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燦然
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さんぜん
ふりがな文庫
“
燦然
(
さんぜん
)” の例文
燦然
(
さんぜん
)
と今日にまで輝やかせている人々は、彼等の未来に、どんな約束をも欲していなかったことが、先ず彼女を驚かせ、感歎させた。
地は饒なり
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
天幕の隙間から春の陽が、黄金の
征矢
(
そや
)
を投げかけた。紅巾は
燦然
(
さんぜん
)
と輝いた。底に一抹の黒味を
湛
(
たた
)
え、表面は紅玉のように光っていた。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
太宗
(
たいそう
)
皇帝の
水陸大会
(
だいせがき
)
に、
玄奘法師
(
げんじょうほうし
)
の
錦襴
(
きんらん
)
の
袈裟
(
けさ
)
が
燦然
(
さんぜん
)
と輝き、
菩薩
(
ぼさつ
)
が雲に乗って天に昇ると、その雲がいつの間にか
觔斗雲
(
きんとうん
)
にかわって
『西遊記』の夢
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
かくてメンデルは、たとえ不遇のうちに歿したとしても、その名は、科学の歴史の上に限りなく
燦然
(
さんぜん
)
と輝くことでもありましょう。
グレゴール・メンデル
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
百合、
撫子
(
なでしこ
)
などの造花に、
碧紫
(
あおむらさき
)
の電燈が
燦然
(
さんぜん
)
と輝いて——いらっしゃい——受附でも
出張
(
でば
)
っている事、と心得違いをしていたので。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
全部壁で密閉してあって、電灯が
燦然
(
さんぜん
)
とついている。物音なんて、なにも入って来ない。
深山
(
しんざん
)
のなかのように静かなところさと答えた。
東京要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その結合体が星座の大十字の中に
燦然
(
さんぜん
)
として見えた時、彼はその前にひれ伏したが、次の瞬間彼は「オヽ!」と叫んで飛び上つた。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
折から、佐原山の松林の蔭に没しはじめた夕陽が、赤い光をま横からさしかけ、つっ立っている彦太郎の姿は、
燦然
(
さんぜん
)
と光り輝いた。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
今日
(
けふ
)
を
晴
(
はれ
)
にと
裝飾
(
よそほ
)
ひて
綺羅星
(
きらほし
)
の如く
連
(
つらな
)
りたる有樣、
燦然
(
さんぜん
)
として
眩
(
まばゆ
)
き
許
(
ばか
)
り、さしも善美を盡せる
虹梁鴛瓦
(
こうりやうゑんぐわ
)
の
砌
(
いしだゝみ
)
も
影薄
(
かげうす
)
げにぞ見えし。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
少し
草臥
(
くたび
)
れ加減の私の二円五十銭のネクタイは、たとえ
硝子
(
ガラス
)
でも
燦然
(
さんぜん
)
たる光のせいで、たちまち五円ぐらいの値打に
競
(
せ
)
り上ってしまった。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
けれども赫々たるその功績は没すべくもなく、公刊せられた『大学紀要』上におけるその論文は
燦然
(
さんぜん
)
としていつまでも光彩を放っている。
植物一日一題
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
バッハの頭をかすめて地上に落ちたのを見ると、うまそうに焼いた一匹の
鰯
(
いわし
)
で、その鰯の口には、
燦然
(
さんぜん
)
たる一個の金貨が
哺
(
くわ
)
えさせてあった。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
再び
燦然
(
さんぜん
)
たる希望を以ての新たなる頁を自分に展開してくれるもののように見え出して、書物に対する眼が火のように燃え出してきました。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
参加しそこなって仲間にはいることができなかった全戦闘の
燦然
(
さんぜん
)
たる光は、様子を変えたこの酔漢の輝く目の中に現われた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
兇暴に対する非常的手腕として発したるものにはあらで、
燦然
(
さんぜん
)
たる光輝を放ち、英国今日の気風、英国今日の紳士紳女を彼の如くになしたるも
徳川氏時代の平民的理想
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
只
(
ただ
)
、青い海に浮んだ白い大都市が、
燦然
(
さんぜん
)
と、迫ってきた、あの感じが、いつもぼくに、ある
永劫
(
えいごう
)
のものへの旅を誘います。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
武男は浪子の
左手
(
ゆんで
)
をとりて、わが
唇
(
くちびる
)
