“薊:あざみ” の例文
“薊:あざみ”を含む作品の著者(上位)作品数
泉鏡花4
吉川英治4
林芙美子3
北原白秋3
ジュール・ルナール2
“薊:あざみ”を含む作品のジャンル比率
文学 > フランス文学 > 評論 エッセイ 随筆28.6%
文学 > ドイツ文学 > その他のゲルマン文学14.3%
文学 > フランス文学 > 小説 物語7.5%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
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なかの一人はあざみに這いのぼった、薊はぐるぐる揺れ、その人はぱたんと露の玉のように地におちて、いたそうに泣き出した。
(新字新仮名) epub / フィオナ・マクラウド(著)
ただ女神にそういわれて撫でさすられた空骸は、土に還ると共に、そこからはこけ桃のような花木、あざみのような花草が生えた。
富士 (新字新仮名) epub / 岡本かの子(著)
あざみの咲き出したばかりの紅紫と白の光沢、それらをまた驚きながら、時時には籠に入れて、蜜柑を吸ひ吸ひあるいて行く。
蜜柑山散策 (新字旧仮名) epub / 北原白秋(著)
そうだ、僕が、生れてはじめて、アテチョック(アルティショー―食用あざみ)ってものを食ったのは、神戸の弘養館だった。
神戸 (新字新仮名) epub / 古川緑波(著)
「無宿者、あざみの三之助、これはちよいと好い男ですよ。何んだつて、あんな野郎がまた、尋常な眼鼻立を持つてゐるんでせう」
この峠から普賢へのぼるためには、ここからまた左へ落込おちこんでいるあざみ谷の渓谷を下らなければならなかった。
雲仙岳 (新字新仮名) epub / 菊池幽芳(著)
あざみさん、ほんとに家のおとよは今ではかわいそうですよ。どうかおとッつさんの機嫌を直したいとばかりいってます」
春の潮 (新字新仮名) epub / 伊藤左千夫(著)
「無宿者、あざみの三之助、これはちょいと良い男ですよ、何んだって、あんな野郎がまた、尋常な眼鼻立を持って居るんでしょう」
「毒婦だな、貴様は。――その美しい容貌きりょうを持って生れながら何という情けない心だろう。あざみの花だ。ばらの花だ」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) epub / 吉川英治(著)
――あざみの花だって、捨てたもんじゃないからね、黙って、泣いて、踏みにじられたまま、終ってしまう野菊より、とげをもっても
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) epub / 吉川英治(著)
『潮來出島の眞菰のなかで』といふ眞菰や蒲の青々した蔭にはあやめはやゝ時過ぎてゐたが、あざみの花の濃紫が雨に濡れて咲き亂れてゐた。
だい一、あざみがあんまり沢山ありましたし、それに草のそこにさっきかった岩かけが、度々たびたびころがっていました。
種山ヶ原 (新字新仮名) epub / 宮沢賢治(著)
「金澤町の江島屋――この間あざみの三之助が殺された場所、今度は塀の下の、犬潜りの穴に首を突つ込んだ伊保木金太郎がやられましたよ」
あざみは、近づいて行った。いきなり声をかけると、非常に驚いた様子で、春作は逃げかけた。跳びかかって、薊は、彼の両手を縛り上げた。
魚紋 (新字新仮名) epub / 吉川英治(著)
第一、あざみがあんまり沢山ありましたし、それに草の底にさっき無かった岩かけが、度々ころがってゐました。
種山ヶ原 (新字旧仮名) epub / 宮沢賢治(著)
あやめさくとはしほらしやといふその花は極めて稀にしか見えないが堤の青草の蔭にはあざみの花がいつぱいだ。
水郷めぐり (旧字旧仮名) epub / 若山牧水(著)
しかし其処を通り抜けると、あざみや除虫菊の咲いた中に、うつ木も水々しい花をつけた、広い草原が展開した。
長江游記 (新字新仮名) epub / 芥川竜之介(著)
時々、驢馬はふっとあざみの葉をいでみたり、急に何か気紛れを起したりすると、もう歩かなくなる。
博物誌 (新字新仮名) epub / ジュール・ルナール(著)
あざみ綽名あだなのある遊び人の芳五郎よしごろうだった。――悪い奴に、と山岡屋は眉をひそめて、
