トップ
>
箒
>
ほうき
ふりがな文庫
“
箒
(
ほうき
)” の例文
その頃を見計らって
箒
(
ほうき
)
で掃き集めると米俵に一俵くらいは容易に捕れるというのである。また、鴉を捕る法としてはこんなのがある。
重兵衛さんの一家
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
筒井自身はときどき
箒
(
ほうき
)
を持ったまま
襖
(
ふすま
)
に
対
(
むか
)
って、じっと、或る考えごとにとらわれ、はっとして仕事にかかることがたびたびだった。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
間もなく——もう雀の声が聞かれる頃、ガタン、蔵屋敷の
閂
(
かんぬき
)
が鳴る、寝不足そうな
仲間
(
ちゅうげん
)
が
箒
(
ほうき
)
を持って
掃
(
は
)
く、用人らしい男が出てゆく。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さっき
己
(
じぶん
)
が腰をかけていた右側の階段に、あの
箒
(
ほうき
)
の老人が傍へ箒をもたせかけて腰をかけていた。広巳は急いで老人の前へ往った。
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
少年は、見当り次第の商家の前に来て、その辺にある
箒
(
ほうき
)
を持って店先を掃くのである。その必要のある季節には綺麗に水を
撒
(
ま
)
くのである。
みちのく
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
天気がいいので女中たちははしゃぎきった冗談などを言い言いあらゆる
部屋
(
へや
)
を明け放して、
仰山
(
ぎょうさん
)
らしくはたきや
箒
(
ほうき
)
の音を立てた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
ここんところを
箒
(
ほうき
)
でぶんなぐると、チュウといって直ちに伸びてしまう。だから軍用鼠の鼻の頭には
鉄冑
(
てつかぶと
)
を着せておかなければならない。
軍用鼠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それははたきやブラシや
箒
(
ほうき
)
でいじめられる
室
(
へや
)
ではなかった。ほこりは静かに休らっていた。
蜘蛛
(
くも
)
は何らの迫害も受けないでいた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
案のじょう買い物らしく、青扇は
箒
(
ほうき
)
をいっぽん肩に
担
(
かつ
)
いで、マダムは、くさぐさの買いものをつめたバケツを重たそうに右手にさげていた。
彼は昔の彼ならず
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
家人たちもいかなる異変
出来
(
しゅったい
)
かと思い、おっ取り刀で、——女性たちは
擂粉木
(
すりこぎ
)
とか
鋏
(
はさみ
)
とか
箒
(
ほうき
)
などを持って、——集まって来た。
思い違い物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「義太夫は」「ようよう久しぶりお出しなね。」と見た処、壁にかかったのは、
蝙蝠傘
(
こうもりがさ
)
と
箒
(
ほうき
)
ばかり。お妻が手拍子、口
三味線
(
ざみせん
)
。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あまり要らぬ世話を焼き過ぎてもよくないし、そうかといって、このままに置けば、いつ誰が来て
箒
(
ほうき
)
を当てるか知れたものではありません。
大菩薩峠:27 鈴慕の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
すると祖母自身がそこに来て、私を突きのけて自分で洗った。庭を掃き始めると、祖母は何も言わずに私の手から
箒
(
ほうき
)
を奪いとってしまった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
父は日ごろ清潔好きで、自分で本陣の庭や宅地をよく
掃除
(
そうじ
)
したが、病が起こってからは手が
萎
(
しお
)
れて
箒
(
ほうき
)
を執るにも不便であった。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
下帯ひとつに
箒
(
ほうき
)
をかついで縁の下へもぐりこみ、右に左に隈なく掃き清めてスヽだらけ黒坊主、それより冷水風呂へはいる。
ジロリの女
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
私は手に引つ越しの荷物をさげ、古ぼけた家具の類や、きたないバケツや、
箒
(
ほうき
)
、炭取りの類をかかへ込んで、冬のぬかるみの街を歩き廻つた。
田舎の時計他十二篇
(新字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
素寒貧となると、もう人間社会から棒でたたき出される段でなく、
箒
(
ほうき
)
で掃き出されてしまいますよ。つまり、ひとしお骨身にしみるようにね。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
ひらりと身を
躱
(
かわ
)
すが早いか、そこにあった
箒
(
ほうき
)
をとって、又
掴
(
つか
)
みかかろうとする遠藤の顔へ、
