)” の例文
小学校のほうはおしになって、いまは、あちこちの、家庭教師をしながら、のんきに暮していらっしゃるというお話でありました。
千代女 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「遅いからもうそうと断りましたが、多の市さんは依怙地いこじな方で、こんな大雪にわざわざ来たんだからと、無理に入り込んで——」
なんとなく心配しんぱいさうなかほで、左樣々々さやう/\々々/\、と、打濕うちしめつてつてるかとおもふと、やれヴオツカをせの、麥酒ビールめろのとすゝめはじめる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「いや、しにして呉れ、花がお前のものなら、幾ら見たつて面白くない。自分のものにして初めて熟々つく/″\と見てゐられるのだから。」
だから、つまらんことはせと云ふんだ。僕は、かう見えて、センチメンタルなことは嫌ひな男だ。死なしていゝものなら死なせるさ。
命を弄ぶ男ふたり(一幕) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
柳沢、そんなことをいって僕の居ない時に梓君をいじめるのか、せ。いよ、待て、まあ、僕のいうことを、今君のいうごとくんばだ。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「そうさ、お前に任したのだから……ところで母上おっかさんが見えたら最早もう下宿屋はして一所になって下さいと言ってみようじゃないか」
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
伸太郎 そう。過ぎた話だ。古い古い、昔のおとぎ話だ。(立上って)栄二の奴、今頃、どこで何をしていやがるのか……。(入る)
女の一生 (新字新仮名) / 森本薫(著)
え? 「モナコの岸」? マアセル? このマアセルか。せよジョウジ、冗談じゃあねえぜ。此女これあおめえ、俺んとこのかかあじゃねえか。
「はは、判った。お前はの市郎に惚れているのだろう。無効だめだからおしよ。先方むこうじゃアお前を嫌い抜いているのだから……。」
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
あなたは探偵のやるような仕事に興味をっておいでだって。それでね、ついとんでもない事を御願いして。しゃあよかった……
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と、ひとり合点がてんをして泣き虫の蛾次郎、せばよいのに性懲しょうこりもなく、また悪戯心いたずらごころをおこして、竹童の後からピタピタとついていった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それでは、おもしろくないからそうというひとがあるかもしれないし、また、それでもよいと思ってとどまる方もあるだろうと思います。
「一緒に生活しているものが、そんな嫌なことをするのは、あたしがするのも同然、気味悪いわ。して頂戴! 止して頂戴!」
唇草 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
年よった悪魔はこの手段をほかありませんでした。兵隊を使ったんじゃ、とてもイワンを取っちめることは出来ませんでした。
イワンの馬鹿 (新字新仮名) / レオ・トルストイ(著)
一体、「世界とは」とか「人生とは」とか、そんなおおざっぱなものの言い方はした方がいいね。第一、はずかしいとは思わないのかなあ。
狼疾記 (新字新仮名) / 中島敦(著)
が、もうしときましょう。あなたはイギリス人だ。だからそんなことは別問題です。どうか、ほんのちょっと、そこで待ってて下さい。
ところがある日私がその家を訪ねて続きを見せろといったらもうしたといって淋しそうな顔をした。それは惜しいではないか。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
一条の滝があつて、その茶店でまた麦酒ビイルをひつかけてゐると、せばいいのに小せんが、でて来た大きな蟇蛙がまがへるへ石をぶつけた。
落語家温泉録 (新字旧仮名) / 正岡容(著)
「なに、五十銭銀貨を落したって。そそっかしい子供だなあ。小父さんが五十銭出して上げるから、縁の下に潜るのはおし」
贋紙幣事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
源吉は途中ですと、勝をうながして、今來た道をもどつた。半町位來て又林の中に入つた。それから、源吉は立ちどまると
防雪林 (旧字旧仮名) / 小林多喜二(著)
「僕はもう三高をす」と言い、理由を訊かれたので、落第すれば秀英塾では給費を断る規定になっているのだと、説明した。
青春の逆説 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
彼はその村の呉服屋の息子むすこだった。彼は病気のために中学校を途中でして、こんな田舎いなか引籠ひきこもって、講義録などをたよりに独学していた。
麦藁帽子 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
無駄むだな探し物ですけれど、おしなさいと止めだてする気も起らず、余りのことに涙ぐんで、兄のうしろ姿をじっと眺めていたものですよ。
押絵と旅する男 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「貴女の『彼女』は予想以上の成功ですし、中途でなんかしたくないだろうな。さっき、久能さんが、賞めていましたよ。」
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
にんじん——じゃ、学校のほうをそう。寮を出しておくれよ。お金がかかりすぎるとでもいってさ。そうすりゃ、僕、何か職業を選ぶよ。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
