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止
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とど
ふりがな文庫
“
止
(
とど
)” の例文
肥後の加藤清正に
止
(
とど
)
めをさし、西国、北国の大名総計六百三十八万七千四百五十八石三斗の力が傾注されているこの尾張名古屋の城。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それからこの一致はひとり一時代の水平的関係だけに
止
(
とど
)
まらず、古くあった地名も今ある地名も人の名前ほどには時代の変化がない。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
床は
勿論
(
もちろん
)
椅子
(
いす
)
でもテーブルでも
埃
(
ほこり
)
が
溜
(
たま
)
っていないことはなく、あの折角の
印度更紗
(
インドさらさ
)
の窓かけも最早や
昔日
(
せきじつ
)
の
俤
(
おもかげ
)
を
止
(
とど
)
めず
煤
(
すす
)
けてしまい
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その二人はまだ生きている、
止
(
とど
)
めを刺そうか。いや待て、と一人が云った。いま若殿に知らせた、若殿のお沙汰を待つことにしよう。
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
さう一朝一夕に根こそぎに
止
(
とど
)
めをさすと云ふ事が出来得るであらうかと云ふことを考へて見ますと実にそうした決議が滑稽に思へます。
編輯室より:(一九一五年六月号)
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
▼ もっと見る
単にそのゆくえを突きとめるに
止
(
とど
)
めてて置くのか、あるいはその正体を見あらわす必要上、腕ずくでもそれを取り押えるつもりか
半七捕物帳:43 柳原堤の女
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
今はもうアントワープは、俗っぽい商業地になってしまいましたけれど、それでも、尊いお寺やお社が、昔の名残りを
止
(
とど
)
めていました。
フランダースの犬
(新字新仮名)
/
マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー
(著)
それから、三人はこのことを警察に告げたものかどうかについて、やや真面目に相談したが、結局それは思い
止
(
とど
)
まることになった。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
しかし、
男
(
おとこ
)
は、もう
芋
(
いも
)
に
肥料
(
こえ
)
をやることなどは、まったく
忘
(
わす
)
れてしまったように、てんで
目
(
め
)
は
田圃
(
たんぼ
)
の
上
(
うえ
)
などに
止
(
とど
)
まりませんでした。
天下一品
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
刃
(
やいば
)
で
止
(
とど
)
めを刺したのではないが、とにかく、海の
藻
(
も
)
くずになったことは分りきっておる。かたがたお墨付をいただいたから、それを
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それで彼のなした事業はことごとくこれを
纏
(
まと
)
めてみましたならば、二十ヵ村か三十ヵ村の人民を救っただけに
止
(
とど
)
まっていると考えます。
後世への最大遺物
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
家に帰るべきわが
運
(
うん
)
ならば、強ひて
止
(
とど
)
まらむと
乞
(
こ
)
ひたりとて何かせん、さるべきいはれあればこそ、と
大人
(
おとな
)
しう、ものもいはでぞ
行
(
ゆ
)
く。
竜潭譚
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「いき」の質料因と形相因とが、化粧を施すという媚態の言表と、その化粧を暗示に
止
(
とど
)
めるという理想性の
措定
(
そてい
)
とに表われている。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
その写真屋の名前を何度も何度も見直してシッカリと記憶に
止
(
とど
)
めてから、妙に
剛
(
こわ
)
ばった笑い顔で鄭重に礼を云って区長の家を出た。
巡査辞職
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
何の
故
(
ゆゑ
)
とも知らねども正太は
呆
(
あき
)
れて追ひすがり袖を
止
(
とど
)
めては怪しがるに、美登利顔のみ打赤めて、何でも無い、と言ふ声
理由
(
わけ
)
あり。
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
かくのごとくすれば一国の兵備は単に国内の平和を維持し、外に向かいてその国の独立を保守するに足るの度に
止
(
とど
)
まることを得べし
