“鶺鴒:せきれい” の例文
“鶺鴒:せきれい”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治6
芥川竜之介5
泉鏡花5
北原白秋4
小島烏水3
“鶺鴒:せきれい”を含む作品のジャンル比率
社会科学 > 風俗習慣・民俗学・民族学 > 伝説・民話[昔話]13.3%
歴史 > 地理・地誌・紀行 > 日本3.4%
文学 > 日本文学 > 日記 書簡 紀行1.4%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
妻籠つまご吾妻橋あづまばしといふはし手前てまへまできますと、鶺鴒せきれいんでました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
同時に昨日きのうまで彽徊ていかいした藁蒲団わらぶとん鶺鴒せきれいも秋草もこいも小河もことごとく消えてしまった。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
爽やかな風がそよそよと池を渡って合歓の木の葉が揺れると寂然ひっそりとしている池の彼岸あなた鶺鴒せきれいが鳴いている。
稚子ヶ淵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
今こそ別けの合図をと思う矢先に、今まで静かであった文之丞の木刀の先が鶺鴒せきれいの尾のように動き出して来ました。
大衆文芸作法 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
今こそ分けの合図をと思う矢先に、今まで静かであった文之丞の木刀の先が鶺鴒せきれいの尾のように動き出してきました。
しかし鶺鴒せきれいのようですぐ種々なことをやるガヴローシュは、もう石を一つ拾っていた。彼は街灯に心を向けていた。
朝露あさつゆれた屋根瓦やねがわらの上を遠近おちこちと尾をうごかし歩く鶺鴒せきれいに佇ずんだ。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その鶺鴒せきれいはあつちのおほきないはうへんだり、こつちのおほきないはうへんだりして、
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
石垣下には、あひるが、がいがいと鳴立てた、が、それはこの川に多い鶺鴒せきれいが、仮装したものではない。
怨霊借用 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ときに、鶺鴒せきれいこゑがして、火桶ひをけすみあかけれど、山茶花さざんくわかげさびしかつた。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
吉田巌君説(『郷土研究』一巻十一号六七二頁)に、国造神が国土を創成するとき、鶏は土を踏み固め、鶺鴒せきれいは尾で土を叩いて手伝った。
小屋へ腰を掛けて居ると鶺鴒せきれいが時々蟲をくはへて足もとまで來ては尾を搖しながらついと飛んで行く。
炭焼のむすめ (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
北風に落葉が渦巻いて、鶺鴒せきれいの足跡が玉石に凍るようになれば、谷川の水は指先を切るほど冷たくなる。
冬の鰍 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
去年の七月にはあんなにたくさんに池のまわりに遊んでいた鶺鴒せきれいがことしの七月はさっぱり見えない。
あひると猿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
築山つきやまの松、たきをたたえたいずみ鶺鴒せきれいがあそんでいる飛石など、いくさのない日は、平和の光がみちあふれている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二、三匹の鶺鴒せきれいがその上をば長いとがった尾を振りながら苔の花をついばみつつ歩いている。
監獄署の裏 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
なんだか鶺鴒せきれいでもぴょんぴょん跳ねていたら似合うだろうとおもうような、なんでもない景色です。
大和路・信濃路 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
きょうは一天晴れ渡りて滝の水朝日にきらつくに鶺鴒せきれいの小岩づたいに飛ありくは逃ぐるにやあらん。
旅の旅の旅 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
その時一番に蜥蜴、人と豚の行きぶりを変ずべしというと、鶺鴒せきれいは元のままで好いと主張した。
追いすがる無反むぞりの一刀、切っ先が点となって鶺鴒せきれいの尾みたいに震えながら、鋩子ぼうしは陽を受けて名鏡のようにぴかありぴかりと光る。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
田端たばた音無川おとなしがはのあたりには冬になると何時いつ鶺鴒せきれいが来てゐる。
一番気乗のする時 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
武蔵の足は、橋を離れて、飛沫しぶきの中の岩の上に、鶺鴒せきれいが止まったように立っていた。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
緋鯉ひごひの背の浮ぶ庭の池の飛石に、鶺鴒せきれいが下りて來て長い尾を水に叩いてゐる。
嘘をつく日 (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
エンジンを入れてボートを湖面にすべり出さすと、鶺鴒せきれいの尾のように船あとを長くひき、ピストンの鼓動こどうは気のひけるほど山水の平静を破った。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
そいつを迎えた一本の剣、鶺鴒せきれいの尾のように上下へ揺れ、チカチカチカチカと青光る。
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
鶺鴒せきれいが、もの忘れから気がいたといった風に、石の上から、ついと飛ぶ。
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