床
(
ゆか
)
の上の
五味
(
ごみ
)
を掃きかけました。
アグニの神
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
縁先で女の声がきこえたかと思うと、女中らしい若い女が
箒
(
ほうき
)
と
芥
(
ごみ
)
取りを持って庭へ出て来て、魚の骨らしいものをかき集めているらしかった。
半七捕物帳:32 海坊主
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ちょうどそこへ
弁慶
(
べんけい
)
がはいってきた。これは小使いの関さんが掃除をする時のあだなだ。
頬
(
ほお
)
かぶりをして、
箒
(
ほうき
)
をなぎなたのように持っている。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
客——でもないが、鍛冶屋富五郎が来ているあいだに、ちょっと家のまえの往来でも
掃
(
は
)
いておこうと、喜左衛門の女房は
箒
(
ほうき
)
を持って表へ出た。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
机の上では
箒
(
ほうき
)
を構えた小さな剣士が、さあ来いと眼玉をむき、大河内伝次郎だぞ、さあさあさあ、と八方を睨みまわした。
白い壁
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
と、そこには、手拭を頭にのせた母が、散らかつた薪屑を
箒
(
ほうき
)
で掃き溜めているではないか。
跫音
(
あしおと
)
で、彼女は、顔をあげた。
光は影を
(新字新仮名)
/
岸田国士
(著)
「なるほどな、
楓林
(
ふうりん
)
が雑草畑になって、
槙柏
(
しんぱく
)
は伸び放題、——まるで
箒
(
ほうき
)
だ。おやおや惜しい松を枯らしているね、二三百年も経った樹だろうが」
銭形平次捕物控:119 白紙の恐怖
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
箒
(
ほうき
)
を負うもの、
炭取函
(
すみとりばこ
)
を首から掛けるもの、例の黒んぼ、赤い風呂敷のスカートの紅毛婦人、支那人、宣教師、
按摩
(
あんま
)
、軍人、ヤンキー、アイヌ
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
時代おくれのものと人は呼ぶかも知れぬが、手工の美を今も
止
(
とど
)
めているのはかかる店ばかりである。
杓子
(
しゃくし
)
や
桶
(
おけ
)
や
箒
(
ほうき
)
や
竹籠
(
たけかご
)
。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
こちらでは
道祖神
(
どうそじん
)
・山の神または
箒
(
ほうき
)
の神、或いは
地蔵
(
じぞう
)
が
観音
(
かんのん
)
を誘いにくるともあって、土地ごとに少しも
定
(
き
)
まっていない。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
お銀は笹村が朝飯をすましてから、新聞や
捲莨
(
まきたばこ
)
などを当てがっておいて、長いあいだの
埃
(
ほこり
)
の溜った書斎の方へ
箒
(
ほうき
)
を入れた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
お登和嬢「ハイこの通り玉子廻しを揚げると雪の積った
箒
(
ほうき
)
のように先へ沢山着いて来るほど固くならなければいけません。 ...
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
お母さんは白いエプロンの袖をまくりあげて、できた荷物を部屋の隅に押しよせ、サッ、サッと荒々しく
箒
(
ほうき
)
をつかった。
大根の葉
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
そして、ほんのちょっとでも
箒
(
ほうき
)
の柄や
柄杓
(
ひしゃく
)
をふりあげようものなら、悲鳴をあげて、戸口のほうへすっとんでゆくのだ。
リップ・ヴァン・ウィンクル:ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
「いや、一寸、手洗場を。」「ああ、そんなら、よござんす。」と言って、うさん臭そうに、もう一度私の方を眺めてから再び
箒
(
ほうき
)
を動かし始める。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
窓外には
箒
(
ほうき
)
のように空ざまに枯枝をはっている欅の大木をとおして、晴れわたった蒼空がみえて、冬の午後の日ざしが室内までもはいりこんでいた。
蜘蛛
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
母は掃除せんと
箒
(
ほうき
)
持ちしまま病室の端に
彳
(
たたず
)
みて、外をながめながら、上野の運動会の声が聞えるよ、と独り言をいふ。
明治卅三年十月十五日記事
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
箒
(
ほうき
)
じりで
破綻
(
ひゞだけ
)
のいるほど
打
(
ぶ
)
たれても恐れる人間じゃアねえが、お
前
(
めえ
)
さんの拳骨で親に代って
打
(
う
)
つと云う真実な意見の
中
(
うち
)
に、
手前
(
てめえ
)
は虫よりも悪い奴だ
