“薊”を“あざみ”と読むもの
“薊|あざみ”を含む作品のジャンル比率
文学 > フランス文学 > 小説 物語7.5%
歴史 > 地理・地誌・紀行 > 日本2.4%
文学 > 日本文学 > 日記 書簡 紀行1.5%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
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畫工の來るや、古の水道のなごりなる、寂しき櫛形迫持せりもちを寫し、羊の群をひきゐたる牧者を寫し、さてその前に枯れたるあざみを寫すのみ。
〔出典〕即興詩人(旧字旧仮名)/ハンス・クリスチャン・アンデルセン(著)
『潮來出島の眞菰のなかで』といふ眞菰や蒲の青々した蔭にはあやめはやゝ時過ぎてゐたが、あざみの花の濃紫が雨に濡れて咲き亂れてゐた。
〔出典〕樹木とその葉:08 若葉の頃と旅(旧字旧仮名)/若山牧水(著)
「無宿者、あざみの三之助、これはちょいと良い男ですよ、何んだって、あんな野郎がまた、尋常な眼鼻立を持って居るんでしょう」
〔出典〕銭形平次捕物控:238 恋患い(新字新仮名)/野村胡堂(著)
ただ女神にそういわれて撫でさすられた空骸は、土に還ると共に、そこからはこけ桃のような花木、あざみのような花草が生えた。
〔出典〕富士(新字新仮名)/岡本かの子(著)
なんじ我言に背いて禁菓を食ひたれば、土は爾の為にのろはる。土は爾の為に荊棘いばらあざみを生ずべし。爾は額に汗して苦しみて爾のパンをくらはん」
〔出典〕草とり(新字旧仮名)/徳冨蘆花(著)
「無宿者、あざみの三之助、これはちよいと好い男ですよ。何んだつて、あんな野郎がまた、尋常な眼鼻立を持つてゐるんでせう」
〔出典〕銭形平次捕物控:238 恋患ひ(旧字旧仮名)/野村胡堂(著)
なかの一人はあざみに這いのぼった、薊はぐるぐる揺れ、その人はぱたんと露の玉のように地におちて、いたそうに泣き出した。
〔出典〕(新字新仮名)/フィオナ・マクラウド(著)
四隅よすみ花壇かだんがあって、ゆすらうめ、鉄線蓮てっせんれん、おんじ、あざみ、ルピナス、躑躅つつじ、いちはつ、などのようなものが植えてあった。
〔出典〕風琴と魚の町(新字新仮名)/林芙美子(著)
そうだ、僕が、生れてはじめて、アテチョック(アルティショー―食用あざみ)ってものを食ったのは、神戸の弘養館だった。
〔出典〕神戸(新字新仮名)/古川緑波(著)
あざみの咲き出したばかりの紅紫と白の光沢、それらをまた驚きながら、時時には籠に入れて、蜜柑を吸ひ吸ひあるいて行く。
〔出典〕蜜柑山散策(新字旧仮名)/北原白秋(著)
此辺までは大木が茂って下草は余り生えていなかったが、此処から頭の上が透いてあざみ木苺きいちごが所嫌わず生えているので、手足がチクチク刺される。
〔出典〕奥秩父の山旅日記(新字新仮名)/木暮理太郎(著)
匂よ。吾に猶心殘りあり。あらゆる花は皆此處に集まりながらあざみの缺けたるぞ飽かぬ心地する。赤き薄赤き紫なる薄紫なる、薊程美しき花は無きに。
〔出典〕花枕(旧字旧仮名)/正岡子規(著)
肉色の虎杖いたどりの花、女郎花と、それに混じた淡紫の一群の花の、うるひ、あざみ、龍膽、とりかぶと、みやまおだまき
〔出典〕榛名(旧字旧仮名)/横光利一(著)
あやめさくとはしほらしやといふその花は極めて稀にしか見えないが堤の青草の蔭にはあざみの花がいつぱいだ。
