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桟敷
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さじき
ふりがな文庫
“
桟敷
(
さじき
)” の例文
旧字:
棧敷
と刹那の大衆は、何の声もなかった——とまず京極方の
桟敷
(
さじき
)
がドッと
勝鯨波
(
かちどき
)
を爆破させ宮津城下の町人も
喊声
(
かんせい
)
を上げてそれに和した。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
死顔
(
しにがほ
)
」も「
黒
(
くろ
)
き
笑
(
わらひ
)
も」
泪
(
なみだ
)
にとけて、カンテラの
光
(
ひかり
)
のなかへぎらぎらときえていつた、
舞台
(
ぶたい
)
も
桟敷
(
さじき
)
も
金色
(
こんじき
)
の
波
(
なみ
)
のなかにたヾよふた。
桜さく島:見知らぬ世界
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
大
(
おおき
)
な
蝦蟆
(
がま
)
とでもあろう事か、革鞄の吐出した第一幕が、旅行案内ばかりでは
桟敷
(
さじき
)
で飲むような気はしない、が
蓋
(
けだ
)
しそれは
僭上
(
せんじょう
)
の沙汰で。
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
小紋更紗といえば、この、中村勘五郎の息子に、銀之助という少年役者が、その日、芝居の見物をしていた
桟敷
(
さじき
)
の裏へ挨拶に来ていた。
旧聞日本橋:24 鬼眼鏡と鉄屑ぶとり(続旧聞日本橋・その三)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
桟敷
(
さじき
)
五人詰
一間
(
ひとま
)
の
値
(
あた
)
い四円五十銭で世間をおどろかした新富座——その劇場のまえに、十二、三歳の少年のすがたが見いだされる。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
這入った処は薄暗い
桟敷
(
さじき
)
のような処で、それに一杯に人が居るようであった。桟敷の前には、明るくて広い空間が大きな口を開いていた。
議会の印象
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
丁度
於伝仮名書
(
おでんのかなぶみ
)
をやっていた
新富座
(
しんとみざ
)
を見物に行きますと、丁度向うの
桟敷
(
さじき
)
の中ほどに、三浦の細君が来ているのを見つけました。
開化の良人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
広場にはもう立派な毛布が敷きつめられ、不用な品々が山のように積まれ、四方には
桟敷
(
さじき
)
が出来ていて、ぎっしり人だかりがしていました。
手品師
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
その屋根裏へ通うのにはアトリエの室内に
梯子段
(
はしごだん
)
がついていて、そこを上ると手すりを
繞
(
めぐ
)
らした廊下があり、あたかも芝居の
桟敷
(
さじき
)
のように
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
どうかすると紅葉や露伴や文壇人の噂をする事も
時偶
(
ときたま
)
はあったが、舞台の役者を
土間
(
どま
)
や
桟敷
(
さじき
)
から見物するような心持でいた。
二葉亭追録
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
水上にさし出したる
桟敷
(
さじき
)
などの上に居るか、または水に臨む
高楼
(
こうろう
)
の
欄干
(
らんかん
)
にもたれて居るか、または三条か四条辺の橋の欄干にもたれて居るか
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
天井
桟敷
(
さじき
)
に陣どって見物してたんですが、とつぜん
藪
(
やぶ
)
から棒に、いやどうも驚くまいことか、その天井桟敷から、「ブラボー、シルヴァ!」と
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
その時彼は、
桟敷
(
さじき
)
の入口の廊下に、祖父が立ってるのを見つけた。祖父は
嬉
(
うれ
)
しいような恥ずかしいような様子をしていた。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
筵で張った粗末な
桟敷
(
さじき
)
の下から、丁度小紫人形のあたりを見るように陣取って、遅々たる夜の歩みを、生欠伸を噛み締め乍ら見詰めて居りました。
新奇談クラブ:06 第六夜 人形の獄門
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
馬小屋が
芝居
(
しばい
)
小屋になっていました。つまり、馬をつなぐ仕切りはそのまま残してあって、これをかざりたてて、見物の
桟敷
(
さじき
)
にしてあったのです。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
すでに
桟敷
(
さじき
)
の申込みもして置いた次第——江戸まで名が響いている、当代名代の女形に、そのような、武術があろうなどとは、存じもよらなんだ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
毎日のように舞台へ詰めて、
桟敷
(
さじき
)
をかける世話までした。伏見屋の方でも鶴松に初舞台を踏ませるとあって、お玉の心づかいは一通りでなかった。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
祖母と叔父とはやっと
桟敷
(
さじき
)
