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仕合
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しあわせ
ふりがな文庫
“
仕合
(
しあわせ
)” の例文
これほど世の中は穏かになって来たのです。倫理観の程度が低くなって来たのです。だんだん住みやすい世の中になって御互に
仕合
(
しあわせ
)
でしょう。
文芸と道徳
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その時、私が水を掛ける
真似
(
まね
)
をしたら、「
好
(
いい
)
御主人を持って御
仕合
(
しあわせ
)
」と言って、御尻を
叩
(
たた
)
いて笑った女が有ましたろう。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
丈「それが有るから斯うやって金を貸す
方
(
ほう
)
で、
足手
(
あして
)
を運んで、雪の降るのに
態々
(
わざ/\
)
橋の
袂
(
たもと
)
まで来たのだから、本当に
宜
(
い
)
い
金貸
(
かねかし
)
をもって
仕合
(
しあわせ
)
ではないか」
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
今更子供の
取消
(
とりけし
)
も出来ないので、困つた事をしたものだと、
可愛
(
かあい
)
らしい顔を
顰
(
しか
)
めてゐたが、
仕合
(
しあわせ
)
と
小才
(
こさい
)
の利いた男が
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
所
(
ところ
)
が
仕合
(
しあわせ
)
にもミハイル、アウエリヤヌイチの
方
(
ほう
)
が、こんどは
宿
(
やど
)
に
引込
(
ひっこ
)
んでいるのが、とうとう
退屈
(
たいくつ
)
になって
来
(
き
)
て、
中食後
(
ちゅうじきご
)
には
散歩
(
さんぽ
)
にと
出掛
(
でか
)
けて
行
(
い
)
った。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
▼ もっと見る
『そう。でもまあよかった。人殺しなんかあると他のお客さんが嫌がるでしょうからね。脳溢血なら、これや仕方がないわ。こちらはまあお
仕合
(
しあわせ
)
でしたね』
耳香水
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
本田
昇
(
のぼる
)
と言ッて、文三より二年
前
(
ぜん
)
に某省の等外を拝命した
以来
(
このかた
)
、
吹小歇
(
ふきおやみ
)
のない
仕合
(
しあわせ
)
の風にグットのした
出来星
(
できぼし
)
判任、当時は六等属の
独身
(
ひとりみ
)
ではまず楽な身の上。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
私のこの性質が私を或点まではどの仕事の時にも私を
仕合
(
しあわせ
)
にしたり私に面白い目を見せて呉れたのよ。でも結局は仕事ですもの。仕事となれば何だって
辛
(
つら
)
いのよ。
ドーヴィル物語
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
それより以下幾百万の貧民は、たとい無月謝にても、あるいはまた学校より少々ずつの筆紙墨など貰うほどのありがたき
仕合
(
しあわせ
)
にても、なおなお子供を手離すべからず。
小学教育の事
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
何を云う? そげな事あッて
好
(
よか
)
もんか! 骨に故障が有るちゅうじゃなし、請合うて助かる。貴様は
仕合
(
しあわせ
)
ぞ、命を拾うたちゅうもんじゃぞ! 骨にも動脈にも触れちょらん。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
にわかにハッと顔を
赧
(
あか
)
らめて、我も
仕合
(
しあわせ
)
とおもい顔にニッコリ笑ッて、起ち上ろうとして、フトまた萎れて、蒼ざめて、どきまぎして、——先の男が傍に来て立ち留ってから
あいびき
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
まだ
仕合
(
しあわせ
)
に足腰も達者だから、五十と声がかかっちゃあ
身体
(
からだ
)
は
太義
(
たいぎ
)
だが、こうして挊いで
山林方
(
やまかた
)
を働いている、これも
皆
(
みんな
)
少
(
すこし
)
でも延ばしておいて、源三めに
与
(
や
)
って喜ばせようと思うからさ。
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
さては両人共崖に
墜
(
お
)
ち候が
勿怪
(
もっけ
)
の
仕合
(
しあわせ
)
にて、手
疵
(
きず
)
も負はず立去り候もの
歟
(
か
)
など思ひながら、ふと足元を見候に、草の上に
平打
(
ひらうち
)
の
銀簪
(
ぎんかんざし
)
一本落ちをり候は、申すまでもなくかの娘御の物なるべくと
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
