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闇夜
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あんや
ふりがな文庫
“
闇夜
(
あんや
)” の例文
その
雪途
(
ゆきみち
)
もやゝ半にいたりし時
猛風
(
まうふう
)
俄
(
にはか
)
におこり、
黒雲
(
こくうん
)
空
(
そら
)
に
布満
(
しきみち
)
て
闇夜
(
あんや
)
のごとく、いづくともなく火の玉飛来り
棺
(
くわん
)
の上に
覆
(
おほひ
)
かゝりし。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
それは
丁度
(
ちやうど
)
罪悪の暗い
闇夜
(
あんや
)
に辛うじて仏の慈悲の光を保つてゐるやうに、又は恐ろしい心の所有者が闇の中に
怖
(
おそ
)
れ
戦
(
をのゝ
)
いてゐるかのやうに……。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
中にも利安は伊丹の町の銀屋をかたらつて、
闇夜
(
あんや
)
に番兵を欺き、牢屋の背後の
溜池
(
ためいけ
)
を
泅
(
およ
)
いで牢屋に入り、孝高に面會した。
栗山大膳
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
と、孔明の計を奉じて、
土嚢
(
どのう
)
の
堰
(
せき
)
を一斉にきった。さながら洪水のような濁浪は、
闇夜
(
あんや
)
の底を吠えて、曹軍数万の兵を
雑魚
(
ざこ
)
のように呑み消した。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
逆に行って、彼の眼は天下無敵だ。
闇夜
(
あんや
)
の太刀の秘術を教えざるにすでに会得している。怪剣士というは彼がことである
怪異暗闇祭
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
▼ もっと見る
「第一岬
要塞
(
ようさい
)
の南方洋上十キロのところにおいて、折からの
闇夜
(
あんや
)
を利用してか怪しき花火をうちあげた者がございます」
二、〇〇〇年戦争
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
又
(
また
)
獲物
(
えもの
)
が
鋭
(
するど
)
く
水
(
みづ
)
を
切
(
き
)
つて
進
(
すゝ
)
んで
來
(
く
)
るのを
彼等
(
かれら
)
の
敏捷
(
びんせふ
)
な
目
(
め
)
が
闇夜
(
あんや
)
にも
必
(
かなら
)
ず
逸
(
いつ
)
することなく、
接近
(
せつきん
)
した一
刹那
(
せつな
)
彼等
(
かれら
)
は
水中
(
すゐちう
)
に
躍
(
をど
)
つて
機敏
(
きびん
)
に
網
(
あみ
)
を
以
(
もつ
)
て
獲物
(
えもの
)
を
卷
(
ま
)
くのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
七代の將軍と
崇
(
あが
)
め
家繼公
(
いへつぐこう
)
とぞ申したてまつる此君御
不運
(
ふうん
)
にまし/\
間
(
ま
)
もなく
御他界
(
ごたかい
)
にて
有章院殿
(
いうしやうゐんでん
)
と號したてまつる是に依て此度は將軍家に御
繼子
(
けいし
)
なく
殿中
(
でんちう
)
闇夜
(
あんや
)
に
燈火
(
ともしび
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
が、
堤尻
(
どてじり
)
を
駈上
(
かけあが
)
つて、
掛茶屋
(
かけぢゃや
)
を、やゝ念入りな、
間近
(
まぢか
)
な
一
(
いち
)
ぜんめし屋へ
飛込
(
とびこ
)
んだ時は、此の十七日の月の
気勢
(
けはい
)
も
留
(
と
)
めぬ、さながらの
闇夜
(
あんや
)
と成つて、
篠
(
しの
)
つく雨に風が
荒
(
すさ
)
んだ。
光籃
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
電光の
閃
(
ひら
)
めきに、彼は見てとった、
闇夜
(
あんや
)
の底に、彼は見てとった——おのれこそその神であった。その神は彼自身のうちにあった。神は室の天井を破り、家の壁を破っていた。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
鼠が出る位であるから恐らく灯火は消されてしまってあるので、全くの
闇夜
(
あんや
)
であろう。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
その人が 或る
闇夜
(
あんや
)
に道を歩いていて、突然知らずに、高い土手の上から
辷
(
すべ
)
り落ちたそうだが、その際土手を
辷
(
すべ
)
り落ちて行く瞬間に、
矢張
(
やっぱり
)
その人自身の過去の光景が、眼に映ったといっていた。
テレパシー
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
与力満谷剣之助をお
捕頭
(
とりがしら
)
に、それに、
眼明
(
めあか
)
しの金山寺屋の音松と、金山寺屋の手
飼
(
が
)
いの
捕方
(
とりかた
)
を四、五十人もつけて、一隊、
闇夜
(
あんや
)
の
暴風雨
(
あらし
)
をついて、黒門町の壁辰の家を
襲
(
おそ
)
った——まではよかったが
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そこで
仏陀
(
ぶっだ
)
やショペンハウエルの教える通り、宇宙は
無明
(
むみょう
)
の
闇夜
(
あんや
)
であって、無目的な生命意慾に駆られながら、無限に尽きない
業
(
ごう
)
の連鎖を繰返しているところの、嘆きと
煩悩
(
ぼんのう
)
の
娑婆
(
しゃば
)
世界に外ならない。
老年と人生
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
それに大いに力を得て、
闇夜
(
あんや
)
に乗じて阿片窟包囲に出かけたんだ。
深夜の電話
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
闇夜
(
あんや
)