「まあ、人の噂も七十五日ッて言いますから、今に何処かへ消えちまう時もまいりましょう——もうこんな話はしましょう」
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「なにをかす、うぬこそ裾っぱりで灰汁あくのえごい、ひっりなしで後せがみで、飽くことなしのすとき知らず、夜昼なしの十二ときあまだ」
若殿女難記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「なに大丈夫です。相済みません。これからもう酒はきっぱりしちまいます。全くです。……おい良助、お前もな、しっかり勉強しなよ。」
田原氏の犯罪 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
あの11の単葉ならせ。君は赴任匆々そうそうだから知るまいが、アイツは今までに二度も搭乗者が空中で行方不明になったんだ。
怪夢 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そして僕は今、こうして君たちと一緒になってこんな仕事をしているが、いつ、いや明日にでも社をすかも知れないんだ。
六月 (新字新仮名) / 相馬泰三(著)
「あたし自分でもどうしていいか分らないで、迷っているのよ。あなたがせと云って下されば今のうちなら止せるんです」
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
またかれらは死にに行くようなものだからせといってめるに違いないけれどもそれでは大切の原書にって仏法を研究することが出来ない。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
番「旦那様が中へ入って下されば宜しゅうございますが、貴方あなたの御迷惑になるといけませんから、おしなすった方が宜しゅうございます」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「定さん。蒲田にいた事があるのか。」と清岡はコップを片手に定子の顔をななめに見上げながら、「どうしてしたんだ。」
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
だが親方おやかたわるいこたァいわないから、滅多めったけるなァおしなさいよ。そこをけたにゃ、それこそ生皮なまかわにおいで、隣近所となりきんじょ大迷惑おおめいわくだわな
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
僕の隣の部屋へ一月前から移つて来たピエルと云ふ青年は地方官の息子だが、女の為に巴里パリイの大学を中途でして親父おやぢ仕送しおくりで遊んで居る男だ。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
心に泛ぶこともないので、明日からは断々乎だんだんことして訪問をそうと、私はしきりにたのしさを思いはじめるのであった。
(新字新仮名) / 坂口安吾(著)
湯呑ゆのみ獅子ししの尾にこの赤を使ってあったが、余り立派なので、買いたくてたまらなかったが、五円いくらというので、して帰ったのを覚えている。
九谷焼 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
ところがトムさんが働きに出かけますが、ものの一時間も経たぬうちに、さつさと仕事をして帰つてきてしまひます。
小熊秀雄全集-14:童話集 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)
私どうしてもしません。それも私いつもの通りに續けます。今までの慣例ならはしどほり私は終日お妨げしないやうにします。
が、それも力抜けがして中途でしてしまった。彼は重味のとれた怠惰たいだな気持ちでぼんやり庭の白躑躅しろつつじを眺めていた。
御身 (新字新仮名) / 横光利一(著)
「おい、仏頂寺、せよ、冗談は止せよ、第一、この俺が迷惑するではないか、宇津木、君も刀を引いた方がいいぜ」
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
『お父ちやんはね、門の処で待つてるんだよ。ね、おし、お止し、さあ泣くんぢやないよ。叱られるよね、ね。』
監獄挿話 面会人控所 (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)
その仕事をして居るのを政府が誉めると云うなら、ず隣の豆腐屋から誉めてもらわなければならぬ、ソンな事は一切いっさいしなさいといっことわったことがある。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
それでもし生徒が文学的の傾向があるなら、それにはラテン、グリーキも十分にやらせて、その代り性に合わない学科でいじめるのはした方がいい……
アインシュタインの教育観 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
随分迷惑でしたそうですが、然しせということも出来ないので、御母様も堪えて黙って居らしったそうです。
少年時代 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
雪がせわしく降り出したので出張りを片付けている最後の本屋へ、先刻値を聞いてした古雑誌を今度はどうしても買おうと決心して自分は入って行った。
泥濘 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
何度そうと思ったか知れませんけれども、もう一度、あなたに私の平常の乗務振りを見て頂いてからでないと、私はやめるにもやめられなかったのです。
青バスの女 (新字新仮名) / 辰野九紫(著)
B——の家から破門された時が一番得意な時代だつたつて言つてたよ。それから其の夢が段々毀れて來たんで、せば可いのに第二の夢を見始めたんだね。
我等の一団と彼 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)