたび
自動車に
乗って
働くために
立ち
去ったのです。
此雜沓の
中といひ
誰れも
思ひ
寄らぬ
事なれば
日暮れよりは
目にも
立つまじと
思案して、
晝間は
花屋の
女房に
手傳はせ、
夜に
入りては
自身をり
立て
呼たつるに、
欲なれやいつしか
恥かしさも
失せて
……
覺束ながると、つかひに
行く
女中が
元氣な
顏して、
花屋になければ
向う
土手へ
行つて、
葉ばかりでも
折つぺしよつて
來ませうよ、といつた。いふことが、
天變によつてきたへられて
徹底してゐる。
一人の
娘は、
狭苦しい
自動車の
内で、
客にもまれて、
切符をはさむ
間も、
花屋の
店さきにあった、
水草の
黄色な
花を
心の
目に
思い
浮かべていました。
少年は、じっとして、
河骨の
花を
窓からのぞいて
見ていましたが、やがて、
花屋にはいると、
価を
聞いて、
小さな
財布をかたむけて、
河骨の
鉢を
買いました。
広い、
往来の
四つ
角のところに
花屋がありました。
温室の
中には、
外国の
草花が、
咲き
乱れていました。
「ここを
曲がって、ずっといくと
火の
見やぐらがあるだろう。その
前の
花屋の
横を
入ったところだ。」
駅の
近くの
花屋では、
花の
咲いている、ヒヤシンスの
鉢が、ならべてありました。
「どうか、この
花をくださいな。」と、
彼女は、
花屋の
主人にいったのです。
花は、あの
花屋の
店先を、どんなに
恋しく
思ったでしょう。