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木目
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もくめ
ふりがな文庫
“
木目
(
もくめ
)” の例文
鉄瓶の蔓にも茶箪笥の戸棚の
木目
(
もくめ
)
にも昔懐しい思出が動いて、春子さんは自然長座になる。お母さんも長男よりは長女が相談相手だ。
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
旅行鞄
(
トランク
)
についで、
木目
(
もくめ
)
白樺で
象嵌
(
ぞうがん
)
をほどこしたマホガニイの手箱だの、長靴の型木だの、青い紙に包んだ鶏の丸焼だのが持ちこまれた。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
錦絵、芝居から見ても、洗いだしの
木目
(
もくめ
)
をこのんだような、江戸系の素質を
磨
(
みが
)
き出そうとした文化、文政以後の好みといえもする。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
同
(
おな
)
じ
不正
(
ふせい
)
を
企
(
くわだて
)
るのならば、百三十六
個
(
こ
)
の
麻雀牌
(
マアジヤンパイ
)
の
背中
(
せなか
)
の
竹
(
たけ
)
の
木目
(
もくめ
)
を
暗記
(
あんき
)
するなどは、その
努力感
(
どりよくかん
)
だけでも
僕
(
ぼく
)
には
寧
(
むし
)
ろ
氣持
(
きもち
)
がいい。
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
家は真実そんなでもなかったけれど、美事な
糸柾
(
いとまさ
)
の
杉
(
すぎ
)
の太い柱や、
木目
(
もくめ
)
の好い天井や杉戸で、手堅い廻船問屋らしい構えに見受けられた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
「おれは
素人
(
しろうと
)
で、こんな物の眼利きは出来ねえが、
彩色
(
いろどり
)
といい、
木目
(
もくめ
)
といい、どう見ても拵え物じゃあねえらしい。こりゃあ確かに本物だ」
半七捕物帳:50 正雪の絵馬
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
平次は
豁然
(
かつぜん
)
としました。二重蓋の中を見ると、容易に見分けは付きませんが、中の札の
木目
(
もくめ
)
に、何やら異状があるようです。
銭形平次捕物控:018 富籤政談
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
例えば縦縞の着物に対して横縞の帯を用いるとか、
下駄
(
げた
)
の
木目
(
もくめ
)
または塗り方に縦縞が表われているとき
緒
(
お
)
に横縞を用いるとかいうような場合である。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
私は堂を廻つてゐる高縁に蹲んで
蘚
(
こけ
)
の上を眺めてゐた。足の裏に板の
木目
(
もくめ
)
を氣持ちよく感じながら夜の來るのを待つた。山蟻が柱を傳つて登つて來た。
草の中
(旧字旧仮名)
/
横光利一
(著)
それがまた
煤
(
すす
)
やら
垢
(
あか
)
やらで何の木か見別けがつかぬ位、奥の間の最も煙に遠いとこでも、天井板がまるで油炭で塗った様に、板の
木目
(
もくめ
)
も判らぬほど黒い。
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
木目
(
もくめ
)
を洗出された時代の
錆
(
さび
)
のある
板扉
(
いたど
)
の中央に取附けた鎌倉時代の鉄の
鰕錠
(
えびじょう
)
が頗る椿岳気分を漂わしていた。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
私は教室の硝子が何枚あるかということ、いつも私の立たされる柱の
木目
(
もくめ
)
がいくつあるかということ、ボールドにいくつの節穴があるかということを知っていた。
幼年時代
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
ゆらと陽の
斑
(
ふ
)
を躍らす
桧面
(
ひのきめん
)
の
艶
(
つや
)
——
漆
(
うるし
)
と
木目
(
もくめ
)
を選びにえらび、数寄を凝らした城中の一部なので……。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
中央の
木目
(
もくめ
)
から
渦
(
うずま
)
いて出るのが、池の小波のひたひたと寄する音の中に、隣の納屋の石を切る
響
(
ひびき
)
に交って、繁った葉と葉が
擦合
(
すれあ
)
うようで、たとえば
時雨
(
しぐれ
)
の降るようで
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
其れについて幸い
木目
(
もくめ
