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頑丈
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がんじょう
ふりがな文庫
“
頑丈
(
がんじょう
)” の例文
これ、さっきは、瓔珞の
頑丈
(
がんじょう
)
をたよって不覚をとったが、こんどは、
果心居士
(
かしんこじ
)
相伝
(
そうでん
)
の
浮体
(
ふたい
)
の法をじゅうぶんにおこなっているためだ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
良平は
独
(
ひと
)
りいらいらしながら、トロッコのまわりをまわって見た。トロッコには
頑丈
(
がんじょう
)
な車台の板に、
跳
(
は
)
ねかえった泥が
乾
(
かわ
)
いていた。
トロッコ
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
海ぞいに立て連ねた
石杭
(
いしぐい
)
をつなぐ
頑丈
(
がんじょう
)
な鉄鎖には、西洋人の子供たちが
犢
(
こうし
)
ほどな洋犬やあまに付き添われて事もなげに遊び戯れていた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
運転手達は、
傲慢
(
ごうまん
)
な調子で、いい捨てたまま、部屋を出て行ってしまった、ガラガラと閉める
頑丈
(
がんじょう
)
な扉、カチカチと鍵のかかる音。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
先刻ちらと見た
懐
(
なつ
)
かしい顔に、親愛なる母親に、または、「死も噛み込めない」岩のように感ぜられる、自分の
頑丈
(
がんじょう
)
な一身に……。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
あまり暴れるので俺が大きな
綱
(
つな
)
でぐるぐるまきに
縛
(
しば
)
っておいたのに、どんなに
頑丈
(
がんじょう
)
にしといても何時の間にか抜けてしまうのだ
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
煙草の煙が、未来の影を
朦朧
(
もうろう
)
と
罩
(
こ
)
め尽すまで濃く
揺曳
(
たなびい
)
た時、宗近君の
頑丈
(
がんじょう
)
な姿が、すべての想像を払って、現実界にあらわれた。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
体格は
骨太
(
ほねぶと
)
の
頑丈
(
がんじょう
)
な作り、その顔は
眼
(
まな
)
ジリ長く切れ、鼻高く一見して堂々たる
容貌
(
ようぼう
)
、気象も
武人気質
(
ぶじんかたぎ
)
で、容易に物に屈しない。
非凡なる凡人
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
男は六十歳くらいかとも思われ、悲しそうなまじめな顔つきをしていて、退職の軍人かとも見える
頑丈
(
がんじょう
)
なしかも疲れ切った様子をしていた。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
間数
(
まかず
)
が三十ちかくもあるであろう。それも十畳二十畳という部屋が多い。おそろしく
頑丈
(
がんじょう
)
なつくりの家ではあるが、しかし、何の趣きも無い。
苦悩の年鑑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「シューッ、シューッ」それは
頑丈
(
がんじょう
)
な男が、歯をくいしばってその歯のあいだから、ゆっくり息をおし出すような音だった。
空気ポンプ
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
軒の
垂木
(
たるき
)
までも
漆喰
(
しっく
)
いで包んだ土蔵作りの店の構え、太い角材を惜しげもなく使った
頑丈
(
がんじょう
)
な
出格子
(
でごうし
)
、重い丸瓦でどっしりとおさえた
本葺
(
ほんぶ
)
きの
甍
(
いらか
)
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
頑丈
(
がんじょう
)
に、これでは沈没した時に決して間に合わないと、証拠立てられるほど、それほど頑丈に、くどくどとデッキや煙突にまで、綱を引っぱった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
それから間もなく一
挺
(
ちょう
)
の
輿
(
こし
)
が、
頑丈
(
がんじょう
)
な男に
担
(
かつ
)
がれながら、藪原長者の館を出た。深編笠の武士が、輿の後から悠々と、つき添いながら歩いて行く。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そして悪魔は、方々の掃除口を探して歩きましたが、どこもここもみな、
頑丈
(
がんじょう
)
な鉄の蓋が閉め切ってあって、下水道へはいり込む
隙間
(
すきま
)
もありません。
不思議な帽子
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
小劇場の舞台ほどもある広い
檻
(
おり
)
の中には、
頑丈
(
がんじょう
)
な
金網
(
かなあみ
)
を
距
(
へだ
)
てて、とぐろを
捲
(
ま
)
いた二頭のニシキヘビが離れ離れの
隅
(
すみ
)
を陣取ってぬくぬくと
睡
(
ねむ
)
っていた。
爬虫館事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
神着の部落とちがって、ここでは家々もそう
頑丈
(
がんじょう
)
でなく、何か
剥
(
む
)
き出しな荒々しい空気が部落の上を通っていた。
