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嬢
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じょう
ふりがな文庫
“
嬢
(
じょう
)” の例文
旧字:
孃
ほんとうに、
平常
(
へいぜい
)
は、そんな
不安
(
ふあん
)
も
感
(
かん
)
じないほど、このへやの
中
(
なか
)
は
平和
(
へいわ
)
で、お
嬢
(
じょう
)
さんの
笑
(
わら
)
い
声
(
ごえ
)
などもして、にぎやかであったのです。
風の寒い世の中へ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
その頃、崖邸のお
嬢
(
じょう
)
さんと呼ばれていた真佐子は、あまり目立たない少女だった。無口で
俯向
(
うつむ
)
き
勝
(
がち
)
で、
癖
(
くせ
)
にはよく
片唇
(
かたくちびる
)
を
噛
(
か
)
んでいた。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「君、おい君ったら」と、不意にわたしのそばで、
誰
(
だれ
)
かの声がした。——「よそのお
嬢
(
じょう
)
さんを、そんな風に見つめてもいいものかい?」
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
青いスミレの花は、かわいらしい海軍士官の
候補生
(
こうほせい
)
で、ヒヤシンスやサフランに、『お
嬢
(
じょう
)
さん』と呼びかけては、ダンスにさそうんだよ。
イーダちゃんのお花
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
文字通りの
熱狂
(
ねっきょう
)
的な歓送のなか、名も知られぬぼくなどに
迄
(
まで
)
、サインを
頼
(
たの
)
みにくるお
嬢
(
じょう
)
さん、チョコレェトや
花束
(
はなたば
)
などをくれる女学生達。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
▼ もっと見る
呆気にとられてそのまま阿母は表へでていったが、やがて仇っぽい粂三郎のお
嬢
(
じょう
)
吉三
(
きちざ
)
の小さな羽子板かかえてかえってきた。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
あなたなんか、ヤイヤイ云われて
貰
(
もら
)
われたレッキとした
堅気
(
かたぎ
)
のお
嬢
(
じょう
)
さんみたようなもので、それを免職と云えば無理
離縁
(
りえん
)
のようなものですからネ。
鵞鳥
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
高麗村
(
こまむら
)
の御隠家様がおッしゃった。——次郎よ、道中は
嬢
(
じょう
)
の体を何分たのむぞ、今年は、おまえがついてゆく番なので、わしも大きに安心じゃ——と。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さてまたかの美しき
看護婦
(
かんごふ
)
ドルス
嬢
(
じょう
)
にいたしましても、ここに
権力
(
けんりょく
)
の
残酷
(
ざんこく
)
なる
命令
(
めいれい
)
を実行いたしましたあかつきには、いかにしてあの
巧妙
(
こうみょう
)
なる
弁舌
(
べんぜつ
)
をもって
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
滝田
君
(
くん
)
に
最後
(
さいご
)
に
会
(
あ
)
ったのは今年の
初夏
(
しょか
)
、
丁度
(
ちょうど
)
ドラマ・リイグの
見物日
(
けんぶつび
)
に
新橋
(
しんばし
)
演舞場
(
えんぶじょう
)
へ行った時である。
小康
(
しょうこう
)
を
得
(
え
)
た滝田
君
(
くん
)
は三人のお
嬢
(
じょう
)
さんたちと
見物
(
けんぶつ
)
に来ていた。
滝田哲太郎君
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
仙吉が臀を端折って
弥造
(
やぞう
)
を拵え、職人の真似をして歩くと、信一も私も、しまいには光子までが臀を端折って肩へ拳骨を突っ込み、丁度お
嬢
(
じょう
)
吉三
(
きちざ
)
のような姿をして
少年
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
こうした
邪気
(
じゃき
)
が予備的に私の自然を損なったためか、または私がまだ
人慣
(
ひとな
)
れなかったためか、私は始めてそこのお
嬢
(
じょう
)
さんに会った時、へどもどした
挨拶
(
あいさつ
)
をしました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いえ、思うとおりに事が運んだら、いずれは
嬢
(
じょう
)
やとお
父
(
とう
)
様を道場のほうにお迎えしようと……ほんとうにいつまでも、こんな裏長屋に置こうとは思っていなかったんですよ
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
藤本の
嬢
(
じょう
)
も、二十二といや、一人前、わしは洒落れた言葉は知らんけんど、青春てら、なんとかの目ざめてらいう年頃じゃでな、ちょっと好きな男の一人や二人、ないとも限らん。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
いよいよ、大さわぎになって、ミス・ネールという金持ちのお
嬢
(
じょう
)
さんは、この試合に二十万円の
懸賞
(
けんしょう
)
を出すと、これまた新聞に書かせてしまった。なにしろブルは、
拳闘
(
けんとう
)
の第一選手だ。
小指一本の大試合
(新字新仮名)
/
山中峯太郎
(著)
だから、そのお
嬢
(
じょう
)
さんなんざ、
年紀
(
とし
