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一時
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いつとき
ふりがな文庫
“
一時
(
いつとき
)” の例文
なんね、
一時
(
いつとき
)
でん住み馴れた土地ば離るつていふもなあ、なんとなしい、心寂しかもんたい。早かもんたい、丸三年になるけんね。
牛山ホテル(五場)
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
今
(
いま
)
こそ
彼女
(
かのぢよ
)
は、
亡
(
な
)
き
夫
(
をつと
)
の
靈
(
れい
)
と
純潔
(
じゆんけつ
)
な
子供
(
こども
)
の
前
(
まへ
)
に、たとへ
一時
(
いつとき
)
でもその
魂
(
たましひ
)
を
汚
(
けが
)
した
悔
(
くゐ
)
の
證
(
あかし
)
のために、
死
(
し
)
ぬことが
出來
(
でき
)
るやうにさへ
思
(
おも
)
つた。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
また
一時
(
いつとき
)
、
廬堂
(
いほりだう
)
を廻つて音するものもなかつた。日は段々
闌
(
た
)
けて、
小昼
(
こびる
)
の温みが、ほの暗い郎女の居処にも、ほと/\と感じられて来た。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
敬之進のことは
一時
(
いつとき
)
もお志保の小な胸を離れないらしい。
柔嫩
(
やはらか
)
な
黒眸
(
くろひとみ
)
の底には深い
憂愁
(
うれひ
)
のひかりを帯びて、頬も
紅
(
あか
)
く
泣腫
(
なきは
)
れたやうに見える。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
お前さんは今日はあまり
烈
(
はげ
)
しく心を動かされたので、気がどうかなつてゐるのぢや。
一時
(
いつとき
)
の感動に駆られて、さういふことを
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
▼ もっと見る
それでも
五人
(
ごにん
)
や十人ぐらゐ
一時
(
いつとき
)
に
渡
(
わた
)
つたからツて、
少
(
すこ
)
し
揺
(
ゆ
)
れはしやうけれど、
折
(
を
)
れて
落
(
お
)
つるやうな
憂慮
(
きづかひ
)
はないのであつた。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
うつむいてゐる、白髮をかきあげたうなじが細かつたが、そのあたりからひさは眼を
一時
(
いつとき
)
もそらさなかつた。おちかは、結局は、金を貸してくれろといふのだ。
第一義の道
(旧字旧仮名)
/
島木健作
(著)
氣候は
一時
(
いつとき
)
に驚くほど暑くなつて、午過ぎの往來には日傘を持たぬ通行の人が、早くも伸びて夏らしく飜へる柳の葉を眺め、人家の影の片側へと自然に
歩
(
あゆみ
)
を引寄せる。
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
然
(
しか
)
しお
品
(
しな
)
が
死
(
し
)
んだ
時
(
とき
)
野田
(
のだ
)
への
立
(
た
)
ち
際
(
ぎは
)
がよくなかつたことを
彼自身
(
かれじしん
)
の
心
(
こゝろ
)
にも
悔
(
く
)
ゆる
處
(
ところ
)
があつたので
強
(
し
)
ひて
厭
(
いや
)
な
勘次
(
かんじ
)
へ
挨拶
(
あいさつ
)
をして
一時
(
いつとき
)
なりとも
肩身
(
かたみ
)
を
狹
(
せま
)
くせねばならないのを
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
精
(
き
)
で三四杯あほり立てたので
酔
(
よひ
)
が
一時
(
いつとき
)
に発して
眼
(
め
)
がぐらぐらして来た。
此時
(
このとき
)
節操
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
女
(
をんな
)
は
氣
(
き
)
の
狹
(
せま
)
いもの、
待
(
ま
)
つと
成
(
な
)
つては
一時
(
いつとき
)
も
十年
(
じふねん
)
のやうに
思
(
おも
)
はれるであらうを、お
前
(
まへ
)
の
懈
(
おこた
)
りを
私
(
わし
)
の
故
(
せゐ
)
に
取
(
と
)
られて
恨
(
うら
)
まれても
徳
(
とく
)
の
行
(
ゆ
)
かぬ
事
(
こと
)
、
夜
(
よる
)
は
格別
(
かくべつ
)
の
用
(
よう
)
も
無
(
な
)
し、
早
(
はや
)
く
行
(
い
)
つて
聽
(
き
)
いて
遣
(
や
)
るがよからう
うらむらさき
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「局中手勢の者ばかりにて、右徒党のもの、三條小橋縄手に二ヶ所
屯致
(
たむろいた
)
し居候処へ、二手に別れ、夜四つ時頃打入候処、一ヶ所は一人も居り申さず、一ヶ所は多数潜伏し居り、兼て覚悟の徒党故、手向ひ戦闘
一時
(
いつとき
)
余の間に御座候」
大衆維新史読本:07 池田屋襲撃
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
「
穢
(
