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うすで
ふりがな文庫
“
薄手
(
うすで
)” の例文
それを
軽
(
かる
)
い
薄手
(
うすで
)
が
上等
(
じょうとう
)
なものとしてあり、それを
使
(
つか
)
わなければならぬということは、なんといううるさいばかげたことかと
思
(
おも
)
われました。
殿さまの茶わん
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
少し
薄手
(
うすで
)
を負わされた八五郎が、寺本山平を送るとすっかり元気になって、平次と一緒に家路を急ぎながら、相変らず絵解きを迫ります。
銭形平次捕物控:116 女の足跡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「うるさい。
薄手
(
うすで
)
な面をしやがって、ペラペラしゃべるない。訊ねたいことがあるから全員全部、明日の午前十時までに憲兵隊司令部へ出頭しろ」
だいこん
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
此間
(
このあひだ
)
の
公案
(
こうあん
)
に
對
(
たい
)
して、
自分
(
じぶん
)
丈
(
だけ
)
の
解答
(
かいたふ
)
は
準備
(
じゆんび
)
してゐた。けれども、それは
甚
(
はなは
)
だ
覺束
(
おぼつか
)
ない
薄手
(
うすで
)
のものに
過
(
す
)
ぎなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
生来
薄手
(
うすで
)
に出来た顔が一層今日は
窶
(
やつ
)
れたようだった。が、洋一の差し
覗
(
のぞ
)
いた顔へそっと熱のある眼をあけると、ふだんの通りかすかに
頬笑
(
ほほえ
)
んで見せた。
お律と子等と
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
薄あかりのなかに
凝視
(
みつ
)
むる小さな銀側時計の怪しい數字に
苦蓬
(
にがよもぎ
)
の
香
(
にほひ
)
沁みわたり、右に持つた
薄手
(
うすで
)
の和蘭皿にはまだ
眞赤
(
まつか
)
な幼兒の生膽がヒクヒクと息をつく。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
伊達
(
だて
)
の
停車場
(
ていしやぢやう
)
を
出
(
で
)
て
間
(
ま
)
もなく
踏切
(
ふみきり
)
を
越
(
こ
)
して、しばらくして、
一二軒
(
いちにけん
)
、
村
(
むら
)
の
小家
(
こいへ
)
の
前
(
まへ
)
に、
細
(
ほそ
)
い
流
(
ながれ
)
に
一際
(
ひときは
)
茂
(
しげ
)
つて
丈
(
たけ
)
ののびたのがあつて、すつと
露
(
つゆ
)
を
上
(
あ
)
げて
薄手
(
うすで
)
ながら
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
上品などこか女性風な優しさがあって、
技
(
わざ
)
が充分でないと出来ない仕事であります。しかし
薄手
(
うすで
)
に作るせいか、塗に気を配り過ぎるせいか、どこか弱々しい一面を
有
(
も
)
ちます。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
窓の下に、黒っぽい粗末な茶箪笥があって、古い鑵を幾つも見せていたが、その上には、紫檀の盆の中に、
薄手
(
うすで
)
の上品な茶碗と錫の
茶托
(
ちゃたく
)
とが、
鬱金色
(
うこんいろ
)
の布巾の下から覗いていた。
反抗
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
薄手
(
うすで
)
のコップに
泡
(
あわ
)
を立てて盛られた
黄金色
(
こがねいろ
)
の酒は葉子の手の中で細かいさざ波を立てた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
いまだに彼の目先にちらついている、菜穂子がその絵姿の中心となった、不思議に重厚な感じのする生と死との
絨毯
(
じゅうたん
)
の前にあっては、いかに
薄手
(
うすで
)
なものであるかを考えたりしていた。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
お
母
(
つか
)
さんと娘とで踊つてる組もある。一人
紫紺
(
しこん
)
の
薄手
(
うすで
)
な
盛衣
(
ロオヴ
)
を着て白い
胸飾
(
むねかざり
)
をした、
細
(
ほつそ
)
りと
瀟洒
(
せうしや
)
なひどく姿の
好
(
い
)
い女が
折折
(
をりをり
)
踊場
(
をどりば
)
に出ては相手を求めずに単独で踊の
群
(
むれ
)
を縫ひながら縦横に
駈
(
か
)
け廻る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
4 最上の
海苔
(
のり
)
(
薄手
(
うすで
)
の草をもって厚く作ったもの)
握り寿司の名人
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
われは
愛
(
め
)
づ。新しき
薄手
(
うすで
)
の
玻璃
(
はり
)
の鉢を。
そぞろごと
(旧字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「すべて
陶器
(
とうき
)
は、
軽
(
かる
)
い、
薄手
(
うすで
)
のを
貴
(
たっと
)
びます。
茶
(
ちゃ
)
わんの
重
(
おも
)
い、
厚手
(
あつで
)
のは、まことに
品
(
ひん
)
のないものでございます。」と、
役人
(
やくにん
)
はお
答
(
こた
)