)
見事
(
みごと
)
の
欅板
(
けやきいた
)
があるので、戦役記念の題字を書いてくれと先日村の
甲乙
(
たれかれ
)
が彼に持込んで来たが、書くが職業と云う条あまりの
名筆故
(
めいひつゆえ
)
彼は辞退した。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
(僕は
木目
(
もくめ
)
や珈琲茶碗の
亀裂
(
ひび
)
に度たび神話的動物を発見していた)一角獣は
麒麟
(
きりん
)
に違いなかった。
歯車
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
米国の都市には汽車を渡す大仕掛けの
渡船
(
わたしぶね
)
があるけれど、
竹屋
(
たけや
)
の
渡
(
わた
)
しの如く、
河水
(
かはみづ
)
に
洗出
(
あらひだ
)
された
木目
(
もくめ
)
の美しい
木造
(
きづく
)
りの船、
樫
(
かし
)
の
艪
(
ろ
)
、竹の
棹
(
さを
)
を以てする絵の如き
渡船
(
わたしぶね
)
はない。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
主人は「嘘をつけ」と腹の中で言ったまま、ぷかぷか
煙草
(
たばこ
)
をふかす。迷亭は天井を見ながら「君、ありゃ
雨洩
(
あまも
)
りか、板の
木目
(
もくめ
)
か、妙な模様が出ているぜ」と暗に主人を
促
(
うな
)
がす。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
よくお互いに思想の乾かされた板切れをいくつか持って坐りこみ、それぞれのナイフの切れ味を試みつつそれを削り、カボチャマツのはっきりした黄色がかった
木目
(
もくめ
)
を賞美した。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
出来たてのうちはまだいゝが、追い/\年数が経って、板や柱に
木目
(
もくめ
)
の味が出て来た時分、タイルばかりが白くつる/\に光っていられたら、それこそ木に竹を接いだようである。
陰翳礼讃
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
羽目板を
木目
(
もくめ
)
の浮き出るまで洗い上げた砂場という
蕎麦
(
そば
)
やが角にある。隣に芸妓の検番があって、芸妓や箱やの激しい出入口を除けた向うからずらりと雑多な夜店が並び出していた。
美少年
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そのもう一まいのドアは、うすい
鉄板
(
てっぱん
)
を
木目
(
もくめ
)
に色どったもので、内がわにはめてある鏡も、ごくうすいガラスでできているので、りょうほうで一センチぐらいのあつみしかありません。
おれは二十面相だ
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
何を思うともなく天井の
木目
(
もくめ
)
を見やっているのも、珍しい事のように快かった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
水
(
みず
)
くきのあとも
細々
(
ほそぼそ
)
と、
流
(
なが
)
したように
書
(
か
)
きつらねた
木目
(
もくめ
)
の
浮
(
う
)
いた
看板
(
かんばん
)
に、
片枝折
(
かたしおり
)
の
竹
(
たけ
)
も
朽
(
く
)
ちた
屋根
(
やね
)
から
柴垣
(
しばがき
)
へかけて、
葡萄
(
ぶどう
)
の
蔓
(
つる
)
が
伸
(
の
)
び
放題
(
ほうだい
)
の
姿
(
すがた
)
を、三
尺
(
じゃく
)
ばかりの
流
(
なが
)
れに
映
(
うつ
)
した
風雅
(
ふうが
)
なひと
構
(
かま
)
え
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
もっとも
冬場
(
ふゆば
)
でも、まぐろの腹部の肉、俗に
砂摺
(
すなず
)
りというところが
脂身
(
あぶらみ
)
であるゆえに、
木目
(
もくめ
)
のような皮の部分が
噛
(
か
)
み切れない
筋
(
すじ
)
となるから、この部分は細切りして、「ねぎま」というなべものにして
鮪を食う話
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
その
中
(
うち
)
にふと天井の
木目
(
もくめ
)
が眼に入って突然妙な事を思った※「こう見たところは水の流れた
痕
(
あと
)
のようだな」、こう思うと同時にお勢の事は全く忘れてしまった、そして尚お
熟々
(
つくづく
)
とその木目に視入って
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
手慣れたる
木目
(
もくめ
)
を
撫
(
な
)
でて桐火鉢
六百句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
「
木目
(
もくめ
)
