“棕梠箒”の読み方と例文
読み方割合
しゅろぼうき100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
世の中はどうでも勝手に棕梠箒しゅろぼうき。私は自分勝手に唯一人日和下駄ひよりげたきずりながら黙って裏町を歩いていればよかったのだ。議論はよそう。皆様が御退屈だから。
衣装も髪も馬も桜も一瞬間に心の道具立から奇麗きれいに立ち退いたが、オフェリヤの合掌して水の上を流れて行く姿だけは、朦朧もうろうと胸の底に残って、棕梠箒しゅろぼうきで煙を払うように、さっぱりしなかった。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
満蔵は庭を掃いてる様子、姉は棕梠箒しゅろぼうきで座敷を隅から隅まで、サッサッ音をさせて掃いている。姉は実に働きものだ。姉は何をしたってせかせかだ。座敷を歩くたってひんぶってなど歩いてはいない。
隣の嫁 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)