魚紋 (新字新仮名) epub / 吉川英治(著)
谷をのぼって峰がまた転ずると、今度はあざみ谷と共に雲仙の二大渓谷であり、また同じ旧噴火口であるところの鬼神きじん谷の真上に出る。
雲仙岳 (新字新仮名) epub / 菊池幽芳(著)
「金沢町の江島屋――此間あざみの三之助が殺された場所、今度は塀の下の、犬潜いぬくぐりの穴に首を突っ込んだ伊保木金太郎がやられましたよ」
匂よ。吾に猶心殘りあり。あらゆる花は皆此處に集まりながらあざみの缺けたるぞ飽かぬ心地する。赤き薄赤き紫なる薄紫なる、薊程美しき花は無きに。
花枕 (旧字旧仮名) epub / 正岡子規(著)
青いあざみの花や赤い伏牛花へびのぼうずや緑色の実のなってる樅の小枝などを、それに突きさした。
畫工の來るや、古の水道のなごりなる、寂しき櫛形迫持せりもちを寫し、羊の群をひきゐたる牧者を寫し、さてその前に枯れたるあざみを寫すのみ。
そのときの私の眼には、隣村の森ちかくの電燈の光があざみの花に似ていたのを記憶して居る。
めくら草紙 (新字新仮名) epub / 太宰治(著)
此辺までは大木が茂って下草は余り生えていなかったが、此処から頭の上が透いてあざみ木苺きいちごが所嫌わず生えているので、手足がチクチク刺される。
奥秩父の山旅日記 (新字新仮名) epub / 木暮理太郎(著)
あざみも長い間の押し問答の、石にくぎ打つような不快にさっきからよほどごうが沸いてきてる。もどかしくて堪らず、酔った酒もめてしまってる。
春の潮 (新字新仮名) epub / 伊藤左千夫(著)
墓の下方には丈の高い薄気味の悪いあざみが枯々とした銀灰色を呈しながらむらがっていた。
野はすみれ、たんぽゝ、春竜胆はるりんどう草木瓜くさぼけあざみが咲き乱るゝ。
鉄砲で、生籬いけがき灌木かんぼくの茂みや、あざみくさむらをひっぱたく。
にんじん (新字新仮名) epub / ジュール・ルナール(著)
裸足はだしあざみを踏んづける! その絶望への情熱がなくてはならないのである。
闇の絵巻 (新字新仮名) epub / 梶井基次郎(著)
四隅よすみ花壇かだんがあって、ゆすらうめ、鉄線蓮てっせんれん、おんじ、あざみ、ルピナス、躑躅つつじ、いちはつ、などのようなものが植えてあった。
風琴と魚の町 (新字新仮名) epub / 林芙美子(著)
躑躅はもちろん、うつぎやあざみの花やきりの木が、家の周囲を取り巻いていた。
清貧の書 (新字新仮名) epub / 林芙美子(著)
ひいらぎ蕁麻いらぐさ山査子さんざし野薔薇のばらあざみや気短かないばらなどと戦わなければならなかった。非常な掻傷そうしょうを受けた。
なんじ我言に背いて禁菓を食ひたれば、土は爾の為にのろはる。土は爾の為に荊棘いばらあざみを生ずべし。爾は額に汗して苦しみて爾のパンをくらはん」
草とり (新字旧仮名) epub / 徳冨蘆花(著)
がまた、くちなしだの、椿つばきだのも茂つてゐる。あたりまへの歯朶しだも到る所にある。木蔦きづたも壁にからんでゐる。道ばたにはあざみ沢山たくさんある。
日本の女 (新字旧仮名) epub / 芥川竜之介(著)
馬は走った。むぐらあざみの花を踏みにじって奴国の方へ馳けていった。
日輪 (新字新仮名) epub / 横光利一(著)
カムパニアの野にはあざみ生ふといへど、その薊には尚紅の花咲くことあり。
美しき富士山を見た。春先のような葉の色のおんばこ、あざみを処々に見る。
湯ヶ島の数日 (新字新仮名) epub / 宮本百合子(著)
また、銀のあざみのついた額縁にはいってるスウィスの旅館の景色もあった。
朝露のしとどに置いた草原の中にあざみやら撫子なでしこやらが咲いた。
田舎教師 (新字新仮名) epub / 田山花袋(著)
その噴水のまわりには、あざみの花がくさむらのように咲いていた。
魚の序文 (新字新仮名) epub / 林芙美子(著)
あれはわびしくて、こちこちと寂しいが、土地がら、今時はおさだまりの俗にとなうる坊さん花、あざみやわらかいような樺紫かばむらさき小鶏頭こげいとう
縷紅新草 (新字新仮名) epub / 泉鏡花(著)
そして彼女の真紅な着物のあざみの模様が、ふっくらとした胸のところで、激しい匂いをき散らしながら、揺れて揺れて、……こんなことを想いだしていたとてしかたがなかった。
(新字新仮名) epub / 池谷信三郎(著)
