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年老
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としと
ふりがな文庫
“
年老
(
としと
)” の例文
『
時間
(
じかん
)
がなかつたんだもの』と
云
(
い
)
つてグリフォンは、『でも、
私
(
わたし
)
は
古典學
(
こてんがく
)
の
先生
(
せんせい
)
の
所
(
ところ
)
へ
行
(
ゆ
)
きました。
先生
(
せんせい
)
は
年老
(
としと
)
つた
蟹
(
かに
)
でした、
全
(
まつた
)
く』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
『
奢
(
おご
)
りませんよ。』と言ふ富江の聲は
訛
(
なま
)
つてゐる。『ホヽヽ、いくら髭を生やしたつて
其麽
(
そんな
)
年老
(
としと
)
つた口は利くもんぢやありませんよ。』
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
年老
(
としと
)
った職工や女房のいるのが多かった。女工たちは所々に一かたまりになって、たゞ立っていた。女の方は別な理由はなかった。
工場細胞
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
王は秋月ではないかと思って声をかけようとしたが、それは秋月とは違った
年老
(
としと
)
った女であった。王は黙ってその女を見つめた。
蘇生
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「
年老
(
としと
)
った
女
(
おんな
)
は、
母親
(
ははおや
)
であって、その
子供
(
こども
)
が
戦争
(
せんそう
)
にいって、
死
(
し
)
んだのを
深
(
ふか
)
く
悲
(
かな
)
しんでいるからでありましょう。」と
答
(
こた
)
えました。
強い大将の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
北海道の奥には、たった一人、
年老
(
としと
)
ったお
祖母様
(
ばあさま
)
がいらっしゃるそうですが、あまり遠過ぎて、何分急場の役には立ちません。
向日葵の眼
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その婆さんもその廓へ来ていたのが、
年老
(
としと
)
ってから私の家の隠居家へ雇われていたのであった。暇さえあれば高山の町の話をして聞かせた。
木曽御嶽の両面
(新字新仮名)
/
吉江喬松
(著)
やがて
年老
(
としと
)
った郷民でも来たら、よく水質をただした上、良い水ならゆるしてやれ。さもなくば、谷から清水を汲ませるがよい
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
母親は、
年老
(
としと
)
つた人としては、まだ物わかりのいゝ穏やかな人であつた。しかしそれでも家の中の情実に対しては多くの無駄を固持してゐた。
乞食の名誉
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
棋
(
ご
)
など打っている
年老
(
としと
)
った紳士も二、三人紛れ込んでいたが、その心持は、周囲の学生連と大した相違はなさそうに見えた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
いつも桂子の家に手伝いに来ているオバさんの
年老
(
としと
)
った夫。私は、桂子に万一のことでもあったのかと、ギョッとして一度に目が覚めてしまう。
野狐
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
『あ、とうとう
消
(
け
)
だ。』と
誰
(
たれ
)
かが叫んでいた。おかしいのはねえ、列のまん中ごろに一人の少し
年老
(
としと
)
った人が居たんだ。
風野又三郎
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
垣越しに隣の寺に、
年老
(
としと
)
った和尚さんが庭掃除をしていられるのが見えた。私はていねいに挨拶をした。和尚さんは垣のそばへやって来て言った。
幼年時代
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
私はもう四十だ。さらでも早く年を取る女の事、私は昔
馴染
(
なじ
)
んだ女の
年老
(
としと
)
つたのを見るに忍びない氣がする。強ひても見たくないと思つてゐる………
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
私は、長い間、書面を
調
(
しら
)
べた。筆蹟は、
年老
(
としと
)
つた婦人のものらしく舊式で、どちらかと云へば
覺束
(
おぼつか
)
ない方であつた。この
條件
(
コンデイション
)
はまづ申分がなかつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
「……まさか……。そんな事が出来るもんですか。
現在
(
いま
)
附き添っているのは
年老
(
としと
)
った女中頭が一人と、赤十字から来た看護婦が二人と、都合四人キリよ」
一足お先に
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
若
(
も
)
し手にして居る羽扇が無かったら、武装して居る天使の図そっくりだ。彼女の面長で下ぶくれの子供顔は、むしろ服装に負けて居る。
連
(
つれ
)
の男は
年老
(
としと
)
った美男だ。
ドーヴィル物語
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そうして、若い娘と若い男二人がその奇抜な新宅の設備にかかっている間に、