が盛り上っていらあ。こゝには裸体美人が彫ってある。この頃の中学生は油断がならないな」
母校復興
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
中央
(
ちうあう
)
の
木目
(
もくめ
)
から
渦
(
うづま
)
いて
出
(
で
)
るのが、
池
(
いけ
)
の
小波
(
さゝなみ
)
のひた/\と
寄
(
よ
)
する
音
(
おと
)
の
中
(
なか
)
に、
隣
(
となり
)
の
納屋
(
なや
)
の
石
(
いし
)
を
切
(
き
)
る
響
(
ひゞき
)
に
交
(
まじ
)
つて、
繁
(
しげ
)
つた
葉
(
は
)
と
葉
(
は
)
が
擦合
(
すれあ
)
ふやうで、たとへば
時雨
(
しぐれ
)
の
降
(
ふ
)
るやうで
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
橋の上には、橋役人の言った通り、血の痕一つありませんが、欄干は、平次の心なしか、
逞
(
たくま
)
しい麻縄で
摺
(
す
)
れて、少しばかり
木目
(
もくめ
)
の凹んだところがあるような気がします。
銭形平次捕物控:067 欄干の死骸
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
百三十六
個
(
こ
)
もある
麻雀牌
(
マアジヤンパイ
)
の
背中
(
せなか
)
の
竹
(
たけ
)
の
木目
(
もくめ
)
をすつかり
暗記
(
あんき
)
してしまふといふいんちき
師
(
し
)
のことだ。
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
米国の都市には汽車を渡す大仕掛けの渡船があるけれど、竹屋の渡しの如く、
河水
(
かわみず
)
に
洗出
(
あらいだ
)
された
木目
(
もくめ
)
の美しい
木造
(
きづく
)
りの船、
樫
(
かし
)
の
艪
(
ろ
)
、竹の
棹
(
さお
)
を以てする絵の如き渡船はない。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
のみならず彼の勧めた
林檎
(
りんご
)
はいつか黄ばんだ皮の上へ一角獣の姿を現してゐた。(僕は
木目
(
もくめ
)
や
珈琲
(
コオヒイ
)
茶碗の
亀裂
(
ひび
)
に度たび神話的動物を発見してゐた。)一角獣は
麒麟
(
きりん
)
に違ひなかつた。
歯車
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
わたくしが見たのは江戸の末で、慶安当時から二百年も経っていましたから、自然に板の
木目
(
もくめ
)
が高く出て、すこぶる古雅に見えました。さてその絵馬について、こんなお話があるんですよ。
半七捕物帳:50 正雪の絵馬
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と
凝
(
じつ
)
と
視
(
なが
)
める、と
最
(
も
)
う
其
(
そ
)
の
鳥居
(
とりゐ
)
の
柱
(
はしら
)
の
中
(
なか
)
へ、
婦
(
をんな
)
の
姿
(
すがた
)
が
透
(
す
)
いて
映
(
うつ
)
る……
木目
(
もくめ
)
が
水
(
みづ
)
のやうに
膚
(
はだ
)
に
絡
(
まと
)
ふて。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それが
外
(
ほか
)
ならぬ
麻雀牌
(
マアジヤンパイ
)
のあの
木目
(
もくめ
)
に
對
(
たい
)
してといふだけに
全
(
まつた
)
く
驚
(
おどろ
)
かずにはゐられない。
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
根付けの木の札の
木目
(
もくめ
)
から、鍵の大きさ、重さ、それを吊つた麻紐の
捻
(
より
)
の具合まで。
銭形平次捕物控:330 江戸の夜光石
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
横町はお岩稲荷へお百度を踏みに来る藝者の行来に、昨日見た時よりも案外賑になまめかしく、両側に立ちつゞく人家の中には
木目
(
もくめ
)
の面白い一枚板をつかつた
潜門
(
くゞりもん
)
に見越しの松なども見える。
来訪者
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「そんなものはありゃしませんよ。台座は
木目
(
もくめ
)
がきちんとして、継目も合せ目もないし、仏体も
鑿
(
のみ
)
の跡が揃って、種も仕掛けもありません。何でも名人の作で、たいそう良いものだということですが」
銭形平次捕物控:134 仏師の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“木目”の意味
《名詞》
木材の断面に表れる年輪などによる模様。
(出典:Wiktionary)
木
常用漢字
小1
部首:⽊
4画
目
常用漢字
小1
部首:⽬
5画
“木目”で始まる語句
木目峠
木目模様
木目菓子