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
苦しいながらも思わず荘厳雄大なる絶景に
見惚
(
みと
)
れて居りますと「久しくここに
止
(
とど
)
まって居ると死んでしまいますから早く
降
(
くだ
)
りましょう」
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
でなくとも、女給をして来た人では、庸三の家政はどうかという意見もほかの人から出たので、彼もそれは思い
止
(
とど
)
まることにした。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
それから、
尻尾
(
しっぽ
)
をつかみ、
銃床
(
じゅうしょう
)
で、首筋を、何度となく、これが最後、これが
止
(
とど
)
めの一撃かと思われるほど、激しくどやしつけた。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
食事を半ば終えた頃、彼は、車輪の音を聞いて、手にしている杯を再び
止
(
とど
)
めた。その音は威勢よく近づいて、館の正面までやって来た。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
それと同時に、熊の方でも、初めてこっちの姿を見て、今まで舐めずっていたほの赤い舌の動きを
止
(
とど
)
めて、きっとこっちを見返しました。
熊
(新字新仮名)
/
久米正雄
(著)
この悪風の弊害は、決して一家の内に
止
(
とど
)
まるものにあらず。その波及する所、最も広くしてかつ大なり。ここにその一を述べん。
教育の事
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
これは単に長屋の
金棒引
(
かなぼうひき
)
のみに
止
(
とど
)
まらない。日本の新聞紙はまず社会的の金棒引と見て
差支
(
さしつかえ
)
はない。日本ほど新聞の劣等なところはない。
独居雑感
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
娘は親の択り出した人に対して
可否
(
かひ
)
の返事をするだけに
止
(
とど
)
むべきものです。決して自ら択り出そうと思うべきものでありません。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
ここに
哀
(
あわ
)
れを
止
(
とど
)
めたのは、密航者の
佐々砲弾
(
さっさほうだん
)
だった。
折角
(
せっかく
)
ここまでついて来たものの、艇長は彼が上陸することを許さなかった。
月世界探険記
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しかし杜九如も前言の手前、
如何
(
どう
)
ともしようとはいわなかった。つまり
模品
(
もひん
)
だということを承知しただけに
止
(
とど
)
まって、返しはしなかった。
骨董
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
鯨は魚ではないそうだが……あるいはまぐろ位いに
止
(
とど
)
まり、あゆや鯉等は針を食する感があっていけなく骨に近い女がいけなく
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
が、それよりも、彼女はこの部屋に
止
(
とど
)
まっていて、母と青年とが、何知らぬ顔をして、帰って来るのを迎えるのに
堪
(
た
)
えなかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
けだし音律の
拙
(
つたな
)
き、いまだ我邦より、はなはだしきはあらず。古代、唐楽を伝うといえども、わずかにその譜に
止
(
とど
)
まり、その楽章を伝えず。
国楽を振興すべきの説
(新字新仮名)
/
神田孝平
(著)
これらの記念物が簡素なのにもかかわらず、この寺院を訪れる人たちはだれでもそこにいちばん長く
止
(
とど
)
まっているのにわたしは気がついた。
ウェストミンスター寺院
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
破風の登りなども、木は伐られ岩は掘りかえされて、生々しい路が美しい緑の斜面と余りにも不調和な人工の跡を
止
(
とど
)
めている。
思い出す儘に
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
「私は結婚
前
(
ぜん
)
の若い紳士ですが、私に結婚をすつかり
思
(
おも
)
ひ
止
(
とど
)
まらせて下さる先輩の方がいらつしやるなら、御近づきになりたいものです。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
職務の分量に
止
(
とど
)
まらずして職務の
品性
(
ひんせい
)
をよくせよというのである。十
貫目
(
かんめ
)
の
荷物
(
にもつ
)
を
荷
(
にな
)
うものに、務めて荷物十一貫目を荷えというのでない。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
入月とは女の月経の事である。(詩中月経を用ひたのは、この宮詞に
止
(
とど
)
まるかも知れない。)入用では勿論意味が分らない。
