トップ
>
伺候
>
しこう
ふりがな文庫
“
伺候
(
しこう
)” の例文
安土
(
あづち
)
にある
三法師君
(
さんぼうしぎみ
)
も、明けて五歳になった。この正月を迎え、その
健
(
すこ
)
やかな成長を拝すべく、年賀に
伺候
(
しこう
)
する大名も多かった。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そう決心するとともに、彼はその日の昼過ぎから、ちょっと
石町
(
こくちょう
)
まで
伺候
(
しこう
)
してくると同宿の二人に断って、ぶらりと表へ出た。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
「実は僕も今会社から帰りがけですがね。どうも暑いじゃあありませんか。——とにかくちょっと
伺候
(
しこう
)
して来ますから。失礼」
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
訪問ということにかけて異常な活躍を示したと言っても差支えなく、彼は医務局の監督から市の建設技師にまで敬意を表しに
伺候
(
しこう
)
したのである。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
もう一度、院の御前に
伺候
(
しこう
)
し、お別れをしたいと思いますが、おとがめをうけた身となっては、却ってご迷惑がかかってはと思うのでございますが
現代語訳 平家物語:02 第二巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
殿
(
との
)
、
御覽
(
ごらう
)
じ、
早速
(
さつそく
)
の
伺候
(
しこう
)
過分々々
(
くわぶん/\
)
と
御召
(
おめ
)
しの
御用
(
ごよう
)
が
御用
(
ごよう
)
だけ、
一寸
(
ちよつと
)
お
世辭
(
せじ
)
を
下
(
くだ
)
し
置
(
お
)
かれ、
扨
(
さ
)
てしか/″\の
仔細
(
しさい
)
なり。
妙齢
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼はその夜すぐに関白
忠通
(
ただみち
)
卿の屋形に
伺候
(
しこう
)
して、世にめずらしい才女の現われたことを報告すると、関白もその歌を読みくだして感嘆の声をあげた。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
この大城に詰めている者はいずれも彼の
股肱
(
ここう
)
の臣で、もっとも毎日交替に各部落からその組頭と副組頭とが
伺候
(
しこう
)
した。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
唯この狭い密房の中より発するわが不束な
口籠
(
くちごもり
)
ならば、或は愍み給はむも知れぬ。
主
(
しゆ
)
よ、かゝる老の身の予は、今こゝに白衣を着て御前に
伺候
(
しこう
)
し奉る。
法王の祈祷
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
殿下はプラットホームにお立ちになった
儘
(
まま
)
、
伺候
(
しこう
)
の人々に謁見を賜わり、お荷物の積入れが済むと
直
(
す
)
ぐ御乗込みになって、列車は有明駅に向って出発した。
秩父宮殿下に侍して槍ヶ岳へ
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
伺候
(
しこう
)
奉仕するものもないような深山の
藪
(
やぶ
)
の下に
崩御
(
ほうぎょ
)
されていようとは、まったく思いもかけないことであった。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
なおなはなだしきは
公
(
おおやけ
)
に旧君の名をもって旧家来の指令を仰ぎ、
私
(
わたくし
)
にその宅に
伺候
(
しこう
)
して依托することもあらん。
徳育如何
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
邸の修理をすべき職人は
遂
(
つい
)
に来ず、杉山は圓月荘に
伺候
(
しこう
)
するのも全く、昔の恩義に対するサーヴィスで、自分も、この歳になりながら、
禿頭
(
とくとう
)
の汗を拭きふき
面
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
そのつぎの日には富田さんと家庭教師三名がうちそろって
伺候
(
しこう
)
した。小さな
扁桃腺
(
へんとうせん
)
一つに大きな騒ぎをする。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
すなわち
紹介
(
しょうかい
)
を求めて
軍艦奉行
(
ぐんかんぶぎょう
)
の
邸
(
やしき
)
に
伺候
(
しこう
)
し、
従僕
(
じゅうぼく
)
となりて
随行
(
ずいこう
)
せんことを
懇願
(
こんがん
)
せしに、奉行は
唯
(
ただ
)
一面識
(
いちめんしき
)
の
下
(
もと
)
に
容易
(
たやす
)
くこれを
許
(
ゆる
)
して
航海
(
こうかい
)
の
列
(
れつ
)
に加わるを得たり。
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
旧藩主は町の一部に、別の
御屋敷
(
おやしき
)
をもって、一年の半ばは其処に住んでおられた。そして人々はお正月には「殿様のところへ
伺候
(
しこう
)
する」習慣をずっと守っていた。
簪を挿した蛇
