くは)” の例文
くはしく申上げなければわかりません。勇太郎樣は亡くなつた先の御新造さんの御子さんで、今のお君さんとはまゝしい仲で御座います。
何故に私がこんな風な行動を取つたかをもまた、十分にくはしく説明した。ダイアナとメァリーは隔意かくいなく私の處置に賛成してくれた。
「まあ、大概たいがいのことはわかつてゐるつもりですが、貴女あなたがはからなら、大久保おほくぼ生活せいくわつがいつそくはしくわかつてゐるはずぢやないですか。」
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
これらの博物館はくぶつかんについて一々いち/\くはしくおはなしをすることは、このほん紙面しめんゆるさないばかりでなく、科學博物館かがくはくぶつかんや、美術びじゆつ歴史れきし博物館はくぶつかんかんしては
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
おかみさんは、さまでくはしくお言ひなさらなかつたけれど、青木さんと奥さんとの間にはいろんなごた/\した事がおありになつたらしいやうである。
桑の実 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
「よせ、下らない!」かう云つて、義雄はこんな男はくはしいことも、短いことも聽かせるに及ばないと思つた。
宗助そうすけ薄笑うすわらひをしたぎり、なんともこたへなかつた。其代そのかはして、御米およね信仰しんかういて、くはしい質問しつもんけなかつた。御米およねには、それが仕合しあはせかもれなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
小學校生活せうがくかうせいくわつくはしいことべつまうしますまい。去年きよねんなつでした、ぼくひさしぶりで故郷くにかへつてましたが、伸一先生しんいちせんせいとしつたばかり、其精神そのせいしん其生活そのせいくわつすこしもかはりません。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
さてうたは、どこまでも、自分じぶんこゝろくはしく、相手あひてこゝろくようにいひすものであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
かう言つて、その婆さんは、比較的くはしくかれの平生へいぜいの状態を世話人達に話した。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
硯友社けんいうしや沿革えんかくいては、他日たじつすこぶくはしく心得こゝろえこゝにはわづか機関雑誌きくわんざつし変遷へんせん略叙りやくじよしたので、それも一向いつかう要領えうりやうませんが、お話をる用意が無かつたのですから、這麼こんなこと御免ごめんかふむります
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「某新聞記者の西洋の詩のことを尋ねた時、芭蕉はその記者にかう答へた。——西洋の詩にくはしいのは京都の上田びんである。彼の常に云ふ所によれば、象徴派の詩人の作品は甚だ幽幻を極めてゐる。」
芭蕉雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「何でも、町藝妓だつたといふことだが、くはしいことは誰も知りませんよ。荻野左仲樣が見染めて三千五百石のお部屋樣に直して——」
不運ふうんにもかれ誘惑いうわくされたどくをんなだともおもへるのであつたが、しかし恋愛れんあい成立せいりつについては、かれくはしいことらなかつた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
學校にゐる令孃たちの學ぶ才藝さいげいに就いてのベシーのくはしい話は、それに劣らず私を惹きつけると、私は思つた。
この先生せんせい動物學者どうぶつがくしやでありまして、日本につぽんまへに、アメリカのフロリダといふところ石器時代せつきじだい貝塚かひづかつた經驗けいけんがあり、その方面ほうめん學問がくもんにもくはしいひとでありました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
御米およねはそんな消息せうそくまつたらなかつた。小六ころくからくはしい説明せつめいいて、はじめて成程なるほど首肯うなづいた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
この件ははなし上手な氷峰自身のくはしい報告を義雄がまた義雄自身で解釋して見たのだが——
泡鳴五部作:03 放浪 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
佐原屋の身上しんしやうがどうなつて居るか、現金かね融通ゆうづう、材木、山元との取引など、仲間にいたら判るだらう。出來るだけくはしく調べてくれ。
「もう少しくはしくあなたの考へを説明して下されば、多分僕にも、もつとよく理解されるかも知れません。」
