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納屋
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なや
ふりがな文庫
“
納屋
(
なや
)” の例文
住居蔵の裏が、せまい
露地
(
ろじ
)
ひとつへだてて、そばやの飛離れた
納屋
(
なや
)
があったので、お昼過ぎると陰気なコットンコットンがはじまる。
旧聞日本橋:03 蕎麦屋の利久
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
そして二人は車を
押
(
お
)
して黄色のガラスの
納屋
(
なや
)
にキャベジを運んだのだ。青いキャベジがころがってるのはそれはずいぶん立派だよ。
黄いろのトマト
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
で、これはほんの小部分にすぎないのです。主な部分は
納屋
(
なや
)
にしまったのですが、大部分はなくなってしまいました。だれが全部を
城
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
松井田には、父の弟が百姓をしてゐた。以前疎開者に貸してゐた
納屋
(
なや
)
があるといふので、そこへ、老人夫婦は落ちつく事になつたのだ。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
だんだんに声を
辿
(
たど
)
って行くと、戸じまりをした隣家の
納屋
(
なや
)
の中に、
兵児帯
(
へこおび
)
と
褌
(
ふんどし
)
をもって両手足を縛られ、
梁
(
はり
)
から
兎
(
うさぎ
)
つるしに
吊
(
つる
)
されていた。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
大きな
樫
(
かし
)
の木にかこまれた土豪の住居である。お杉は、
納屋
(
なや
)
の前へ駈けこむと、そこらに働いている分家の嫁や、
作男
(
さくおとこ
)
に向って
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
戸棚
(
とだな
)
に首を突込んでつまみ食い、九助は
納屋
(
なや
)
にとじこもって濁酒を飲んで眼をどろんとさせて何やらお念仏に似た唄を口ずさみ、お竹は
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
たとえは、くまが
納屋
(
なや
)
へしのびこんで、かずの子のほしたのをはらいっぱいに
食
(
た
)
べ、のどがかわいたので川の水をのむと、さあ大へんです。
くまと車掌
(新字新仮名)
/
木内高音
(著)
納屋
(
なや
)
の中の
連枷
(
からざお
)
の不規則な
律動
(
リズム
)
が聞こえていた。そして、万象のかかる平和の中にも、無数の生物の熱烈な生活が満々と流れつづけていた。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
その小川は、はんの木や小さな柳のあいだをさらさらと流れている。
母屋
(
おもや
)
のすぐそばに大きな
納屋
(
なや
)
があり、教会にしてもよいくらいだった。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
なよたけの家のすぐ傍にね、
竹籠
(
たけかご
)
の
納屋
(
なや
)
があるんだ。僕達はこれからそっとそこへ行って、気付かれないようにその納屋ん中へ隠れるんだ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
時々、
納屋
(
なや
)
の横の便所に立つために出て来るのですが、どうも身体がよく
利
(
き
)
かない。双眼鏡で見てても、危っかしいのですよ。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
階下を
味噌
(
みそ
)
や
漬
(
つ
)
け物の
納屋
(
なや
)
に当ててあるのは祖父半六が隠居時代からで、別に二階の方へ通う入り口もそこに造りつけてある。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
僕は十二三の時、探偵ごっこをやっていて、年上の女の子といっしょに、暗い
納屋
(
なや
)
の中に隠れていて、その女の子からいどまれたことがある。
断崖
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
けれど、それでも、
谷
(
たに
)
の
斜面
(
しゃめん
)
をのぼって、とっつきの
納屋
(
なや
)
へ出るまでは、やっぱり、おおかみをこわいこわいと思いながら歩いて行ったのです。
百姓マレイ
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
藤原家の屋敷では、親子兄弟がみんな別々の棟に住していますから、
納屋
(
なや
)
、物置でない限り、そのうちの誰かの
住居
(
すまい
)
が焼けつつあるに相違ない。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
納屋
(
なや
)
の方でようやく返事がする。足音が
襖
(
ふすま
)
の
向
(
むこう
)
でとまって、からりと、
開
(
あ
)
くが早いか、
白鞘
(
しらさや
)
の
短刀
(
たんとう
)
が畳の上へ
転
(
ころ
)
がり出す。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「番頭さん、御主人は何だつてこんな場所へ來なすつたらう。裏二階の下で、
納屋
