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叩
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たた
ふりがな文庫
“
叩
(
たた
)” の例文
「お姉さまの、お胸の肉附のいいところを、あたくしに平手でぺちゃぺちゃと
叩
(
たた
)
かして下さらない? どんなにいい気持ちでしょう」
健康三題
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
堅い棒で肩を
叩
(
たた
)
いたり、
肋骨
(
ろっこつ
)
をもんだりするのを、ただ読物のせいにばかりした。机によりかかっているからだと厳しくとめられた。
旧聞日本橋:21 議事堂炎上
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
ヴァイオリンの奏する奇怪なレシタティヴォにつれて、伴奏のピアニストが、ピアノの胴を平手で
叩
(
たた
)
くのさえ私は聴いたことがある。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
惣兵衛ちやんは、ミツちやんのところへ飛んでゆくと、弓をミツちやんの手からひつたくり、ついでにミツちやんの頭を三つ
叩
(
たた
)
いた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
幸子はそう思って、抱かれた梅子が平手でぴたぴた
叩
(
たた
)
いている姉の胸元の、まだたるみのない皮膚のつやと色の白さとを打ち眺めた。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
握
(
にぎ
)
りこぶしで胸をどんと
叩
(
たた
)
いたが、そのくせ、何があってはならないのかという点になると、自分でも見当がつかなかったのである。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
すると、縁側に近く、ぴしゃりと
脛
(
すね
)
を
叩
(
たた
)
く音がした。それから、人が立って、奥へ
這入
(
はい
)
って行く気色であった。やがて話声が聞えた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
夫人が、訪ねて来たのだ! そう思ったときに、信一郎の心は、
烈
(
はげ
)
しく打ち
叩
(
たた
)
かれた。当惑と、ある恐怖とが、胸一杯に
充
(
み
)
ち満ちた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
何しろ、雷様ときては、怒りつぽく、よく空をごろ/\と、足をふみ鳴らして、雲の人たちの家を
叩
(
たた
)
きまはるからむりもないわけです。
虹猫の話
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
わたしはなんとなく気まずい思いをして町田と顔を見合わせ、雨に
叩
(
たた
)
かれている海の上に目を放ちました。とその時、紳士は突然
メデューサの首
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
盆
(
ぼん
)
の十六日の
次
(
つぎ
)
の夜なので剣舞の
太鼓
(
たいこ
)
でも
叩
(
たた
)
いたじいさんらなのかそれともさっきのこのうちの
主人
(
しゅじん
)
なのかどっちともわからなかった。
泉ある家
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
斯
(
こ
)
うして約束すると、刀の
柄
(
つか
)
を
叩
(
たた
)
きながら云った信之助の声の方が、青年の話よりも強く鮮かに、もっと生々して耳に
蘇
(
よみがえ
)
って来た。
春いくたび
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
右の
頬
(
ほお
)
を打つ者あらば左をも
叩
(
たた
)
かせよというがごとき、
柔順
(
じゅうじゅん
)
温和
(
おんわ
)
の道を説き、道徳上の理想としてこれが一般社会に説かれたのである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
大佐は幾度馬博士の肩を
叩
(
たた
)
いたか知れません。知事も、郡長も、御附の人々も総立です。参事官は白いしなやかな手を振りました。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それよりも今は大将のいう通り、ナポレオンをどこかの囲い場へ引っ張って行って昼夜兼行でみっしり
叩
(
たた
)
きあげなくてはなりません
ノンシャラン道中記:06 乱視の奈翁 ――アルル牛角力の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
廻転ドアにわれとわが身を音たかく
叩
(
たた
)
きつけ、一直線に旅立ったときのひょろ長い後姿には、笑ってすまされないものがございました。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
と、肩を
叩
(
たた
)
かれて、その辺の
料理店
(
レスドラング
)
へでも入れば、探偵と検事だから自然話は、今世間を騒がせているビョルゲ事件に移ってくる。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