〔出典〕水郷めぐり(旧字旧仮名)/若山牧水(著)
見上げるような両側のがけからは、すすき野萩のはぎが列車の窓をでるばかりにい茂って、あざみや、姫紫苑ひめじおんや、螢草ほたるぐさや、草藤ベッチの花が目さむるばかりに咲きみだれている。
〔出典〕駅夫日記(新字新仮名)/白柳秀湖(著)
しかし其処を通り抜けると、あざみや除虫菊の咲いた中に、うつ木も水々しい花をつけた、広い草原が展開した。
〔出典〕長江游記(新字新仮名)/芥川竜之介(著)
天に投げかけている、細い石渓の窪地や、あざみがところ嫌わずチクチクやる石原の中を、押し分けてというより、押し登って行くと、鼻っ先の風露草とすれすれに
〔出典〕谷より峰へ峰より谷へ(新字新仮名)/小島烏水(著)
この峠から普賢へのぼるためには、ここからまた左へ落込おちこんでいるあざみ谷の渓谷を下らなければならなかった。
〔出典〕雲仙岳(新字新仮名)/菊池幽芳(著)
けれども、正門までは手入れの行届いた自動車路が作られていて、破墻挺崩はしょうていくずしと云われる切り取り壁が出張った主楼の下には、あざみと葡萄の葉文が鉄扉を作っていた。
〔出典〕黒死館殺人事件(新字新仮名)/小栗虫太郎(著)
ひいらぎ蕁麻いらぐさ山査子さんざし野薔薇のばらあざみや気短かないばらなどと戦わなければならなかった。非常な掻傷そうしょうを受けた。
次に上帝を招き、汝は苦労せにゃならぬ、すなわち、常に重荷を負い運び、不断むちうたれ叱られ、休息はちとの間であざみいばらの粗食に安んずべく、寿命は五十歳と宣う。
〔出典〕十二支考:09 犬に関する伝説(新字新仮名)/南方熊楠(著)
時々、驢馬はふっとあざみの葉をいでみたり、急に何か気紛れを起したりすると、もう歩かなくなる。
〔出典〕博物誌(新字新仮名)/ジュール・ルナール(著)
そのときの私の眼には、隣村の森ちかくの電燈の光があざみの花に似ていたのを記憶して居る。
〔出典〕めくら草紙(新字新仮名)/太宰治(著)
そして彼女の真紅な着物のあざみの模様が、ふっくらとした胸のところで、激しい匂いをき散らしながら、揺れて揺れて、……こんなことを想いだしていたとてしかたがなかった。
〔出典〕(新字新仮名)/池谷信三郎(著)
墓の下方には丈の高い薄気味の悪いあざみが枯々とした銀灰色を呈しながらむらがっていた。
キヤベツや薔薇の藪にたかつてゐる木虱は緑色をしてゐるし、接骨木や、豆や、けしや、蕁麻いらくさや、柳、ポプラのは黒、樫とあざみのは青銅色、夾竹桃や胡桃くるみとかはんのきとかにつくのは黄色だ。
〔出典〕科学の不思議(新字旧仮名)/ジャン・アンリ・ファーブル(著)
青いあざみの花や赤い伏牛花へびのぼうずや緑色の実のなってる樅の小枝などを、それに突きさした。
あざみ綽名あだなのある遊び人の芳五郎よしごろうだった。――悪い奴に、と山岡屋は眉をひそめて、
〔出典〕魚紋(新字新仮名)/吉川英治(著)
何故なぜというに崖には野笹やすすきまじってあざみ藪枯やぶからしを始めありとあらゆる雑草の繁茂した間から場所によると清水が湧いたり、下水したみずが谷川のように潺々せんせんと音して流れたりしている処がある。
〔出典〕日和下駄:一名 東京散策記(新字新仮名)/永井荷風(著)
裸足はだしあざみを踏んづける! その絶望への情熱がなくてはならないのである。
〔出典〕闇の絵巻(新字新仮名)/梶井基次郎(著)