の空の花火の鮮かさで、彼女の心を占めていたのです。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
如法
(
によばふ
)
闇夜
(
あんや
)
に、
睡蓮
(
すいれん
)
の
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
その
雪途
(
ゆきみち
)
もやゝ半にいたりし時
猛風
(
まうふう
)
俄
(
にはか
)
におこり、
黒雲
(
こくうん
)
空
(
そら
)
に
布満
(
しきみち
)
て
闇夜
(
あんや
)
のごとく、いづくともなく火の玉飛来り
棺
(
くわん
)
の上に
覆
(
おほひ
)
かゝりし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
動物は動物にたいして敏感であるから、いま、下のほうでいなないた馬は、ここにさしかかってきた
闇夜
(
あんや
)
飛行の怪物の影に、おどろいたものにそういない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「夜目が利くの、
闇夜
(
あんや
)
の太刀を心得ておるのと、高慢なことを申しても
和主達
(
おぬしたち
)
は駄目だ。俺がここにいるのが見えなかったろう」と、樹上の怪人は
嘲
(
あざけ
)
り気味に云った。
怪異暗闇祭
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
「
何
(
なに
)
すんでえ、
爺
(
ぢい
)
は」おつぎはそれを
輕
(
かる
)
く
受
(
うけ
)
て
斯
(
か
)
ういつた。
卯平
(
うへい
)
は
目
(
め
)
を
蹙
(
しが
)
めた。
彼
(
かれ
)
は
闇夜
(
あんや
)
にずんずんと
運
(
はこ
)
んだ
足
(
あし
)
が
急
(
きふ
)
に
窪
(
くぼ
)
みを
踏
(
ふ
)
んでがくりと
調子
(
てうし
)
が
狂
(
くる
)
つたやうな
容子
(
ようす
)
であつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
闇夜
(
あんや
)
の空を
漂流
(
ひょうりゅう
)
中のゴンドラの中には、彼ただひとりがいるばかりだと思っていたのに、意外にも意外、突然マイクを持つ手首をぎゅっと掴まれたのだから、この愕きも
尤
(
もっと
)
もであった。
空中漂流一週間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
遂
(
とぐ
)
る處一々
明白
(
めいはく
)
に申立ると雖も其方儀先頃無量庵へ
闇夜
(
あんや
)
の
節
(
せつ
)
提灯
(
ちやうちん
)
の用意もなく參りしとあり其
刻限
(
こくげん
)
篤
(
とく
)
と申立よと云れければ九助夫は去る三月十九日は私し妻節が實母七回
忌
(
き
)
の
逮夜
(
たいや
)
に當り候間上新田村無量庵の住寺は
生佛
(
いきぼとけ
)
の樣に
近郷
(
きんがう
)
近村にて申
唱
(
とな
)
ふるにより何卒
回向
(
ゑかう
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
彼女を知る人たちは、誰もみな彼女の聡明を挙げるが、彼女も恋をすれば
闇夜
(
あんや
)
をも忍んで配所の人へ通うだけの盲目にもなり情熱にも燃やされる女性ではあった。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これは
水揚
(
みづあがり
)
せざる
所
(
ところ
)
の
者
(
もの
)
どもこゝに
馳
(
はせ
)
あつまりて、川
筋
(
すぢ
)
を
開
(
ひら
)
き水を
落
(
おと
)
さんとする也。
闇夜
(
あんや
)
にてすがたは見えねど、
女
(
をんな
)
童
(
わらべ
)
の
泣叫
(
なきさけ
)
ぶ
声
(
こゑ
)
或
(
あるひ
)
は
遠
(
とほ
)
く或は
近
(
ちか
)
く、
聞
(
きく
)
もあはれのありさま也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
闇夜
(
あんや
)
をついて、総押しに河を渡って夜討ちをかければ、
禍根
(
かこん
)
も抜くこともできようが、油断しておると近いうちに、夜が明けてみたら対岸
洲股
(
すのまた
)
に、一夜のうちに
忽然
(
こつぜん
)
と
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
文化のはじめ大雪の時高田の市中(町のながさ一リにあまる)雪に
埋
(
うづま
)
りて
闇夜
(
あんや
)
のごとく、
昼夜
(
ちうや
)
をわかたざる事十余日、市中
燈
(
ともしび
)
の油
尽
(
つき
)
て諸人難義せしに、御
領主
(
りやうしゆ
)
より家毎に油を
賜
(
たま
)
ひし事ありき。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
船は、その翌日、
闇夜
(
あんや
)
にまぎれて、
堺
(
さかい
)
の沖から、ふたたび南へむかって、
満々
(
まんまん
)
と
帆
(
ほ
)
をはった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
文化のはじめ大雪の時高田の市中(町のながさ一リにあまる)雪に
埋
(
うづま
)
りて
闇夜
(
あんや
)
のごとく、
昼夜
(
ちうや
)
をわかたざる事十余日、市中
燈
(
ともしび
)
の油
尽
(
つき
)
て諸人難義せしに、御
領主
(
りやうしゆ
)
より家毎に油を
賜
(
たま
)
ひし事ありき。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「
闇夜
(
あんや
)
は途中が危険。こよいは城内にお泊りあって、早朝にお帰りあってはいかが」
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして、えらびだした武士二、三人に、密命をふくませ、そこからいずこともなく放してやると自身はふたたび、民蔵を行列の先頭にして、
闇夜
(
あんや
)
の街道を、しずしずと進んでいった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“闇夜”の意味
《名詞》
光のない暗い夜。
(出典:Wiktionary)
闇
常用漢字
中学
部首:⾨
17画
夜
常用漢字
小2
部首:⼣
8画
“闇夜”で始まる語句
闇夜彷徨