(
なや
)
の蔭などへ、
大店
(
おほだな
)
の主人が入るのは可怪しいぢやありませんか」
銭形平次捕物控:038 一枚の文銭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
家の前にも横手にも
空地
(
あきち
)
があって、横手には小さい
納屋
(
なや
)
がある。それにふと眼をつけたらしいおもよは急に声をかけた。
馬妖記
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
魚場の
納屋
(
なや
)
の屋根に
魚見櫓
(
うおみやぐら
)
というものがある。舟を持たない七郎丸は久しい前からこの展望台で観測係を務めていた。
吊籠と月光と
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
庭に一生けんめいに朝顔の種をまいている者があったり、町から投売の安い品物を買って来て、一生けんめいに
納屋
(
なや
)
へしまいこんでいる者もあった。
火星兵団
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その亀は楠で作られてはいるが、永年の雨露にさらされ、頭だけは早く朽ちてしまうために、私の家の二階の
納屋
(
なや
)
には古い頭が二つころがっていた。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
僕等は
芒
(
すすき
)
の穂を出した中を「悠々荘」の
後
(
うし
)
ろへ
廻
(
まわ
)
って見た。そこにはもう
赤錆
(
あかさび
)
のふいた
亜鉛葺
(
とたんぶき
)
の
納屋
(
なや
)
が
一棟
(
ひとむね
)
あった。
悠々荘
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それまでは自分の家とてはなく、区長さんのところの軒のかたむいた
納屋
(
なや
)
に住ませてもらっていたのだが、小金がたまったので、自分の家もつくった。
おじいさんのランプ
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
彼は
納屋
(
なや
)
の
檐下
(
のきした
)
にころがって居る大きな
木臼
(
きうす
)
の塵を払って腰かけた。追々人が
殖
(
ふ
)
えて、柿の下は十五六人になった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
なにあれは、隣りの
教室
(
けうしつ
)
の
槲
(
たるき
)
の上で、鼠が騷いだのですよ。あそこは、修繕する以前には
納屋
(
なや
)
でした。
納屋
(
なや
)
に鼠は附きものです。——話を續けませう。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
親兄弟もない
一人法師
(
ひとりぼつち
)
で、今線路を切つたあの兎のやうに、或時は野宿したり、或時は人の家の
納屋
(
なや
)
に寝たり
行当
(
ゆきあた
)
りばツたりに世を渡つて来た身の上だ。
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
堺では見向きもされぬ南蛮
端物
(
はもの
)
の
納屋
(
なや
)
払いをしたりし、わずかの間におどろくような蓄財をなしとげたのである。
うすゆき抄
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
裏手にある
納屋
(
なや
)
や小屋類の戸を細目に開けて、薄暗い内部をそとから覗き込んだりした。しかしこれらの生活は彼にとって決して愉快なのではなかった。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
彼がそう思って目あての家の方へ道を曲がろうとした時道ばたの
納屋
(
なや
)
の後ろから突然ぬっと
一人
(
ひとり
)
の男が現われた。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
「
戰
(
いくさ
)
があつたら、もうお前ぐらゐの年のものは、
軍役
(
ぐんえき
)
というて、兵粮運びなんぞに使はれるし、家にあるお米や麥は皆取り上げられ、家の
納屋
(
なや
)
も燒かれる。」
石川五右衛門の生立
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
納屋
(
なや
)
も小さく、そのうえ、
畑
(
はたけ
)
の小さいことといったら、それこそ、馬でさえふりむいても見ないくらいです。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
こんな
雨風
(
あめかぜ
)
の日はだいじょうぶだと思うたら、
今朝
(
けさ
)
んなって見てみたら、ちゃんと
納屋
(
なや
)
の戸があいとったん。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
その橋には名がない、すぐ
傍
(
かたわ
)
らに地蔵堂があるので、俗に地蔵橋と呼ばれているのだが、庄兵衛はその地蔵堂で伊原をおろし、
納屋
(
なや
)
町へ
駕籠
(
かご
)
をたのみにいった。
十八条乙
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ある家になると
庫
(
くら
)
はもとより長屋門、
母家
(
おもや
)
、
納屋
(
なや
)
、物置等一切をこの石屋根で葺いたのがあって見て堂々たる姿である。その様式は他に類がないから甚だ目立つ。
野州の石屋根
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