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
丁度其時に将門もまた親王の
御許
(
おんもと
)
へ
伺候
(
しこう
)
して帰るところで、従兄弟同士はハタと御門で行逢ふた。
彼方
(
かなた
)
がジロリと見れば、
此方
(
こちら
)
もギロリと見て過ぎたのであらう。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
大公爵夫妻が演奏を聞きたいと思いつく時に、クリストフは宮邸に
伺候
(
しこう
)
するようにとの命令を受けた。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
たまには
伺候
(
しこう
)
することもあったが、帰りにいつもの
局
(
つぼね
)
へは間違っても足を向けず、そっちは
鬼門
(
きもん
)
だと、自分で自分に云い聞かして、すうっと出て来るようにしていた。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
逸
(
はや
)
るがんりきを控えさせて置いてから、不破の関守氏は、醍醐から帰ったはずの女王様の御機嫌伺いにと本邸の方へ
伺候
(
しこう
)
しましたが、ほどなくわが
庵
(
いおり
)
へ戻って来てから
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
然
(
さ
)
れば小松殿も時頼を
末
(
すゑ
)
頼母
(
たのも
)
しきものに思ひ、行末には御子維盛卿の
附人
(
つきびと
)
になさばやと常々目を懸けられ、左衞門が
伺候
(
しこう
)
の折々に『茂頼、
其方
(
そち
)
は善き
悴
(
せがれ
)
を持ちて
仕合者
(
しあはせもの
)
ぞ』
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
遠山は辞を低うしてその
邸
(
やしき
)
に
伺候
(
しこう
)
した種彦をば喜び迎え、昔に変らぬ
剰談
(
じょうだん
)
ばなしの中にそれとつかず泰平の世は既に過ぎ恐しい黒船は
蝦夷
(
えぞ
)
松前
(
まつまえ
)
あたりを騒がしている折から
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
十太夫の同勢は新規の足輕二百人に
徒歩衆
(
かちしゆう
)
、働筒衆を
併
(
あは
)
せて三百五十人、市兵衞の一行は僅に上下三十八人である。山鹿へ著いて正勝の旅館に
伺候
(
しこう
)
すると、正勝はかう云つた。
栗山大膳
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
そのわけは、旗本の
国賀帯刀
(
くにがたてわき
)
の前に必ず
伺候
(
しこう
)
しなければならぬ約束があったからである。
くろがね天狗
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
仰せを
蒙
(
こうむ
)
った三右衛門は恐る恐る
御前
(
ごぜん
)
へ
伺候
(
しこう
)
した。しかし悪びれた
気色
(
けしき
)
などは見えない。色の浅黒い、筋肉の引き
緊
(
しま
)
った、多少
疳癖
(
かんぺき
)
のあるらしい顔には決心の影さえ
仄
(
ほの
)
めいている。
三右衛門の罪
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
オブライエンは今宵はじめてこの大統領私室への単独
伺候
(
しこう
)
を許されたのであるが、入って来るがいなや、大統領のこの途方もない笑い声にぶつかって、あっけにとられたのである。
偉大なる夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
御贔屓
(
ごひいき
)
になる縁の初まりで、殿様が侯爵になってからも、邸内にM屋出張所を設け、毎日店員が
伺候
(
しこう
)
して新柄珍品を御覧に入れ、お料理して
奉
(
たてまつ
)
る玉子しか御承知のない、家附女房のお
姫様
(
ひいさま
)
に
青バスの女
(新字新仮名)
/
辰野九紫
(著)
言わぬばかりに膝こごめながら、御前の近くに
伺候
(
しこう
)
しようとしたとき
旗本退屈男:05 第五話 三河に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
……下総の古河で実高十二万五千石。
雁
(
かり
)
の
間
(
ま
)
伺候
(
しこう
)
……
顎十郎捕物帳:10 野伏大名
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
しかし
酔余
(
すいよ
)
の
余興
(
よきょう
)
に、三、四度
伺候
(
しこう
)
したことがある。
新古細句銀座通
(新字新仮名)
/
岸田劉生
(著)
第百五十二回 再び宮殿に
伺候
(
しこう
)
す
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
まだその頃、
北面
(
ほくめん
)
伺候
(
しこう
)
の二十六、七の若武士にすぎなかった
卜部兼好
(
うらべかねよし
)
には、それが初恋だった。火となって、女の許へ通った。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
中にも
爾
(
しか
)
く端麗なる貴女の奥殿に
伺候
(
しこう
)
するに、門番、諸侍の面倒はいささかもないことを。
夫人利生記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
このうわさで京中はわき立ったが、御産所の六波羅の
池殿
(
いけどの
)