太夫
(
たゆう
)
。つまらない
面
(
つら
)
あてでいう
訳
(
わけ
)
じゃないが、お
前
(
まえ
)
さんは、いいお
上
(
かみ
)
さんを
持
(
も
)
ちなすって、
仕合
(
しあわせ
)
だの。——
帯
(
おび
)
はたしかにわたしの
手
(
て
)
から、おせんのとこへ
返
(
かえ
)
そうから、
少
(
すこ
)
しも
懸念
(
けねん
)
には、
及
(
およ
)
ばねえわな
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
偶然の思いつきで、趣味深い時刻に来た
仕合
(
しあわせ
)
を語り合いつつ出る。
八幡の森
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
静穏な時代や芸術は如何にも望ましい
仕合
(
しあわせ
)
である。
新しき世界の為めの新しき芸術
(新字新仮名)
/
大杉栄
(著)
分
(
ぶん
)
にならるる
娵
(
よめ
)
の
仕合
(
しあわせ
)
利牛
(
りぎゅう
)
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
盥が無くて
仕合
(
しあわせ
)
仕合。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
かるやきかつ私家名淡島焼などと広く御風聴
被成下
(
なしくだされ
)
店繁昌
仕
(
つかまつり
)
ありがたき
仕合
(
しあわせ
)
に
奉存
(
ぞんじたてまつり
)
製法入念差上来候間年増し御疱瘡流行の折ふし御軽々々御仕上被遊候御言葉祝ひのかるかるやき水の泡の如く御いものあとさへ取候御祝儀御進物にはけしくらゐほどのいもあとも残り不申候やうにぞんじけしを
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
藤尾と約束をした小野さんは、こんな風に約束を破る事が出来たら、かえって
仕合
(
しあわせ
)
かも知れぬと思いつつ煙草の煙を眺めている。それに浅井の返事がまだ来ない。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
娘「御親切様、有難う存じます、
私共
(
わたくしども
)
の
母親
(
おふくろ
)
は事によったら焼け死んだかも知れませんが、焼け死にますれば、
私
(
わたし
)
の身体は身抜けが出来て、
却
(
かえ
)
って
仕合
(
しあわせ
)
でございます」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
天より我に与へ給へる家の
貧
(
まずしき
)
は我
仕合
(
しあわせ
)
のあしき故なりと思ひ、
一度
(
ひとたび
)
嫁しては其家を
出
(
いで
)
ざるを女の道とする事、
古
(
いにしえ
)
聖人の
訓
(
おしえ
)
也。若し女の道に背き、去らるゝ時は一生の恥也。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
楽しい幸福は到るところに彼を待っているような気がした。彼は若い男や女の交際する場所、集会、教会の長老の家庭なぞに
出入
(
ではいり
)
し、自分の心を
仕合
(
しあわせ
)
にするような
可憐
(
かれん
)
な相手を探し求めた。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
一方の指揮となれば其任
愈
(
いよいよ
)
重く、必死に勤めけるが
仕合
(
しあわせ
)
に
弾丸
(
たま
)
をも受けず皆々
凱陣
(
がいじん
)
の暁、
其方
(
そのほう
)
器量学問見所あり、
何某
(
なにがし
)
大使に従って外国に行き何々の制度
能々
(
よくよく
)
取調べ帰朝せば重く
挙
(
あげ
)
用
(
もちい
)
らるべしとの事
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
左様
(
そう
)
すればお前得心ずくでなく
疵
(
きず
)
を付けられて、
他
(
ほか
)
へ縁付く事も出来ねえ、それよりはうんと云って得心さえすれば
弟御
(
おとうとご
)
も
仕合
(
しあわせ
)
、旦那も
斯
(
こ
)
んな
挙動
(
まね
)
を為たくはねえが
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その
夜
(
よ
)
の夢に藤尾は、驚くうちは
楽
(
たのしみ
)
がある! 女は
仕合
(
しあわせ
)
なものだ! と云う
嘲
(
あざけり
)
の
鈴
(
れい
)
を聴かなかった。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
文明の進歩
駸々
(
しんしん
)
として我党の空想を実にしたるのみか、
却
(
かえっ
)
てその空想者の思い到らざる所にまで達して、遂に明治の新日本を出現したるこそ不思議の変化なれ、
望外
(
ぼうがい
)
の
仕合
(
しあわせ
)
なれ。
〔気品の泉源、智徳の模範〕
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「滝のような男の細君に成ったものは、そりゃ
仕合
(
しあわせ
)
ですよ」
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