一心不乱に経文を
読誦
(
とくしょう
)
しながら、絶え間なく伏せ
鉦
(
がね
)
を
叩
(
たた
)
きつづけ、誰が言葉をかけても、
憑
(
つ
)
きものがしたように振り向きもしなかった。
暗黒星
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
町の木戸が厳重に閉されていて
番太郎
(
ばんたろう
)
の
半鐘
(
はんしょう
)
が
叩
(
たた
)
く人もいないのに
独
(
ひとり
)
で勝手に鳴響いている。種彦は唯ただ不審の
思
(
おもい
)
をなすばかり。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
プロムナアド・デッキの
手摺
(
てすり
)
に
凭
(
よ
)
りかかって海に
唾
(
つば
)
を
吐
(
は
)
いていると、うしろから
肩
(
かた
)
を
叩
(
たた
)
かれ、
振返
(
ふりかえ
)
ると
丸坊主
(
まるぼうず
)
になりたての柴山でした。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
岩石ヶ城の四天王の一人、白虎太郎はこう呼びながら、
襖
(
ふすま
)
を静かに
叩
(
たた
)
いたが室内は
鼾
(
いびき
)
の声ばかりで
容易
(
たやす
)
く眠りから覚めそうもない。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
得たりと勢込んで紀昌がその矢を放てば、飛衛はとっさに、傍なる
野茨
(
のいばら
)
の
枝
(
えだ
)
を折り取り、その
棘
(
とげ
)
の
先端
(
せんたん
)
をもってハッシと鏃を
叩
(
たた
)
き落した。
名人伝
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
出産の当時、この家の門を
叩
(
たた
)
く者があったが、家内の者は混雑にまぎれて知らなかった。
暫
(
しばら
)
くして家の奥から答える者があった。
中国怪奇小説集:03 捜神記(六朝)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
いい気持で、睡っていた船員や
火夫
(
かふ
)
達は、一人のこらず
叩
(
たた
)
き起され、救助隊が編成せられ、衛生材料があるだけ全部船長室に並べられた。
幽霊船の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そして空也上人の門流はその
鉦
(
かね
)
に代うるに瓢箪を以ってしていたに過ぎないのである。されば通じては「
叩
(
たた
)
き」と呼ばれたものであろう。
間人考
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
もやい綱が船の寝息のようにきしり、それを眠りつかせるように、静かな波のぽちゃぽちゃと舷側を
叩
(
たた
)
く音が、暗い水面にきこえていた。
冬の蠅
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
真暗な洋上で、僕は、何物かに、頭をコツンと
叩
(
たた
)
かれたような気がして、はッ! として、失いかけていた意識を、取返すことができた。
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
太田が監房に帰ってしばらくすると、コトコトと壁を
叩
(
たた
)
く音が聞え、やがて戸口に立って話しかけるその男の声がきこえて来た。
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
わたしはその息子のために、あの置時計を
購
(
か
)
ってやりたかった。息子がそいつをパタンと地上に
叩
(
たた
)
きつける姿が見たかったのだ。
鎮魂歌
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
ヒステレーの
嵩
(
こう
)
じかかって来た細君は、浅井の顔を見ると、いきなりその胸倉に飛びついたり、瀬戸物を畳に
叩
(
たた
)
きつけたりした。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
という
類
(
たぐい
)
の文句は
稀
(
まれ
)
に残っているが、今ではすっかり果樹の豊産を祝う式となって、小児はただ
竿
(
さお
)
で地面を
叩
(
たた
)
いて喜んでいるだけである。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
そのときはもう、
裏
(
うら
)
にまわった透明人間が、
物置
(
ものおき
)
から
探
(
さが
)
しだした
手斧
(
ておの
)
で、ガンガン、
台所
(
だいどころ
)
のドアを
叩
(
たた
)
きこわしてるところだった。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
カーン/\・カーン/\と、授業の始まるごとに合図の板木を
叩
(
たた
)
くのは先生で、時には先生の奥さんが叩くこともありました。
先生と生徒
(新字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
のみならずまた曾祖母も曾祖父の夜泊まりを重ねるために家に
焚
(
た
)
きもののない時には
鉈
(
なた