えしました。
殿さまの茶わん
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
長唄は六三郎、踊は
水木
(
みずき
)
。しみったれたことや
薄手
(
うすで
)
なことはなによりきらい、好物はかん
茂
(
も
)
のスジと
初茸
(
はつだけ
)
のつけ焼。
ユモレスク
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
代助は格子の
外
(
そと
)
から、三千代の
極
(
きわ
)
めて
薄手
(
うすで
)
な皮膚を眺めて、戸の
開
(
あ
)
くのを静かに
待
(
ま
)
つた。三千代は
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
いつも
來
(
く
)
る
時
(
とき
)
は、
縞
(
しも
)
もののそろひで、おとなしづくりの
若
(
わか
)
い
男
(
をとこ
)
で、
女
(
をんな
)
の
方
(
はう
)
が
年下
(
としした
)
の
癖
(
くせ
)
に、
薄手
(
うすで
)
の
圓髷
(
まげ
)
でじみづくりの
下町好
(
したまちごの
)
みでをさまつてゐるから、
姉女房
(
あねにようばう
)
に
見
(
み
)
えるほどなのだが
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
新しい方はロンドン・フィルハーモニック管弦団をバルビロリの指揮したもので(JD九三七—四一S)、録音が鮮麗ではあるが、クライスラーの老は隠す由もなく、管弦楽も
薄手
(
うすで
)
で感興が低い。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
われは
愛
(
め
)
づ、新しき
薄手
(
うすで
)
の白磁の鉢を。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「もう、これより
軽
(
かる
)
い、
薄手
(
うすで
)
にはできないのでございます。」と、
主人
(
しゅじん
)
は、うやうやしく
頭
(
あたま
)
を
下
(
さ
)
げて
役人
(
やくにん
)
に
申
(
もう
)
しました。
殿さまの茶わん
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
柚子が死んでから、手箱の整理をしていると、手帳式の
薄手
(
うすで
)
な日記帳が出てきた。柚子の日記というのは、ふしぎなもので、その日の天気のほか、なにも書いていない。
春雪
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
……そして、
肩越
(
かたご
)
しに
此方
(
こなた
)
を
見向
(
みむ
)
いた、
薄手
(
うすで
)
の、
中
(
なか
)
だかに、すつと
鼻筋
(
はなすぢ
)
の
通
(
とほ
)
つた
横顏
(
よこがほ
)
。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
けれども、それははなはだ
覚束
(
おぼつか
)
ない
薄手
(
うすで
)
のものに過ぎなかった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
細い
薄手
(
うすで
)
の
硝杯
(
こつぷ
)
から
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「その
考
(
かんが
)
えは、ぜいたくだろう。なにしろ、あの
薄手
(
うすで
)
では、
大事
(
だいじ
)
にして、しまっておいても
保存
(
ほぞん
)
は、
容易
(
ようい
)
ではない。」
さかずきの輪廻
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
石田氏は胸もとから手先だけだし、豊かとはいいにくい、
薄手
(
うすで
)
な口髭を撫でていたが
我が家の楽園
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
秋は
薄手
(
うすで
)
の
杯
(
さかづき
)
か
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
利助
(
りすけ
)
の
陶器
(
とうき
)
の
特徴
(
とくちょう
)
は、その
繊細
(
せんさい
)
な
美妙
(
びみょう
)
な
感
(
かん
)
じにありました。
彼
(
かれ
)
は
薄手
(
うすで
)
な、
純白
(
じゅんぱく
)
な
陶器
(
とうき
)
に
藍
(
あい
)
と
金粉
(
きんぷん
)
とで、
花鳥
(
かちょう
)
や、
動物
(
どうぶつ
)
を
精細
(
せいさい
)
に
描
(
えが
)
くのに
長
(
ちょう
)
じていたのであります。
さかずきの輪廻
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
はかない、
薄手
(
うすで
)
のさかずきが、こんなに
完全
(
かんぜん
)
に
保存
(
ほぞん
)
されたのに、その
間
(
あいだ
)
に、この
街
(
まち
)
でも、この
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
でも、
幾
(
いく
)
たびか
時代
(
じだい
)
の
変遷
(
へんせん
)
がありました。あるものは、
生
(
う
)
まれました。
さかずきの輪廻
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
薄
常用漢字
中学
部首:⾋
16画
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
“薄”で始まる語句
薄
薄暗
薄紅
薄明
薄暮
薄縁
薄荷
薄闇
薄汚
薄氷