しか自分じぶんいまかつ參禪さんぜんといふことをした經驗けいけんがないと自白じはくした。もしくはしいはなしきたければ、さいは自分じぶんあひによく鎌倉かまくらをとこがあるから紹介せうかいしてやらうとつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
なほむかし風俗ふうぞく生活せいかつのありさまについては、くはしいことをこゝでおはなしする時間じかんもなく、みなさんが歴史れきしほんほか先生せんせいからをそはることゝおもひますから、今日けふはこれだけでよしてきます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
くはしく言へば、紅筆で書いた願文から起つたことだ、——その願文を書いた奴は、下手人も同樣だが——お前はその疑ひを受けてゐる。
くはしく話して下さい。小半次の野郎は、何んだつて主人を殺す氣になつたんです。そして、どんな手段で殺したんでせう、親分」
くはしく言ふと、お糸は恐ろしく智慧ちゑのまはる女で、お此と金次郎を亡きものにするために、先づ一國者で考への足りない寅藏を迷はせた。
「少し調べたいが、破傷風はしやうふうにでもなるといけないから、大急ぎで船を岸につけて、近くの醫者へ行くやうに、いづれくはしいことは後で——」
「話は少し差障さしさはりがありますが、くはしく申上げないと、お解りにならないかも知れません。どうぞ、暫らくお許しを願ひます」
「面白さうだな。もう少し順序を立てて、くはしく話してくれ。朝つから現場を掻き廻したんだから、少しは筋が通るだらう」
銭形平次捕物控:130 仏敵 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
「本郷金助町の御浪人大瀧清左衞門樣の一番目娘でお茂世もよさん、——くはしいことは此處に居る妹のお勢さんに訊いて下さい」
「その五人の樣子を、くはしく話して見るが宜い。神田で八を置いて、高輪の犯人ほしを言ひ當てるのも、洒落れて居るだらう」
番頭の周助も吾妻屋の家庭の事については容易に口を開きませんが、これは隣に住んでゐる新吉から後でくはしく聽きました。
廻して内弟子に介抱かいはうされて居ました。くはしい事が聽きたかつたら、明神下の錢形の親分のところへ來いと言つて來ましたから
「八、關口の子分衆と、下つ引を五六人集めて、あのお妾姉妹と、奉公人達の身許をすつかり洗つてくれ。くはしいほど宜い」
「誰もくはしいことは知りません。でも、亡くなつた親父は上方で懇意こんいになつた樣子で、いろ/\のことを知つてをりました」
遺書かきおきがあつたんで——くはしいことはわかりませんが、見張るやうに頼んで置いた神樂坂の友吉が、暗いうちに使ひをよこしてくれましたよ」
くはしく訊いて來てくれ、與惣六は誰かに殺されたのでは無いか、義理の弟——今は白梅屋敷の主人になつて居る、金兵衞に怪しい筋は無かつたか
「大變なことでしたな。ところで、あつしは旅から歸つたばかりで、何んにも知りません。最初からくはしく話して下さい」
「正直者はそれが本當さ、——ところで、どんな野郎が拔いたんだ。三百八十兩が懷中から消えた後前あとさきのことを、少しくはしく聞かして貰はうか」
「だからくはしく話して見るが宜い。三輪の萬七親分の言ふのが本當か、本人の八五郎が言ふのが本當か、一伍仔什いちぶしじふを聽いた上で極めようぢやないか」
「よし、三十間堀の猪之助親分には濟まないが、念のため覗いて見ることにしよう、くはしいことは、道々聽くとして」
銭形平次捕物控:260 女臼 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
その話をくはしく訊きたいが。實は雪の降る大晦日の晩に、生れたばかりの赤ん坊を、赤合羽に包んで橋のたもとに棄てるといふのは腑に落ちないことだ。
味噌汁に仕込んだ、石見いはみ銀山鼠捕りで死んだ死體を調べるより、くはしく、前後の事情を訊く方が大事だつたのです。
「まア、そんな事はどうでもいゝ、——坊ちやんの見えなくなつた、前後の事をくはしく聽かうぢやありませんか」
くはしいことは、現場を見て來た與吉に訊いて下さい。御存じの通り、この野郎はあつしの倍も口が達者だから」
俺も今になつてつく/″\さとつた。——いづれ錢形の親分のところへでも行つて、くはしく申上げ、惡い事から足を
「何んの卷添へなんだ。——正直に話したらお前さんの迷惑になるやうにはしない。くはしく話して見るが宜い」
した晩、囃子はやし方の六助はどんな樣子だつたか。煙草は何を買つて、煙草入はどんなものを持つて居たか。いつもと違つたところがなかつたかくはしく訊くんだ
運んで來なかつたか、——誰か用事か何にかで來たものはないか、——昨夜ゆうべ飯の後で外へ出た者は誰と誰で、出なかつた者は誰と誰か、くはしく調べて來てくれ
それからお前は、原庭の栗唐くりからの竹松の家へ行つて、昨夜竹松夫妻と眞珠太夫は確かに外へ出なかつたかどうか、くはしく訊いてくれ。下女か留守番は居るだらう
「最初から若旦那もお銀さんも助かる氣はなかつたんです、——くはしく申上げませう、落着いて聽いて下さい、一度死んだ者は、逃げも隱れもしやしません」