に当てつ。手には結婚の前、武男が贈りしダイヤモンド入りの
指環
(
ゆびわ
)
燦然
(
さんぜん
)
として輝けり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
街は、
燦然
(
さんぜん
)
と輝いているその建物の玄関の前へ、次から次へとひき出される馬車の行列のために通行止めになっていた。
世界怪談名作集:03 スペードの女王
(新字新仮名)
/
アレクサンドル・セルゲーヴィチ・プーシキン
(著)
燦然
(
さんぜん
)
たり、
赫焉
(
かくえん
)
たるに対面して、私はここでもくりかえしていう、「日本の山は、名工の建築があるからいいなあ」と。
不尽の高根
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
その色青みありて黒く甚だなめらかなり、
農夫
(
のうふ
)
これをもつて
藁
(
わら
)
をうつ
盤
(
ばん
)
となす、其夜妻
庭
(
には
)
に
出
(
いで
)
しに
燦然
(
さんぜん
)
として光る物あり、妻
妖怪
(
ばけもの
)
なりとして
驚
(
おどろき
)
叫
(
さけぶ
)
。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
チリン、チリン、チリン、と分け前の小判が、こんな中でも
燦然
(
さんぜん
)
とした光をもって、
各〻
(
めいめい
)
の手のひらへ一枚ずつおどる。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
やがて池の底から金玉
燦然
(
さんぜん
)
たる王冠を釣上げてニコニコしていると、その
背後
(
うしろ
)
の
夕暗
(
ゆうやみ
)
にノッソリと立寄った者が在る。
書けない探偵小説
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
燦然
(
さんぜん
)
と闇を
劈
(
つんざ
)
くサーチライトの
光芒
(
くわうばう
)
に射られたやうに、眼がくら/\となつたのだつた。お信さんは、まだ私の中に異性を認めて居ないやうだつた。
乳の匂ひ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
乗り移られた時に
燦然
(
さんぜん
)
として輝き出すものが本来自己の内にあった永遠の生であるとしても、とにかく我々は自力をもってそこに達するのではない。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
だが、釣った鯛は緋牡丹色の鱗に、金色
燦然
(
さんぜん
)
たる艶が光っている大ものだ。釣趣に魅力が伴って、一度この釣りを味わったら一生忘れることができない。
鯛釣り素人咄
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
あらゆるこの都会の底の底の忌わしげな情痴の働きが、なおかつこの水中のなかに春のように濃く、あるものは
燦然
(
さんぜん
)
と輝いて沈められてあるのであった。
幻影の都市
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
天明寛政の頃は
独
(
ひと
)
り狂歌の全盛を極めたるのみにあらず江戸諸般の文芸美術
悉
(
ことごと
)
く
燦然
(
さんぜん
)
たる光彩を放ちし時代なり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
柔婉
(
しなやか
)
に動く彼女の手先を見つめている彼の眼は、当時を回想するうっとりとした夢の消息のうちに、
燦然
(
さんぜん
)
たる警戒の
閃
(
ひら
)
めきを認めなければならなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それでも黙々として忠勤を励む其の誠実さは、勘定高い当時の武士気質の中にあって、
燦然
(
さんぜん
)
として光っている。
四条畷の戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
かれは光一の球が
燦然
(
さんぜん
)
たる光を放ってわが思う
壺
(
つぼ
)
をまっすぐにきたと思った、かれは八分の力をもってふった。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
われは此詞を聞きて、向ひの壁を仰ぎ看しに、一面の大畫幅あり。
枠
(
わく
)
を飾れる黄金の光の、
燦然
(
さんぜん
)
として
四邊
(
あたり
)
を射るさま、室内
貧窶
(
ひんく
)
の摸樣と、全く相反せり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
さながら、
赤
(
あか
)
いインキを
流
(
なが
)
し
散
(
ち
)
らすごとく、また
惜
(
お
)
しげなく
投
(
な
)
げられた
金貨
(
きんか
)
が
燦然
(
さんぜん
)
として
飛
(
と
)
ぶごとく、
火焔
(
かえん
)
は
濃淡
(
のうたん
)
に
夜
(
よる
)
の
青
(
あお
)
ざめた
肌
(
はだ
)
を
美
(
うつく
)
しく
彩
(
いろど
)
っていました。
火事
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
それどころか、たとえ小粒でも適当な形に加工
彫琢
(
ちょうたく
)
したものは
燦然
(
さんぜん
)
として遠くからでも「
視
(
み
)
える」のである。
自由画稿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
一七〇〇年代の
燦然
(
さんぜん
)