本の事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
而して今日物価の
騰貴
(
とうき
)
は非常なもので、ほとんど
止
(
とど
)
まるところを知らずという有様であるから、国民生活は早晩非常な困難に陥ることと思う。
〔憲政本党〕総理退任の辞
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
牝犬
(
めいぬ
)
を追う
牡犬
(
おいぬ
)
のように、店中の若い者が遠慮も気兼も忘れて、ゾロゾロとついて歩いたと言うに
止
(
とど
)
めることにしましょう。
奇談クラブ〔戦後版〕:15 お竹大日如来
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ここでも仕事は手をぬいたものが少くありません。しかし葛は
滑
(
なめら
)
かで
塵
(
ちり
)
を
止
(
とど
)
めませんから、襖地としての需用は長く続くことでありましょう。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
今更
如何
(
いか
)
に
責
(
せ
)
めたりともその
効
(
かい
)
あらんようなく、かえって恥をひけらかすに
止
(
とど
)
まるべしと、かつ
諌
(
いさ
)
めかつ
宥
(
なだ
)
めけるに、ようように
得心
(
とくしん
)
し給う。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
なぞと、自分たちの失策でもない——と、いうこころを、言外に匂わせて、口々に言うので、広海屋は、苦わらいで
止
(
とど
)
めて
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
欣々夫人の
座臥
(
ざが
)
居住の派手さを、婦人雑誌の口絵で新聞で、三日にあかず
見聞
(
みきき
)
しているわたしたちでも、やや、その仰々しい
姿態
(
ポーズ
)
に足を
止
(
とど
)
めた。
江木欣々女史
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
他は犬われは狐、とても
適
(
かな
)
はぬ処なれば、
復讐
(
あだがえし
)
も思ひ
止
(
とど
)
まりて、
意恨
(
うらみ
)
を
呑
(
のん
)
で過ごせしが。大王、
僕
(
やつがれ
)
不憫
(
ふびん
)
と
思召
(
おぼしめ
)
さば、わがために
仇
(
あだ
)
を返してたべ。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
口をかたく結んだ頼政の表情は謀破れた無念さは
止
(
とど
)
めず、穏かなものがあったという。再び開いた唇は辞世の歌を詠んだ。
現代語訳 平家物語:04 第四巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
あやうくその縁に踏み
止
(
とど
)
まっているといったようなのは、その日々私をたいへん可愛がってくれた店の若衆の一人だった。
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
父はしかし祖父の家には永く
止
(
とど
)
まらなかった。叔父が隣村にいることを知って、私に、叔父のところへ案内しろと言った。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
しかも哲学はこの科学批判に
止
(
とど
)
まらず、更に一般に文化をその批判の対象として生の普遍的自覚にまで自らを拡充した。
メメント モリ
(新字新仮名)
/
田辺元
(著)
この荒涼たる吹雪の景色は、今日も少しも変らない。そしてこの無慈悲な自然の力に
虐
(
しいた
)
げられている人間の姿もまた、往年の名残りを
止
(
とど
)
めている。
イグアノドンの唄:――大人のための童話――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
彼また名利に走らず、聞達を求めず、積極的美において自得したりといえども、ただその徒とこれを楽しむに
止
(
とど
)
まれり。
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
してみると、
此家
(
ここ
)
の軒下にべんべんと
止
(
とど
)
まっているということはあまりに図々しく、
且
(
か
)
つ
容
(
ゆる
)
しがたいことなのだ。直ちに決心をしなければならぬ。
父
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
しかも忘れてならないのは、発明は単に手段の発明に
止
(
とど
)
まらないで、目的の発明でもなければならぬということである。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
いささかなだめんとすれば妻をかばいて親に抗するたわけ者とののしらるることも、すでに一再に
止
(
とど
)
まらざりけるなり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
止
常用漢字
小2
部首:⽌
4画
“止”を含む語句
停止
笑止
中止
静止
小止
挙止
踏止
休止
取止
波止場
立止
行止
押止
廃止
制止
駒止
思止
默止
発止
底止
...