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
房枝は
箒
(
ほうき
)
を片付けてから、
身繕
(
みづくろ
)
いをして二階へまたあがって行った。彼女は男から三四尺ほど離れて坐った。そして薄く白粉を掃いた顔をうちむけた。
街底の熔鉱炉
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
おすぎはまたトシを背負って、町へ出かけて、差当って必要なもの、洗面器、
溲瓶
(
しゅびん
)
、
箒
(
ほうき
)
、
塵
(
ちり
)
とりなどを買ってきた。
夕張の宿
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
隣の間から
箒
(
ほうき
)
を持出しばさばさと座敷の真中だけを掃いて
座蒲団
(
ざぶとん
)
を出してくれた。そうして其のまま去って終った。
浜菊
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
塵埃
(
ちり
)
が山のように積っていたが、
箒
(
ほうき
)
をかけ
雑巾
(
ぞうきん
)
をかけ、雨のしみの附いた破れた障子を
貼
(
は
)
り更えると、こうも変るものかと思われるほど明るくなって
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
何もしないでいても悪いから、桜の枯葉でも掃こうかしらんとようやく気がついた時、また
箒
(
ほうき
)
がないということを考えだした。また椽側へ腰をかけた。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
小村小村の百姓家の間に、
箒
(
ほうき
)
を立てたようなポプラの梢にぬけだした尖塔や、またはその村路をのろのろ歩く荷車などが、手にとるばかりに望まれる。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
かれはしゃものような声で弁士の
似声
(
こわいろ
)
を使ったり、また
箒
(
ほうき
)
を
提
(
さ
)
げて剣劇のまねをするので女中達は喜んで喝采した。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
とがめられた少女は、いきなり
箒
(
ほうき
)
を取り上げ、石炭函を抱えて、怯えた
野兎
(
のうさぎ
)
のようにそそくさと出て行きました。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
私がまだ動こうともしないものですから、ほとんど
箒
(
ほうき
)
で掃き出すようにして従僕が私をドアから掃き出しました。
城
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
剣
(
けん
)
がカチャンカチャンと云うたびに、青い火花が、まるで
箒
(
ほうき
)
のように剣から出て、二人の顔を
物凄
(
ものすご
)
く照らし、見物のものはみんなはらはらしていました。
ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
角を
繋
(
つな
)
がれたまま、頭はじっと動かさずに、彼は腹に
皺
(
しわ
)
を寄せ、
尻尾
(
しっぽ
)
でもの
憂
(
う
)
げに
黒蠅
(
くろばえ
)
を追いながら、女中が
箒
(
ほうき
)
を手に持ったまま居眠りをしているように
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
……夜など、何の気なしに
家
(
うち
)
に帰って、玄関の
格子
(
こうし
)
を開けると、そこの
障子
(
しょうじ
)
に、
箒
(
ほうき
)
を振り上げて、仁王立ちになっている兄貴の影がうつっていたりするのだ。
疑惑
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
つぎに船着場の花と
箒
(
ほうき
)
の市場にまた大いに感心し、それから「
異国者
(
フォリソン
)
の島」の博物園では十六世紀のお寺と
踊る地平線:05 白夜幻想曲
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
ただ
箒
(
ほうき
)
を握りて立ち寄れば
彼人
(
かのひと
)
は邪魔にならぬよう傍に身を
側
(
そば
)
め申し候位にて、さらに異状も認め申さず候。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
その
後
(
のち
)
五百は折々
箒
(
ほうき
)
に
塵払
(
ちりはらい
)
を結び附けて、
双手
(
そうしゅ
)
の如くにし、これに衣服を
纏
(
まと
)
って壁に立て掛け、さてこれを
斫
(
き
)
る
勢
(
いきおい
)
をなして、「おのれ、母の
敵
(
かたき
)
、思い知ったか」
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
“箒”の解説
箒(ほうき)は、主に掃除に使用する道具の一つである。
形状は、植物の枝や繊維などを束ねたものを棒の先に着けている。その繊維などはブラシまたは大型の筆状や刷毛状を呈しており、それにより床面や庭などの塵やごみを掃く。大きさや材質には種々のものがある。
(出典:Wikipedia)
箒
漢検1級
部首:⽵
14画
“箒”を含む語句
竹箒
箒目
箒木
羽箒
箒川
高箒
草箒
棕櫚箒
玉箒
古箒
箒星
荒神箒
箒草
棕梠箒
羽根箒
手箒
紙箒
小箒
座敷箒
箒黍
...