年老
(
としと
)
った方の男一人は客車の屋根の片端に坐り込んで
手風琴
(
てふうきん
)
を鳴らしながら
呑気
(
のんき
)
そうな歌を唄う。
鴉と唱歌
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
もっとも、この戸川さんから来た狆は大分
年老
(
としと
)
っているので血気
旺
(
さか
)
んというのでないから、その故もあるか、私たちが狆らしい狆だと思う種類とは掛け離れたものに見えます。
幕末維新懐古談:54 好き狆のモデルを得たはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
それには
年老
(
としと
)
った主人夫婦も当惑して「それでは今晩一晩だけだったら都合しましょう」
子をつれて
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
お爺さんは、アムブロアジヌお婆あさんの
年老
(
としと
)
つたつれあひです。アムブロアジヌお婆あさんは家の中の事によく気をつけてゐますし、ジヤツク爺さんはまた畑や家畜の面倒を見ます。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
中に一人
年老
(
としと
)
れるは
則
(
すなは
)
ち先きに篠田長二の
陋屋
(
ろうをく
)
にて
識
(
し
)
る人となれる渡辺の老女なり
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
村の者も今迄は
堅
(
かて
)
え人だったが、
何
(
ど
)
う言う訳だがな泊り歩くが、役柄もしながらハアよくねえ
事
(
こッ
)
たア
年老
(
としと
)
った親を置いて、なんて
悪口
(
わるくち
)
を
利
(
き
)
く者もあるで、
成
(
なる
)
だけ
他人
(
ひと
)
には能く云わしたいが
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
こんな状態ではと、わたしはその時既に
秘
(
ひそ
)
かに思つたのだ。聟が第二の
息子
(
むすこ
)
となつて、
年老
(
としと
)
つて行く義父に涙のこぼれるやうな世話をしてくれる。かういふ美しい光景をわたしは幾つか見て来た。
愚かな父
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
入って行くとすっかり
年老
(
としと
)
って見ちがえてしまったバンカラの唐茄子が知らない男と獅子をつかっている。楽屋で時々「めでたいめでたい」というような声をかけるのがひどく古風でおもしろい。
随筆 寄席風俗
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
年老
(
としと
)
った婢は
何人
(
だれ
)
か来たとは知っていたが、めんどうだから知らないふりをしていたところで、名を呼ばれたので顔をあげた。
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「……どうしましょう。寺には、
年老
(
としと
)
った方丈様と、小坊主ばかりで、力の強い寺男は、風邪をひいて、
臥
(
ふ
)
せっているし……」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また、さびしい、室の裡に物思いに沈んで、
眤
(
じっ
)
と下を見つめて、何事をか考えている、青い顔の
年老
(
としと
)
った女があろう。
夕暮の窓より
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
さして
年老
(
としと
)
っているというでもない。無論明治になってから生れた人であろう。自分は何の理由もなく、かの男は生れついての盲目ではないような気がした。
深川の唄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
あなたは、先頃の明るさにひきかえ、一夜の中に、
醜
(
みにく
)
く、
年老
(
としと
)
って、なにか人目を
恥
(
は
)
じ、泣いたあとのような赤い眼と手に
皺
(
しわ
)
くちゃの
手巾
(
ハンカチ
)
を持っていました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
本当に、何んて云ひ草だい!
年老
(
としと
)
つた私がこれから先き幾年生延びると思ふの。明日にもどうか分らないものを捕へて、俺をあてにするななんてよく云へた。
惑ひ
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
けれども、半日まるっきり人にも
出会
(
であ
)
わないそんな
旅
(
たび
)
でしたから、私は食事がすんでも、すぐに泉とその
年老
(
としと
)
った巡礼とから、
別
(
わか
)
れてしまいたくはありませんでした。
雁の童子
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
間もなく福富は
先刻
(
さつき
)
の葉書を持つて来て甲田の
卓
(
つくゑ
)
に置いて、『
年老
(
としと
)
つた人は同情がありませんね。』
葉書
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
校長先生
(
かうちやうせんせい
)
は
年老
(
としと
)
つた
海龜
(
うみがめ
)
でした——
私
(
わたし
)
どもは
其
(
そ
)
の
先生
(
せんせい
)
を
龜
(
かめ
)
ノ
子
(
こ
)
先生
(
せんせい
)
と
呼
(
よ
)
び
慣
(
な
)
らしてゐました。——
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
お祭を
行
(
や
)
りましたが、一人息子に死なれた