)
も違うし、一所に遊んだ事はもちろんなし、また内気な人だったとみえて、余り
戸外
(
そと
)
へなんか出た事のない人でね、
堅
(
かた
)
く言えば
深閨
(
しんけい
)
に何とかだ。
秘蔵娘
(
ひぞっこ
)
さね。
縁結び
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「うん、どうもあぶないと
僕
(
ぼく
)
も思った。こっちは
止
(
よ
)
そう。とってしまおう。その辺へかくしておいてあとで
我
(
われ
)
われがとったということにしてお
嬢
(
じょう
)
さんにでも上げればいいじゃないか。そのほうが
安全
(
あんぜん
)
だよ。」
二人の役人
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「そこにいるお
嬢
(
じょう
)
さんはねむっていらっしゃるの」
真夏の夢
(新字新仮名)
/
アウグスト・ストリンドベリ
(著)
「矢走
嬢
(
じょう
)
は見つかったかネ」
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「このあいだいらしたお
嬢
(
じょう
)
さんの、オーバーシューズは
今晩
(
こんばん
)
までのお
約束
(
やくそく
)
でなかったかな。」と、
仕事場
(
しごとば
)
を
見
(
み
)
まわして、いいました。
風雨の晩の小僧さん
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
内田さんや中村
嬢
(
じょう
)
のなかに交ってあなたの姿もみえたとき、ぼくは心が定らないまま
逃
(
に
)
げだしたい
衝動
(
しょうどう
)
にかられました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
召使たちについて、お
嬢
(
じょう
)
さんたちも出てきて、もみの木のおかざりを、はじめました。枝にはいろがみをきりこまざいてつくったあみをかけました。
もみの木
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
けだし春琴は鵙屋のお
嬢
(
じょう
)
様であるからいかに厳格な師匠でも芸人の児を仕込むような
烈
(
はげ
)
しい
待遇
(
たいぐう
)
をする訳に行かない幾分か手心を加えたのであろうその間にはまた
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そうだ、
氏素性
(
うじすじょう
)
も知れない婦人をと、疑ぐっておるのじゃろうが、心配するな。このお方は、つい先頃までの、この地方県城を預かっておられた領主のお
嬢
(
じょう
)
さまじゃ。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「知らないよ」と令嬢は
剣突
(
けんつく
)
を食わせる。「ちょっと用があるから
嬢
(
じょう
)
を呼んで来いとおっしゃいました」「うるさいね、知らないてば」と令嬢は第二の剣突を食わせる。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「とんだことです。お
嬢
(
じょう
)
さん」と、マレーフスキイはつぶやいて、真っ青になってしまった。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
「おいカン君、お
嬢
(
じょう
)
さんがきみにきめたとさ。」
蛙のゴム靴
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ニーナ
嬢
(
じょう
)
爆薬の花籠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
このお
嬢
(
じょう
)
さまが、ちょうど
劇場
(
げきじょう
)
にきて、
娘
(
むすめ
)
の
踊
(
おど
)
りを
見
(
み
)
ていられましたが、
踊
(
おど
)
りばかりでなく、この
娘
(
むすめ
)
がたいそう
気
(
き
)
にいられました。
初夏の空で笑う女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
出帆
(
しゅっぱん
)
前の船に、またハワイ生れのお
嬢
(
じょう
)
さん達が集まって、
華
(
はな
)
やかな、幾分エロチックな空気をふりまいていました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
けれども、まりは、モロッコがわの着物を着ていて、自分では、じょうひんなお
嬢
(
じょう
)
さんのつもりでいましたから、そんな申し出には返事もしませんでした。
いいなずけ
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
あなたは
定
(
さだ
)
めて変に思うでしょう。その私がそこのお
嬢
(
じょう
)
さんをどうして
好
(
す
)
く余裕をもっているか。そのお嬢さんの下手な
活花
(
いけばな
)
を、どうして
嬉
(
うれ
)
しがって
眺
(
なが
)
める余裕があるか。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
僕
(
ぼく
)
は、お別れに来たんです、お
嬢
(
じょう
)
さん」と、わたしは答えた。——「たぶん、もうお目にかかる時はないでしょう。お聞きおよびのことでしょうが、わたしたちは引揚げるのです」
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
また西の部族の
扈家荘
(
こかそう
)
にも、飛天虎の
扈成
(
こせい
)
というたいした腕前の一子やら、またその妹には、一
丈
(
じょう
)
青
(
せい
)
の
扈三娘
(
こさんじょう
)
といって、日月の二刀を馬上で使うという
稀代
(
きたい
)
なお
嬢
(
じょう
)
さんもおりますしね……