蘭「
此方
(
こちら
)
へ来てから一年半
許
(
ばか
)
りして旦那様が
懇
(
ねんごろ
)
に御介抱して下すって、葬式も立派に出て、何も云置く事もなく私の身の上も安心して母も
亡
(
な
)
くなったから誠に
仕合
(
しあわせ
)
だよ」
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
しかも、その家へ呼ばれて
御馳走
(
ごちそう
)
になったり、二三日間朝から晩まで懇切に連れて歩いて貰ったり、
昔日
(
せきじつ
)
の
紛議
(
ふんぎ
)
を忘れて、
旧歓
(
きゅうかん
)
を暖める事ができたのは
望外
(
ぼうがい
)
の
仕合
(
しあわせ
)
である。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
目的なしの勉強
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
に当時緒方の書生は十中の七、八、目的なしに苦学した者であるが、その目的のなかったのが
却
(
かえっ
)
て
仕合
(
しあわせ
)
で、江戸の書生よりも
能
(
よ
)
く勉強が出来たのであろう。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
実に
御信実
(
ごしんじつ
)
なお言葉、恐れ入りました、拙者も飯島を殺す気ではござらんが、不義が
顕
(
あら
)
われ平左衞門が手槍にて突いてかゝる故、止むを得ず
斯
(
かく
)
の如きの
仕合
(
しあわせ
)
でございます
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「それでも田口が
箆棒
(
べらぼう
)
をやってくれたため、君はかえって
仕合
(
しあわせ
)
をしたようなものですね」
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
先
(
ま
)
ず/\怪我をせんのが
仕合
(
しあわせ
)
でした。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
御当家さまへ
上
(
あが
)
りまして、旦那さまは誠に何から何までお慈悲深く、
何様
(
どん
)
な不調法が有りましても、お小言も
仰
(
おっし
)
ゃらず、斯ういう旦那さまは又とは有りません、手前が
仕合
(
しあわせ
)
で
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
自分は今危険な病気からやっと回復しかけて、それを非常な
仕合
(
しあわせ
)
のように喜んでいる。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
後の世の
仕合
(
しあわせ
)
であると申したという、お咳などには大妙薬である、
斯
(
かゝ
)
る結構な物を毒とは何ういう
理由
(
わけ
)
だ
尤
(
もっと
)
も其の時に
盜跖
(
とうせき
)
という大盗賊が手下に話すに、
是
(
こ
)
れは
好
(
よ
)
いものが出来た
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
今では大変
仕合
(
しあわせ
)
だと書いてあった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
原さんと名主幸左衞門さんとが来るんだよ、お侍様が百姓の
家
(
うち
)
へ養子に来るのだから勝手が知れめえから、お前も気を付けて上げな、あの方が此の
家
(
うち
)
へおいでになるとお前も
仕合
(
しあわせ
)
だよ
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
己がお組へ往って届けて呉れようと、親切に石屋の親方と
私
(
わし
)
と三人で一緒にめえり、お組屋敷のお
頭
(
かしら
)
に届けやんしたら、お頭も段々
次第
(
しでい
)
を聞き、大きに感心なことだ、往来の者の
仕合
(
しあわせ
)
で
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
私を附けて此処に
幾日
(
いっか
)
何十日入らっしゃっても何とも御意遊ばさないじゃアありませんか、それで貴方どんな我儘を仰しゃっても、柳に受けて入らっしゃる、貴方はお
仕合
(
しあわせ
)
じゃアありませんか
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
手前
(
てめえ
)
は
家
(
うち
)
に置かれないからと栄町へ
裏店
(
うらだな
)
同様な
所
(
とこ
)
へ
世帯
(
しょたい
)
を持たして、何だか雇い
婆
(
ばゞあ
)
とも妾ともつかぬ様な
仕合
(
しあわせ
)
で、私も詰らねえから、何しろ身を固めるには夫を持たなければ心細いからと思いまして
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
“仕合”の意味
《名詞》
仕合(しあい)
試合に同じ。
(出典:Wiktionary)
仕
常用漢字
小3
部首:⼈
5画
合
常用漢字
小2
部首:⼝
6画
“仕合”で始まる語句
仕合者
仕合場
仕合好
仕合故
仕合谷
仕合せな夢