年老
(
としと
)
つた
両親
(
ふたおや
)
は、
稼人
(
かせぎて
)
が無くなつたので、地主から、田地を取り上げられる、税を納めねいので、役場からは有りもせぬ家財を売り払はれる
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
そこは小林の
妾
(
めかけ
)
の身続きにあたる、ある勤め人の
年老
(
としと
)
った夫婦ものであった。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
此上
(
このうえ
)
寂しい
空
(
あき
)
屋敷にいるより、思い切って、北海道の奥の
年老
(
としと
)
ったお
祖母様
(
ばあさま
)
の許へ行こう、麗子は悲しくも
斯
(
こ
)
う決心して、そっと
邸
(
やしき
)
を抜け出し、上野停車場へ行こうとして居るところだったのです。
向日葵の眼
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「またくるがいい。
今日
(
きょう
)
は、これでお
帰
(
かえ
)
り。
雨
(
あめ
)
が
降
(
ふ
)
っているようだから、この
子供
(
こども
)
に、
家
(
いえ
)
まで
送
(
おく
)
らせよう……。」と、
年老
(
としと
)
った、
社長
(
しゃちょう
)
はいいました。
新しい町
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
父の与次右衛門は
年老
(
としと
)
っておることゆえ、自分を代りに召連れて給われと、われら同志の者へ
強
(
た
)
っての頼みでした。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
此
(
この
)
話
(
はなし
)
は一
同
(
どう
)
に
著
(
いちじる
)
しき
感動
(
かんどう
)
を
與
(
あた
)
へました。
中
(
なか
)
には
遁出
(
にげだ
)
した
鳥
(
とり
)
さへあり、
年老
(
としと
)
つた一
羽
(
わ
)
の
鵲
(
かさゝぎ
)
は
用心深
(
ようじんぶか
)
くも
身仕舞
(
みじまひ
)
して、『
家
(
うち
)
へ
歸
(
かへ
)
らう、
夜露
(
よつゆ
)
は
咽喉
(
のど
)
に
毒
(
どく
)
だ!』と
云
(
い
)
ひ
出
(
だ
)
しました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
今から廿年ばかり前に、北九州の或村はづれに一人の
年老
(
としと
)
つた乞食が、行き倒れてゐました。
火つけ彦七
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
「好きは好きだが、毎晩、一合のおしきせがやっとだよ、もう弱ったね、
年老
(
としと
)
ったからなあ」
雨夜続志
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
泣いて
悔
(
く
)
やんで悲しんで、ついには
年老
(
としと
)
る、病気になる、あらんかぎりの
難儀
(
なんぎ
)
をして、それで死んだら、もうこの様な悪鳥の身を離れるかとならば、仲々そうは参らぬぞや。
二十六夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
年老
(
としと
)
つた兩親と、若い妻と、妹と、生れた許りの女兒と、それに渠を合せて六人の家族は、いかに生活費のかゝらぬ片田舍とは言へ、又、儉約家の母親がいかに
儉
(
しま
)
つてみても
足跡
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
界隈
(
かいわい
)
に幅を利かしているというそこの
年老
(
としと
)
った主、東京に芸者をしていたことがあるとか言ったその後添いの婆さん、仲人の口に
欺
(
だま
)
されて行ったお銀が、そこにいた四ヵ月のあいだのいろいろの
葛藤
(
かっとう
)
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
此様
(
こんな
)
年老
(
としと
)
つた上に、
逆事
(
さかさまごと
)
など見せて呉れない様にの——
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
年老
(
としと
)
った
木
(
き
)
は、かわいらしい
子供
(
こども
)
たちに、こんなことをされるのが、さもこのうえもなくうれしそうでありました。
学校の桜の木
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「ははは、よくよく、
懲
(
こ
)
りたな。だから、云わんことじゃない。惚れるなら、吾々のような、野暮な用人とか、
年老
(
としと
)
ったお留守居役に、惚れるものだと」
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
受附の
年老
(
としと
)
つた役人はさも
横風
(
おうふう
)
に龍子の顔を睨みつけた。広い室の中に縦横に置かれた大きな机の前の彼方此方の顔が物珍らしさうに龍子の顔を老人の肩越しに覗いてゐた。
監獄挿話 面会人控所
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
これは土地の者の斎藤といふ
年老
(
としと
)
つた首座教員と智恵子と富江の三人は、それ/″\
村内
(
むらうち
)
に受持を定めて、兎角乱れ易い休暇中の児童の風紀の、校外取締をすることになつた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
年
常用漢字
小1
部首:⼲
6画
老
常用漢字
小4
部首:⽼
6画
“年”で始まる語句
年
年齢
年増
年紀
年月
年寄
年嵩
年長
年暮
年頃