たるローマがピエモンテの野蛮の波に沈んでしまった、あの難破の残留物とも言うべき別墅の一つに、二人はもっとも多くやって行った。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
一日あの
近江八幡
(
おうみはちまん
)
の、とある小さな古道具屋のうす暗い棚の隅に、
塵
(
ちり
)
にまみれながら、この壺の下部が
燦然
(
さんぜん
)
として私の眼を射た瞬間を忘れることができない。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
「これです」子爵はやがて小筐の中から、
燦然
(
さんぜん
)
と輝き光る一連のダイヤの頸飾をとりだして人々に示した。
謎の頸飾事件
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
三人の頑固な警官が、彼を、まるで危険な猛獣か何かのように、物々しく三方から護衛しながら、
燦然
(
さんぜん
)
と電灯の光のてらしている大きな西洋室へつれて行った。
犠牲者
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
尚ほ熟視すると、この虫の平たい頭の丁度真中あたりに、極く微小な、紅玉色でそれよりももつと
燦然
(
さんぜん
)
たる何ものかが、いみじくも
鏤
(
ちりば
)
められて居るのであつた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
見よ! そこに横たわっているダンネベルグ夫人の死体からは、
聖
(
きよ
)
らかな栄光が
燦然
(
さんぜん
)
と放たれているのだ。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
霧は深かツたが、空は晴渡ツて、日光は
燦然
(
さんぜん
)
として輝き、そして霧と相映じて鮮麗な光彩を放ツてゐた。
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
あたりの暗がりが徐々に大地にしみ込んで行くと、やがて
燦然
(
さんぜん
)
たる太陽が林のかなたに現われ、縞目を作って梢を流れて行く光線が、強靭な樹幹へもさし込み始めた。
いのちの初夜
(新字新仮名)
/
北条民雄
(著)
「弁士! 滅びたる我世界は、何年の後に復活すべきや、かつ如何なる動機に依って
燦然
(
さんぜん
)
たる光輝を放つに至るか、希くは不安なる吾らが胸に
一縷
(
いちる
)
の光を望ませて下さい」
太陽系統の滅亡
(新字新仮名)
/
木村小舟
(著)
おまけにこの太鼓たるや、気まりの悪いくらい真赤な塗胴で、天女の舞う図の
金蒔絵
(
きんまきえ
)
がしてあって、
陽
(
ひ
)
を受けて
燦然
(
さんぜん
)
と輝き、てれくさくって思わず顔をそむけたいくらい。
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
彼はその銃を拾い上げると、先登を切って敵陣の中へ突入した。彼に続いて一大隊が、一聯隊が、そうして敵軍は崩れ出した。ナポレオンの
燦然
(
さんぜん
)
たる栄光はその時から始まった。
ナポレオンと田虫
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
今日文明の利器
燦然
(
さんぜん
)
として社会を支配するときにおいては腕力ももとより一分子に相違なしといえども、吾人はこれをもって唯一の分子とも、また重なる分子とも思わざるなり。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
銀の鍵は
燦然
(
さんぜん
)
たるところに、屏風は銀の色のややさびたところに、各〻秋の心を捉えている。「銀の鎰」の方は時間を明にせぬが、やはり夜の燈下がふさわしいような気がする。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
だが、「因縁」、「無我」の原理は、宇宙の光として、今もなお、
燦然
(
さんぜん
)
として輝いています。いや、人間がこの地上に生活するかぎり、未来永遠に輝いてゆくことでありましょう。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
天空には
燦然
(
さんぜん
)
と、星々がきらめいて、深遠なる宇宙の絵図が果しもなく拡がっている。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
真中には
印度綆紗
(
インドさらさ
)
をかけた長方形の
紫檀
(
したん
)
の
卓
(
テーブル
)
があって、その左右にはそれぞれ三脚の
椅子
(
いす
)
が置いてあった。
卓
(
テーブル
)
のむこうには
燦然
(
さんぜん
)
とした六枚折の
金屏
(
きんびょう
)
。壁には
宝玉
(
ほうぎょく
)
が塗り込んであった。
藤の瓔珞
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
失望のあまり黄帝は、遠く広く天の修理者を求めた。捜し求めたかいはあって東方の海から
女媧
(
じょか
)
という女皇、
角
(
つの
)
をいただき
竜尾
(
りゅうび
)
をそなえ、火の
甲冑
(
かっちゅう
)
をまとって
燦然
(
さんぜん
)
たる姿で現われた。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
燦
漢検準1級
部首:⽕
17画
然
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“燦”で始まる語句
燦
燦爛
燦々
燦光
燦燗
燦燦
燦火
燦鬱
燦々会
燦々奕々