椰子猴(ブロク、上出)これに逢うて気の毒がり、「神代巻」の鶺鴒せきれいの役を勤めて子をこしらえる法を教えたので、一心不乱に教え通り行い二男二女を生んだ。
川に臨んだ背の低い柳は、葉のない枝にあめの如く滑かな日の光りをうけて、こずゑにゐる鶺鴒せきれいの尾を動かすのさへ、鮮かに、それと、影を街道に落してゐる。
芋粥 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
川水は荒神橋の下手ですだれのようになって落ちている。夏草の茂った中洲なかす彼方かなたで、浅瀬は輝きながらサラサラ鳴っていた。鶺鴒せきれいが飛んでいた。
ある心の風景 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
九月初旬三度目に行ったときには宿の池にやっと二三羽の鶺鴒せきれいが見られた。
あひると猿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
枝葉の下に眠りに来る啄木鳥きつつき鶺鴒せきれいの最後の声が聞こえていた。
上越国境の山々が初冬の薄雪を装い、北風に落葉が渦巻いて流れの白泡を彩り、鶺鴒せきれいの足跡が玉石の面に凍てるようになれば、谷川の水は指先を切るほどに冷たくなる。
姫柚子の讃 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
中庭の白砂に遊んでいた鶺鴒せきれいがそこを覗きかけて廂の外へそれたのだった。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それからまだあるのは、この日月のお形の下に、一方には鶺鴒せきれいという小鳥、他の一方にはにわとりが彫り入れてあることで、説明がないとこれだけはよく解らない。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
その水玉の傘が地まで落ちないうちに、河中の鶺鴒せきれいはぱっと跳んで返って、いわゆる抜く手も見せない間髪に、狡智こうちけたその卑怯者を斬りなぐった。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
丁度雪の残った棕櫚しゅろの葉の上には鶺鴒せきれいが一羽尾を振っていた。
玄鶴山房 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
鶺鴒せきれい。」Kは、谷川の岸の岩に立ってうごいている小鳥を指さす。
秋風記 (新字新仮名) / 太宰治(著)
すぐ近くへ来て啼く頬白ほおじろやアオジまたは鶺鴒せきれいというような、一括して田舎ではスズメと呼ぶものを比べて見ても、語数の多いことにかけては里雀に及ぶものはない。
右頬を軽く支えている五本の指は鶺鴒せきれいの尾のように細長くて鋭い。
風の便り (新字新仮名) / 太宰治(著)
ちんな話ではつい其処の斗満川原で、鶺鴒せきれいが鷹の子育てた話。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
紀州の串本くしもとでは鶺鴒せきれいをチンチクロ、鹿児島県の一部では
流れの中には岩の姿が、遡るに伴れてあちこちに現れ、鶺鴒せきれいが飛び交はしてゐたりしたが、勾配が増して行くに随つて水勢は滝のやうな音をたてて、花々しい水煙りを挙げてゐた。
繰舟で往く家 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
雪白のまげが、鶺鴒せきれいの尾のように、こまかくふるえていた。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
道は川に沿ひ、翳り易い日向に、鶺鴒せきれいが淡い黄色を流して飛ぶ。
測量船 (新字旧仮名) / 三好達治(著)
そこへ石を落したように、鶺鴒せきれいが一羽舞いさがって来た。
保吉の手帳から (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
この川は小舎のうしろへ流れ落ちるのだそうだ、水から飛び上った鶺鴒せきれいが、こっちを見ていたが、人が近づいたので、ついと飛ぶ、大石の上には水で描いた小さな足痕が、紋形をして
槍ヶ岳第三回登山 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
あなつめむれ鶺鴒せきれい群れ飛べど目にもとまらず。
畑に飛んでつる鶺鴒せきれい一点の白金光となりてけるかな
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
角の出た石の上に鶺鴒せきれいが一羽とまったくらいである。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と帽子を上へ抜上げると、元気に額のしわを伸ばして、がぶりと一口。鶺鴒せきれいの尾のごとく、左の人指ひとさしをひょいとね、ぐいと首を据えて、ぺろぺろと舌舐したなめずる。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
波の上に飛びかう鶺鴒せきれいたちまち来り忽ち去る。
旅の旅の旅 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
鳥居へおりていったら桟橋のうえに鶺鴒せきれいが一羽いた。
島守 (新字新仮名) / 中勘助(著)
ふざけているうちに、遂に次郎は手をはずして、月江を水へ落としました。しかし、岸は近いし水も浅い所なので、二人濡れもせず、石を投げられた鶺鴒せきれいみたいに、パッと向う岸へ飛び上がって、
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
白いひと組 黄色いひと組 鶺鴒せきれいが私に告げる
南窗集 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
鶺鴒せきれいの尾にぞあられのはじかれし 蒼苔
俳句の作りよう (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
鶺鴒せきれいまでが小さな聲で鳴きまはつて居る。
炭焼のむすめ (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
鶺鴒せきれいLa Bergeronnette
博物誌 (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
絶えて影せぬ鶺鴒せきれいのこゑをたよりに。