ばゝ
)
うても、
一時
(
いつとき
)
辛抱おし。」
乳の匂ひ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
あゝ、先輩の胸中に燃える火は、世を焼くよりも
前
(
さき
)
に、自分の身体を
焚
(
や
)
き尽して
了
(
しま
)
ふのであらう。斯ういふ
同情
(
おもひやり
)
は
一時
(
いつとき
)
も丑松の胸を離れない。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
どやどやどや、がら/\と……
大袈裟
(
おほげさ
)
ではない、
廣小路
(
ひろこうぢ
)
なんぞでは
一時
(
いつとき
)
に
十四五臺
(
じふしごだい
)
も
取卷
(
とりま
)
いた。
三橋
(
みはし
)
、
鴈鍋
(
がんなべ
)
、
達磨汁粉
(
だるまじるこ
)
、
行
(
ゆ
)
くさき
眞黒
(
まつくろ
)
に
目
(
め
)
に
餘
(
あま
)
る。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
寧ろかう云ふ理由から、自分は今
正
(
まさ
)
に、自分が此の世に生れ落ちた頃の時代の
中
(
うち
)
に、せめて虫干の日の半日
一時
(
いつとき
)
なりと、心静かに遊んで見
や
(
ママ
)
うと
急
(
あせ
)
つてゐる最中なのである。
虫干
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
その馬鹿にすることのなかにたとへ
一時
(
いつとき
)
でも却つて人を力づけるやうなものがあり、時には經驗がものを云つて實際に助けになることもあるので、人々に愛され親しまれてゐる。
続生活の探求
(旧字旧仮名)
/
島木健作
(著)
あゝ
何故
(
なぜ
)
丈夫
(
ぢやうぶ
)
で
生
(
うま
)
れて
呉
(
く
)
れたらう、お
前
(
まへ
)
さへ
亡
(
なくな
)
つて
呉
(
く
)
れたなら
私
(
わたし
)
は
肥立次第
(
ひだちしだい
)
實家
(
じつか
)
へ
歸
(
かへ
)
つて
仕舞
(
しま
)
ふのに、こんな
旦那樣
(
だんなさま
)
のお
傍
(
そば
)
何
(
なに
)
かに
一時
(
いつとき
)
も
居
(
ゐ
)
やしないのに、
何故
(
なぜ
)
まあ
丈夫
(
ぢやうぶ
)
で
生
(
うま
)
れて
呉
(
く
)
れたらう、
厭
(
いや
)
だ
この子
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
明王の前の灯が
一時
(
いつとき
)
、かつと明くなつた。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
『
何時
(
いつ
)
例のことを切出さう。』その
煩悶
(
はんもん
)
が胸の中を往つたり来たりして、
一時
(
いつとき
)
も心を
静息
(
やす
)
ませない。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
まだ
一時
(
いつとき
)
だな、コレ
有樣
(
ありやう
)
は
今夜
(
こんや
)
おいらは
立待
(
たちまち
)
だから
寢
(
ね
)
る
事
(
こと
)
がならねえ、
此處
(
こゝ
)
へ
來
(
き
)
な、
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
ても
談
(
はなし
)
が
出來
(
でき
)
やす。女「あほらしい、
私
(
わたし
)
や
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
て
話
(
はなし
)
ノウする
事
(
こと
)
は、いや/\。 ...
大阪まで
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
五
分
(
ふん
)
か
一時
(
いつとき
)
と、
此方
(
こつち
)
が
呼吸
(
いき
)
をも
詰
(
つ
)
めて
見
(
み
)
ます
間
(
あひだ
)
——で、
餘
(
あま
)
り
調
(
そろ
)
つた
顏容
(
かほだち
)
といひ、
果
(
はた
)
して
此
(
これ
)
は
白像彩塑
(
はくざうさいそ
)
で、
何
(
ど
)
う
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
か、
仔細
(
しさい
)
あつて、
此
(
こ
)
の
廟
(
べう
)
の
本尊
(
ほんぞん
)
なのであらう、と
思
(
おも
)
つたのです。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
今朝
一時
(
いつとき
)
に十一と、
慌
(
あわたゞ
)
しく起出でて鉢を
抱
(
いだ
)
けば
花菫
(
はなすみれ
)
野山に満ちたる
装
(
よそほひ
)
なり。
草あやめ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
お
秋
(
あき
)
は
何
(
なに
)
も
彼
(
か
)
も
一時
(
いつとき
)
の、
女氣
(
をんなぎ
)
に
最
(
も
)
う
涙
(
なみだ
)
ぐんで
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
時
常用漢字
小2
部首:⽇
10画
“一時”で始まる語句
一時間
一時颪
一時凌
一時雨
一時餘
一時代
一時余
一時頃
一時性
一時脱