石ころ路
(新字新仮名)
/
田畑修一郎
(著)
頑丈
(
がんじょう
)
な、
馬来
(
マライ
)
半島渡来の
竹籐
(
ラタン
)
で
籠編
(
かごあ
)
みにできていて、内部は、箱のようになっているらしかったが、表面は、全体を
雲斎織
(
ドリルス
)
で巻き締めてあって、上から
ヤトラカン・サミ博士の椅子
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
指のそりかえった
頑丈
(
がんじょう
)
な足をみると、生存を歓喜しつつ大地をかけ
廻
(
まわ
)
った古代の娘を
彷彿
(
ほうふつ
)
せしむる。その瞑想と微笑にはいかなる苦衷の
痕跡
(
こんせき
)
もなかった。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
むかし、
戦争
(
せんそう
)
のあった時代には、人びとはこういう大きな
頑丈
(
がんじょう
)
なお
城
(
しろ
)
に、喜んで
閉
(
と
)
じこもっていたものでした。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
愛くるしい顔だちだが、からだつきは
頑丈
(
がんじょう
)
で、肩や腕などまるまるとふとっているのだ。膚が陽に焼けていた。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
四カ月も、五カ月も不自然に、この
頑丈
(
がんじょう
)
な男達が「女」から離されていた。——函館で買った女の話や、露骨な女の陰部の話が、夜になると、きまって出た。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
と声をかけて裏口からはいって来たのは、日ごろ、寺へ出入りの
洗濯婆
(
せんたくばあ
)
さんだ。腰に
鎌
(
かま
)
をさし、
※草履
(
わらぞうり
)
をはいて、男のような
頑丈
(
がんじょう
)
な手をしている山家の女だ。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
縁は町家並の三尺ですが、欄干は
頑丈
(
がんじょう
)
で木の香もまだ抜けて居りません、それが東から南に回って、お照の刺されたのは、丁度その角のあたりになって居ります。
銭形平次捕物控:241 人違い殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
いま上人の前に出た五十ぐらいの
頑丈
(
がんじょう
)
な男、その男には上人が
容易
(
たやす
)
く名号を渡すことをしませんでした。
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
頑丈
(
がんじょう
)
な体格の重吉は自分で自分の体をもて扱っているらしく、寝返りを打った時にねじけたままのようになっている足を実枝は真直ぐに直し、寝衣の前を合せた。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
陸戦の士官の持つような
頑丈
(
がんじょう
)
な軍刀に片手を支え、
酒盃
(
しゅはい
)
に伸びた手の指が何か不自然なほど長かった。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
以前にも増して
頑丈
(
がんじょう
)
に、以前にも増して高々と、てっぺんに
硝子
(
ガラス
)
の破片を光らせて、建設された。
遺産
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
精巧な少量のものは専ら売るために織り、めいめいの着ているのは太い重い、
蚊帳
(
かや
)
だの畳の
縁
(
へり
)
だのに使うのと近い、至って
頑丈
(
がんじょう
)
なもので、
是
(
これ
)
が普通にいうヌノであった。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
すぐにノックの音が聞え、この家についぞ見かけたことのない一人の男がはいってきた。すんなりとはしているが、
頑丈
(
がんじょう
)
な
身体
(
からだ
)
のつくりで、しっくりした黒服を着ていた。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
此の
婆
(
ばゞあ
)
は元は深川の泥水育ちのあば
摺
(
ず
)
れもので、頭の
真中
(
まんなか
)
が河童の皿のように
禿
(
は
)
げて、附け
髷
(
まげ
)
をして居ますから、お辞儀をすると時々髷が落ちまする、
頑丈
(
がんじょう
)
な婆さんですから
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
私はいつの間にか
頑丈
(
がんじょう
)
な鉄の
檻
(
おり
)
の中に入れられている。白い
金巾
(
かなきん
)
の患者服を着せられて、ガーゼの帯を捲き付けられて、コンクリートの床のまん中に大の字
型
(
なり
)
に投げ出されている。
怪夢
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
だんだん近くなりますと、それは
頑丈
(
がんじょう
)
そうな変に小さな腰の曲ったおじいさんで、一枚の板きれの上に四本の
鯨油
(
げいゆ
)
蝋燭
(
ろうそく
)
をともしたのを両手に捧げてしきりに
斯
(
こ
)
う叫んで来るのでした。
ポラーノの広場
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
頑丈
(
がんじょう
)
な男でしたが、年を取っており、無口で無愛想なので兄のお気に入りでした。
人込
(
ひとごみ
)
だろうが、坂道だろうが、止めろ、と声を掛ければすぐ止めます。用事の外は口を開きません。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