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
飛び飛びの岩のひとつひとつに、どれもが同じ北の一方を向いて、からすよりはやや小さい、鶺鴒せきれいよりもやや大きい、南国の鳥とも違った、何か寒げな、尻尾の動く、くちばしの細そうな鳥の姿である。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
又万一然様いう企をしたとすれば、鶺鴒せきれいの印の眼球めだまで申開きをするほどの政宗が、直接自分の臣下などに手を下させて、後に至って何様どうともすることの出来ぬような不利の証拠を遺そうようはない。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
たまに鶺鴒せきれいがくることもある。
一番気乗のする時 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
鶺鴒せきれいのように尾を振り合つて
如月や鶺鴒せきれいへる防波堤
普羅句集 (新字旧仮名) / 前田普羅(著)
宿の庭の池に鶺鴒せきれいが来る。
浅間山麓より (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
露時雨つゆしぐれ夜ごとにしげくなり行くほどに落葉朽ち腐るる植込うえごみのかげよりは絶えず土のくんじて、鶺鴒せきれい四十雀しじゅうから藪鶯やぶうぐいすなぞ小鳥の声は春にもましてにぎわし。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
鶺鴒せきれいが鳴いていた。
石から石の上を飛びめぐる鶺鴒せきれいと筋交ひに、舟は両崖の迫つた間の急湍を、櫂を休めて悠々と乗つ切る、川には筏に組む材木が漂ひながら岩に堰かれてゐる、王子製紙会社の紙の原料で、中部なかつぺの支社で、製するのだといふ。
天竜川 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)
波ともいわれない水のひだが、あちらの岸からこちらの岸へと寄せて来る毎に、まだ生え換らない葦が控え目がちにサヤサヤ……サヤサヤ……とそよぎ、フト飛び立った鶺鴒せきれいが小波の影を追うように、スーイスーイと身を翻す。
禰宜様宮田 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
いまも仮の便殿に入ると、かけひの注いでいる大甕おおがめのかたわらへ寄って、自身小桶をつかんでりのたらいにそれを汲み入れ、まるで鶺鴒せきれいのようにあたりを水だらけにしながら、せっかちに顔を洗いぬいていた。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
顔じゅうに青すじを走らせて、お杉隠居が、苫の中から首を突き出した——その時ですらすでに、武蔵のすがたは、加茂の流れを横に突っ切って、鶺鴒せきれいでもとぶようにや石のうえを拾って、対岸の堤へ駈け上がっていたのであった。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひらりと横ッ飛びに逃げ退いた釘勘は、所詮しょせん、手元に近づき難いものと見て、十手を口に預けるが早いか、前の捕繩とりなわを輪に手繰たぐって、その分銅の先を、鶺鴒せきれいの尾のように微かに振りながら、機を見ています。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
其處そこには山椿やまつばき花片はなびらが、のあたり水中すゐちういはいはび、胸毛むなげ黄色きいろ鶺鴒せきれい雌鳥めんどりふくみこぼした口紅くちべにのやうにく。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
この図は左から斜めに出た小枝に鶺鴒せきれいが二羽飛び下りざまに止ったところを描いてあるだけで、これまた極めて簡単な図柄であるが、枝には風のそよぐ感じが出ているし、鶺鴒の頭の毛が細かに揺れて、いかにもスッと止ったという感じが出ている。
画室の言葉 (新字新仮名) / 藤島武二(著)
そうして私の前の小さな流れの縁を一羽の鶺鴒せきれいさびしそうにあっちこっち飛び歩いているのにぼんやり見入っていると、突然、私の背後のサナトリウムの方からその土手をうんうん言いながら重たそうに荷車を引いてくる者があるので、私は道をあけようとして立ち上った。
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
「おお、発破はっぱだぞ。知らないふりしてろ。石とりやめで早ぐみんな下流しもささがれ。」そこでみんなは、なるべくそっちを見ないふりをしながら、いっしょに砥石といしをひろったり、鶺鴒せきれいを追ったりして、発破のことなぞ、すこしも気がつかないふりをしていました。
風の又三郎 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
政宗が必死を覚悟して、金箔きんぱくを押した磔刑柱はりつけばしらを馬の前に立てて上洛したのは此時の事で、それがしの花押かきはん鶺鴒せきれいの眼のたまは一月に三たび処をえまする、此の書面の花押はそれがしの致したるには無之これなく、と云い抜けたのも此時の事である。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
このあいだに桜の散っていること、鶺鴒せきれいの屋根へ来ること、射的しやてきに七円五十銭使ったこと、田舎芸者いなかげいしゃのこと、安来節やすきぶし芝居に驚いたこと、蕨狩わらびがりに行ったこと、消防の演習を見たこと、蟇口がまぐちを落したことなどをしるせる十数ぎょうあり。
温泉だより (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
芋莄ずいきなびく様子から、枝豆の実る処、ちと稗蒔ひえまき染みた考えで、深山大沢しんざんだいたくでない処は卑怯ひきょうだけれど、くじらより小鮒こぶなです、白鷺しらさぎうずらばん鶺鴒せきれいみんな我々と知己ちかづきのようで、閑古鳥よりは可懐なつかしい。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
塵添壒嚢抄じんてんあいのうしょう』四、猿を馬の守りとて馬屋に掛くるは如何、猿を山父、馬を山子といえば、父子の義を以て守りとするか、ただし馬櫪神ばれきしんとて厩神います、両足下に猿と鶺鴒せきれいとを蹈ませて二手に剣を持たしめたり、宋朝にはこれを馬の守りとす、この神の踏ませるものなれば猿ばかりをも用ゆるにや。