には、法皇が行幸されたのをはじめとして、関白殿以下、太政大臣など官職をおびた文武百官一人ももれなく
伺候
(
しこう
)
した。
現代語訳 平家物語:03 第三巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
ところが、この他ならぬ鷲が一歩その部屋を出て、自分の上役の部屋へ近づくと、たちまち
鷓鴣
(
しゃこ
)
のようになってしまい、書類を小脇にかかえたまま、
鞠躬如
(
きっきゅうじょ
)
として
伺候
(
しこう
)
するのだ。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
故に黒田の殿様が江戸
出府
(
しゅっぷ
)
、
或
(
あるい
)
は帰国の時に大阪を通行する時分には、先生は
屹度
(
きっと
)
中ノ嶋
(
なかのしま
)
の筑前屋敷に
伺候
(
しこう
)
して
御機嫌
(
ごきげん
)
を伺うと云う常例であった。
或歳
(
あるとし
)
、安政三年か四年と思う。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
ようやく二階へ
伺候
(
しこう
)
して話を切り出したには切り出したが、金助がお銀様にあらかじめ白状してしまった要領には触れずに、巧妙ないい廻しをして味を持たせたつもりで下へおりて来ました。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼が本院の館に
伺候
(
しこう
)
した折、左大臣からあの北の方のことをいろ/\尋ねられたので、ついうっかりと、好い気になっておしゃべりをしたのが始まりであることを思えば、彼は誰を恨むよりも
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
屋の上で鴟の鳴くのは飯綱の法成就の人に天狗が随身
伺候
(
しこう
)
するのである意味だ。旋風の起るのも、目に見えぬ
眷属
(
けんぞく
)
が擁護して
前駆
(
ぜんく
)
するからの意味である。飯綱の神は
飛狐
(
ひこ
)
に
騎
(
の
)
っている天狗である。
魔法修行者
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そして、前月来伜主税が逗留している石町の旅人宿小山屋に、左内の伯父と称して宿泊することになった。江戸にあった同志は、それとばかりに、人目を忍んで、かわるがわる内蔵助の
許
(
ところ
)
に
伺候
(
しこう
)
した。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
改めて、客殿へ
伺候
(
しこう
)
するとしようか
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そのあいだに、好きな
角力
(
すもう
)
を見たり、山陽、山陰その他の戦場から戻って、折々、
伺候
(
しこう
)
する部将をねぎらっては、大いに酒宴も張り、例の
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……当日は
伺候
(
しこう
)
の芸者大勢がいずれも売出しの白粉の銘、仙牡丹に
因
(
ちな
)
んだ趣向をした。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
座敷を隔てたお銀様の間へ
伺候
(
しこう
)
してみたが、そこに尋ねる人がおりません。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
平中が此の時平のところへしば/\
伺候
(
しこう
)
したのは、権門に
媚
(
こ
)
びて出世の
緒
(
いとぐち
)
を
掴
(
つか
)
もうと云う世間並な下心もないことはなかったであろうが、一つには此の大臣と兵衛佐とは話の馬が合うせいでもあった。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
同乗するもの八人、程、
葉
(
しょう
)
、楊、牛、
馮
(
ひょう
)
、宋、史なり。
余
(
よ
)
は皆涙を
揮
(
ふる
)
って別れまいらす。帝は道を
溧陽
(
りつよう
)
に取りて、
呉江
(
ごこう
)
の
黄渓
(
こうけい
)
の史彬の家に至りたもうに、月の
終
(
おわり
)
を以て諸臣また
漸
(
ようや
)
く
相
(
あい
)
聚
(
あつ
)
まりて
伺候
(
しこう
)
す。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
ある日弓之進が
伺候
(
しこう
)
すると
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
義元は、戯れ顔に、そんなことをいって、近習から
伺候
(
しこう
)
の人々にまで、残らず杯を与えて、いよいよ
麗
(
うるわ
)
しい機嫌であった。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
順慶の藪原撿挍が始めて
伺候
(
しこう
)
した頃には三十二歳だったであろう。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「で早速
伺候
(
しこう
)
した」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
“伺候”の意味
《名詞》
伺 候(しこう)
貴人のそば近く奉仕すること。
目上の人の御機嫌伺いに行くこと。
(出典:Wiktionary)
伺
常用漢字
中学
部首:⼈
7画
候
常用漢字
小4
部首:⼈
10画
“伺候”で始まる語句
伺候者