の後の隅っこに座ることができたが、私の座るところがなかった。で、私はずっと後の方で立ったまま見ることにした。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
粗末な
桟敷
(
さじき
)
、というよりも寧ろ桟敷二列がこの建物の周囲をめぐっているのだが、これもまた原始的なものであった。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
「あの、
桟敷
(
さじき
)
においでなさる時に、ちらりとお見かけ申しましたが、切髪でいらっしゃるけれども、なかなか品のよい、美しいお方でございました」
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それと同時に、今度は
賑
(
にぎや
)
かな左右の
桟敷
(
さじき
)
に対する観察をも決して閑却しなかった。世の中にはあんなに大勢女がいる。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
くれるの。でも向こう
桟敷
(
さじき
)
はきらいよ。窮屈できたなくて、どうかすると乱暴な人や臭い人がいっぱいいるんだもの。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
そのためには正面の一番よい
桟敷
(
さじき
)
を初日から千秋楽まで買い切っておきますが、どうぞ充分に御覧下さいませ。下地の錦絵はここに持って参りました。
押絵の奇蹟
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
桟敷
(
さじき
)
のこゝかしこに
欲然
(
もえたつ
)
やうな
毛氈
(
まうせん
)
をかけ、うしろに
彩色画
(
さいしきゑ
)
の
屏風
(
びやうぶ
)
をたてしはけふのはれなり。四五人の婦みな
綿帽子
(
わたばうし
)
したるは
辺鄙
(
へんび
)
に古風を
失
(
うしなは
)
ざる也。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
坂の中段もとに
平生
(
ふだん
)
並んで居る左右二頭の
唐獅子
(
からじし
)
は何処へか
担
(
かつ
)
ぎ去られ、其あとには中々馬鹿にはならぬ舞台花道が出来て居る。
桟敷
(
さじき
)
も左右にかいてある。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
その
旆
(
はた
)
の下に、見晴らしのいい
桟敷
(
さじき
)
があって、醤主席は、
幕僚
(
ばくりょう
)
を後にしたがえ、口をへの字に結んでいた。
人造人間戦車の機密:――金博士シリーズ・2――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
道頓堀
(
どうとんぼり
)
の芝居に
与力
(
よりき
)
や
同心
(
どうしん
)
のような役人が見廻りに行くと、スット
桟敷
(
さじき
)
に
通
(
とおっ
)
て、芝居の
者共
(
ものども
)
が茶を
持
(
もっ
)
て来る菓子を持て来るなどして、
大威張
(
おおいば
)
りで芝居をたゞ見る。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
ほのかな
錆
(
さ
)
びた庭隅に池と断崖とが幾曲りにも続いて、眺めのよい小高見には
桟敷
(
さじき
)
や茶座敷があった。
酋長
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
二条の大通りは物見の車と人とで
隙
(
すき
)
もない。あちこちにできた
桟敷
(
さじき
)
は、しつらいの趣味のよさを競って、
御簾
(
みす
)
の下から出された女の
袖口
(
そでぐち
)
にも特色がそれぞれあった。
源氏物語:09 葵
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
そのくねくね曲った方の一方に
攀
(
よ
)
じのぼると、背中に負って来た棒や板や
蓆
(
むしろ
)
などを、その枝と枝との間に打付けて、
忽
(
たちま
)
ち其処に即製の
桟敷
(
さじき
)
をこしらえ上げて了った。
虎狩
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
桜町の
箔屋
(
はくや
)
が例年の通り
桟敷
(
さじき
)
を造って船頭や
財副
(
ざいふく
)
や
客唐人
(
きゃくとうじん
)
を招いて神事踊ば見せたのでござりました。
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
この興行は、蓋をあけてから、連日、大入満員をつづけているようだった。二階や、
桟敷
(
さじき
)
はもとより、「虎ノ間」も、ぎっしりと詰まっていて、立錐の余地もない。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
それと同時に、
玉屋
(
たまや
)
鍵屋
(
かぎや
)
の声々がどっと起る。大河ぶちの
桟敷
(
さじき
)
を一ぱいに埋めた見物客がその顔を空へ
仰向
(
あおむ
)
ける。顔の輪廓が
暫
(
しばら
)
くのあいだくっきりと照らし出される。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
ぼっとしたような目には、
桟敷
(
さじき
)
に並んでいる婦人たちの美しい姿がだんだん晴れやかに映っていた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
附近に在る大ススキ山と小ススキ山は、千九百十五米の三角点ある
桟敷
(
さじき
)
山と千九百八十米の
小在池
(
こざいけ
)
山に当っている、そしてコサイケ山とあるのは
鍋蓋
(
なべぶた
)
山らしく思われる。
上州の古図と山名
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
もちろん舞台の
額縁
(
プロセニアム
)