)
で縁側を
叩
(
たた
)
き
壊
(
こわ
)
し、それを
薪
(
たきぎ
)
にしたという人だった。
追憶
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかし彼はそんなことには
頓着
(
とんじゃく
)
なく、よろよろとよろけながら一人の警官の卓の前に進んで行った、そして卓を
叩
(
たた
)
いて叫んだ。
六月
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
しかしながら、
独逸
(
ドイツ
)
の為すところを見れば、あたかも自己の武器を以て自己の命を
叩
(
たた
)
き
潰
(
つぶ
)
そうという発狂、
瘋癲
(
ふうてん
)
の境遇である。
大戦乱後の国際平和
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
当時の学生は
尚
(
ま
)
だそういう政治運動をする考がなく、硬骨連が
各自
(
てんで
)
に思い思いに退校届を学校へ
叩
(
たた
)
きつけて飛出してしまった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
絞殺したうえ顔面がめちゃめちゃに
叩
(
たた
)
き
潰
(
つぶ
)
してあって人相は分からないが、推定年齢二十四、五歳、身長五尺二寸、頭髪の濃い色白の女で
宝石の序曲
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
娘は十二円ボーイに渡して、隣のテーブルの花瓶をとると、エイと土間に
叩
(
たた
)
きつけて、ミジンにわって、サヨナラと出てきた。
二十七歳
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
髪をくしけづり、
粉白粉
(
こなおしろい
)
もつけて、また、急いで食堂へ戻つたが、網戸を
叩
(
たた
)
く白い蛾の
気忙
(
きぜ
)
はしい羽音だけで、広い食堂は
森閑
(
しんかん
)
としてゐる。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
顔を
真赤
(
まっか
)
にし、眼に涙を
溜
(
た
)
め、彼は土竜に
唾
(
つば
)
をひっかける。それから、すぐそばの石の上を目がけて、力まかせに
叩
(
たた
)
きつける。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
老爺
(
おやじ
)
は火縄の手を休めて腰を立てると、武士は肩にかけた振分けの荷物を縁台の上に投げ出して、
野袴
(
のばかま
)
の
裾
(
すそ
)
をハタハタと
叩
(
たた
)
き
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
二度三度と
叩
(
たた
)
きつけた。堅い枯れた木の矢は、ずしんと音たてて挽き材の間に
喰
(
く
)
いこんだ。鋸は白い刃をさか立てておが屑のうえに落ちた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
我家といえども親がかり、毎夜のこととなると、そうそうおおっぴらに
叩
(
たた
)
き起す気力がなくなって、
立竦
(
たちすく
)
むことが多かった。
「明治のおもかげ」序にかえて
(新字新仮名)
/
喜多村緑郎
(著)
茶色の作業服は、青い作業服の肩を
叩
(
たた
)
きながら言った。青い作業服の吉本は自分で自分が分からないらしく、首を傾けて考え込むようにした。
街頭の偽映鏡
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
藪は随分
繁
(
しげ
)
つてゐるが、雨はどしどし漏つて来る。八は
絆纏
(
はんてん
)
のぴつたり
肌
(
はだ
)
に
引附
(
ひつつ
)
いた上を雨に
叩
(
たた
)
かれて、いやな心持がする。
金貨
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
夜叉は脚下にある鉄の鞭を取ってびしゃびしゃと腰のあたりを
叩
(
たた
)
いた。肉が破れて血が飛び散った。馬は一声叫びながら前の方へ駈けだした。
令狐生冥夢録
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「あの人かはいさうに」と人さし指で自分のこめかみをトンと
叩
(
たた
)
いて、「脳バイだつて
噂
(
うわさ
)
もあるわ」と、思ひがけないことを言ひだしました。
死児変相
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
「さあ、こんなものがそんなに欲しけりゃあいくらでも返してやる」と、山のような手紙の中から私の手紙を
選
(
え
)
り分けて後向きに
叩
(
たた
)
きつけた。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
ポンと
膝
(
ひざ
)
を
叩
(
たた
)
いて、お妙の思いついたのが、いま金山寺屋に教えられた、その、神田帯屋小路の喧嘩渡世、茨右近という人。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
叩
漢検準1級
部首:⼝
5画
“叩”を含む語句
打叩
叩頭
袋叩
羽叩
鉢叩
目叩
屡叩
繁叩
叩音
鉦叩
蠅叩
叩付
叩殺
引叩
叩鉦
叩頭百拝
眼叩
御叩頭
叩門
叩戸
...