けれども、正門までは手入れの行届いた自動車路が作られていて、破墻挺崩はしょうていくずしと云われる切り取り壁が出張った主楼の下には、あざみと葡萄の葉文が鉄扉を作っていた。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) epub / 小栗虫太郎(著)
富士あざみの紫の花が、花冠を低く水へ垂れ、姿鏡を写していた。
神州纐纈城 (新字新仮名) epub / 国枝史郎(著)
白リネンの小布を持ち上げて、縫かけのあざみの図案を見せる。
明るい海浜 (新字新仮名) epub / 宮本百合子(著)
そして彼女はいつものとおり、真紅な着物のあざみの模様が、ふっくらとした胸のところで、激しい匂いを撒き散らしながら、揺れて揺れて、笑ったが、彼女の瞳からは、涙が勝手に溢れていた。
(新字新仮名) epub / 池谷信三郎(著)
なんじ我言に背いて禁菓きんかいたれば、土は爾の為にのろわる。土は爾の為に荊棘いばらあざみしょうずべし。爾は額に汗して苦しみて爾のパンをくらわん」
次に上帝を招き、汝は苦労せにゃならぬ、すなわち、常に重荷を負い運び、不断むちうたれ叱られ、休息はちとの間であざみいばらの粗食に安んずべく、寿命は五十歳と宣う。
ところがその路のやうなものは、まだ百歩も行かないうちに、をとこへしや、すてきに背高のあざみの中で、二つにも三つにも分れてしまって、どれがどれやら一向わからなくなってしまひました。
種山ヶ原 (新字旧仮名) epub / 宮沢賢治(著)
あざみ――そうねえ、だけど、それじゃもう遅すぎるわ。
博物誌 (新字新仮名) epub / ジュール・ルナール(著)
たとえば山口県の柳井やないではあざみをウサギグサ。
痛きまで心を刺しぬ桃色のあざみと云ひて君を憎まん
註釈与謝野寛全集 (新字旧仮名) epub / 与謝野晶子(著)
日光の直射を恐れて羽蟻は飛びめぐり、溝渠には水涸れて悪臭を放ち、病犬は朝鮮あざみの紫の刺に後退りつつ咆え廻り、蛙は蒼白い腹を仰向けて死に、泥臭い鮒のあたまは苦しそうに泡を立てはじめる。
水郷柳河 (新字旧仮名) epub / 北原白秋(著)
口紅をつけてパッと強く生きているあざみのほうが
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) epub / 吉川英治(著)
みちあざみも咲きほうけて、歩くには少し汗ばむほどだが、牛の糞の乾くにおいにも、寧楽ならのむかしや、流転るてんあとしのばれたりして、歩き飽かないこの辺りの道だった。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) epub / 吉川英治(著)
奥まった一室の障子をあければ、三尺の床に袋戸棚が隣ってそこから座蒲団ざぶとんが引出され、掛花活かけはないけあざみは大方萎れて、無頓着が売物の小座敷だ、婢は云う御酒は、小歌は云うあがらないの
油地獄 (新字新仮名) epub / 斎藤緑雨(著)
もう前穂高の三角点のある岩尾根は、醜恠しゅうかいあかっちゃけて、ササラのように擦り減らされた薄っぺらの岩角を、天に投げかけている、細い石渓の窪地や、あざみがところ嫌わずチクチクやる石原の中を
谷より峰へ峰より谷へ (新字新仮名) epub / 小島烏水(著)
ところがその路のようなものは、まだ百歩も行かないうちに、おとこえしや、すてきに背高せいたかあざみの中で、二つにも三つにも分れてしまって、どれがどれやら一向いっこうわからなくなってしまいました。
種山ヶ原 (新字新仮名) epub / 宮沢賢治(著)
今日けふあざみの紫に、
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) epub / 北原白秋(著)
あざみの頭が彼にさわった。
あざみの花のすきな子に
優しき歌 Ⅰ・Ⅱ (新字旧仮名) epub / 立原道造(著)
あざみの花をつみとりて
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) epub / 竹久夢二(著)
あざみ毒舌どくぜつ
牢獄の花嫁 (新字新仮名) epub / 吉川英治(著)
見上げるような両側のがけからは、すすき野萩のはぎが列車の窓をでるばかりにい茂って、あざみや、姫紫苑ひめじおんや、螢草ほたるぐさや、草藤ベッチの花が目さむるばかりに咲きみだれている。