は、オペラ風のただ広いものとなった。また、その下には、
隠伏奏楽所
(
ヒッヅン・オーケストラ
)
さえ設けられて、観客席も、列柱に囲まれた地紙形の
桟敷
(
さじき
)
になってしまった。
オフェリヤ殺し
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
そして女の桝からやや
隔
(
はな
)
れた
桟敷
(
さじき
)
の囲いのそとに永く立っていた。私は胸に鼓動をかんじながら見ていると、女はお母さんと何か話をしいしい表の方へ目をやっていた。
性に眼覚める頃
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
バルセロナの市長夫妻が、古風なスペイン服で高い
桟敷
(
さじき
)
につくと、金と紅で美装した闘牛士の群が騎馬で出て来て、司会者の前で昔ながらの武士的な挨拶をするのです。
バルザックの寝巻姿
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
「みんなはなにもかも知っていて、おれ一人がつんぼ
桟敷
(
さじき
)
にいるみてえだ、宗ちゃんはおちついて飲めって云うけれども、これじゃあいくら飲んだって酔やあしねえや」
源蔵ヶ原
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
見ないのも残念とあって、二人、人を
別
(
わ
)
けて
桟敷
(
さじき
)
に押し上がり、一角に陣取って活動を見る。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
その時突然
桟敷
(
さじき
)
の下で遊んでいた松川場主の子供がよたよたと
埒
(
らち
)
の中へ
這入
(
はい
)
った。それを見た笠井の娘は我れを忘れて駈け込んだ。「危ねえ」——観衆は一度に
固唾
(
かたず
)
を飲んだ。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
これは多分
桟敷
(
さじき
)
から
階子
(
はしご
)
乗りをしたんだろう。その頃の笑話にその時群集仰ぎ視る者夥し。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
罪のない子役のませた
仕草
(
しぐさ
)
は、
涙脆
(
なみだもろ
)
い
桟敷
(
さじき
)
の
婦人
(
をんな
)
客を直ぐ泣かせる事が出来るので、横着な
興行師
(
しうち
)
や
俳優
(
やくしや
)
やは、成るべく
年端
(
としは
)
も
往
(
ゆ
)
かない、柄の小さい子役を舞台に立たせようとする。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
万八、河長、梅川、亀清、柳屋、柏屋、青柏、大中村と、庇を連ねた
酒楼
(
おちゃや
)
でも、大川筋へ張り出した
桟敷
(
さじき
)
へ、柳橋芸者に
綺麗
(
きら
)
を飾らせ、空の一発千両と豪華のほどを競い、争っている。
円朝花火
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
顔なじみの出方に迎えられて導かれていった
桟敷
(
さじき
)
は、花道寄りの恰好な場所でした。——下総から来た小芳の兄というのは、打ち見たところ先ず三十五六。小作りの
実体
(
じってい
)
そうな男です。
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
桟敷
(
さじき
)
に立っていた彼女が
簾
(
すだれ
)
を掻き上げ、「如鬼形之女法師顔」[鬼形の如き女法師顔]をさし出して、「駿馬之骨ヲバ
不買
(
かわざる
)
ヤ。アリシ」と言った(古事談、第二、臣節)という伝説は
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
連隊の士官たちは、毎晩九時頃から、昼間の練兵の疲れをまったく忘れたかのように、銘々、緑色の新しい軍服に着替えて、
髭
(
ひげ
)
をていねいに手入れして、小劇場の
桟敷
(
さじき
)
に顔を並べていた。
勲章を貰う話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
正面
桟敷
(
さじき
)
には大御所様はじめ当の主人の
満千姫様
(
まちひめさま
)
、三十六人の愛妾達、姫君若様ズラリと並びそこだけには
御簾
(
みす
)
がかけられている。その左は
局
(
つぼね
)
の席、その右は西丸詰めの
諸士達
(
しょさむらいたち
)
の席である。
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それ等の人々は脂粉の気が立ち
籠
(
こ
)
めている
桟敷
(
さじき
)
の間にはさまって、秋水の出演を待つのだそうである。その中へ毎晩のように、
容貌魁偉
(
ようぼうかいい
)
な大男が、湯帷子に
兵児帯
(
へこおび
)
で、ぬっとはいって来るのを見る。
余興
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
それを見下ろして、ぐるりと高く雛段形の
桟敷
(
さじき
)
が取り巻いている。
踊る地平線:07 血と砂の接吻
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
“桟敷”の意味
《名詞》
祭礼の列などを見物するため、一段高く仮設された観覧席。
劇場や興行などで土間より高く設置された板敷の観客席。
(出典:Wiktionary)
“桟敷(枡席)”の解説
枡席(ますせき、桝席・升席とも)とは、日本の伝統的な観客席。土間や板敷きの間を木組みによって人数人が座れるほどの四角形に仕切り、これを「一枡」として観客に提供したことからこう呼ばれるようになった。同じく日本の伝統的な観客席である桟敷(さじき)についても本項で扱う。
(出典:Wikipedia)
桟
常用漢字
中学
部首:⽊
10画
敷
常用漢字
中学
部首:⽁
15画
“桟敷”で始まる語句
桟敷裏
桟敷後
桟敷番
桟敷一間
桟敷欄干