そんな
頑丈
(
がんじょう
)
な身体をしているし、辛抱強いのに、机の前で
萎
(
いじ
)
けてるのはつまらないじゃないか。
先日
(
こないだ
)
山から見た島を借りて桃を
栽
(
う
)
えても、後の泥山を
拓
(
ひら
)
いても何かできそうじゃないか。
入江のほとり
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
欅
(
けやき
)
材を用いて、これに
頑丈
(
がんじょう
)
な鉄金具を
纏
(
まと
)
わせ立派な技を見せました。千石船の禁止と共にその種の
船箪笥
(
ふなだんす
)
は終りましたが、箱造りの技は続き、主に衣裳箪笥や
帳箪笥
(
ちょうだんす
)
を作り始めました。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
この
頑丈
(
がんじょう
)
な建物も、柱や
梁
(
はり
)
がきしみ、雨戸は鳴り、あるとも思えなかった隙間から吹き込む風で、他の部屋の奥にあるさわの部屋でさえ、
行燈
(
あんどん
)
の火がいまにも消えそうに揺れまたたいた。
榎物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ゆたかな水はそれだけ厚く
頑丈
(
がんじょう
)
に凍結した。イシカリの原野を二つに区切るこの大河も冬は眠って了うのであった。水は底ひくくもぐって鳴りをひそめた。その上に雪が降り積っていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
先年いつか汽車の中で、こういう種類の政治家らしい人が、
肥
(
ふと
)
って
頑丈
(
がんじょう
)
な肩をいからせながら、地方の代表者らしい人を二、三人前に置いて、盛に高説をきかせていたのを見たことがある。
語呂の論理
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
しかし無残にも漆喰は残らず落ちて、
衣物
(
きもの
)
はすっかり
剥
(
は
)
がれておりました。私は暫く立って見ていましたが、どうも
如何
(
いかん
)
ともしがたい。ただ、骨だけがこう
頑丈
(
がんじょう
)
にびくともせずに残っただけでも感心。
幕末維新懐古談:64 大仏の末路のあわれなはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
葉子は倉地の後ろから着物を
羽織
(
はお
)
っておいて羽がいに抱きながら、今さらに倉地の
頑丈
(
がんじょう
)
な雄々しい体格を自分の胸に感じつつ
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
食物といっては、正に獄人に食わせるようなものを、朝夕二度、
頑丈
(
がんじょう
)
な
荒格子
(
あらごうし
)
の窓から番卒が給与してくれるものだけである。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして厳然たる様子でこのやせた二十歳の青年は、太い
頑丈
(
がんじょう
)
な人夫を一枝の
葦
(
あし
)
のようにへし折って、泥の中にひざまずかした。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
単純で健全で
頑丈
(
がんじょう
)
で、それほど理屈ぽくなくてただ愛してくれる、美しい平民の娘のほうが、やはり好ましいのだった。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
木製の
頑丈
(
がんじょう
)
なベッドが
南枕
(
みなみまくら
)
で四つ並んでいて、僕のベッドは部屋の一ばん奥にあって、枕元の大きい
硝子窓
(
ガラスまど
)
の下には
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
毛繻子張
(
けじゅすば
)
り
八間
(
はちけん
)
の
蝙蝠
(
こうもり
)
の柄には、幸い太い
瘤
(
こぶ
)
だらけの
頑丈
(
がんじょう
)
な
自然木
(
じねんぼく
)
が、付けてあるから、折れる
気遣
(
きづかい
)
はまずあるまい。
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
………と、そう云い出したので、小泉さんの所なんかきっと大丈夫だよ、あの家は
頑丈
(
がんじょう
)
だし、平屋だから、………と、輝雄がその尾について云った。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
時計の針といっても、長さ二メートル半、はばは三十センチもある、
頑丈
(
がんじょう
)
な鉄の板ですから、丈吉君の力では、とても、おしもどすことはできません。
塔上の奇術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
階段をのぼり切ったところに、
頑丈
(
がんじょう
)
な扉がしまっている。
錠
(
じょう
)
がおりていると見え、
押
(
お
)
せど叩けどびくとも動かない。
時計屋敷の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
山形で一番さきに春の訪れるのを感じるのは、この桑の若芽の
萌
(
も
)
え
出
(
い
)
ずる頃である。
丈
(
たけ
)
の低い、ふしくれだった
頑丈
(
がんじょう
)
なその幹と枝ぶりはゴッホの筆触を思わせた。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
“頑丈”の意味
《名詞》
頑丈(がんじょう)
身体や物のつくりが堅固でしっかりしていること。
(出典:Wiktionary)
頑
常用漢字
中学
部首:⾴
13画
丈
常用漢字
中学
部首:⼀
3画
“頑丈”で始まる語句
頑丈造