だからもちろん、社交界の婦人たちが小説家をちやほやして、これを身辺へ近づけるがごときは、その危険なること、粉屋が鼠を
納屋
(
なや
)
に飼っておくのと一般である。
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
屋敷
(
やしき
)
まわりの大きな杉林はきりはらわれ、
米倉
(
こめぐら
)
はとりこわされ、馬もいないうまやと、屋根に草がぼうぼうにはえた
納屋
(
なや
)
があるきりの、
貧乏
(
びんぼう
)
な
百姓
(
ひゃくしょう
)
となっていました。
あたまでっかち
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
納屋
(
なや
)
のようなものが立っていて、家全体がいかにも暗ぼったい感じがするので、「あれは何なの?」ときいてみると、「それはいずれ
取壊
(
とりこわ
)
そうと思っていますが……」
朴の咲く頃
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
淋
(
さみし
)
い、
森
(
しん
)
とした中に
手拍子
(
てびょうし
)
が
揃
(
そろ
)
って、コツコツコツコツと、
鉄槌
(
かなづち
)
の音のするのは、この小屋に並んだ、
一棟
(
ひとむね
)
、
同一
(
おなじ
)
材木
納屋
(
なや
)
の中で、
三個
(
さんこ
)
の石屋が、石を
鑿
(
き
)
るのである。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
三月の末で、外は大分春めいて来た。裏の
納屋
(
なや
)
の蔭にある桜が、チラホラ白い
葩
(
はなびら
)
を
綻
(
ほころ
)
ばせて、暖かい日に柔かい光があった。外は人の
往来
(
ゆきき
)
も、どこか
騒
(
ざわ
)
ついて聞える。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
家の裏手には
納屋
(
なや
)
が二棟と、庭先の畑を越えては
米倉
(
こめぐら
)
が一棟、庭には果樹や野菜がつくられていた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
それはちょっと
納屋
(
なや
)
みたいな建物で、その
棟瓦
(
むねがわら
)
の線はまず牛の背中と同じくらいまっすぐである。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
長い塀がつづいて、
納屋
(
なや
)
のような建物の天井に
龍吐水
(
りゅうどすい
)
の箱や火事場用の手桶なぞがつってあった。
抱茗荷の説
(新字新仮名)
/
山本禾太郎
(著)
「お伊勢様、お伊勢様と云うから、どんなものかと思えや、俺の家の
納屋
(
なや
)
ほどもないじゃないか」
宇賀長者物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
この丘の頂上は、
尖
(
とが
)
った峰でもなく、大きな
円味
(
まるみ
)
を持った
天辺
(
てっぺん
)
でもなく、かなり広い平地、つまり高台になっていて、少し向うの方に、
納屋
(
なや
)
のある家が一軒建っていた。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
わたしたちは火事ははるか南の森の向うであると考えた——わたしたちは前にも火事の現場に何度もはせつけたものだ——
納屋
(
なや
)
か店か住宅か、あるいはそれらの全部か。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
義助
義太郎
(
よしたろう
)
を降してくれんか。こんなに暑い日に帽子も被らんで、
暑気
(
あつけ
)
がするがなあ。どこから屋根へ上るんやろ。この間いうた
納屋
(
なや
)
のところは針金を張ったんやろな。
屋上の狂人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
わたしは、まだこれから
遠
(
とお
)
いところへゆくものですが、
途中
(
とちゅう
)
で
気分
(
きぶん
)
が
悪
(
わる
)
くなり、
身体
(
からだ
)
が
疲
(
つか
)
れています。どこの
納屋
(
なや
)
のすみにでも、
一晩
(
ひとばん
)
泊
(
と
)
めてくださることはできませんか。
幸福の鳥
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「私が
一昨日
(
おとつい
)
から風邪を引きまして、
納屋
(
なや
)
に寝残っておりますと、
昨日
(
きのう
)
の晩方の事です。あの
兼
(
かね
)
の野郎が仕事を
早仕舞
(
はやじま
)
いにして帰って来て『工合はどうだ』と
訊
(
き
)
きました」
いなか、の、じけん
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
納屋
(
なや
)
の壁から必死の思いで取り下ろしお前を探していたのでござんす! と云うて大事な兄様を
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
“納屋”の解説
納屋(なや、en: Barn)とは、主に別棟に建てられた物置小屋のことである。特に農家では農作物や農機具などを収納しておく小屋を指す。漁村では、舟や網を収納する小屋、もしくは若い漁師を起居させる網元が用意した小屋の事である。
(出典:Wikipedia)
納
常用漢字
小6
部首:⽷
10画
屋
常用漢字
小3
部首:⼫
9画
“納屋”で始まる語句
納屋蔵
納屋倉
納屋村
納屋衆
納屋宗易
納屋住
納屋方
納屋棟
納屋穿
納屋等