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そう、そう、
今朝
(
けさ
)
、
拾
(
ひろ
)
って、
逃
(
に
)
がしてやったとんぼは、
今夜
(
こんや
)
も、
寒
(
さむ
)
いが、どうしたでしょう……。」と、お
嬢
(
じょう
)
さんは
思
(
おも
)
いました。
寒い日のこと
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「おや、お
嬢
(
じょう
)
さんに、そんなお骨折りをしていただいては、申しわけありません」
眠りの精
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「ここ
等
(
ら
)
にも大分
居
(
お
)
ります。先生、あの遠山のお
嬢
(
じょう
)
さんをご存知かなもし」
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
嬢
(
じょう
)
が帰った心祝いじゃ。今宵は召使いたちも遊ばしてやれ」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「お
嬢
(
じょう
)
さま、せっかくおつれもうして、あの
女
(
おんな
)
のうたう
子守唄
(
こもりうた
)
をおきかせすることができません。」と、おかよは、なげきました。
谷にうたう女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「あぶないわ。」と、お
嬢
(
じょう
)
さんたちはさけんで、あわてて火をけしました。そこでもみの木は、もうからだをふるわすこともできませんでした。こうなると、それはまったくおそろしいほどでした。
もみの木
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
、恩としてくれるなら、逃げるついでに、このお
嬢
(
じょう
)
さまを
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お
嬢
(
じょう
)
さんは、
人形
(
にんぎょう
)
の
行方
(
ゆくえ
)
を
思
(
おも
)
ったのでした。しかし、それは、どこへ、どうなってしまったものか、ほとんど
想像
(
そうぞう
)
のつかないことでした。
風の寒い世の中へ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
召使とお
嬢
(
じょう
)
さんがきて、モミの木をきれいにかざってくれました。枝の上には、色紙を切りぬいてこしらえた、小さな
網
(
あみ
)
の
袋
(
ふくろ
)
がかけられました。見れば、どの袋にも、あまいお菓子がつまっています。
モミの木
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「オオ、
嬢
(
じょう
)
の慰めにはよいものがある。久米之丞」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「さあ、
早
(
はや
)
く、お
嬢
(
じょう
)
さんの
留守
(
るす
)
の
間
(
ま
)
に
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
そう……。」といって、
仕度
(
したく
)
をしている
最中
(
さいちゅう
)
に、ふいにお
嬢
(
じょう
)
さんがへやへはいってきました。
風船球の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「お
嬢
(
じょう
)
さま、一匹はひきうけましたぞ」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして、お
嬢
(
じょう
)
さんの
体
(
からだ
)
のまわりをおもしろそうに
飛
(
と
)
びました。けれど、
遠
(
とお
)
くそこから
離
(
はな
)
れて、どこへゆこうともしませんでした。
風船球の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「ここに、こういう
心
(
こころ
)
を
愉快
(
ゆかい
)
にする、オルガンがありますよ。」と、お
嬢
(
じょう
)
さんは、
雑誌
(
ざっし
)
の
広告
(
こうこく
)
を、まだそう
年寄
(
としよ
)
りでない
医者
(
いしゃ
)
に
見
(
み
)
せました。
楽器の生命
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
きよは、やさしいお
嬢
(
じょう
)
さんのことを、
国
(
くに
)
の
妹
(
いもうと
)
に
書
(
か
)
いて
送
(
おく
)
る
中
(
なか
)
へと
思
(
おも
)
って、
散
(
ち
)
った、
真
(
ま
)
っ
赤
(
か
)
なけしの
花弁
(
はなびら
)
を
拾
(
ひろ
)
ったのであります。
気にいらない鉛筆
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
これを
見
(
み
)
ながら、お
人形
(
にんぎょう
)
は、お
嬢
(
じょう
)
さんはいま
時分
(
じぶん
)
、
起
(
お
)
きて、
学校
(
がっこう
)
へゆく
支度
(
したく
)
をなさっているだろう? などと
思
(
おも
)
っていました。
風の寒い世の中へ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
“嬢”の意味
《名詞》
嬢(じょう)
女性、特に若い女性。
風俗嬢の略。
(じょん)(context、dialect)女の子。対義語:坊(ぼん)
(出典:Wiktionary)
嬢
常用漢字
中学
部首:⼥
16画
“嬢”を含む語句
令嬢
老嬢
嬢様
嬢子
貴嬢
第一嬢子
桃金嬢
阿嬢
村嬢
東洋的令嬢
鶯嬢
爺嬢
貴嬢方
錦嬢
貴嬢様
須磨子嬢
森律子嬢
愛嬢
御嬢様
御嬢
...