駅夫日記 (新字新仮名) epub / 白柳秀湖(著)
あざみが生え、
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) epub / 北原白秋(著)
何故なぜというに崖には野笹やすすきまじってあざみ藪枯やぶからしを始めありとあらゆる雑草の繁茂した間から場所によると清水が湧いたり、下水したみずが谷川のように潺々せんせんと音して流れたりしている処がある。
もとはどういう名のある邸だったのか、竹の櫺子れんじをつけたいかにも床しい数奇屋がまえなのに、掛軸はかけず、床柱の花籠に申訳のようにあざみ刈萱かるかやを投げいれ、天井の杉板に金と白緑びゃくろくでいちめんに萩が描いてある。
ユモレスク (新字新仮名) epub / 久生十蘭(著)
あざみの花や白い山百合の花の咲いているくさむらの中の、心持ちくだりになっている細道を、煙草たばこを吸いながら下りて行くと、水面が鏡の面のように静かな古池があって、岸からは雑草がおおいかかり、中には睡蓮すいれんの花が夢の様に咲いている。
首を失った蜻蛉 (新字新仮名) epub / 佐左木俊郎(著)
長尾氏から狐や兎やむじなの話を聞きながら、たばこをふかしたり、林檎を噛つたりしてゐるうちに、銀鼠色の烟雨えんうが、つい入口に近い叢のなかに佗しく咲いた深山竜胆みやまりんどうや、多少薄べつたく変形した薄色のあざみの花などを掠めて、這ひ寄つて来た。
霧ヶ峰から鷲ヶ峰へ (新字旧仮名) epub / 徳田秋声(著)
その杉を、右の方へ、山道ががくれに続いて、木の根、岩角、雑草が人の脊より高く生乱はえみだれ、どくだみの香深く、あざみすさまじく咲き、野茨のばらの花の白いのも、時ならぬ黄昏たそがれ仄明ほのあかるさに、人の目を迷わして、行手を遮る趣がある。
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) epub / 泉鏡花(著)
二人は燃え立つ紅葉のにしきうずまっている、小涌谷こわくだにの旅館に落ちついたが、どうせそのうちに低気圧は来るものとして、今日の日は今日の日だとはらをきめている庸三も、どうかするとあざみとげのようなものの刺さって来るのを、いかんともすることができなかった。
仮装人物 (新字新仮名) epub / 徳田秋声(著)
身を切られるより、貴方の前で、お恥かしい事ですが、親兄弟を養いますために、私はとうから、あの旦那のお世話になっておりますんです。それも棄て、身も棄てて、死ぬほどの思いをして、あなたのお言葉を貫きました。……あなたはここをお立ちになると、もうその時から、私なぞは、山の鳥です、野のあざみです。
鷭狩 (新字新仮名) epub / 泉鏡花(著)
見つゝ思はず悚然ぞつとして、いしくも咲いたり、可愛かはゆき花、あざみ鬼百合おにゆりたけくんば、我がことばに憤りもせめ、姿形のしをらしさにつけ、汝優しき心より、百年もゝとせよはひを捧げて、一朝の盛を見するならずや、いかばかり、我を怨みなんと、あはれさ言ふべくもあらず。
草あやめ (新字旧仮名) epub / 泉鏡花(著)
山面を遠くから雲のやうに白く棚曳き降りて來た獨活うどの花の大群生が、湖面にまで雪崩れ込んでゐる裾を、黄白の野菊や萩、肉色の虎杖いたどりの花、女郎花と、それに混じた淡紫の一群の花の、うるひ、あざみ、龍膽、とりかぶと、みやまおだまき、しきんからまつ、――道はだんだん丈なす花のトンネルに變つて來る。
榛名 (旧字旧仮名) epub / 横光利一(著)
われ巨人を切る事三たび、三度目にわが太刀は鍔元つばもとより三つに折れて巨人の戴く甲の鉢金の、内側にゆがむを見たり。巨人のついを下すや四たび、四たび目に巨人の足は、血を含む泥をて、木枯の天狗てんぐの杉を倒すが如く、あざみの花のゆらぐ中に、落雷もじよとばかりどうと横たわる。
幻影の盾 (新字新仮名) epub / 夏目漱石(著)
不思議だねえ。だが、接骨木ばかりが蟻の牝牛共のゐる藪ではないんだよ。木虱は他のいろんな木にも見つける事が出来るのだ。キヤベツや薔薇の藪にたかつてゐる木虱は緑色をしてゐるし、接骨木や、豆や、けしや、蕁麻いらくさや、柳、ポプラのは黒、樫とあざみのは青銅色、夾竹桃や胡桃くるみとかはんのきとかにつくのは黄色だ。